かげろう絵図

衣笠貞之助監督作品 原作/松本清張 1959.9.27大映


 将軍職を退いたのちも大御所として君臨する家斉、そのため政道は歪み奥向きの風紀も紊乱。しかし「黙っていられない」有意の士は存在し、道を正そうと行動する。

 映画は大御所最晩年の一節を描く。家斉の愛妾の父として権勢を縦にするフィクサー・中野石翁は、家慶の後嗣に己の係累を据えようとはかるが、将軍派の送り込んだ可憐な密偵の働きで悪謀は阻止される。

ロケ地

  • 冒頭、ドラマの時代を語るくだりに映し出される「江戸城」、姫路城菱の門(塀際から見上げ)
  • お多喜の方が踏み台から落ちた花見の会、勧修寺。池越しに書院を望む図や、お多喜の方が書を結ぶ芝地の枝垂桜のほか、観音堂の階も映り込む。書院前には幔幕張り巡らせ。
  • 飯倉片町の島田又左衛門邸、不明。大寺の塔頭か、塀と石畳が見える。ここを見張る町方のくだりでは、塀越しに法堂様の伽藍がのぞく。
  • 石翁邸裏門、不明。下鴨の河合社裏手に似るが、続きに坂道があるほか塀越しの建物も異なる(造りは神社)
  • ドラマが終了しエンドマーク直前、大御所危篤の報を受け続々と登城する大名方がくぐる門、姫路城ぬの門

*志願して大奥へ潜入する登美は山本富士子、富本の師匠である姉と二役。彼女を遣わす有意の士は黒川弥太郎、その甥で師匠の愛人なのが市川雷蔵。師匠宅の隣人で事件に巻き込まれる蘭医は志村喬、彼が懐妊を診立てた中臈は阿井美千子で孕ませた愛人の腹黒侍は須賀不二男。石翁は滝沢修、養女のお美代の方は木暮実千代。


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