女の花道

沢島忠監督作品  1971.11.20東宝


 美空ひばり芸能生活25周年記念映画。
不幸な出自を持つ少女は、続く不遇に耐え抜き、やがて天賦の才を花開かせる。嫁ぎ先の檻が彼女を涸らし、一時生ける屍と化すが、禁門の変の砲声が見せた幻により、ミューズは再臨する。

金戒光明寺本堂

ロケ地

  • 日御碕の海崖、稲佐の浜、不明(マジ海、海岸段丘と砂浜)
  • おばばの回想、ボロボロの孤児だった幼いおきみを拾った砂丘、鳥取大砂丘か。巧みな舞で天才と賞賛を浴びる神社、不明(演者は舞殿上、背景に本殿)。里の子らに苛められるおきみ、不明(池端)
  • 日御碕の旦那の申し出を蹴り故郷を出るおきみとおばば、参拝する出雲大社は本物(遠景、吹き替えかも)
  • 旅ゆく日々、草原の丘は不明。乞食は出て行けと追われる村、嵯峨鳥居本愛宕参道鳥居下、追われた二人は六丁峠へ通じる道のほうへ。雨宿りの橋、流れ橋下。稲穂の海のなか念仏踊りを舞うおきみ、木津堤外地の田んぼか。圭さんに薬を貰う渡し船、宇治川か(流れは瀞、堤に並木)
  • 京入り、イメージに清水寺全景。念仏踊りを舞う橋たもとは渡月橋(鴨川設定か)
  • おばばを亡くしたおきみが一人ゆく道、北嵯峨竹林か。鼓の音に惹かれ迷い込む、丹後が舞う二条宮の舞台、大覚寺観月台
  • 丹後の駕籠の前に出て弟子入りを懇願するおきみ、上賀茂神社ならの小川畔。丹後の屋敷、不明。丹後宅に住み込んで半年に挿入されるイメージ、保津小橋か。
  • 先輩を押しのけて選ばれ、二条宮の宴に舞うおきみ、仁和寺南庭。勅使門が映りこみ、宮様方は書院前縁に。
  • 代稽古帰りのおきみをつかまえ、彼女の舞についてネガティブな批評をまくしたてる篠原流家元・文二郎、金戒光明寺長安院下坂
  • 酷暑を避け貴船で芸者と遊ぶ文二郎、貴船川床。そこからおきみに呼び出され赴く河原は柊野堰堤下。
  • 燈籠流しでおばばに文二郎を「紹介」する河原、桂川か(礫河原)
  • 文二郎と行ったおけら参り、祇園さんそっくりのセットか(長州藩士だった圭さんと再会、後段でも登場)
  • 文二郎の屋敷(篠原流家元邸)、不明(おきみと祝言の段、幔幕張り)
  • 禁門の変で焼け出された被災者が集まる御救小屋、金戒光明寺本堂。被災者を励ますため歌い踊るおきみは本堂基壇〜石畳。煙上がる市街を望む図は合成、甍はくろ谷か否か不明。設定は東山山麓。

 おきみは美空ひばり、出雲の勧進巫女→志摩流丹後門下の狂言師→篠原流家元の女房、と変遷。幼いおきみを拾った歩き巫女のおばばは北林谷栄、頑固でキタナイ感じが○。十六歳になったおきみを妾にと目論む日御碕の旦那は香川良介。おきみの念仏踊りを見て感激、理屈をこねて褒める薬売りの圭さんは大出俊、後段再登場の際は本来の長州藩士・中川圭之進で。おばばを亡くした旅人宿で出会った人々、店出しの晴れ着を見せに来た舞妓・小富美は野川由美子で芸妓として文二郎がらみで再登場、その父の猿回しのアル中親爺は辰巳柳太郎、小富美に皮肉を言いおきみに卵を呉れる同宿の女は森光子・おきみが母を感じる運び。志摩流家元・丹後は杉村春子、おきみのシャドートレーニングを見て抜擢。丹後らアーティストのパトロンの二条宮は伊志井寛、おきみは恐れげもなく「おじいちゃん」呼ばわり。おきみが舞う二条宮の宴に同席し時勢を嘆く嵯峨宮は黒川弥太郎。丹後邸の隣に住まう友禅師の茂平は中村賀津雄、おきみを憎からず思う。丹後邸での修行時代からおきみを見ていて親しむ豆腐屋の青年は香山武彦。おきみを娶るも、姉との確執もあり疎遠になってしまう夫・文二郎(篠原流家元)は田村高廣。


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