水戸黄門 天下の大騒動

1960.12.27第二東映  監督/深田金之助、脚本/結束信二


 白鷹城に巣食う悪を退治に向かう黄門さま、道中も賑やかに華やかに演出された娯楽作。偽や囮の三名様も出て、途中で正体を明かす心強い爽やかな味方や、なにかと噛んでくる掏摸の男女に加えおきまりの旅の一座もあり歌や踊りが入る。かなり長い尺をとっての大立ち回りのあと、政争の具にされた幼児には情けがかけられ、解決をみたあと老公は再びの旅に出てゆく。

彦根城

ロケ地

  • 「天下の大騒動」を伝える早馬が走る街道、不明(かなり引いたロングもあり/川堤か・堤高は木津川下流部なみ)
  • 早馬が駆け去るのを見た老公たちがゆく街道、一部土手のような道であとは琵琶湖沿いの松原脇の地道。道沿いにお宮さんや木橋なども映り込む。
  • 初雪太夫一座がやってくる街道、昔の作品によく出てくる「道隈」、山は遠い。このシークエンス、老公がゆく道は谷地田脇。
  • 一座が小屋掛けする宿場はずれ、小屋裏手の林は下鴨神社糺の森・河合社裏塀も映り込む。ここで掏摸の四郎吉が老公らから盗った金を数えていたり、四郎吉を追って疲れ果て空腹に倒れる助さんのシークエンスもここ。馬場には酒肆などあしらわれ宿場を演出。
  • 白鷹城、彦根城天守。山の上に顔を出すロングの絵と、真下から見上げた寄った絵と二種類。城門はセットでこのときの天守は書割。
  • 白鷹城を去った老公に囮の三名様と右近たちが追いついてくる街道、不明(谷地田の脇、溜池端)

*ご老公は大河内傳次郎、すぐに休みたがるよぼよぼ爺をしているかと思うと立ち回りもあり、やられたらおおごとなのに放っとかれてて笑える。この出演は亡くなる二年前に当たる。助さんは品川隆二、格さんは山城新伍。はじめ刺客かと思われた二人の剣客は里見浩太郎と近衛十四郎、それぞれ柳生の師範代や水戸の指南役として老公護衛の任を帯びているのだが、互いを怪しみ何度か刃をまじえる運びで最後はもちろん協力して事にあたる。なりは里見浩太郎が切り下げ髪の若侍で、近衛十四郎は文字散らし模様の着流し浪人。助さんの財布を掏る掏摸は星十郎、対で出る女掏摸は藤田佳子。老公を祖父に見立てて慕う一座の太夫は花園ひろみ。将軍の子で白鷹に養子に来た若様は加藤博司、お付きは立松晃、味方の腰元は三原有美子で囮の三名様を連れてくる兄は国一太郎。己の種の幼児を殿様にとはかる悪家老は坂東好太郎で腹心の剣客は戸上城太郎、家老とつるむお方様は藤代佳子。悪家老の手先が斬る偽老公(実は盗っ人)は阿部九州男、囮の老公は高松錦之助。偽老公を迎えて有頂天の宿の主は堺駿二、掏摸を追うコミカルな捕り方は潮路章。
*白鷹城というのは美濃にあるが元和に廃城、山形の白鷹は上杉領、このお話の設定は全くの架空か。


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