八百八町夢日記


第22話 「与力の娘」 1990.4.24  

 事件は公共工事での不正、解決の過程で不良グループの更正がはかられる運び。そのリーダー格が観音寺与力の一人娘で、どたばたと涙がないまぜ。最後は「解散式」なんかブチ上げて笑わせてくれる。

ロケ地

  • 聞き込み帰りの八田が渡る橋、大覚寺天神島朱橋。不良グループの抗争に介入し××蹴りを入れられるのは聖天堂前。
  • 作事方勘定役邸、不明(塀際石畳と長屋門)。ここはグループの一人の実家で、書付を狙った一味に父母が惨殺される。
  • グループが押しかける札差の向島寮、中山邸通用門

*観音寺さまの娘は森岡いづみ、乳母は今井和子。札差は田口計、作事奉行は原口剛。


第23話 「海が匂う客」 1990.5.1  53

 抜け荷一味の胸に突き刺さった銛は、恨みの淵から放たれていた。心は既に亡き娘のもとにある親爺の悲哀を、おまつの明るさが救う。

ロケ地

  • 河岸で仕入れて帰りのおまつが波平とばったり会う橋、中ノ島橋(カモメの声と潮の音が演出されている)。話し込むのは嵐山公園中州岸・桂川堰堤脇。
  • 波平が唐津屋を襲うも返り討ちに遭う夜道、大覚寺閼伽井前〜聖天堂前。

*肥前の漁師だった波平は長門勇、銛には○に肥の字マーク。長崎で富商一家を殺し大金を奪った元長崎奉行は江見俊太郎、元与力は石山律雄、元番頭の唐津屋は牧冬吉。
*悪党一堂に会しガハハの座敷に銛が打ち込まれるが、船は登場しない。


第24話 「道楽息子の涙」 1990.5.8  53

 道楽者に付け込んで乗っ取りを企む悪党が横行、夢のダンナは遊び人に化けて次の的に接触し、放蕩者の心のケアもする。

ロケ地

  • 越後屋の倅の死体が見つかる河原、桂川か(礫)
  • 鶴亀屋の倅・幸吉は連れ子と報告する三の字、大覚寺五社明神
  • 川遊びに出る幸吉に声を掛ける夢之介(変装中)大覚寺大沢池船着き(大)
  • おりんが芸者に化けて「辻斬り」の顔を確認する道、中山邸参道。
  • 幸吉が勘当を言い渡される鶴亀屋の寮、梅宮大社参集殿座敷(内部から神苑の池を眺める図、外からの絵は無し)

*幸吉は西山浩司、親爺は小島三児。乗っ取り屋は高野真二、つるむヤクザの親分は黒部進、殺人担当の旗本は出水憲。


第25話 「しのぶ恋、忘れ貝」 1990.5.22  53

 強欲な若年寄の画策で窮する藩、罪を着せられ藩と公儀両方に追われる足軽の青年。これに、彼の恋人が殿の側室になんていう事情もからみ複雑に。もちろん、切れた恋の糸はお節介焼きたちがくっつけて回る。

ロケ地

  • 小平太がおくみを待つ鐘ヶ淵、広沢池西岸湿地
  • 小平太の回想、作物を盗みに来た隣村(天領)の百姓を追い返した藩境、およびその百姓たちが死体で見つかり罪を着せられた原っぱ、不明(背景に植林杉が見える)

*病の父の薬代のため殿様の側室になったおくみは神保美喜、恋人の足軽青年は辰巳琢郎。意外やおくみを解放する殿様は西山辰夫(あとで未練がましくめそめそ歌詠んだりする)、腹心は水上保広。お奉行呼びつけてエラそーに用事言いつける若年寄は土屋嘉男、部下は遠藤征慈。


第26話 「夢之介が殺した女」 1990.5.29  

 夢さんを用心棒にスカウトした女は、復讐と謝罪を兼ねて放火犯から復興資金を強請ろうとしていた。遺志を汲んだ面々が、合法的に悪党から金を巻き上げる痛快な次第が傑作。

ロケ地

  • 夢さんが腕試しされる夜の町角、大覚寺五社明神
  • お絹の死体が見つかる水辺、大覚寺大沢池畔。
  • 恋人の傍らに葬られるお絹、不明(高台の墓地)
  • 三の字とツナギをとる茶店、大覚寺心経宝塔前にあしらい、鐘の音演出。
  • 喜助が始末されかかる町角、相国寺方丈塀際。

*元柳橋芸者のお絹は三原じゅん子、悪徳商人は小沢象、作事奉行は高桐真で腹心は谷口高史。喜助を殺しに来る刺客の一人に福ちゃん、浪人姿。


第27話 「次郎吉捨身の反撃」 1990.6.12  53

 口封じで出た欠員に見込まれてしまう三の字、恋女房を人質にされ仲間にも言えず。しかしみんなはちゃんと、心の内を察していてくれたのだった。

ロケ地

  • 「御前」と音蔵が密談の屋形船、広沢池か。
  • 音蔵が次郎吉を見つめる縁日、梅宮大社神苑に露店あしらい。
  • お初を草加の田舎へ避難させるくだり、渡し場は広沢池東岸。乗ったあと一味が化けていた船頭が正体を現す。
  • 次郎吉が呼び出される浄念寺、大覚寺聖天堂

*むかし捕縛されるところを次郎吉に助けられた恩を忘れ、盗めへの参加を強要する賊のかしらは伊藤高、こやつを使嗾していた元長崎奉行は川合伸旺(公金横領の穴埋めに賊のアガリを充当する腹積もり)、悪事にも噛んでいる家来に峰蘭太郎。
*ラス立ち前の扇飛ばし、今回は元結切りはなく川合伸旺の手の甲に当たって血たらーり。このあと槍持ち出して反撃するのも見もの。観音寺と八田の仇討ち芝居など、レギュラー陣の小芝居もたくさん。


第28話 「片思い恋の絵草紙」 1990.6.19  53

 元部下の絵草紙作家に、汚職ネタを書かれた蔵奉行。邪魔者の暗殺からはじまる筋立てに、純朴な青年の、泡のように儚く消えてしまう恋をからめる。

ロケ地

  • お初が子宝祈願のお堂、大覚寺大日堂。刺された寒月がかぶさってくる帰り道、大覚寺天神島(町方が朱橋のほうから駆けつけ、お初を犯人と決め付け捕縛)。連行されてゆく橋は中ノ島橋、下手右岸河川敷からゲンが見上げる。
  • 寒月の墓で吠えているところを夢之介に諭されるゲン、北嵯峨農地(小丘)
  • ゲンの住む小屋、広沢池東岸にあしらい。

*漁師のゲンは保阪尚輝、親を亡くしたあと鉱山に売られ、そこを逃げ出して江戸に辿り着き寒月に拾われた設定。蔵奉行は西沢利明。ラス立ち福ちゃん入り、どアップあり。


第29話 「次郎吉花火」 1990.7.3  53

 北町奉行失脚を狙った陰謀が、せっかく立ち直った青年の命を散らす。彼とその妹に入れあげ奔走する次郎吉、形見の花火が上がって幕。

ロケ地

  • 黄羽織組がたむろする常念寺(荒れ寺、爆薬の工房あり)大覚寺五社明神(舞殿に壁作りこみ、崩れ土塀あしらい。内部描写と門はセット)
  • 黄羽織組に爆薬を作らされていた花火職人が殺されて見つかる川、大覚寺有栖川河床(御殿川合流点付近)
  • おとせが黄羽織組に誘拐されるくだり、下鴨神社。おとせが渡ってくる橋は泉川の橋、当て落とされる道は参道。駆けつけた兄が斬られる林は糺の森池跡。

*おとせは浅野愛子、腕のいい花火職人で博打狂いを次郎吉に諌められた兄は塩谷俊。奉行の後釜を狙っていた御納戸頭は深江章喜、黄羽織組首領は伊藤敏八。黄羽織組に店先を壊される饅頭屋に福ちゃん。


第30話 「生き別れ、思いの糸」 1990.7.10  53

 兄妹の、悲劇的な再会。兄は盗っ人に、妹は身代乗っ取りの毒婦と成り果てていた。「道具」を使い捨てにした悪辣な旗本は、夢の扇が断罪。

ロケ地

  • 山城屋の葬儀が営まれる寺、不明(門越しにお堂、内部はセット撮り)
  • おぎんを殺そうとした山城屋の番頭に経緯を聞く夢之介、神護寺明王堂
  • 嶋屋の若旦那とデートのおぎん、神護寺石段下。兄の「流れ星」が連れ込んで所行をなじるのは鐘楼脇。
  • おぎんの回想、苛めっ子を追い払い竹とんぼを作ってくれた兄、広沢池西岸(公園)
  • 流れ星の裁可について話す夢之介と三の字、神護寺石段下に茶店しつらえ。石段を上ってゆく二人の絵もあり、五大堂と毘沙門堂の甍が映える。

*おぎんは白都真理、女郎→旗本に身請けされ養女、悪党の「打出の小槌」に。兄は速水亮、博打で借金・妹を売ったあと傷害で寄場送り→盗っ人に。旗本は高城淳一。


第31話 「夏の嵐」 1990.7.24  53

 お奉行の昔の恋がからむ、切ないお話。親友夫妻の惨殺事件を追った夢之介は、恋しい人を譲った相手が救いようの無い悪党と知ることに。夢のダンナがほぼ橋場の酒肆に居座り続けという、時間軸がちょっと変わった構成。

ロケ地

  • 墓参の深谷夫妻が物盗りを装って殺された西海寺、西明寺。妻女が倒れていたのは指月橋たもと、崖から落ちて顔の潰れた「深谷」が死んでいるのは下の清滝河原、回想シーンで出る斬殺現場は参道石段。
  • 回想シーン(モノクロ)、お米を譲ってくれと榊原に頼み込む深谷、神護寺山門内側白州。お米に会い深谷と一緒になるよう勧める榊原、神護寺和気公廟所脇。
  • 事後、お米の墓に参る榊原、大覚寺大沢池畔に墓標あしらい。

*深谷は大出俊、出入りの道場のBFには新式銃密造工房。お奉行に遺品の簪でぐっさり仕留められる。ラス立ち福ちゃん入り、口ひげの用心棒。


第32話 「信玄谷の忍び花」 1990.8.14  53

 両替商から盗まれた金塊には武田菱の刻印、盗んだ賊は妖しの美女。謎を追って夢のダンナと三の字は八王子へ、そこで竹流し金の秘密を知る。

ロケ地

  • 金塊盗難をしらばっくれる両替商の態度から、よほどの曰く付きだと話す夢之介と三の字、大覚寺大沢池畔。
  • 八王子へ向かう両替商を追って甲州街道をゆく夢之介、大覚寺大沢池堤
  • 女賊が名乗り経緯を話す谷川(魚獲り中)清滝河原。設定は相模との境の美女谷。
  • 能登守の札を掲げた荷駄がゆく街道、大覚寺大沢池堤
  • 江戸に戻った三の字が荷駄到着を茜に告げるお堂、大覚寺護摩堂

*忍びの心得のある「女賊」茜は黒田福美、悪事に手を染めた八王子千人同心組頭は内田勝正、黒幕の槍奉行は田口計、金を持ち込まれる両替商は長谷川明男、間抜けな目にあう八田付きの岡っ引は蛍雪次朗。勝正の配下で福ちゃん、槍振り回してラス立ち。


第33話 「次郎吉に惚れた男」 1990.9.11  

 御数奇屋坊主を失脚させ後釜を狙う陰謀、調査に入った三の字は床下で同業者と遭遇。以降、ヘボくてドジなその盗っ人オヤジにさんざんつきまとわれてしまうのだった。

ロケ地

  • 越後屋の茶室・名月庵がある谷中の寮、中山邸通用門。庭もチラリ。茶室の床下にいるのが露見し逃げた三の字と文蔵が一息つくのは大覚寺天神島
  • 夢之介と三の字がツナギをとる茶店、大覚寺大沢池畔にしつらえ。
  • 勘定奉行邸から茶器を盗って逃げた三の字が「八田に捕まる」くだり、追っ手から逃げて渡る橋は大覚寺勅使門橋、捕り方とやり合うのは橋南側の林、逃がされた文蔵が落ちる堀は御殿川

*三の字を後継者と見込んでつきまとう自称「猫足の文蔵」は藤木悠、盗っ人仲間からは「捨て猫」呼ばわり。狙われる御数奇屋坊主は中山昭二、内弟子の怖いおばさんは三浦徳子。後釜狙いの組頭は西田健、お返事がちょっとオカマくさい。グルの越後屋は江見俊太郎でどんくさい用心棒は白井滋郎、黒幕の勘定奉行は中野誠也。


第34話 「参上!女目付」 1990.9.18  

 老中に抜擢されて大張りきりの不正大キライ娘は、苛烈な手法で行く先々を震え上がらせるが、報復と思われた闇討ちにはむごい真実が隠されていた。

ロケ地

  • ひずるが査察に入る普請奉行邸、大覚寺大門
  • ひずるを襲ったゴロツキを呼び出しシメる三の字、大覚寺放生池堤
  • ひずるの補佐をしている青年が撃たれる市中、大覚寺大沢池畔。
  • ひずる襲撃を依頼した唐物商の女将を恐喝するゴロツキたち、大覚寺五社明神←夢のダンナが出て助け、家に招かれる運び。芝居をしたゴロツキたちに金を与えるおりん、大覚寺護摩堂裏。
  • 陰腹を切ったひずるが夢之介に告発書を託し果てる市中、神護寺石段下。

*ひずるは北原佐和子、父の鉄砲組頭は滝田裕介、補佐の青年は佐久田修。唐物商夫婦は福山升三と鈴鹿景子、北町から押収品の新式銃持ち出す与力は和崎俊哉。
*ひずるは思い込み激しい設定で、職務に忠実でやり過ぎのほか、昔の映画に出てきたような夢之介と舞う白い幻夢見たり、女だてらに陰腹切ったり。しかし公儀勘定目付のお役は彼女一代で廃止という、気の抜けるオチ付き。


スペシャル 「おりん無惨!今蘇る関が原の戦い」 1990.10.2  

 関ヶ原ののち八丈に流された宇喜多秀家、彼の死後も一族は帰還を許されず島に九代を数える。その恨みと、せめて墓を建てたいという望みを利用するワルあり、流人から金を掠めるにとどまらず彼らに罪を着せ将軍暗殺をはかるというトンデモ。巨大な陰謀を阻止するため動く夢之介たち、しかし大奥に潜入したおりんが正体を見破られ御広敷伊賀者に刺されてしまう。

ロケ地

  • 札差を襲った賊が逃げる際行き合わせた油屋の青年が転落する橋、中ノ島橋(後段、綾乃が飛び込んで助けたシーンが出てくる)
  • 浪人を集めているという光照寺へ赴く夢之介、金戒光明寺善教院(坂と門)
  • 菩提寺・知泉院へ参詣のお光の方、金戒光明寺方丈唐門(イメージ)
  • 寺社奉行に呼び出された榊原の駕籠がゆく道で浪人の襲撃+銃撃、大覚寺大沢池北岸(天神島の北、駕籠の中は福助人形)。御広敷番が潜むのは護摩堂脇。ちゃんと榊原が乗って入ってゆく寺社奉行邸、大門
  • 夢之介に宇喜多のことを告白する綾乃、桂川松尾橋上手中州流れ込み際
  • ワルどもが将軍暗殺を計画して催す歌くらべが行われる吹上の庭、枳殻邸(池畔の芝地に幔幕めぐらせ、女たちが渡る橋に侵雪橋や回棹楼など)
  • 大奥の井戸と通じている光照寺の井戸、下鴨神社糺の森池跡。ここへ単騎駆けてくる榊原は馬場を走り抜ける。
  • おりんの墓に参る夢之介と次郎吉、黒谷墓地。帰りの二人、鎧掛けの松の前〜石段

*黒幕は御側室のお光の方と寺社奉行。お光の方は世継の件で上様に害意を持ち、奉行のほうは欲がらみ。お光の方御寵愛の白猫・小雪ちゃんにも着目(平吉が天井裏で立てた物音に耳ピクで反応。豪華お布団から出てる耳がタオルくさいぞ)。浪人団のリーダー格で福ちゃん、台詞もけっこう長いのがあって、いちいち体を捻るアクション付き。
*寺の井戸は大奥と通じていて、掘ったのは由比正雪という設定←彼が起居していた寺がここという因縁。


→ 八百八町夢日記 第一シリーズ表紙


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