赤西蠣太

1999.1.2TX/CAL/映像京都


 伊達騒動に材をとった志賀直哉の小説を、市川崑監督が手がけたテレビスペシャル。抑え目の渋い映像美が光る、コミカルな一本。画面構成は、1936年の伊丹監督の映画を踏襲。

 国元の奉行から遣わされた、変わり者の間者が巻き起こす珍騒動。彼は痛む腹を抱えつつ粛々と任務を遂行してゆくが、証拠をつかみいざ敵方の屋敷を退散するにあたり怪しまれぬため取る行動は、腸捻転自己治療と同じくどこか間が抜けているのだった。

ロケ地

  • 入船屋が娘を連れてやって来るくだり、赤西が応対する玄関は相国寺大光明寺式台玄関。お鯉を奥向きに案内する赤西、庭(池泉)は仁和寺宸殿か。奥方に引き合わせる庭先は随心院書院
  • 伊達兵部を訪ねて麻布仙台坂へやって来る原田甲斐、駕籠をおりる玄関は大覚寺式台玄関
  • 亀千代ぎみを狙って伊達上屋敷へ入り込む刺客、門は大覚寺大門
  • 青鮫が赤西を診た按摩を呼び止める町角、妙心寺福寿院道。妾宅で接待ののち按摩を斬るのは仁和寺裏塀(角)
  • 按摩の始末について赤西に話す青鮫、釣り船は大覚寺大沢池に、帰り道は仁和寺裏塀際。
  • 小波へ付文して逐電の赤西がゆく道、大覚寺大沢池北辺並木、その後の山道は不明。
  • 赤西に差し向けられた追っ手のくだり、旅籠から逃げた赤西を追う野道は酵素河川敷(小川の橋を渡る)。くたびれて休むお堂は大覚寺護摩堂。その前を雲水に化けて通過した赤西が振り返る林、大覚寺梅林
  • 伊達安芸が甲斐らを幕府に訴え評定が開かれるくだり、イメージに相国寺方丈。導入は南面全景、次いで裏廊下と西塀(内側)が映し出される。この間安芸に斬りかかる甲斐の立ち回り、血染めの手がつかむ衝立は伊丹監督の映画で使われたものとよく似ている。

*赤西は北大路欣也で原田甲斐と二役、風采上がらぬ間者と、ばっちり決めた悪役との対比が見事。間者仲間の青鮫は宅間伸、魚名前を笑う妾は萬田久子。口の軽い按摩は小松政夫、伊達兵部は神山繁、幼君を守る乳母は岸田今日子、付文の相手に選ばれる美女・小波(お鯉)は鈴木京香。


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