暴れん坊将軍 III  →暴れん坊将軍 III 表紙


100〜123話
惚れて深川 あゝ八千両/みちのく夫婦しぐれ!/復讐!鬼女の涙/この子どこの子め組の子/死闘!護持院ヶ原の果し状/涙を捨てたおんな坂/秩父 はたおり唄/誇り高き父!/愛しのわらべよ、荒海が泣く!/大岡越前罷免さる!?/開眼!涙の仇討/おんな武芸者の恋/吉宗まさかの刑場破り!/大江戸めおと花火/地獄へ道連れ!美女と将軍/無念を晴らした南蛮大魔術!/め組の半次郎純情す!/愛の漁火九十九里に消えて/流転笠、江戸のつむじ風!/紅い国から来た殺人者!/密名!江戸城を砲撃せよ!!/柔肌いのち、悲しき裏切り!/さよならの花かんざし!/吉宗しばし名残の大暴れ


第100話「惚れて深川 あゝ八千両

 新さんが知り合った気風のいい辰巳芸者・千代吉の弟が、借入金をチャラにしようとした町年寄の陰謀に巻き込まれる。早桶に入って埋められてまでして、自死を装い大金持ってズラかろうとした画策は、上方に出張の田之倉が探り出した情報から崩れる。
 ロケ地、酔った侍に啖呵を切る千代吉、くろ谷石段か(物置き過ぎ)。神田上水のイメージ、不明。じいが出張中の大坂イメージに大坂城(極楽橋から天守遠望)。北町奉行が千代吉の部屋にいた怪しげな侍について追求するのを愚痴る上様、姫路城二の丸下。深川界隈を千代吉と逍遥の新さん、上賀茂神社ならの小川畔。その後浅草(雑踏イメージは映画村で、その前に浅草寺イメージに村から見える広隆寺の大屋根がワンカット使われている)で遊んだあと、また会ってとしなだれかかる千代吉、渉渓園。庭番に行方不明の千代吉を探すよう命じる上様、姫路城はの門下坂
*今回「余の顔見忘れたか」「カーン」はなし、千代吉が新さんの正体を知るのはお城に招かれ褒美を下される段で。新さんにベタ惚れしていた辰巳芸者は、御前も憚らず「ひどい」と掻きくどくのだった。


スペシャル 「激闘!大阪城、吉宗に挑む豊臣一族!」  →暴れん坊将軍 IIIスペシャル


第101話「みちのく夫婦しぐれ!

 会津から家も身分も捨てて女郎を身請けし江戸へ来た侍、胸を病み死をさとり、妻子にせめて金を残そうと無頼に身を投じる。田之倉が殺し屋に襲撃された件からその夫婦に関わる新さん。頑なな侍の心は新さんの再三の説諭と妻子の命を助けられた事実に揺れ、足抜けを決意するが元締に返り討ちに遭ってしまう。上様は殺し屋を裏で操っていた目付以下の座敷に元締を放り込み、大暴れのすえ成敗。
 ロケ地、お糸が赤子を道連れに身投げしようとする、中ノ島橋(め組の衆と夜釣りの新さんが気付いて阻止、釣りは中州岸)。田之倉が襲撃される屋敷街、妙心寺大庫裏脇のクランク。神崎が賭場の用心棒と上様に報告の梢、相国寺方丈白州。赤子をあやしながら水際を歩くお糸、大覚寺放生池堤。新さんがお糸に神崎の置かれている状況を話し説得のシーンでは背後に護摩堂、足場組んで休憩中の大工あしらい。お糸が神崎を呼び出し殺し屋をやめるよう説得する、北野天満宮本殿裏手紅殻塀前〜東門付近。ラスト、じいと談笑の上様、相国寺方丈白州
*じい襲撃犯の一人に福ちゃん、頬っかむり。*才三、オカマからネタを貰う…馴染みの模様。


第102話「復讐!鬼女の涙

 部屋住みの無聊をかこつ旗本の若侍たちが、「戦ごっこ」の最中通りかかった呉服屋の手代を誤射してしまい、助けるどころかそのまま膾に刻んでしまうという暴挙に出る。その後出世の道がつき「ごっこ」もやめた四人組に、復讐の手が忍び寄る。
 ロケ地、酔って帰りの納戸組頭が鬼面の女に襲われる、大覚寺有栖川(斬られて河床に落下)。納戸組頭の葬儀が行われる市ヶ谷の寺、神光院中興堂。手代が惨殺される「戦ごっこ」の武蔵野の林、庭番の聞き込みのくだりは広沢池西岸農地、現場は酵素河川敷。京都町奉行に内定の旗本が祝宴から連れ出され船に乗せられる、大覚寺大沢池。その死体が上がる大川、嵐山公園中州舳先汀。
*復讐の主体は手代の女房、道楽者で出奔していた手代の父が蔭から協力という筋立て。幇間を装って近付く「父」は山田吾市、女房は一色彩子。


第103話「この子どこの子め組の子

 高家・赤松上総介の妾・おたきが日陰暮らしに倦み、乗り換えた先の両替商を乗っ取ろうと企む。もちろんバックにその高家の、吉良さまルックの殿様。まず義理の息子の両替商の旦那が甲州街道で襲われ失踪、次いでその妻子が襲われ、母は落命するが赤子は新さんに保護されめ組へ。身元を調べるなどするうち両替商を継いだ形のおたきの息子(連れ子で上総介の実子)が銭相場を高騰させている事実などが明らかに。また、失踪したと思われた両替商は生きていて江戸に帰りつき復讐しようとするが新さんが留め、前途洋々と高笑いの上総介たち三人を断罪。
 ロケ地、両替商・亀屋庄一郎が甲府からの帰り小仏峠で襲われる、保津峡落合崖道〜落下岩(墜落)。上様と忠相が襲われた母子の身元を忖度する江戸城の庭、枳殻邸印月池畔芝地。庄一郎が隠れ住む小屋、下鴨神社糺の森池跡に祠つきの小屋セット。赤松上総介邸、大覚寺大門。庄一郎を妻の墓に伴う新さん、化野念仏寺石仏群脇に木の卒塔婆。
*め組での赤ん坊いじりにかなりの時間が割かれ、父親に返す段では涙の別れ。


第104話「死闘!護持院ヶ原の果し状

 悪の巣窟だった本所奉行所は廃されたが、罷免された奉行・永井土佐守は未だ当時の岡っ引を使い隠然たる力を持ち、賭場は開くわ抜け荷を働くわのしたい放題、賭け試合なんかも興行するという始末で、自ら本所の闇奉行と嘯く。その配下だった同心・岡島は、抜け荷探索の際同僚と信頼していた岡っ引を死なせたことで職を辞し、家禄も返上し市井に暮らすが、岡っ引の遺児で養女にしたおけいの恋人・火盗改同心の中尾が、闇奉行絡みで深手負う事件が出来したのに我慢ならず介入、永井の使う柔術の達人の殺し屋と護持院ヶ原で死闘を繰り広げる。
 ロケ地、岡島のことを忠相に聞く上様、枳殻邸印月池の中島(池畔では庭番衆が鍛錬中)。中尾が本所の博打打ちを捕えようとして浪人に襲われているのを助ける新さん、大覚寺五社明神。おけいが中尾に父の仇の関係した事件のことを聞く、放生池堤。岡島が柔術の稽古しているところへ現れ事情聞く新さん、天神島聖天堂。おけいが参る父の墓、黒谷墓地。帰途おせいと中尾との事を話しながら降りる石段、金戒光明寺本堂前石段。護持院ヶ原、木津河原。乱闘は河原と流れ橋下。事後上様が賭け試合に潜入しヤラれた才三をからかうお城の庭、枳殻邸印月池(バックに侵雪橋と漱枕居)
*同心を襲う用心棒、ラス立ちと登場の福ちゃん、岡島の道場にもいて笑える。


第105話「涙を捨てたおんな坂

 商いは戦いと女を捨てて辰見屋を切り回すおれん、養女ながら才を見込まれ先代から店を託され日々を送るが、その実女に戻りたいと泣きが入る。知り合った新さんに心傾き先代の息子に店を返上する心算でいるが、当の伊太郎は修行先を飛び出し博打三昧のうえイカサマを見咎められ頓死。
おれんはじめ商家に智恵をつけ法の網を逃れさせ、私腹を肥やしていた奥祐筆仕置役の松波修理、所業バレて罷免。そこへ狙っていたおれんが新さんと街を歩いているのを見て激怒、刺客を送るが陰で見ていて上様と知り、減封され吉宗を恨んでいる美濃関山藩の留守居役を焚き付け密殺を計画。おれんを脅して新さん誘き出しを図るが、不調に終わり上様に乗り込まれる仕儀となる。
 ロケ地、南町奉行所、大覚寺明智門。おれんが参る先代の墓、金戒光明寺(三門、石段、墓地、放生池、東坂)。辰巳屋別業・松風庵、中山邸(通用門・参道)。屋形船で芸妓遊びの松波のところに使いにゆく辰巳屋の番頭、広沢池東岸。新さんとおれんが連れ立って行くのを松波が船から目撃、中ノ島橋(嵐山をバックの夜景)。美濃関山藩下屋敷、大覚寺大門。事後、上様が紬PRの踊り子たちと問屋仲間(おれん含む。新さんを上様と確認)を謁見のお城の庭は大覚寺五大堂前白州に舞台をセット(石檀の上)
*恋に身を灼く小沢象が見られる貴重な一作。一回遠目にデート目撃しただけで即刺客を送るという短絡が傑作。*伊太郎の行く賭場の中盆に福ちゃん、肩のアップあり。ラス立ちには関山藩士で登場、才三にも斬られる。


第106話「秩父 はたおり唄

 領民たちから絹織物の上がりを掠め私腹を肥やす秩父代官とその一派、江戸へ直訴に来た娘から新さんの知るところとなり、現地乗り込みの末叩きのめされる。悪代官に菅貫、喚問の際のねっとりした応答や、ラス立ちの際の捨て台詞などやはり一味違う。
 ロケ地、江戸へ直訴に来てひもじさに餅を盗み追われる娘・おりえを救う新さん、松尾大社(楼門と境内、このあとおりえの事で新さんを襲撃するヤクザのくだりは摂社前)。直訴にゆく祖父が斬られるのを目の当たりにし言葉を失ってしまうおりえ、谷山林道分岐道切り通し(江戸へ向かうおりえ、秩父へ向かう新さんなどの山道も同所)。以後の街道筋も谷山林道各所。追われめ組を飛び出したおりえを新さんが見つける、大沢池北西畔。代官の手先が来て連れてゆく(新さんの刀をおりえが止めて自ら従う)、放生池堤。秩父の織子たちがあまりの現状を嘆く水辺、罧原堤下汀。ラスト、新さんが馬で疾走する街道、木津堤
*辰五郎も小頭も不在の折火薬庫近くで発生した火事に纏持って屋根の上の新さん、これをじいに咎められ親父ギャグかまして誤魔化すなど妙な見せ場が。


第107話「誇り高き父!

 主人を諫止した律儀の用人は理不尽にも罪を着せられ成敗され、その妻子は恥じて生きてきた。その妻が五年後偶然夫の同僚が公儀目付を暗殺するのを目撃したことから事態は急転、先の悪行も現在進行中の悪事も上様の知るところとなり、一味の御数寄屋坊主も唐物屋もまとめて成敗される。
 成敗された用人の妻・雪江が不忠の士として夫を恥じ子に父は徳田新之助と偽っていて、新さんの隠し子としてめ組に現れるが、経緯を誤魔化したり子と遊んでやる新さんがお茶目。ラス立ちの際散々悪事に利用してきた家宣公より拝領の葵紋入りの羽織を盾に許しを乞う御数寄屋坊主から才三が鉤で引っ掛けてひっぺがすシーンが笑える。
 ロケ地、元御数寄屋坊主・桂田桂舟邸、妙心寺大心院(門越しに内部)。旗本五千石・青山玄蕃邸、大覚寺大門。越後村上・内藤豊前守邸、現在は涅槃堂入口となっている妙心寺大方丈門。新太郎と遊んでやる新さん、木津河原。雪江に事情を聞く、流れ橋下。


第108話「愛しのわらべよ、荒海が泣く!

 刻印の無い金が抜け荷の唐人船から見つかり、佐渡金山奉行が怪しいと自ら調査に乗り出す上様。越後・寺泊で薄幸の少女と知り合うが、大火で親を亡くした子らを養育するその娘に不幸の雨あられ。病は死病、13歳の時娘を売った父が出てくるが、金山奉行と結託して悪事を働く商人に成り果てていたりとてんこ盛り。しかもその父を脅すため奉行に拉致され痛めつけられ、挙句目の前で父が斬殺されるという上乗せが。
 ロケ地、寺泊の浜、間人海岸。浜のシーンには琵琶湖西岸松原も。上様も田之倉も忠相もめ組の女たちもゆく中山道、谷山林道各所。猫まで拾うおつるに食べ物を持ってやってくる新さん、大覚寺天神島。おつるの父だった長門屋を責める新さん、愛宕念仏寺石仏群。
*金山奉行は亀石征一郎、悪行の果て上様に「貴様のような奴は地獄へ落ちるがよい!」と峰を返してマジ斬りされる(丁寧に三回)。金ぴか衣装も見もの。*べたべたの悲話の締めくくりは上様の涙、瀕死のおつるを背負って海辺をゆく。


第109話「大岡越前罷免さる!?

 田之倉のじいが襲撃され、仕留めた浪人者から出入りの料理屋が判明、店に入り込み張る南町。生証人の女将・おらんが狙われ同心が負傷したことから、忠相自身が町人に身をやつし張り込む一幕も。襲撃は資格を剥奪された札差・板倉屋の手先で、裏に勘定奉行。そのうち現役の札差を始末して後釜に座ろうとの作戦にスイッチする一味、女将の息子で船頭の幸助の船が殺しに使われ、客を死なせたことと若年なことが咎め立てされ管轄の忠相の責任問題に発展、詰め寄る勘定奉行の言を容れ忠相を罷免する上様。実は忠相の行動を助けるための策、してやったりと笑うワルの座敷に乱入する忠相、腕に手裏剣受け危地に陥るところに庭番従え上様が将軍のなりで現れて大暴れ。
 ロケ地、弓の稽古しながらじいの見舞いを庭番に頼む上様、枳殻邸芝地に幔幕あしらい。田之倉のじいが屋敷を抜け出したところで襲撃される、妙心寺福寿院への路地。幸助が船頭をつとめる大川の渡し、木津川流れ橋付近。おらんと張り込み中の南町同心が襲撃される浅草付近、妙心寺東海庵脇路地〜玉鳳院前路地。板倉屋と勘定奉行が密談の屋形船、広沢池東岸(夜)。ラスト、トリオ逍遥の庭は枳殻邸印月池畔。
*ラス立ち後忠相を労う上様、しかし「俺は時々無茶をするが」は違うだろ毎日じゃないか。


第110話「開眼!涙の仇討

 若年寄と結託し福祉のための運上金と称し民衆から金を絞り私腹を肥やす雲居検校、実は目明きで検校の位貰いに行く者から金を奪ってまんまと検校になったという、どこかで聞いたような設定。
金を奪われ親を殺された盲の青年と関わりあい不正を暴き仇を討たせてやる上様、お葉ちゃんの執刀する白内障の手術と財政逼迫で検校から金借りて困ってる小藩のエピ入り。手術に要るハシリドコロの件でカピタン文書の「ミャー」を推理する上様、「ミャー…みや?」の台詞が可愛い…がよく考えるとこじつけがましいことしきり。そのほか運上金をボヤくおさいが「馬鹿将軍」と発言し同意求めるのに妙な裏声の一幕も。
 ロケ地、徳市の父が金を奪われ殺される宇津ノ谷峠、谷山林道。若年寄・久世出羽守邸、大覚寺明智門。雲井検校邸、相国寺林光院。青井大炊頭邸、相国寺大光明寺(門、石庭)。馬場で馬を駆る上様のところへ庭番がハシリドコロ持って来る、下鴨神社糺の森馬場


第111話「おんな武芸者の恋

 常陸上妻藩のお家騒動、後嗣の若君の命が狙われ警護には別式女たちが当たる。たまたま若君が拉致されかけたところを助けた新さんは頼りにされ用心棒に駆り出されるが、別式女の組頭・堅物の水沢りくに惚れられてしまい振り回される。最後は黒幕の江戸家老のところでラス立ちの際上様とわかり、りくの悲恋に終わる。
 ロケ地、上妻藩上屋敷、大覚寺大門。上屋敷の庭、相国寺大光明寺石庭(後段上様がお忍びで訪ねる際の野点もここ、前庭も使用)。江戸城の庭、彦根城玄宮園。庭番の報告を受ける上様は池の橋上。水沢家を訪ねた帰り、りくと話しながら歩く上様、下鴨神社糺の森泉川畔。若君をよそに隠すことになり上屋敷から出る駕籠、参道を行くが怪しの浪人が御殿川の中に潜み窺う。参道橋下で駕籠を見るシーンも。若君が匿われる小石川養生所の離れ、大覚寺望雲亭。新さんが別式女たちに稽古をつける、大覚寺天神島。新さんへの思いに苦しむりくが佇む水辺、大沢池船着(小)。若君を襲った内通者を仕留めるりく、大沢池堤


第112話「吉宗まさかの刑場破り!

 呉服問屋・京丸屋の主人殺害で死罪と決まった後妻。刑場で裁き違いと叫ぶ尼僧に加え、同行した山田朝右衛門が経験上あれは無実というのを受け上様は刑吏を蹴散らし磔台から女を奪取するという荒技に出る。その後調べるうち捜査担当の役人も訝しんでいたことが知れる。
真相は大奥御用を取って代わろうとしたライバルが留守居役と組んでの仕込み、京丸屋の娘を誑し込みうまうまと殺害に及んだもので、後妻・おとよは生さぬ仲の娘の犯行と思い込んで庇ったのだった。事が漏れるのを恐れたワル一同が娘を消そうとした場に乗り込むおとよ、続いて新さんや朝右衛門も乱入、成敗。
 ロケ地、刑場へ引かれるおとよに名残の茶を振る舞う妙世尼、酵素ダート。小塚原刑場、酵素河川敷。お城の坂を怒りながら降りてくる田之倉、池上と行き会い刑場破りの話をする、姫路城はの門下坂。庭番に調査を命じる上様、姫路城水三門付近か。おとよの息子が苛められ石を投げられ川に落ちる、中ノ島橋。九段坂の妙世尼の寺、勝持寺(参道、庫裏、本堂等各所)
*ラス立ち前、上様に続いて乱入の朝右衛門「拙者極悪人を見たら無性に斬りたくなる山田朝右衛門」と呟きいきなり抜くのが傑作。ラス立ちには用心棒ルックの福本先生もいて上様に叩きのめされる。


第113話「大江戸めおと花火

 爆発事故起こし遠島になっていた花火職人の清吉が帰還、その身に忍び寄る魔手。事故そのものが仕込みで、三年がかりで陰謀を巡らせ清吉に上様暗殺の爆薬を作らせようとの企みがなされていた。妻をタテに脅され爆薬を作らされる清吉、しかし彼が作った本番用のそれは、どーんと上がる花火だった。
 ロケ地、元側用人・占部と湊屋が物騒な相談をする坂、知恩院黒門道。島帰りの御赦免船が着く浜、広沢池東岸。帰還した清吉が迎えに出た叔父・湊屋とゆく川辺、上賀茂神社ならの小川。妻・お邦の墓、二尊院か。占部邸、大覚寺大門。お邦の櫛を餌に誘い出される清吉、大覚寺天神島。お城の庭で田之倉にただの花火作りではないと話す上様、大覚寺宸殿前白州。清吉が監禁される湊屋の寮、中山邸通用門。湊屋の件を報告の庭番、大覚寺護摩堂前。爆弾の実験、酵素(上様が出てきてラス立ち移行、川の中で大立ち回り)
*ラス立ち福ちゃん入り、占部の家来。


第114話「地獄へ道連れ!美女と将軍

 上様大ピンチ、福ちゃんと小峰氏が正義の味方(?)の一作。
 田之倉のじいの還暦祝いの席が設けられた料亭で老中暗殺の密談を聞いてしまう新さん、しっかりマークされ放火犯として火盗改にとっ捕まりきっつい責め問いされちゃったりする。ワルの黒幕と通じる火盗長官は忠相の求めにも応じず、新さんを亡き者にと謀る。この危機を救ったのは盗みの際ドジを踏んで入牢していた娘・お吉だった。手鎖されたまま逃亡の二人は深川無法河岸に逃げ込み、お吉のヤサに匿われる。吹き矢の毒にあたってひっくり返ってる新さんがなかなか可愛い。
 ロケ地、老中・本田山城守が暗殺される法要の寺、大覚寺むらさめの廊。牢を逃げ出した新さんとお吉が火盗改の人数に囲まれ危機一髪、下鴨神社糺の森池跡。舟で大川に逃れる二人、広沢池東岸。お吉を伴うお城の庭、彦根城玄宮園。事後、お祓いを受けにゆく新さんとめ組の面々、お吉が役人に追われ新さんに縋る、梅宮大社(本殿、舞殿、神苑門、楼門)
*お吉は暴将お馴染の東啓子、今回も天然系。子分の二人が傑作の鬼殺しと海坊主、前者は小峰隆司で兄貴分、後者はヅラ無しパンチパーマ地毛の福ちゃん。撃たれてのけぞるのもなかなか見もの。


第115話「無念を晴らした南蛮大魔術!

 江戸で評判をとる南蛮マジック一座、花形はチャイナドレスに身を包んだ美女・お若。彼女は長崎の富商・肥前屋のお嬢様だったが陰謀に陥ち父母は切支丹として磔刑になっていた。お若は近頃江戸を騒がす賊が翡翠の香炉を狙っていると聞き、夜の町に出て手代をしていた小太郎がその賊であることを知る。これがもとで彼女は父母を陥れたワルたちに見つかり捕われてしまうが、彼女を慕う一座の若者と新さんの働きでメデタシ。
 ロケ地、助けた小太郎に事情を聞く新さん、松尾大社本殿前。座の若者・清吉が潜んで話を聞いているのは摂社。新さんに声をかけられ逃げ出した清吉が佇む水辺は梅宮大社神苑。上様が報告を受ける池畔とラストの鯉に餌やりの橋は枳殻邸。旅立つお若と小太郎、嵐山自転車道
*マジック一座に宗門改めと乗り込んでくる捕り方の一人に福本先生、進み出て弁護しようとする田之倉の背後にアップで登場。お若の回想の、肥前屋への手入れにもいる。


第116話「め組の半次郎純情す!

 芝居に夢中で藩政を蔑ろにし江戸家老に任せきりの焼津の殿様、その遊興費と家老の私する費えで国元は困窮。江戸家老を悪の根源と立ち上がる有志の若侍たち、しかし次々と家老の手先に倒される。ここに一計を案じ女敵討ちを装い藩邸に入り家老を暗殺しようと企てる夫婦あり、たまたま焼津に出張の半次郎が芝居の駆け落ち相手に選ばれてしまう。舞い上がり、その後事実を知った小頭の懊悩が描かれる。もちろん新さんは介入しまくり、芝居が露見して藩邸で殺されかかる夫婦の危機を救い悪家老を成敗、馬鹿殿は隠居。
 ロケ地、お城のシーンばかり、全て姫路城を使用。田之倉が焼津藩主に行跡を糺しに行っての報告受ける上様、ぬの門。焼津の内紛は明白と忠相が報告、ろの門(内側)。ラスト騎馬の上様がゆく道、水路状の一件、不明。
*ラス立ちには上様が助太刀って割って入ってなし崩しに突入、名乗りも「カーン」も「うっ上様?」も無いなと思ってると殺陣の最中に刀の三つ葉葵が大映しになり「カーン」。でもあの太刀筋の迅さでは見えないと思う…。


第117話「愛の漁火九十九里に消えて

 津波の災禍に遭い江戸へ出て来た恋人達、しかし三年の間に女の心は変わってしまった。捨てられ荒む男は周囲の助けで立ち直るが、その矢先男を利用しようとした女がヨリを戻しに来る。女は勝浦藩主の弟の情婦になっており、男の銛で殿様を殺害させる計画、しかし新さんの説得で実行直前にとどめに走る女、しかし藩主の弟の凶刃に倒れる。
 ロケ地、江戸へ出て一年目の花火の夜、デートの卯之吉とおしま、広沢池東岸。卯之吉が過ってゴロツキを刺してしまう水辺、上賀茂神社ならの小川。おしまには何か企みがと新さんに報告する才三、松尾大社摂社前。おしまが卯之吉に殿様に言い寄られて難儀していると話す、松尾大社本殿前。勝浦藩主の弟がすぐ上の兄を謀殺したことを上様に報告する梢、枳殻邸傍花閣。おしまを呼び出し諭す新さん、梅宮大社神苑。事件を述懐の上様、枳殻邸印月池畔。


第118話「流転笠、江戸のつむじ風!

 北島三郎二役の珍しい回。役は旅人で、道中姿に演歌つき。
 関東郡代と結託した生糸問屋が上州七ヶ村の繭玉を買い叩き、難渋した民の代表は江戸へ直訴に。しかし江戸でも妨害あまた、名主は消されてしまう。また、先に名主一味として陰謀に陥ち佐渡送りとなった藤次も赦免後江戸へ向かうが同じ一味の手にかかる。その死を藤次の妹宅で看取った新さんは郡代たちが更なる悪企みをぶつ席に乱入。
 ロケ地、半次郎たちが高崎の火消しへ届ける祝金を盗られる熊谷宿付近の中山道、清滝川谷山林道。これを取り返してくれる旅人、道中姿は嵐山自転車道谷山林道酵素。北島三郎の「破れ合羽の云々」の演歌がバックに。名主殺しの猪吉のことを新さんに報告の庭番、大覚寺天神島。藤次の回想、繭の抜け売りをした百姓が連行される道、谷山林道。事後上州へ帰る藤次の妹一家の見送り、放生池堤


第119話「紅い国から来た殺人者!

 掟を破り恋を貫いた元紀州の庭番の女、失踪した亭主を探し出羽から出てきて大江藩の紅花を巡る疑獄の真っ只中へ入り込む。これを巡るコロシにお葉まで巻き込まれて大騒動。亭主は既にワルに消されていたが、上様は女に仇を討たせてやる。
 ロケ地、南町奉行所、大覚寺明智門。亭主と駆け落ちしたという女のことを聞き込む元庭番・八重、長屋の大工に事情聞く、上賀茂神社ならの小川。最上屋寮、中山邸通用門。八重への疑惑についてじいに語る上様、茶室不明。最上屋を尾けていて用心棒に囲まれる八重、下鴨神社糺の森池跡。梢が現れ助けるが八重は身構え梢と刃を交える、二尊院紅葉の馬場(八重の回想、国脱けの道不明)。疑惑の商人・最上屋について庭番の報告を受ける上様、二尊院墓地。ラスト八重を見送る上様、堤道不明。


第120話「密名!江戸城を砲撃せよ!!

 尾張がバックについた黒田の家臣が、事もあろうに江戸城を砲撃して上様を亡き者にせんとの陰謀をめぐらす。これを知った福岡藩の軽輩は命がけで目安箱に訴状を出す。この侍と約束をしていた新さんは遅刻して会えなかったことを気に病み、単身謀略の巣に乗り込む。この際朝右衛門も同行、その侍の娘も関わってくる。最後は譜代大名総登城の日を狙って大筒をセットし撃とうとする直前に乗り込み、ワルをひっくるめて成敗。
ねちねちと田之倉や忠相をなぶりにくる尾張の江戸家老(江見俊太郎)とのやりとりも傑作。
 ロケ地、黒田の徒歩侍・井戸重兵衛が評定所前の目安箱に訴状を入れに来るシーン、大覚寺大門(勅使門橋や付近の林、参道も使用)。井戸の娘に当たった結果報告を才三にツナぐ梢、五社明神祠。井戸と新さんが約した汐留橋、中ノ島橋。夜、大筒を運び込む黒田の砲術家・火野、大沢池船着。大筒の試し撃ちの目黒村、どっかの砕石場か。江戸城を狙う大筒がセットされる麻布台の荒れ寺・万永寺、勝持寺(参道石段、東門、本堂下)
*福岡藩の侍と、市中で新さんに絡むゴロツキの一人、2タイプの福ちゃん。


第121話「柔肌いのち、悲しき裏切り!

 怪我が元で不治の病を抱える近江屋、痛み止めに使う阿片を入手するため健気な後添えは己が身を阿片窟の黒幕である旗本・土屋主膳に投げ出す。その事実を知った近江屋は阿片を拒否し自死を選び、残されたお京は財を勘当された義理の息子に渡すべく探す途中、事の露見を恐れた土屋に斬られてしまう。哀れな女の死を看取った新さんは土屋のもとに乗り込み、阿片を横流ししていた典医と共に成敗。
 ロケ地、阿片に酔った旗本が溺死体で発見される、罧原堤下汀(河原に菜の花満開)。玄石とお葉に近江屋の容態を聞く新さん、梅宮大社舞殿脇に茶店セット。屋形船で武士の相手をするお京、広沢池か。その武士が御納戸頭と報告を受ける上様、池泉不明。お京が参る近江屋の墓、二尊院墓地。その前に新さんが庭番の報告受けるのは二尊院湛空上人廟。勘当息子を探す途中無体を働かれそうになったお京が泣き崩れる川辺、下鴨神社泉川。土屋別邸の阿片窟、中山邸(門)
*お京を助けて女の敵をぶちのめす梢、ばりーんと戸を破って乱入、どつきまくりが傑作。


第122話「さよならの花かんざし!

 信州・相良藩の若君が夭折、出生時双子であったため隠してよそへ出されたもう一人の若君を急遽迎えることに。その者さえいなければ自分が後継と狙う藩主の弟、農夫の子として育ったその子は父を殺され姉と共に江戸へ。新さんに拾われた子らはめ組で過ごすが、弟の出自を知った姉は幼いながら行く末を思い心を鬼にして弟を邪険に扱い藩邸へやる。国元へ下向途中藩主の弟が人数仕立てて襲うが上様が付けてやった朝右衛門と庭番が防ぎ、上様自身乗り出して成敗。このあと上様は姉の心情を思いやり八王子村へ帰してやる(病がちの相良藩主には「健康になれ」と使いをやる…)
 ロケ地、お城の庭で相良藩の若君夭折のことを田之倉と話す上様、大覚寺宸殿前白州。麹町平河町へ来てみたおゆうが侍たちに襲われる、妙心寺方丈門(侍が出てくるのは法堂北の渡廊から)。追われて危機に陥るおゆうを助ける山田朝右衛門、広沢池北岸。め組に保護されたおゆうが三吉に握り飯を持ってゆく途中庭番に目撃される路地、建仁寺久昌院と禅居庵間の路地・クランク前。おゆうが三吉に握り飯を食わせる、勝持寺茶室下石段。二人を襲う侍たちを追い払う新さん、勝持寺鐘楼前。藩主の弟とグルの奈良屋の寮、中山邸通用門。妙光尼を谷中・禅谷寺に訪ねるおゆう、勝持寺参道石段。弟を突き放すおゆう、大覚寺五社明神。相良藩邸、妙心寺聖澤院。「若君」三吉が国表へ出立する駕籠がゆく路地、妙心寺大庫裏脇路地。ワルが正体を現し「若君」を襲う街道筋、酵素河川敷。二人を八王子へ送ってゆく朝右衛門を見送る新さん、不明(山道)


第123話(終)吉宗しばし名残の大暴れ

 吉宗を害し綱吉公の落胤と称する自分の子を後に据えようと画策の若年寄、まず毒見役を殺り息子に継がせ、これを操り毒を盛らせるという手の込んだ企みを仕掛ける。しかし新さんの真情を見た毒見役の息子は言いなりにならず悪企みは潰えるという、わりにシンプルな話だが毒見役一家のエピソードてんこ盛りで進んでゆく。
 ロケ地、冒頭庭で剣のお稽古上様、大覚寺宸殿前白州(ラストも同所)。阿川の用人が小淵を問いただし斬られる、建仁寺三門。半次郎らが見たぞと追うも浪人に邪魔される、放生池石橋。阿川監物の墓に参る息子・市太郎と恋人の芸者・染香が浪人たちに襲撃される、化野念仏寺石仏群脇。拉致された染香が阿片漬けにされる小淵の寓居・谷中の夕佳庵、大覚寺望雲亭
*毒見役・阿川監物にも見破られなかった鰻っつうのが、阿川に破門された男が砒素を投与して三年育てたものなんていう話も出てくる。この男は山内としおだし。いよいよ毒を盛られる段になった上様の、小芋食って「うぐぅ」のお芝居は爆笑もの。また、上様毒殺が成功したと思い込んでる小淵源太郎が市太郎にしびれ薬を盛られるくだりも、毒団子とか食わせた教育がちゃんと身についてるへんが妙におかしい。エンディングの後には松平健の挨拶までついている。


→暴れん坊将軍 III 表紙

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