華岡青洲の妻

美山民家2005年NHK(BK制作・金曜時代劇)

キャスト
華岡青洲(雲平)/谷原章介 加恵/和久井映見 於継/田中好子 華岡直道/石田太郎 於勝/中島ひろ子 小陸/小田茜 良庵/三上市朗 米次郎/久保山知洋 小弁/村崎真彩 妹背佐次郎兵衛/楠年明 民/和泉敬子

 細かい対話を積み重ね、淡々と進行するドラマは緻密で濃厚。今は現地でもあまり聞かれない古い言い回しが情感を添える。紀州で顕著な「男子の長子偏重」も的確に描写し、見る者を滅入らせるに至る運びは見事、美しい山河の情景がこれに肉をつける。


第1話  夫のいない婚礼  2005.1.21

 「名手本陣」の娘・加恵に来た縁談は格違いの筋から、しかし幼時より憧れていた於継さまからたってと望まれ、加恵は嫁いでゆく。肝心の夫は不在ながら暖かく迎えられて日々は過ぎ、ようやく雲平が遊学から帰ったそのとき、「姑」の態度が急変する。

ロケ地

  • 妹背付近の紀ノ川、不明。ロングと汀での絵がある。現地撮影は現在の紀ノ川では余計なものがいっぱい映るし護岸もアレだし無理っぽい。映像にある妹背山の「かたち」はよく似ている。クレジットにあった上石津町だとすれば牧田川水系か。
  • 華岡家、美山民家。幼い加恵が於継さま覗きにゆくくだりでは裏手に薬草畑をあしらい、雲平が帰ってくる場面などは南側の「表」に囲い等あしらい。
  • 加恵の実家・妹背家、明日香の西岡邸(元・KYOTO映画塾明日香分教場)

第2話  嫁と姑  2005.1.28

 はっきりと敵意をみせる於継、お産のため実家へ戻った加恵は母に不満をぶちまけるが、嫁と姑の関係は古今東西変わりなしと諭される。一方、雲平の実験はうまくゆかず、哀れな猫たちの墓標が徒に増えてゆく。

ロケ地

  • 華岡家、美山民家。妹背家、明日香の西岡邸。「紀ノ川」イメージも出てくる。

第3話  献身  2005.2.4

 於勝の発病と死ののち、ようやく動物実験は成功を見る。次の段階である人体への投与、ここで嫁と姑は火花を散らす。

ロケ地

  • 赤子を抱いて婚家へ戻る加恵、美山民家南側に囲いと「門」あしらい。
  • 於勝の野辺送り、美山町田畔。
  • 被験者となることを申し出る前、於勝の墓に参る於継、美山町か(小丘)
  • 服薬後、医者の母の鑑と弟子たちに称えられる於継にきつい視線を送る加恵、美山民家北側にしつらえた「薬草畑」。

第4話  悲しみをこえて  2005.2.18

 真に危険を伴う量を投与しての実験を引き受ける加恵、事実を知らぬ於継が「二度目」の己の結果に勝ち誇るのを見て北叟笑む。しかし小弁の死を経て、加恵から競う心は消えてゆく。

ロケ地

  • 華岡家、美山民家
  • 小弁が水死する紀ノ川、不明(クレジットに上石津町記載なし)
  • 小弁の野辺送り、美山町田畔。

第5話  別離  2005.2.25

 失明という大事にも関わらず加恵の体質などと言う母に、同じ薬を投与していない事実を告げてしまう雲平。その後折れ崩れるように弱り、遂に息を引き取る於継だが、時を同じくして跡取りとなる孫が産声をあげる。

ロケ地

  • 華岡家、美山民家(裏手の「曼荼羅華」満開の畑)
  • 急患が入った雲平の代わりに加恵を墓に連れてゆく於継、途中の道は山室堤。墓は不明(堤下の河原か)

*米次郎の求婚を断る小陸の逸話が出てきて、彼が故郷へ帰る際に加恵に語る華岡家像も心象に深く関わる。


第6話  永久の花々  2005.3.4

 占い師と同じく血筋の者は救えないと呟く青洲、その通りに小陸の病は彼の手に負えない。死にゆく義妹から加恵と於継の確執は見るに耐えなかったと聞かされ、加恵の心は千々に乱れる。しかし初の乳癌手術を成功させた青洲は、母の築いた礎を加恵が立派に育て上げたのだと、己を責める妻を掻き抱く。

ロケ地

  • 手をひかれ道をゆく加恵を見て誉めそやす野良の衆、不明(谷地田の畔)
  • 華岡家、美山民家(南側の「表」と裏手の「曼荼羅華」満開の畑)
  • 乳癌の母を駕籠に乗せやって来る利兵衛、山室堤
  • 「紀ノ川」、不明。
  • 青洲たちの墓、那賀町西野山の華岡家墓所内にある本物。

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