刺客請負人
2008年テレビ東京/松竹、第二シリーズ

キャスト
松葉刑部/村上弘明
白首お六/小沢真珠
いかずち才助/斎藤歩
徳松/柄本明
お静/中山忍
岩切伊十郎/山田純大
闇猫のお吉/若村麻由美
道八/本田博太郎
長居伊賀守/大出俊
藤次郎/綿引勝彦
嘉助/米倉斉加年


第1話 「孤臣、再び」 2008.7.18  (スペシャル拡大枠)

 思わず助けた若侍はなつかしい姫様の婿がねという奇縁、それにより嫌っていた武家の争いに身を投じる刑部、同時に闇の世界との関わりも再開するのだった。

金戒光明寺方丈

ロケ地

  • 刑部が営業の上野広小路、仁和寺茶所前参道石畳。塔、中門や二王門も映り込み。
  • 岩戸屋の蔵を襲うべく走る闇法師の一団、松本酒造前堤。水面は合成部分も。
  • お静の父の墓に参る刑部、鐘楼は常寂光寺、墓地は不明(無縁集合墓前に卒塔婆)
  • 墓参帰りの刑部に接触してくる徳松たち、大覚寺大沢池木戸(ここでお静と別れ)。右京介を助けたことで仕事を邪魔したとねちねち嫌味を言われるのは護摩堂縁先。誘いを断わり去りかける刑部は放生池堤
  • 山科右京介の屋敷、妙心寺蟠桃院
  • 前江戸家老・喜左衛門の墓に参る刑部、金戒光明寺墓地。右京介と帰る坂は極楽橋脇。導かれる、姫が待っている庫裏は方丈(縁先と前庭を使用)
  • 現江戸家老・桑山が刑部に相談を持ちかける屋形船、広沢池東岸
  • 因幡・吉松城、勝竜寺城公園入口付近(役者入らず)
  • 吉松藩江戸屋敷、随心院薬医門。藩邸の一室で右京介と碁を打つ姫は不明(縁先)
  • 徳松に事情を話しての帰りに闇猫のお吉を見かけるくだり、八幡掘白雲橋たもと灯篭脇ににお吉がいて刑部は橋下の堀端。
  • 若年寄・長居伊賀守が吉松藩留守居役を呼びつける船宿、イメージに錦水亭東屋。
  • 道場を出てくる右京介、随心院長屋門。帰途襲撃されるのは上賀茂神社神事橋〜ならの小川畔、刑部が飛んできて介入。
  • 北町奉行所、大覚寺明智門
  • 刑部に手を引けと告げに来るお吉、八幡掘明治橋下(お吉は船)。このくだりに挿入される夕陽イメージは沖ノ島か(対岸から遠望?南端のくびれ部分か)
  • 長居伊賀守邸、妙心寺天祥院。座敷は不明(縁越しに菖蒲咲く池泉、庫裏壁面映り込み)
  • 姫を巡礼に化けさせ藩邸から連れ出す道、不明(川堤か)。保護する寺は常寂光寺仁王門。その寺で右京介と庭を眺める姫は黒谷方丈の紫雲の庭か。
  • お吉の名で呼び出され才蔵とやりあう刑部、大覚寺五社明神
  • 姫が戻り留守居役らを断罪する藩邸の座敷、随心院書院。別れを告げ去る刑部を呼びとめる姫、大玄関
  • 刑部を襲う才蔵、大覚寺境内か。

*菊姫は小林涼子、右京介は篠田光亮、江戸家老は石田太郎、殿様は立川三貴。吉松藩天領化を目論み陰謀を巡らす若年寄は大出俊。


第2話 「大奥からの刺客」 2008.7.26(テレビ大阪にて視聴の日にち)

 美童ばかりを狙う辻斬り、その動機には哀れな身の上。狙われる少年を護る刑部と、壊れたキルマシーンを救いたいお吉の思惑が錯綜し、闇の世界での落し所が決まる。

梅宮大社神苑

ロケ地

  • 寺子屋帰りの少年が、用心棒付きにも関わらず殺される林、下鴨神社池跡。導入は河合社裏手塀際で、池跡の木の傍らに祠あしらい。原作設定は親父橋たもと。
  • 姫との別れに燻る刑部が寝転ぶ河原に徳松のツナギを持ってくるお六、大堰川河川敷か(河畔林は竹)
  • お吉に接触する道八、梅宮大社神苑(入口門神苑側、咲耶池切石橋)。トマトむしゃ食い。
  • 代参の寛永寺から「引出物」を持って帰途につく霧島の行列、大覚寺参道石橋
  • 大奥のシーンに先行するお城イメージ、姫路城天守
  • 事後、仕儀を徳松にぼやかれる刑部、大覚寺大沢池北辺並木

*辻斬りの設定は原作とは大幅に変更されていて、柳沢を虜にするトランスセクシュアルは出ず、闇法師仕込みの暗殺者の「美童」は猫の姐さんの意向で彼女の配下となる運び、同時に道八も「鈴」として参加する模様。また、刑部が護る少年の設定にも積み上げがありドラマが紡がれる。
*雀は河野朝哉、彼が母を仮託した大奥御年寄・霧島はかとうかず子。鍵屋の跡取りの美童は染谷将太。
*原作は「源氏斬り」、源氏は美童の意。


第3話 「妻の武士道」 2008.8.1

 病に苦しむ浪人から妻女を奪った悪徳医者が的、刑部は夫婦の境遇に甚く心を寄せる。岩切同心がまわりをうろつくほか、闇法師一味が医者の用心棒をしている加減でお吉も一枚噛んでくる。

龍潭寺

ロケ地

  • 徳松が良玄からの仕事の話をする船着場、沢ノ池東岸。
  • 医師・小寺良玄宅、龍潭寺山門。
  • 中沢浪人の死後、刑部に経緯を話す元妻女・琴枝、上賀茂神社ならの小川畔。
  • 闇猫のアジトへ新見を伴いやって来る道八、雀が降ってくる竹林はわらびの里か。
  • 琴枝の供として良玄宅へ入る刑部たち、龍潭寺山門。用心棒たちと斬り結ぶ林は参道山側の崖地、新見との立ち回りおよび良玄の髷切りは参道。
  • 良玄と琴枝を姦通者として晒す老中・堀図書頭邸門前、大覚寺大門

*琴枝は佐藤藍子、夫の中沢弥一兵衛は神保悟志。良玄は沼田爆、老中は峰蘭太郎。闇の七人衆の新見は山崎銀之丞。
*中沢が元浅野家中という設定は無く、高田郡兵衛なども出てこない。原作では琴枝ゲットの老中は柳沢吉保、新見は吉良の付け人崩れ。


第4話 「吉原悲恋」 2008.8.8  (スペシャル拡大枠)

 恋人に裏切られ殿様に差し出された吉原の女は、生んだ若君にも会えず日陰の身に。藩を食いものにする悪党が差し向けた刺客にしつこく襲われるその女をガードする刑部、女の名は彼の亡き妻と同じなのだった。

神護寺

ロケ地

  • 互いを的の奇妙な二件の依頼について徳松が相談をもちかける町角、神護寺五大堂縁先。
  • 不可解な二件の依頼者は有明藩筆頭家老・肘井だったと話す徳松、大覚寺放生池堤。このあと向こうからやって来るゆいと、あとをつける不審な男を見咎めるが、刑部が徳松に商売道具を預けてゆくのは護摩堂前、ゆいが渡ってくるのは天神島朱橋、ゆいが佇む「神社」は天神島祠でここで襲撃、防ぎつつゆいを連れて逃げる刑部は五社明神勅使門前石橋下御殿川河床。闇法師の一味がゆいを見失い走ってゆく林は勅使門前の林間、刑部たちもここへ上がってくる。足を挫いたゆいをおぶい送ってゆく刑部は護摩堂脇を過ぎ心経宝塔前へ出て閼伽井前から石仏前へ。
  • ゆいを送り届けた先にいた有明藩次席家老・山沢と話す神社、吉田神社竹中稲荷参道。
  • 吉原へ赴いた刑部がゆいの朋輩に聞いた話、回想シーンで出る、身請けされたゆいが男を待っていた神社、先に出た「ゆいが佇んでいた神社」の大覚寺天神島祠
  • 山沢の告白で出る回想シーン、縁台屋に詫び身請金を差し出すも投げ捨てられた水辺、大覚寺大沢池畔。
  • 肘井がしくじりを報告にゆく若年寄・長居伊賀守邸、妙心寺天祥院
  • 肘井の指示で殿様と若君を襲う闇法師一味、瑞穂の造成地(松林、小丘などを効果的に使用。設定は品川宿を過ぎたあたり)
  • 事後、タダ働きだった刑部に皮肉を言う徳松、神護寺石段〜五大堂縁先。刑部は堂脇を肩を落として去り、大覚寺大沢池北岸を通り帰宅。

*恋は逸するが刑部の働きで母性は一応満たされる「ゆい」は吉本多香美、実は裏切ってなどいなかった恋人の縁台屋(金貸し)は松村雄基。公金横領のうえ藩を売る首席家老は潮哲也、藩のためゆいと縁台屋を裂いた次席家老は左とん平。刑部に経緯を語る女郎は吉野公佳。
*原作を大幅に改変し、ゆいと縁台屋の純愛設定を入れてある。ゆいの事情を調べに吉原へ行った刑部だが、事が終るまで居続けなふうにお静に誤解されるお笑い仕立て。


第5話 「狙われた軍用金」 2008.8.22  (スペシャル拡大枠)

 命を狙われる献残屋、刑部にも彼を的の依頼が来るが、頼み人は「元」妻女。いつものようにすぐには荒事に入らぬ刑部は、献残屋と談合を持ったことにより複雑極まりない騒動に巻き込まれてゆく。

走田神社

ロケ地

  • 奥野将監の墓に詣でる刑部、金戒光明寺長安院下坂〜本堂裏手墓地西側路地〜墓地。同じく墓参りに来た高田郡兵衛らと邂逅、元赤穂藩士だった献残屋・鳴海屋の話を聞き、誘拐された妻子の長屋に落ちていた違鷹羽紋入り煙草入れを見せるのは三門。
  • 闇猫に鳴海屋殺しを依頼する「妻女」、待つ茶店は今宮神社高倉下に床机あしらい。猫の使いの雀が現れるのは稲荷社前。
  • 「山中」の妻子が監禁される浅野本家の向島寮、宝厳院通用門(後段、刑部が救出に入るくだりでは映らず)
  • 赤穂の軍用金を求め山科さして東海道をゆく刑部一行、川崎から神奈川、等ヶ谷あたりの地図に被る橋は流れ橋
  • 刑部一行を襲う闇の七人衆(道八入り)酵素。刑部たちは降り口を来て河川敷へ、ここでチャンバラが展開され、介入した岩切同心は葦原で派手な立ち回り。その後道八を追ってゆくシーンはダート、やり過ごしたあと出てきた道八の上にお吉が木から降ってくる(欲かいた道八をうりうりいたぶってお仕置き)
  • なお東海道をゆく刑部たち、箱根から御殿場の地図に被る萱葺は美山民家。沼津から府中間の地図に被る「海岸」は琵琶湖西岸の砂浜、遠景の河口州の上に富士山合成。この後に来る切通しは不明(酵素か谷山か)
  • 渓流に足を浸し休む徳松と御隠居のくだり、保津峡落合河口右岸汀。上で見張りの刑部は落下岩。設定は、丸子宿が端っこにあった、先に映った地図からすると宇津ノ谷峠か。
  • 山科へ入る刑部一行、イメージに美山町北村の民家群遠景。西野山村へ入るくだり、北村の萱葺を映したあと「お宝のある神社」は鳥居本八幡宮。広場から導入、鳥居下へ出て、荷物を置いてあるのは舞殿、本殿前に阿吽のはずが阿と阿の狛犬をあしらい(口から「平」と書いた紙が出る)。浅野本家の侍たちが殺到するのは鳥居付近、立ち回りは石段のほか林間でも行われ、「赤穂崩れ」の郡兵衛たちが助太刀に入る。
  • 「平」は川崎の平間村のこと、と御隠居の謎解きを受け早駕籠を仕立てて東海道を下る徳松、嵐山自転車道(刑部は駕籠に従いて走る)
  • 平間村へやって来る刑部たち、田畔は不明。秘密を蔵した阿・阿で対の狛犬がある神社は走田神社、稲荷社前に狛犬あしらい。

*鳴海屋(山中半四郎)は遠藤憲一、「山中」の妻のお依里は美栞了。奥野将監は西岡徳馬(回想)、高田郡兵衛は岸本祐二、毛利小平太は北斗潤、小山田庄左衛門は横田真吾。最後に正体を現して去る御隠居の近松門左衛門は大地康雄。
*原作を大幅に改変してあり、大石の密命を守り続けた天晴れ忠義の士にして、妻子を思い続けていた熱き心の持ち主なエンケンはメチャおいしい役回りで、親子三人新たなスタートを切るハッピーエンド。
*猫の姐さんにぐりぐりやられる姿もなかなかな本田博太郎、ラス立ちで刑部に頬を切られブチ切れ「ぅむぅまぁつぅばぁのぉ刑部!」と斬り付けた刀が、勢い余って狛犬の阿ーちゃんの頭をかっぱぎ「秘密文書」が出てくる運びも大笑い。


第6話 「闇の正体」 2008.8.29

 刑部を見込んでのたっての「依頼」、頼み人は介錯の仕事を断わった相手の妹。彼女が語る恨みの筋は、刑部の古傷をぐさぐさと抉る。

南禅寺三門

ロケ地

  • 渡海屋神隠しのあと、前を通りかかった刑部を誰何し「顔貸せ」と連れ出す岩切同心、南禅寺三門(ラスト、刑部の江戸家老殺しを見たあとのシークエンスも同所)
  • 長十郎がおみやと出会った市中、仁和寺九所明神
  • 新村藩上屋敷、仁和寺本坊表門(上部のみ、イメージ)
  • 闇猫のアジトの閻魔堂、浮御堂。道八の掌に煙管を押し付け哄笑したあとお堂の扉を開けるシーンは中から、湖水の向こうに河口州と三上山が霞む。橋を含む浮御堂自身の外観もあり、高所からの撮り。
  • 刑部の吹く「長十郎の笛」の音に引き寄せられるおみやのくだり、音の来る方を見遣る橋は上賀茂神社神事橋、刑部はならの小川べりに腰掛けて笛を吹く。神事橋では真上からのアングルもあり。

*おみやは高橋かおり、彼女を殿様に召しだされたことに逆らい腹切りに至る婚約者・長十郎は山口馬木也、彼の妹は林美穂。殿様の名を騙りおみやを我が物としていた悪家老は小沢象。
*闇猫の姐さんが闇法師のおかしらを現認するほか、岩切同心が新村藩下屋敷における刑部の「仕事」をきっちり目撃。


第7話 「抹殺指令」 2008.9.5

 闇法師の正体を知ったお吉には組織への完全なる服従が求められ、刑部暗殺の指示が出される。理不尽な命に惑ううち、お吉は雀を失い闇に消える。

大覚寺護摩堂

ロケ地

  • 刑部をつけ回す岩切たちのくだり、営業を撤収して一休みのお堂は大覚寺護摩堂。しつこく刑部を監視し続ける岩切たちは放生池堤石橋たもとに立つ。護摩堂の建具が格子戸に変えられていて、中にいる徳松が見える趣向。中からのアングルもあり。
  • 暗殺対象の岩切の養父を見に行った刑部が帰ってきた岩切と話すくだり、大覚寺天神島大木の根方。導入に大沢池の蓮が映る。
  • お吉のアジトの閻魔堂、浮御堂(外観のみ)

*岩切を幼少時より育ててくれた父の朋輩の養父・吉岡半蔵は高橋長英、吉岡を抹殺にかかる元武士の呉服商は工藤俊作。
*道八役・本田氏の原作本プレゼントのお知らせつき、不気味ムードのままで大笑いのレアもの。


最終話 「明るい方へ」2008.9.12

 刑部に来た依頼は病んだ女郎から、亡父の仇討ち。的は刑部もよく知る温和な木戸番の親爺、あっさり事実を認め観念するさまを見て一旦退くものの、中の人が闇法師の首魁ときてはただで済むはずもなく、道化じみた男の野望も加わって、カタストロフが口を開けて待つ。

落合

ロケ地

  • 友を斬り日田藩から出奔した貴志伝左衛門(嘉助の回想)保津峡落合河口付近汀(見下ろしのアングル)
  • 女郎殺しの犯人として町方に追われる身となった刑部を案じお百度を踏むお静、わら天神六勝大神。
  • 刑部は無実とまくしたてる岩切同心の訴えを排した神崎与力が日暮れてこっそり出る北町奉行所の門、大覚寺明智門。彼を尾行する岩切、大沢池畔〜大沢池木戸(神崎が振り向いたので岩切は木戸陰に隠れ・神崎は舟着(小)から道八の操る船に乗り込み)
  • 神崎与力が事態を注進に及び、新たなパートナーとして道八が紹介される長居伊賀守の寮、民家長屋門(南望のビュー)
  • 闇法師のアジトへ斬り込んだ刑部のもとへ駆けつける岩切同心が銃声を聞く夜道、大覚寺参道石橋
  • 箱根より西、富士山を望む街道筋の茶店で親爺と話す旅装のお吉、嵐山自転車道(富士山合成)

*依頼者の女郎・お染は中原果南。
*お吉が刑部に助っ人を要請する運び、刑部は金をとらずお吉の更正を要求。示唆のターム「明るい方へ」は、お静が刑部に語ったもの。
*死闘のすえ闇法師を殲滅するものの、道八が引き込んだ捕り方に包囲され進退窮まった刑部は、お吉を逃がすため決死の吶喊を敢行、火を噴く銃口が映ったあと刀をかざす姿が止め絵になる。以降は「関係者」にも消息不明。


→ 刺客請負人 第一シリーズ


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