暴れん坊街道  内田吐夢監督作品  1957.2.19東映


 近松の「丹波与作待夜小室節」を元にしたお話、細かい部分が原作や芝居と異なるが、大筋は同じ。子の命を救おうとして本陣の玄関で腹を切った与作の亡骸を見て、運命への呪詛を叫ぶ重の井のベルさんが圧巻。

 家老の娘・重野は許されざる子を産み咎を受けるところ、格別の慈悲をもって許され折りしも生まれた姫の乳母となる。重野の赤ん坊は里子に出されるが、いつしか遺棄され流れ着いた先で馬子をしているところ、浪人の与作と出会う。互いに実の親子とも知らず、三吉の面倒を見ていた小まんと三人睦み暮らすが、由留木の姫様一行が宿場にやって来たことで輪はちぎれはじけ飛んでしまう。

ロケ地
・丹波・由留木城下の門、二条城南中仕切門。与作は一旦締め出されるが、門番の情けでくぐり戸から入れて貰う。
・家老・稲葉邸、セットかロケか不明(塀の向こうに大屋根や櫓などちらり)
・うらぶれた浪人となった与作が馬方の三吉と出会う関宿近くの街道、不明(田んぼの中の一本道)
・金が尽き小まんの宿を出た与作がゆく街道、不明(両側に草高く生い茂る野道)
・宿に引き返し馬方になった与作が「兄貴分」の三吉と馬を引いてゆく街道、不明。
・関宿へ由留木の調姫の行列が来るくだり、川渡しは木津川下流部に似た浅く川幅の広い川、堤はけっこう高い。姫がぐずって駕籠を出てしまい、道中双六をしていた営業中の三吉を見留める街道、不明(川堤に並木)
・本陣へ「母」に金を無心しにやって来るもしつこく訳を問われ怒った三吉が飛び出して守袋を投棄する小川、不明。
・姫の懐剣を盗んだかどで三吉が捕われたあと、三吉に懐剣を売られた親方が本陣へ持ってゆくというのと揉めてはずみで刺してしまう与作、不明(夜道は川堤、堤下には蔵などひしめく。堤高は民家の屋根を見下ろす程度ある)

*伊達与作は佐野周二、三吉たちには別の名を使っているがややこしいので文中では与作で統一。三吉は植木基晴、達者な子役ではじけるような暴れっぷりがいい。彼の世話を焼く飯守女の小まんは千原しのぶ、苦労人の姐さんを好演。重野(重の井)は山田五十鈴、三吉が実子と知った際の葛藤も、武家社会への呪詛を喚き散らす身も世もない風情も良し。その父家老は薄田研二、稲葉家の老女は毛利菊枝。親方は進藤英太郎。


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