ひばりの森の石松

沢島忠監督作品  1960.3.29東映


 次郎長の身内にしてもらった石松だが、しくじりを埋めようと張り切って喧嘩沙汰。ほとぼりをさますため代参に出されるが、お家騒動に巻き込まれた幼い姫様を保護する羽目に。気のいい相棒ができて助け手となり、迫り来る悪党を防いだ石松は迎えに出た藩士に姫様を託し、生まれて初めてちぐはぐでないいい事をしたと笑う。

ロケ地
・茶摘娘たちが働く茶畑、不明(背後に大きく富士、合成か否か判別できず/静岡撮りかも)
・海辺で亀とお話の石松、不明(礫の大きさや波からするとマジ海)
・石松のお説教から逃げた豚松とお弓がいちゃつく桟橋、琵琶湖西岸(右手に河口州、対岸に三上山)。石松がやって来て三人とも水落ち。
・自分のせいで逃がした仙右衛門の父の仇・小五郎を捜す石松のくだり、走る侍たちをとどめてものを尋ねる土手は大覚寺大沢池堤。侍たちが駆け去ったあと石松に声をかける豚松、大沢池堤下の畑地。二人して寝転がるのは堤法面、ここで姫様が落とした草履が石松の顔に当たる。堤法面には木で作ったステップがついている。
・小五郎が甲州武居のドモ安のところにいると三次に聞いた石松が走る街道、木津堤
・ドモ安の賭場が立つ秋葉権現、不明(水場のような屋形が見えるほか奥に大きめの甍。清水一家が駆けつける参道には赤山禅院に似た石積み。立ち回りの杉林はセット)
・代参のため街道をゆく石松、清水から一里の道は琵琶湖岸・岬際の道。姫様が襲われているのに遭遇する街道は北嵯峨農地・竹林際、家老に姫を託され隠れるのは農道際の積み藁。
・三次が消えて文無しになった石松が腹を減らして姫様とゆく道、木津堤
・四国へ向かう船、琵琶湖。船上の絵はセット撮り(江戸っ子だってね・寿司食いねぇのアレが入っているが戻り船に非ず)
・藩士を連れて石松のもとへ急ぐ三次、琵琶湖岸・岬際の道(先に出た清水近くの道と同じ)
・姫を藩士に託したあと刀を金刀比羅宮に納めにゆく石松、豊国廟石段(大量の参拝者と幟あしらい)

 石松は美空ひばり、単細胞で猪突猛進の彼を、清水一家皆して可愛がるほのぼのが楽しい。ひばりは朋輩に物語をする茶摘娘・お君と二役で、金毘羅代参を終えた時点でお話を止め、「悲劇」は描かれない。清水一家は次郎長が若山富三郎、大政は加賀邦夫、小政は長島隆一、増川の仙右衛門は尾上鯉之助、豚松は花房錦一。掏摸の三次は里見浩太郎、彼の隙を窺い石松の胴巻を盗る稲妻のおとしは松風利栄子。仙右衛門の父の仇・神沢の小五郎は徳大寺伸、武居のドモ安は阿部九洲男。ドモ安と清水一家の喧嘩を仲裁する大和田の友造と津向の文吉は高松錦之助と中村時之介。丸亀藩の姫様は植木千恵、姫を護る家老のじいは大河内伝次郎。お家乗っ取りを企み姫を狙う悪党の首魁は沢村宗之助、一味に吉田義夫。


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