紫頭巾

大西秀明監督作品  1958.10.29東映


 汚い手でのし上がり、没義道の限りを尽くす田沼意次。彼に与する者の前に立ち現れては邪魔をしまくる紫頭巾、田沼の内懐に入り込み気にいられる正体不明の人気絵師、大道芸で口を糊する居合の達人の酒好き浪人、「彼ら」の行動は一点に集約され、将軍を自邸に招いて我が世の春を謳歌する腐れ外道を断罪する段で、「三人」の正体が明らかとなる。

妙心寺

ロケ地

  • 尾張大納言急逝、幕閣招集の段で出る江戸城は書割。
  • 駿河屋に押し入り無償米配りを強要した紫頭巾の件でハッパをかけられた目明しの佐平次たちが出てくる南町奉行所、御所長屋門
  • 紫頭巾の活躍を報じた瓦版が売り出される縁日、清凉寺本堂前(クレーンショットあり、露店等多数あしらい)
  • お稽古帰りのお仙を呼び止めモデルになってくれと依頼する秀麿、妙心寺大雄院前。二人の立ち位置を介して桂春院方面(北望)や養徳院方面(西望)を見る路地も映り込む。
  • 浪人追放令の高札を斬り捨てる筧浪人、清凉寺境内か(見ていた八弥が町方から逃げた筧を道場に誘う)。神谷道場はセット。
  • 父と茶席で会ったのち許婚者の喜美と逍遥の八弥、不明(松並木沿いの歩道)
  • 田沼邸、仁和寺本坊表門(初出はイカ頭巾が出てくる夜の門、後段将軍を招いての宴の折にはずらりと出迎えの家士が居並ぶ)
  • 任地へ帰る甲州金山奉行、田沼の家来が襲撃する街道は谷山林道か(崖落ちあり)。空々しい芝居をする加久が湧き水を飲むシーンもある。
  • 老中・秋元但馬守邸、大覚寺大門(将軍に謹慎を申し渡されて帰る段、邸内には父の変事を知った八弥が来ている)
  • 事後、新たな金山奉行として赴任する八弥と、尾張へ帰る新倉真十郎が別れゆく街道、琵琶湖岸の松原か(同様の場面に多用される「道隈」)

*千恵蔵御大は四役、紫頭巾のほか絵師・秀麿、浪人の筧を「演じていた」新倉真十郎は、田沼に暗殺された尾張大納言の近習で、生前に密命を受け田沼を探っていた苦労の人。正義派の老中・秋元但馬守は大河内伝次郎、彼が恃みにする南町奉行は加賀邦男。秋元配下の硬骨漢の甲州金山奉行は月形龍之介、倅の八弥は里美浩太郎、師匠の神谷一心斉は高松錦之助。紫頭巾にぞっこんのお仙は桜町弘子、父で田沼の悪事に加担しかける信楽屋は市川小太夫、お仙のお師匠さんの芝梅は市丸。田沼意次は山村聰、用人は吉田義夫、強面の腹心・加久は阿部九州男。目明しの佐平次は原健策、下っ引は中田ダイマル・ラケット。将軍・家斉は片岡栄二郎、筧の馴染みの酒肆の女将は千原しのぶ。


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