その木戸を通って

市川崑監督作品  1993CX制作、1995OA、2008劇場公開

キャスト
平松正四郎/中井貴一 ふさ/浅野ゆう子 中老・田原権左衛門/フランキー堺 田原次男/榎木孝明 家扶・吉塚助十郎/井川比左志 吉塚妻女・むら/岸田今日子 正四郎実父・岩井勘解由/石坂浩二


 一人娘が嫁ぐその日、花嫁の父として心中複雑な平松正四郎のもとに、失踪した妻の消息が知らされる。
あの日「妻が通った木戸」の追憶から、回想のかたちで妻・ふさとの奇妙な経緯が描かれる作り。リリカルな映像で綴られる、軽妙にして真摯な愛の物語は、正四郎の胸一つに秘密を蔵し静謐の裡に幕を閉じる。

摩気橋

ロケ地

  • 監査のためお城に詰める平四郎、お城は彦根城天守(遠景、近景)。中老・田原に呼び出されるくだりで映る御廊下は建仁寺方丈廊下。
  • 家に「娘」がいる話を聞いて帰宅する平四郎、帰り道に民家塀際。ここは城下イメージに以降も登場。平松邸の門は不明(門内から見返りのアングルでは向かいにすぐ塀・妙心寺など大寺境内の路地ふう)
  • 因果を含められ平松家を出された「娘」が土砂降りの雨の中渡る橋、摩気橋(原作呼称・井倉川)。雨宿りしていて駕籠舁きにからまれる辻堂(原作では城下はずれの観音堂、「辻堂」表現も)大覚寺護摩堂
  • 中老の次男ら朋輩が「娘」を追い出せと平四郎に話しながらの城下がりの道、下鴨神社河合社脇。罠じゃないかなどと話すくだりで後ろに霞む塀は建仁寺にスイッチか。
  • 娘・ふさの存在で整いかけていた話が微妙な中、当の城代の娘と気まずく行き会う道、南禅寺僧堂坂
  • 城代の娘との話を破談にするくだり、触れ太鼓が聞こえる城下の塀際は仁和寺塀(瓦練り込み塀、際に寄った絵・内か外かは不明)。破談の件がすんなり通り、喜び勇んで帰宅する平四郎が走る城内、彦根城城内・天守下の坂。尚走る城下の道は仁和寺裏塀(北塀外側)下鴨神社河合社(転ぶ平四郎を南東角の瓦越しに俯瞰)
  • 平四郎の父も認めふさと婚礼を挙げ、懐妊が判明したあと、城代が中老に娘の婚儀が整ったことを話す城中の御廊下、建仁寺方丈廊下。
  • 監査で城に詰め切りの平四郎のもとへふさ失踪と告げに来る家扶の吉塚、彦根城太鼓門櫓
  • ふさに似た女を見たと知らせてきた、元下女のお伸からの文を見てふらふらと「そこ」へ赴く平四郎、仁和寺裏塀際〜下鴨神社河合社脇〜酵素河川敷(「一軒家」を仕立て)

*原作では、幼いゆかを残しふさが失踪する段で終っているが、ドラマはその先を膨らませて描いてある。
*場所の設定は原作でも定かでなく、どこかの藩内でのお話。平松邸を出されたふさが渡る橋は井倉川だとか、殿様の名は信濃守景之だとか出てくるが、温暖やら寒冷やら、外様やら譜代やら知れず。

参考文献 新潮文庫「おさん」所収「その木戸を通って」ISBN978-4-10-113414-7


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