銭形平次

第一シリーズ、東映/フジテレビ

キャスト
銭形平次/北大路欣也 お静/真野あずさ 八五郎/三波豊和 万七/伊藤四朗 清吉/山西道広 番太/林家珍平 保科源次郎/三浦浩一 菊村数馬/丹羽貞仁 並木藤兵衛/中村梅之助


第1話 「九尾の狐」 1991  54

 両親を惨殺された少年の目に焼きついた、凶賊のかしらの刺青はみごとな狐忠信。彼は長じて彫師となり憎い仇の図柄を求め、果てには皮肉にして残酷な奇縁が隠れていたが、聞かでもの秘事は平次の胸にしまわれる。

ロケ地

  • お千代の祖父が営む石屋、大覚寺五社明神祠脇に「設置」、池も映り込む。
  • お千代が新吉から預かった絵図面を御籤に紛れさせ隠す御籤堂、大覚寺護摩堂

*スペシャル拡大枠。

ゲスト 加納竜、水島かおり、亀石征一郎、花沢徳衛、江原真二郎


第2話 「茶室の殺人」 1991  54

 並木さまに貰った料理切手でせっかく上がった、お高い料亭で殺しに出くわす平次たち。密室殺人のトリックを解いた先には、辛く悲しい記憶が涙の海に沈んでいた。

ロケ地

  • 後日、凶器を解くヒントになる、竹鉄砲遊びの子らを見る市中、大覚寺五社明神
  • 養生所へ恋人を見舞いに行った小吉が散歩に連れ出す水辺、大覚寺天神島

ゲスト 西山浩司、小野沢智子、園田裕久、成瀬正孝、三浦リカ、佐野浅夫


第3話 「花嫁の幽霊」 1991  

 稲荷に出る白無垢の幽霊は、「本人」ではなく、彼女を愛するあまり死に至らしめた、哀れな抜け殻の演出だった。

ロケ地

  • 花嫁姿の幽霊が出る稲荷、吉田神社神竜社。抜け穴付き祠はもちろんあしらいもの。この摂社の石段の高さ狭さがお話によくマッチ。
  • 柏屋からの帰り道、八に後妻が入った経緯等調べるよう指示する平次、妙心寺か。
  • 稲荷で男の死体が出たと知らせに走ってくる八五郎、妙心寺大通院裏路地。クレーンショットで、塀内側の墓地等はっきり映る。

*稲荷の祠と柏屋の納屋はヒミツの通路でつながっている設定、一帯は元武家屋敷だったから抜け穴あっても不思議じゃない、とは平次の言。納屋の入口はフツーに床下だが、稲荷のほうは祠どけると階段あってブキミ。

ゲスト 加茂さくら、倉沢清美、三ツ木清隆


第4話 「まんじ鍵」 1991  

 親の因果が子に報い、を地でゆく話。仲を裂かれた恋人たちは心中をはかるが、男のほうは奇妙な経緯で助けられ生き残る。悪縁はからみついて離れず、助かった命もじきに儚く消えるが、平次の目にとまったことで悪は一掃される。

ロケ地

  • 越後屋の若旦那が寝巻きのまま彷徨い出て殺される川端、流れ橋たもと河原。橋下の川中で漁師が鰻の仕掛けをいじっていて、悲鳴を聞く。
  • 若旦那の土左衛門が上がる岸、嵐山公園掘割・中州側(料亭裏手)岸。平次を待つ八五郎は中ノ島橋上、桁下から検分の行われている「岸」を覗かせ、ズームしてゆく趣向。
  • 平次の憶測の段の、若旦那とお袖の心中、ドボンの橋は渡月小橋(欄干の形と橋桁と水面の距離から推測。また、二人が腕にしごきを縛っているシーンは別撮りと思われる)
  • お袖の土左衛門を発見した船頭に船を出させて話を聞くくだり、お袖が引っかかっていた木杭は桂川大堰。心中態だったことと、飛び込んだ橋は中ノ島橋との推測を聞く。
  • 船頭の言った「中ノ島橋」へやって来る平次、中ノ島橋。八五郎が、越後屋若旦那の死体がこの上手で上がった橋だと発言。
  • 「流れ橋」へやって来る平次、流れ橋たもとの河原。地図を描いて不審点を整理。ここで、川辺で釣りをしている浪人に目をとめ話を聞く。ここは後段、鰻とりの老爺に話を聞く場面のほか、金を出しに来た「一味」と大立ち回りがある。
  • 事後、姉と若旦那の墓に参る「更正した」お秀、二尊院墓地。同じく墓参に来た平次夫婦の帰り道は紅葉の馬場。

*今回出てくる川は、全て一本の川の上と下という設定。流れ橋が一番上手、中ノ島橋の下手に桂川大堰でいちばん下手という趣向。渡月小橋は中ノ島橋として使われている…流れ橋とか中ノ島橋とか劇中で呼んでいるが、後者はともかく流れ橋が江戸のどこに当たるかは不明。

ゲスト 新田昌玄、綿引勝彦、長谷川明男、奥村公延、松本友里


第5話 「二匹の牝狐」 1991  54

 大店の主が変死、その途端嫌な話出まくり、本人まで仏の顔に裏あり。利害関係から殺った奴は丸わかり、謎を埋めてゆく作り。出来心を深く反省する青年には、親分の甘やかしぎみお情けが。

*ロケ無し、セット撮り。

ゲスト 蜷川有紀、坂上忍、深水三章、佐野アツ子


第6話 「おとぎ話の殺人」 1991  

 執拗に狙われる金貸しは三度目で遂に頓死、お静の指摘通り猿蟹合戦の筋を辿る。しかしそれは、下手人をでっち上げるための、真犯人の仕込みなのだった。

ロケ地

  • 茶の湯の炉がドカンの綱田屋の現場を見に行く平次、本郷春木町の綱田屋は中山邸通用門。後段、主の喉を槍が掠めた事件では庭も登場。
  • 綱田屋の娘を助けた五加浪人の回想シーン、大覚寺天神島北辺水路(後で、綱田屋へ入り込むための仕込み芝居だったと知れる)
  • 恋人と会い、父が仲を許してくれないと泣く綱田屋の娘、神護寺石段下。平次たちが五大堂の陰から見ている。
  • 江戸を離れる五加浪人を見送る綱田屋の娘と許婚者、大覚寺放生池堤

ゲスト 北原佐和子、左右田一平、菅貫太郎、大橋吾郎、福田豊士、絵沢萌子、うえだ峻


第7話 「呪いのわら人形」 1991  54

 両替商の主に、過去の悪行を想起させる記号が次々と突きつけられる。観念して詫びる姿に「被害者の遺児」は寛容を示し、「当時の捜査関係者」には別の悪を撃つつとめが課される運びに。

ロケ地

  • 佐野屋の主を呪詛する藁人形が鳥居に打ち付けられる神社、鳥居本八幡宮
  • 保科と菊村が平次を呼び出し、佐野屋先代変死事件で捕まった長男の無罪を主張した吟味方与力が嵌められたことを告げる市中、神護寺石段下。
  • 佐野屋に新しく雇われた用心棒二人が斬り合い、「秋山」の首無し死体が発見される市中、神護寺和気公廟所前。導入は御廟を後方上からナメた大胆なアングル。

ゲスト 河原崎長一郎、菊池陽子、伊藤高、垂水悟郎


第8話 「証言の秘密」 1991  54

 冤罪で捕われ、裁きも受けぬまま獄死した恋人の仇討ちは、奉行所への面当て。擦り切れかけていた恨みを、ゴロツキに呼び覚まされてしまう女哀れ。

ロケ地

  • 金貸し殺しで捕縛された男の疑いが晴れて釈放の後、その男が金貸し宅に事件当時出入りと聞き込んできた八五郎が平次に注進に走る市中、今宮神社合祀摂社前。
  • 小伝馬町牢屋敷、大覚寺明智門
  • 殺されて見つかる、男の無実を証言した蕎麦屋、大覚寺五社明神裏手。

ゲスト 神崎愛、沢竜二、河原崎次郎


第9話 「蛇の目傘の女」 1991  54

 亡くなったはずの女が現れ、居座る異常事態。平気を装いしらを切り続ける男だが、平次の妙手が功を奏し、真実を語らせることに。

ロケ地

  • 駿州・岩淵へ派遣された八五郎がゆく街道、嵐山自転車道
  • 縁日にやってきた駿河屋「夫婦」を万七たちが見かける神社、上御霊神社。万七たちは境内石畳、お参りのあと御籤を結んだ場所を問われる「お栄」は本殿前。
  • 事後、夫婦でお参りの平次たちが南京玉すだれの芸を見る神社、上御霊神社楼門。二人は門をくぐって境内へ。

ゲスト 南條玲子、大出俊、田口計


第10話 「右の腕」 1991  

 殺し屋と思しき男が捜査線上に浮かぶが、利き腕を損じている上に女房持ち、どうにも物騒な人物に見えず。しかし平次が最初に抱いた疑問は当たっており、新たな死体ができあがる。

ロケ地

  • 女泣かせの遊び人が殺される夜の神社、女の子をからかって通るのは吉田神社竹中稲荷参道重ね鳥居下、殺し屋にやられる石段は三高碑へ通じる石段。
  • 同じ手口の殺しで万七たちが鰻職人・卯吉を調べた際、怪しい動きを見せたルート、大覚寺放生池堤五社明神本殿裏手塀際〜五社明神舞殿(扉をつけて絵馬をぶら下げ、絵馬堂に仕立て)。万七は絵馬堂内部を調べるが、誰もおらず何も見つからず。
  • お面を売る卯吉を見張る万七、今宮神社高倉下。平次が呼ばれて出張り、子を肩に乗せるのを見て不審を抱く。
  • 露店が風で倒れても右腕を使わない卯吉を見ていた平次、今宮神社高倉脇坂下。お面を拾ってくれた子らは坂を駆け上ってゆく。
  • 八が目を離した土砂降りの夜、加賀屋の若旦那に仕掛ける卯吉のくだり、大覚寺五社明神舞殿の「絵馬堂」へ入り、その足で遂行(殺しの現場はセット撮り、水を流して照らした道でぷっすり。蹴り倒して盆の窪にぶっとい得物を刺すところは「秀」そっくり)。この被害者の検分は大覚寺天神島、北辺水路際。
  • 卯吉が加賀屋の大旦那を狙うお祭りの神社、松尾大社本殿前。神輿に阻まれ大旦那に近づけない平次は舞殿にのぼり銭を投げ、卯吉の手を止め第二波でお面を割る。逃げた卯吉を仕留めるのは摂社前、遠景でお祭りが進行中。
  • 神社を出てきた平次に「自首」する、卯吉の女房の姉、松尾大社楼門

ゲスト 余貴美子、荒木しげる、佐藤恵利、中村錦司


第11話 「水底の鐘」 1991  

 夜毎訪れる奇妙な夢は、悲惨な過去の、きれぎれの記憶。お店乗っ取りを企む悪党の囁きから、過去を確かめずに居られなくなる娘を、平次が真実を暴いて助けてやる。

ロケ地

  • 甦る記憶に衝き動かされたおしのが無茶苦茶に撞く穀町の鐘撞堂、清凉寺鐘楼。
  • 墓あばきが出たり、娘のおしのが死因を確かめようとしてあばきかける結城屋の墓、西方寺小谷墓地。池を挟んで東西両方のアングルが出る。
  • 結城屋が死んだ根岸の寮、中山邸。門や参道のほか、無畏庵前の庭など映る。庭からすぐ見える位置の鐘撞堂は、沢ノ池堰堤上にあしらい。下から見上げのアングルも。
  • おしのが父の名を呼び佇む水辺、罧原堤下河原か。

ゲスト 奥田圭子、楠侑子、青木義朗、守田比呂也、西山嘉孝


第12話 「土蔵の中」 1991

 御用達の鑑札欲しさで亭主を顧みない女を、芝居仕立てで強引に反省させるプランは、容易く悪党に乗じられてしまう。

*ロケなしセット撮り。

ゲスト 加納みゆき、夏夕介、近松麗江、下塚誠、佐竹明夫、峰蘭太郎


第13話 「大捕物」 1991  

 継子が懐かず、亭主もよそよそしいと感じる後妻の前に現れた、昔の男。辛い日々を送ってきた女に差した光明はとんだまがい物だったが、トラブルは家族間のわだかまりを氷解させるのだった。

ロケ地

  • 泉州屋の後妻・しのの回想、仇討ちにゆく兵馬と別れた掛川宿のお堂、御室霊場。お堂手前に六地蔵あしらい、雨演出。
  • 兵馬と手下が入り込む泉州屋寮、中山邸通用門。出入りに参道も。
  • 突然寮を訪ねてきたしのを外に連れ出す兵馬、船を借りる約束を取り付けるのは仁和寺九所明神。戻り道のしのに誰と会ってきたか問う平次、二尊院紅葉の馬場

ゲスト 山口果林、横光克彦、三上真一郎、遠藤真理子、志乃原良子、福本清三


第14話 「盗まれた仏像」 1991  54

 工事請負の根回しに使うギフトは、好事家の老中が欲する黄金仏。しかしその仏は、犯行予告が出て厳重警戒中だった平次たちの目の前で、忽然と消えてしまう。

ロケ地

  • 京から光阿弥の仏像を運んできた松木屋の番頭が、浪人に言いがかりをつけられる夜道、広沢池東岸並木の東側の生垣。浪人が荷駄をぶちまけて行く水辺は東岸汀。
  • お絹が勤める茶店、神護寺毘沙門堂脇にセッティング。ラスト、弟が寄場へ送られるシーンでは石段や大師堂も映り込む。
  • お絹と同じ長屋に住む浪人が内緒で働く船宿、船着きは嵐峡
  • お絹の弟が仲間と儲け話をしていて、松木屋の用心棒に襲われる筵小屋、大沢池か。

ゲスト 高岡健二、吉川十和子、中野誠也、山本紀彦、玉川伊佐男、井上博一


第15話 「涙の殺人者」 1991  55

 誰が得をするのか考えれば、丸わかりの殺し。自訴して出た、犯人たり得ない娘のため、平次は奔走する。身代わり出頭のほか交換殺人も要素にあるが、主軸は家族思いの娘の情話。

ロケ地

  • 殺されて駕籠で運ばれ、大川の土手に投棄される松屋、嵐山自転車道
  • 犯行に使われた、盗まれた駕籠が見つかる林、下鴨神社池跡

ゲスト 若林志穂、遠藤征慈、高橋長英


第16話 「十二人の盗賊」 1991  55

 盗金の分配の段でトラブる「十二支組」、堅気の暮らしを続けるうち、かしらの親爺は金をお上に返そうという気になるが、欲深どもに通じる話ではなかった。
石原の利助の縄張りで事件が起こり、病の父に代わって娘のお品親分が出張るが、いいとこナシなうえ下っ引がヤバかったりして。

ロケ地

  • 蛇の刺青を消しに彫師を訪れた男をつけるお品親分、大覚寺勅使門橋大沢池堤(八の制止を聞かずお品が仕掛け、男は池に飛び込んで逃れる)
  • 夜、こっそり平次宅を出て店に戻るおさん(かしらの娘)大覚寺五社明神。鳥居の東側に店を設営、けっこう大掛かり。
  • お宝を隠してあった神社、鳥居本八幡宮。石段中ほどにブツが埋まっている設定、立ち回りは広場で。利助立会いのもと掘り返しの段では、御用提灯がずらりと境内を埋めていて圧巻。

ゲスト 長山洋子、栗田陽子、樋浦勉


第17話 「二度消えた千両箱」 1991  55

 法外な供養料は、悪党の欲を刺激。金を奪った大胆な経緯を解いてゆく筋立てに、万七にしょっ引かれてしまう気の毒な男女をからめ、彼らの仮祝言でめでたく締める。

ロケ地

  • 供養料・三千両が消えた谷中の寺、粟生光明寺。八五郎が万七に経緯を聞くのは石段上部、「本堂」は阿弥陀堂、飯焚きの婆さんが拭き掃除をしているのは渡廊。
  • 寺の墓に埋められていた石くれ入りの金箱、二尊院墓地か。
  • 供養料を運ぶ途中休んだ茶店の裏手、掃き出し窓から見える水路、不明。
  • 頑として吐かぬ春木屋の番頭に、金箱発見を見せつけるくだり、保科同心が連行してゆく橋は中ノ島橋、釣り船を出している平次は中州掘割湛水域。

ゲスト 土田早苗、丹波義隆、頭師孝雄、高梨亜矢、弓恵子、丹古母鬼馬二、田中浩、阿波地大輔、勝野賢三


第18話 「ギヤマンの謎」 1991  

 大店の娘が次々怪死を遂げる事件は、果たして財産狙い。舎密の勉強までして真相をつかんだ平次は、最後の一人が殺されようとする現場へ。

ロケ地

  • 平戸屋の末娘が死体で見つかる目黒不動の滝、琴滝滝壺。
  • 末娘の供養のため泰叡山に建てられたお堂、大堰川河川敷か(堂の裏手は竹林主体の林。お堂は後段、次女が中にいる時に爆発炎上)。お堂近く設定で出る苔庭は中山邸の庭か。
  • 万七から庇ったあと、長姉と話す平次、仁和寺中門(北望・南望両方のアングルあり)
  • お堂を窺う男を追った平次が囲まれて大立ち回りの市中、大覚寺五社明神
  • お堂へお籠りに行く長姉と次女が言い争う竹林、わらびの里か。
  • 長姉が恋人と忍び会う祠、大覚寺天神島

*トリックは、冒頭出る奇術師の大道芸で黙示される。てっきり悪事に加担と見えた火野正平はただの変人。蘭語で十数えるのがかっこイイ正ちゃん、「een,twee,drie,vier,vijf,zes,zeven,acht,negen,tien!」。
*スペシャル拡大枠

ゲスト 片平なぎさ、内藤剛志、左時枝、出光元、下元勉、立川三貴、高城淳一、山崎美貴、吉田友紀、中尾麻祐子、火野正平


→ 北大路欣也版 銭形平次 表紙


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