宮本武蔵

1975-1976年、関西テレビ/歌舞伎座テレビ

キャスト
宮本武蔵/十代目市川海老蔵(十二代目市川團十郎) お通/小林由枝 お吟/入江若葉 お甲/吉行和子 朱実/沢かおり 又八/目黒祐樹 お杉/任田順好 沢庵/田村高廣 佐々木小次郎/浜畑賢吉
*この他の登場人物は各話に記述
原作/吉川英治、音楽/岩代浩一、ナレーター/宇野重吉
監督/池広一夫ほか、脚本/加藤泰ほか


第1話 「青春の関ヶ原」 1975.10.7

 狭い田舎に倦んだ青年・たけぞうは、親友と語らって出奔。しかし一旗上げようとした戦場で運命に裏切られ、落ち武者として彷徨ったすえ辿り着いた家は、友を奪い去る艶婦の棲処だった。

ロケ地

  • 川中で取っ組み合いのたけぞうと又八、大堰川か(幅の広い、水量の豊かな早瀬)
  • 七宝寺、西明寺。山門のほか、本堂縁先など境内も使われる。
  • 出奔した弟を捜すお吟、渡る橋は不明(仮設っぽい木橋)
  • 寺から失敬した鶏を焼きつつ、隠していた武器を出して分配するたけぞうと又八、保津峡落合河口の巌。
  • 東西いずれに付くか話しつつゆく山道、不明(切り通し、谷川)
  • 又やんに置いていかれたたけぞうが岩を掴み登る山、湖南アルプスか。

*お甲に言い寄る野伏のかしらは藤岡重慶。


第2話 「暴風雨の千年杉」 1975.10.14

 故郷へ戻るも、身の置き所なく逃げ回るのみのたけぞう。手負いの獣を人に戻す沢庵だが、行く道を選んだ「武蔵」は、待っていてくれた女を捨てて逃げる。

ロケ地

  • たけぞうが無理やり突破する村の入口の関所、不明(山道)
  • 花祭りで賑わう七宝寺に現れ騒動を起こすたけぞう、西明寺。山門のほか、本堂縁先に釈迦誕生仏を設置。
  • たけぞうが現れ、役人に追われていることをお吟に知らせに走るお通、民家塀際
  • 本位田の婆と権叔父がゆく田畔、不明(はさ木あり)
  • たけぞうに殺られた兵士が屍を晒す村中、民家塀際
  • 千年杉から解放され、姉の居場所を知ったあと、お通を押し倒す(未遂)たけぞう、酵素か。
  • 姫路城下はずれの花田橋(たもとに竹細工の店)中ノ島橋。店の窓から姫路城天守が見える趣向。
  • お通から逃げた武蔵が走る河原、大堰川か桂川か。

*池田の殿様は伊藤孝雄、姫路から出向の役人・青木丹左衛門は汐路章。


第3話 「挑戦・吉岡道場」 1975.10.21

 入洛した武蔵は、評判を聞いて吉岡道場へ。若先生と試合うことはなかったものの、遺恨を残す。又八が武蔵の今を知るほか、憎悪の塊となった婆が突っかかってくる。

ロケ地

  • 大坂付近にはびこる野伏を斬り伏せる山、不明(湖南アルプスか砕石場か)
  • 京イメージ、擬宝珠付きの橋は三条大橋。塔は東寺の塔。
  • 吉岡道場、随心院長屋門。後段、武蔵の名を聞いてやって来た又八が潜むシーンでは拝観口。
  • 京を目指すお通がゆく川べり、大堰川か(河原は礫)
  • 己の強さに思い上がるなと自省する武蔵、京の町を眺める高み、不明。
  • 本位田のお婆に挑まれてしまう境内、大覚寺閼伽井裏付近。逃げる武蔵、大沢池畔〜野道(不明)

*吉岡清十郎は宗方勝己、藤次は柳沢真一。若先生の留守中に武蔵と試合い斃れる弟子は唐沢民賢、留守を仕切った弟子は五味竜太郎。


第4話 「決斗・般若坂」 1975.10.28

 幼い弟子を得た武蔵は、京から奈良へ。宝蔵院流の門を叩くも、またまた血腥い結果となり不穏な空気が満ちるが、それは武蔵に箴言をくれた老僧の仕込みだった。

ロケ地

  • 黙って発った武蔵に追いつき縋る城太郎のくだり、酵素ダート〜河川敷。
  • 吉岡道場へ使いにゆく城太郎、随心院長屋門
  • 城太郎が又八に会いにゆくくだり、朱実と話す店の裏の川は大堰川か。
  • 城太郎が荷駄に乗りらくちん道中の街道、不明。
  • 酒肆でお通の難儀を救ったあと同道する庄田、不明(山道か谷地田か)。このあと城太郎が道連れに。
  • お通たちと別れる城太郎、渡し場は大堰川か。
  • 叩門者芳名録に署名する武蔵、宝蔵院道場入口は随心院大玄関
  • 武蔵を呼び止め賭試合に誘う牢人たち、大覚寺心経宝塔前。
  • 柳生さして巨杉の並木をゆくお通と庄田、高山寺か。
  • 宝蔵院流の胤舜と立ち合う般若坂、不明(切り立った崖の下が荒地、湖南アルプスか砕石場か)

*城太郎は吉岡靖彦、2話で出た役人・青木丹左の息子設定。武蔵を泊める能面師の未亡人は八木孝子、泥眼の面をくれる。お通を助け、柳生の里へ誘う庄田は牧冬吉。宝蔵院流の胤舜は北上弥太朗、武蔵に倒される弟子は伴勇太郎、隣の寺の住持・日観は中村鴈治郎。奈良に巣食う牢人衆は志賀勝、阿波地大輔、浜伸二。


第5話 「死を賭けた野望」 1975.11.4

 柳生へやって来る武蔵、そこには吉岡の次男坊も来ていたが石舟斎の掛けた謎を見逃し、たまたま芍薬を手にした武蔵が切り口の非凡さに気付く。しかし石舟斎は大きく、身の程を覚った武蔵はお通を避けて当地を去る。

ロケ地

  • 柳生谷の山なみ、谷川、不明。
  • 吉岡伝七郎たちが門前払いを食う城門、彦根城天秤櫓。この前に城イメージで佐和口多門櫓。
  • 吉岡のもとへ使いに来て帰りのお通が城太郎に声をかける谷川、不明。
  • 伝七郎たちが武蔵を押し包んで斬ろうとする野原、酵素河川敷。「木」も映り込む。
  • 返事の遅いのに焦れた城太郎が庄田の名を喚く城外、彦根城石垣際。
  • 柳生の門弟たちが武蔵を招き入れる新陰堂、彦根城天秤櫓(部分、上部)。諜者と疑われ牢に入れられかけ逃げた武蔵が身を躍らせる石垣、彦根城か。
  • 石舟斎の庵前に立つ武蔵、中山邸門。茶室はセット。
  • お通が武蔵を追ってゆく山道、不明(巨杉の林、下の谷川に武蔵が身を隠す)

*伝七郎は長谷川明男、石舟斎は宇野重吉。


第6話 「小次郎登場」 1975.11.11

 ひとり山中で黙々と修行に励む武蔵、下界では煩悩の鬼どもが蠢くが、孤高の剣士もまた「業」に囚われていた。

ロケ地

  • 大御所が盛んに城普請、のナレーションに被る江戸城イメージ、彦根城天守
  • 又八がバイトに入っている伏見城の普請場、大坂城。導入は天守下の刻印石広場、諜者が追われるくだりは大坂城大手口裏側から多門櫓付近。
  • 伊勢の山中で滝行の武蔵、菩提滝
  • 又八が八十馬に騙され門前で待ちぼうけの武家屋敷、相国寺大光明寺
  • お婆に見つかって捕まり、ガミガミやられる又八、不明(切り通し山道)
  • 藤次が佐々木小次郎と事を構えるくだり、出会う渡し場の茶店は大覚寺大沢池畔。髷を切られるのは天神島
  • おばばの悪口に辟易した又八が逃げ去り、権叔父が入水した朱実を助けて頓死する浜、琵琶湖岸。
  • 船でゆく小次郎を見かけた吉岡の門弟たちが船をつけさせる水辺、大堰川か。清十郎と小次郎が対峙する並木、神社参道か。
  • 小次郎を招じ入れる吉岡道場、随心院長屋門
  • 道場の金を持ち逃げした藤次がお甲とゆく街道、大覚寺大沢池堤
  • 宿を貸してくれた綿貫一心、彼を斬った宍戸梅軒に会うため鈴鹿山中をゆく武蔵、不明(山道)。滝上から武蔵を見るシーンは菩提滝滝上から見下ろし。

*又八から金を巻き上げる八十馬は小島三児。伊勢山中に隠棲する老剣客・綿貫一心は岩田直二。


第7話 「くさり鎌と風車」 1975.11.18

 鎖鎌の使い手・梅軒に会う武蔵、歓待されるが罠。なんたる奇縁か、たけぞう時代に撲殺した男が梅軒の兄なのだった。危機を察し逃れた武蔵は、梅軒を殺せたが手にかけず去る。

ロケ地

  • 鈴鹿山中をゆく武蔵、山道や谷川、不明。内江村の梅軒宅、酵素か。
  • 梅軒の立ち回り先の松阪・荒木田神社へ赴く武蔵、不明(石畳の坂を上がると本殿、隣接する建物との間に渡廊があり、お通が笛を吹く)
  • お通の姿を見て乱れた心を鎮める滝、菩提滝。ここへ水を汲みにきた沢庵と邂逅。
  • 沢庵と連れ立って赴く寺、西寿寺。石段越しに本堂甍を望む図。兄の墓参にやって来た梅軒と、それと知らずすれ違う趣向。墓地も同所か。
  • お通が沢庵に遭遇し武蔵の消息を聞く茶店、不明(坂の途中にあしらい、奥は谷地田)
  • 坊への土産に風車を求める梅軒、北嵯峨か。武蔵が梅軒を呼び止め教えを乞う山道、不明。立ち会う野原、山腹の薄原。
  • 梅軒が手下に武蔵襲撃を指示する河原、清滝か。手下たちが逃げた武蔵を追うくだり、酵素降り口の坂から河川敷を林越しに見た図。

*宍戸梅軒は小池朝雄、女房のお紋は磯村みどり、梅軒に挑みに来てお紋にやられる男は国一太郎。荒木田神社宮司は中村錦司。


第8話 「宿敵の二人」 1975.11.25

 果し合いの約定を果たすべく、武蔵は京へ。しかし、当の相手と戦う前に、生涯の宿敵となる予感を抱かせる男が、ちらちらと周りをうろつくのだった。

ロケ地

  • 京入りの武蔵が渡る五条橋、渡月橋(上流側からシルエット、松の枝を左方に入れてある)
  • 武蔵入洛を知らせに道場へ駆け入る吉岡の門弟、随心院長屋門
  • 笛の音に足を止める武蔵、相国寺大光明寺南路地。武蔵は心の迷いと振り切るが、烏丸大納言邸にお通が滞在中。笛を吹くお通は大光明寺方丈縁先、石庭を映し込んだ絵や、座敷の中からのショットも(庭が全く映らず塀が来ていて面白い構図)
  • 本位田のお婆が朱実とばったり会い、詰り打擲する道、不明(暗い林)。このあと朱実は虚無僧の丹左に拾われる。
  • 小次郎に狩りに誘われるも途中で踵を返す清十郎、その姿を見て身を隠す朱実、その後足を傷つけて小次郎に助けられるくだりは広沢池北東岸(他の竹林や、酵素と思われる林と組み合わせ)
  • 果し合いの下見に来た清十郎に、武蔵を相手にするのは止めるよう忠告する余一兵ヱ、酵素河川敷。
  • 又八と約した五条橋にやって来る武蔵、渡る橋は渡月橋、橋下の情景は流れ橋(橋脚のシルエットのみ映し込み、川辺のシーンは木津河原/去ってゆく小次郎を見る武蔵のシーンは桂川畔かも)

*吉岡の門弟・余一兵ヱは青木義朗。


第9話 「対決の蓮台寺野」 1975.12.2

 兵法者の意地から、ただ一人で武蔵に立ち向かった男は空しく破れ、その弟は復讐に燃える。対決の後苛立ち荒れる武蔵は、本阿弥光悦と出会う。

ロケ地

  • 蓮台寺野、酵素河川敷。吉岡の門弟たちが清十郎の通過を待つ林は不明(勝敗が決した後、小次郎が清十郎の腕を斬りおとすのも同所)
  • 試合後、苛立ち草を嬲る武蔵を見て慄く老婆、酵素河川敷叢。息子の光悦がスケッチをしているのは川べり。
  • 光悦邸、不明(萱葺きで壁は細竹編み、斬り捨て御免1話のアレか)
  • 吉岡道場、随心院長屋門
  • 又八が朱実を見て声をかける町角、上賀茂神社ならの小川畔。又八は校倉の縁下で寝ていて、小次郎から逃げてきた朱実を見る運び。
  • 小次郎が語る、燕返しを編み出した錦帯橋下の河原、大堰川河川敷。
  • 小次郎にとっちめられ晒されていた又八が、お婆に救われ餅を貰うお堂(?)上賀茂神社奈良社。
  • 光悦邸を出て裏山を散策する武蔵の前に立ち、京を去ってくれるよう頼み込む清十郎、酵素・木の傍。

*光悦は神山繁、母の妙秀は岡島艶子。


第10話 「白刃の道」 1975.12.9

 気遣う者あり、命がけで阻む者あり、しかし挑まれ続ける運命は変わらず。一方、お婆の依怙地がお通を危機に陥れる。

ロケ地

  • 光悦邸、9話と同所。吉岡の門弟が武蔵を捜しにやって来るシーン。
  • 本位田のお婆が又八にお通殺害を示唆するくだり、御室霊場石橋、鹿野園法輪塔脇。
  • 吉岡道場、随心院長屋門。朱実が小次郎に見つかり迫られるのは拝観口スロープ脇。
  • お婆がお通を騙し連れてゆく地主権現、御室霊場参拝路。復縁を拒否された又八が切り付けるのはお堂前。お通が落ちる崖は不明、落ちた先は酵素河川敷。
  • 道場を出て蓮華王院へ向かう伝七郎たち、相国寺大光明寺南路地

*烏丸大納言は平井昌一。


第11話 「決闘三十三間堂」 1975.12.16

 立て続けに道場主を倒された一門は、憎悪を滾らせ武蔵を追う。中座していた廓に戻った武蔵は、吉野太夫に手厳しい諭しを受けるのだった。

ロケ地

  • 伝七郎と門弟が待つ蓮華王院裏、上賀茂神社北神饌所。ここへ近づく武蔵がゆく夜道はならの小川畔。
  • 吉岡道場、随心院長屋門
  • 島原遊郭を出た武蔵がゆく町角、相国寺法堂前回廊脇。城太郎が駆け寄るのは鐘楼、約束していた柳馬場か。お通に会ってとせがむも置き去られるのは大光明寺南路地、城太郎の泣き声を聞きつけたお通が出てくるのは大光明寺南通用門。去ってゆく武蔵、墓地(六地蔵映り込み)

*伝七郎の叔父・壬生源左衛門は竜崎一郎、灰屋紹由は伊東亮英、吉野太夫は松坂慶子。


第12話 「一乗寺の決闘」 1975.12.23

 斬り死にする悪夢を見つつ、武蔵は吉岡一門が待ち構える対決の場へ。いたいけな幼児の犠牲を皮切りに、死闘は果てしなく続く。

ロケ地

  • 武蔵の悪夢に出てくる薄原、不明(山の斜面)
  • 武蔵が地形を下見に行くくだり、山道や遠見する谷地田は不明、体を洗う小川は酵素河川敷。百姓夫婦やその子を怯えさせたことにショックを受け走るのも酵素。
  • 吉岡一門打ち揃って参拝の神社、今宮神社本殿。今度の対決の噂をする侍たちが酒を飲むのは舞殿上、茶店に見立ててあり柵越しに本殿を望む。
  • 吉岡道場、大覚寺明智門
  • 対決の朝、北野の木賃宿を出た武蔵がゆく道、下鴨神社泉川畔。小次郎が現れて人数を問う林は糺の森、設定は鴨の河原近く・河原町今出川付近。
  • 一乗寺下り松、不明(山裾の棚田か。大きな一本松あり。泥濘の田も)
  • 一乗寺へ赴く前に武蔵が参る神社、不明(山裾、参道は坂で石段途中に鳥居)

*一門との死闘の最中、無我夢中で二刀流を使い始める次第。


第13話 「剣の道と恋の道」 1975.12.30

 幼な子を斬ったことで忌避される武蔵、兵法だったと頭では割り切るものの、心は自責の念に苛まれる。無責任で迷惑な外野によるストレスは極まり、武蔵は咆哮する。

ロケ地

  • 死闘ののち、谷川を下る武蔵、不明(山中の渓流)
  • 籠って贖罪の観音像を彫る、比叡山南麓の不動寺、西明寺。山門に表札がかかっているほか、法師が押しかけてくるシーンは本堂縁先。
  • 叡山をおりた武蔵がゆく薄原、不明(12話の夢で出たススキ原、ススキ群落の脇の林も映る)
  • 朱実と又八が滞在している峠の茶屋、不明(山道に茶店あしらい、武蔵がやってきて又八と話すのは眺望のよいピークか)
  • 一乗寺の決闘の話で盛り上がる侍たちに武蔵の悪口を吹き込む小次郎、琵琶湖西岸松原に茶店仕立て。
  • 武蔵の文を見て会いに飛んでくるお通と城太郎、琵琶湖西岸・舞子浜汀。設定は瀬田の湖畔、三人が発つシーンでは松原も。
  • お通が武蔵といるのを見て悪心を起こした又八がゴロツキを雇う野原、酵素河川敷・木の傍。
  • 武蔵がゴロツキを蹴散らす女男(めおと)の滝、琴滝。武蔵咆哮シーンは滝中ほどの祠傍で。滝の名は道標に原作通り表記されているが、小説に描かれたように二条の滝ではなく、ざーっと落ちるいつもの琴滝。

*武蔵に退去を求めにやって来る荒法師たちのリーダー格は小田部通麿、住持は市川男女之助。


第14話 「秘剣!棒術破り」 1976.1.6

 武蔵の惑いは、三人をまた散り散りに。兵法者として挑まれ、零落した者からは妬まれ、若き求道者に安楽の時は訪れない。

ロケ地

  • 馬籠峠の滝をあとにした武蔵たちがゆく街道、不明(大木の並木、お通と城太郎は遅れて歩く)
  • 武蔵が大蔵宛の捨て札を置く塩尻峠、不明。そこに記した約束のお堂、不明(古めかしい、花頭窓のあるお堂)
  • 追いついてきた権之介から逃げるものの、老母にも出てこられてしまう谷川、天神川(若布谷河口付近)。立会いの河原は広河原で、堰堤を使用したショットもある。
  • 追い剥ぎ牢人たちに襲われる谷、保津峡落合。落下岩のある崖で岩石落としに遭う。
  • 牢人たちの首領をしていた藤次の家、酵素河川敷か。藤次らと立ち回りの林は紅葉。
  • 権之介と老母に別れを告げ去る武蔵、湖南アルプス(山道)

*杖術使いの夢想権之介は市川段四郎、倅を叱咤する老母は高杉早苗。城太郎を連れていった奈良井大蔵は須藤健、牢人たちは出水憲司や白川浩二郎。


第15話 「ふたり武蔵」 1976.1.13

 剣名が騰がれば、とんだ騙り者も出る。ニセ武蔵を討つ騒ぎには、妄執の老婆のほか、武蔵を慕う女たちも寄ってくる。その頃、当の武蔵は片田舎で思索の道に入ろうとしていた。

ロケ地

  • 小幡道場の門弟がニセ武蔵に斬られる河原、大堰川河川敷。
  • 小幡道場(甲州流軍学)相国寺大光明寺式台玄関。
  • 泥鰌を獲る少年に声をかける武蔵、北嵯峨か(武蔵が立つのは小さな土橋、背後は竹林)
  • 大蔵と街道をゆく城太郎、ついてゆくのをグズる道、不明(先に出た「土橋」と植林地の山を組み合わせ)
  • ニセ武蔵と山中甚助が斬り結ぶ町角、下鴨神社河合社塀際。後段、密約を交わす際の玉垣は三井社か。
  • ニセ武蔵から果し状が来て師範代との勝負になる河原、大堰川河川敷。

*小幡道場の師範代は沼田曜一、ニセ武蔵を使って彼を消そうとする門弟・山中は和崎俊哉、病の床にある道場主は明石潮。病の妻のため騙りをはたらく牢人は佐々木剛。本位田のお婆が頼る半瓦の親分は天王寺虎之助。伊織少年は佐藤宏之。


第16話 「死闘!七対一」 1976.1.20

 伊織と暮らす日々、村長との齟齬や野伏との戦いを経て、荒野に芽吹きが訪れたとき、観音像と箴言を残し、武蔵は村を去ってゆく。

ロケ地

  • 伊織と暮らす小屋、不明(山上に設営?)
  • 野伏らが雨宿りの神社、不明(本殿の縁先)
  • 徳願寺、丹波国分寺。門のほか境内も。
  • 野伏が村へ入ってくるのを目撃する伊織、不明(田畔、背景に竹林)
  • 野伏たちの前に立ちはだかり膾となる源右ヱ門、若森廃橋上。
  • 思わぬ強敵の出現に協議する野伏たち、不明(小丘)
  • 村を出た武蔵と伊織が江戸へ向かう街道、不明(野道か河原か、一部に礫)

*野伏のかしらは川合伸旺、弟は北野拓也、手下に西田良。村長は浜田寅彦、対立する源右ヱ門は長谷川弘、彼らの子で恋仲の二人は森川千恵子と伊吹新吾。たまたま来合わせた徳願寺の大旦那・長岡佐渡は大友柳太朗、和尚は永野達雄。


第17話 「血風!燕返し」 1976.1.27

 江戸入りした武蔵は、柳生との手合わせを望むが、アクシデントで果たせず。そして、目の当たりにしたライバルの必殺技に、闘争心は滾る。

ロケ地

  • 小次郎が荒らしに来る小幡道場、相国寺大光明寺。看板を叩き割られる段で門、怒った弟子たちが出てくるのは南通用門、小次郎とのチャンバラは南路地で。
  • 石舟斎の平癒を祈るお通、今宮神社摂社。兵庫助が野駆けに連れ出す葦原は西の湖か。
  • 小次郎に柳生屋敷への道を聞く伊織、下鴨神社泉川畔。
  • 柳生邸、相国寺林光院。宗矩が出仕から戻る段で門(内側から)と式台玄関(後段、武蔵が訪ねて来るときも同所)。兵庫助を茶室に呼びお通のことを話す宗矩、白紗村荘問魚亭(開口部から倚翠亭が見えている。お通の笛を聞きながら型を使う兵庫助は切石橋でお通は問魚亭)
  • 柳生庄へ急ぐ兵庫助たちと武蔵がすれ違ってしまう林、下鴨神社糺の森。池底を使ったアップダウン表現も。
  • お通の思い人が武蔵と知り、戻るよう促す兵庫助、広沢池東岸池底(水無)。茶店あしらい、渡し場か。
  • 燕返しを見て猛烈なトレーニングをはじめる武蔵、竹林は北嵯峨か。

*兵庫助は川口恒、宗矩は御木本伸介。光悦の弟子の研師は今福正雄。


第18話 「対決!唐人剣」 1976.2.3

 剣名が上がると、妙な話も舞い込んでくる。夫の仇を死も覚悟して討ちたいと願う女は、昔の恋を清算するために兵法者を利用したのだった。

ロケ地

  • 道場荒らしの意趣返しに玄心を狙う三兄弟、流れ橋。戦いは橋上で、橋下の河原で武蔵と伊織が凝視する。
  • 宇都宮へ向かう武蔵と伊織が飯を食う河原、木津河原。葦茂る河原や、玄心が魚を斬ったりする汀など。橋は一切映さず、河床の棒杭は有りものか。
  • ぬいの待つ旅籠へ入ったあと、一手指南を頼まれる林、下鴨神社池跡
  • ぬいの回想、子竜に連れて逃げてとせがんだ野原、酵素か。物思うぬいが佇む川は下鴨の泉川か。
  • 玄心が武蔵に挑み片腕を落とされる林、下鴨神社糺の森
  • 子竜と対決の海雲寺、萬福寺開山堂。勾欄や山門が効果的に映り込むのはもちろん、ランダムな石畳に倒れ伏す男女が印象的。

*ぬいは倉町章子、高子竜は佐藤允、自称弟子の雲水・玄心は内田勝正。三兄弟の兄は森章二。


第19話 「二刀流開眼」 1976.2.10

 修行の旅では、かつて対決した相手との再会あり、また心ならず離れ離れになった「弟子」とのすれ違いが。承知の上の勝負とはいえ、残されて泣く者の哀れを、重く受け止める武蔵だった。

ロケ地

  • 梅軒がお宝番をつとめる三峰神社、不明(高木まじる社叢、舞殿は檜皮葺き、鄙びた古社)。梅軒が鳥を獲る野原も不明。
  • 伊織が梅軒の子・小太郎を拾う小川、酵素河川敷。母のお紋が来て礼を言うのはどこかの寺の無縁仏脇か。
  • 梅軒らが仕掛けた罠に伊織がかかってしまう山中の道、不明(武蔵は呼ばれてお堂から出てくる)
  • 小太郎をさらった山の五郎左の小屋、酵素河川敷に小屋あしらい。
  • 恩讐を越えて武蔵に挑む梅軒、対決の明神林へ行く道は赤山禅院十六羅漢脇、対決の林は西池端の起伏地か。
  • 当地を去る武蔵、不明(植林杉の林道)

*城太郎は大きくなって登場、役者は比嘉辰也にチェンジ。梅軒を雇う禰宜は寺島雄作、梅軒の手下の荒くれは有川正治や堀北幸男、神社を狙う野伏の山の五郎左は守田学。


第20話 「青雲の涯て」 1976.2.17

 梅軒を倒した経緯が誤解され、投獄されてしまう武蔵。彼には様々な方面から助け手が伸びてくるが、尾羽打ち枯らした「友」は闇に堕ちかけていた。

ロケ地

  • 子宝を祈願する朱実、相国寺宗丹稲荷。待っていた又八が小野道場の門弟にとっ捕まるのは鐘楼脇。
  • 小野派一刀流道場、相国寺大光明寺。又八を取り戻して帰ってきた小次郎が朱実とのことを聞く道、南路地。
  • 伊織と城太郎が斬りあっているところへ行き合わせ介入する沢庵、広沢池東岸
  • 沢庵が滞在する寺、西壽寺。石段越しに本堂を望む図のほか、又八を括るのに鐘楼が使われる。
  • 伊織を乗せて川越へ急ぐ主馬が馬を駆る街道、北嵯峨農地・竹林際。

*武蔵を疑い投獄する川越代官は伊達三郎、武蔵の無実を信じ礼を尽くす役人・主馬は三上真一郎。小野一刀流の道場主は溝田繁、師の敗北に激昂し窘められる門弟は木村元、道場主の娘は人見ゆかり。沢庵が武蔵釈放のため会う老中は小林重四郎。女郎屋に戻ってしまった朱実に取り縋る又八をシメる亡八の一人に福ちゃん。


第21話 「栄達の門」 1976.2.24

 能力が認められ、遂に来た士官の口は大物。しかし、切れぬしがらみが出世の道を塞ぐ。安穏の日々はまた遠のき、武蔵は一人荒野をゆく。

ロケ地

  • 嵐で倒壊してしまう武蔵の庵、酵素河川敷。小川や「木」も映り込む。
  • お光と小次郎の後朝の道、吉田神社竹中稲荷参道重ね鳥居下。寅之助が現れ嫌味まくり。
  • 寅之助が小次郎を討とうとする鬼人ヶ原、不明(山中のススキ原)
  • 新蔵が迎えに来て三人でゆく野道、北嵯峨農地か。後段、街道をゆく小次郎が耕作中の武蔵に嫌味ったらしく行き先を告げるシーンも同所か。
  • 柳生屋敷を出てゆくお通、随心院長屋門。街道は流れ橋木津堤
  • 将軍家指南役の内意を受けた武蔵が入る伝奏屋敷の門、随心院薬医門
  • 伊織たちのもとへ戻らず野をゆく武蔵、不明(葦原)

*新蔵の父の安房守は志摩靖彦、武蔵採用に反対する本多正信は玉生司郎。
*武蔵不採用の事由は関ヶ原における豊臣残党なこと、12歳の少年を殺したこと、仇持ちなこと←本位田の婆の訴状が正信に届いている…お杉婆しつこすぎ。


第22話 「雪姫無残」 1976.3.2

 トラウマである「少年」をむざと死なせ、忸怩たる思いの武蔵。せめて遺志をと、託された密書を届けるが、受取人の女性も武蔵に衝撃を与えて去るのだった。

ロケ地

  • 伝奏屋敷を出たまま放浪の途につく武蔵、山道は北山杉の林道、佇む海辺はマジ海。雨宿りして老巡礼に会うお堂は大覚寺護摩堂
  • 石舟斎の墓に額づく武蔵、不明(五輪塔等多数)
  • 九度山中、使命を帯びた少年・次郎丸に道を聞かれる武蔵、保津峡落合河口汀。少年が山伏に襲われ落ちる崖、落下岩。
  • 「姉」のお通と行き違いになったと聞かされる伊織、柳生イメージに彦根城天守下部。姉のことと武蔵の行き先を聞く屋敷の門は不明(中に庫裏が見える)
  • 雪姫のいる女人堂、不明(祠か)
  • 真田館へ行く途中、姫を隠す小屋、酵素河川敷。真田館、不明(塔頭か)
  • 姫を害し「密書」を奪った山伏たちを斬る武蔵、保津峡落合
  • 再び旅ゆく武蔵、海岸はマジ海。

*雪姫は本阿弥周子、小西行長の娘設定。真田幸村は長門勇、息子の大助は大竹修造。山伏の首領は波田久夫、実は関東の隠密。元信州の砦の主だったという老巡礼は岩田直二。


第23話 「二刀も一刀」 1976.3.9

 人を斬る剣に懐疑を抱き続けた武蔵は、抜け出せぬ迷い道に入ってしまう。或る日見かけた禅僧にしつこく縋り、やっと得た答えで二刀流は不動の剣に。

ロケ地

  • 伊織が水を飲む小川、行き倒れて旅の親子に拾われる街道、不明。
  • 狂剣士を無刀で抑えた老僧に感銘を受け追う武蔵、北嵯峨農地・農道。
  • 助けてくれた親子と堺へ向かう伊織、中ノ島橋
  • 細川幽斎の法要が営まれる妙心寺、イメージに本物の南総門。小次郎が迎えられるお堂は相国寺法堂。老僧を追って来た武蔵が基壇下にいて小次郎を見る。その後又八が武蔵を見つけて駆け寄り、老僧・愚堂の行き先を教える。
  • 三州・岡崎、又八が愚堂を待つ間修行する寺、神光院。警策を受けるのは中興堂前、劇中「はちじょうじ」と音があるが字は不明。禅寺設定。
  • 元吉岡の弟子がいる三宅道場、表を通る武蔵は相国寺大光明寺南路地、門弟らに囲まれるのは鐘楼脇。言い抜けて又八の寺に入るシーンは神光院山門
  • 旅ゆくお通、広沢池東岸。このあと堺港から姫路へ。
  • 再び旅に出る愚堂、神光院中興堂前〜本堂前池泉橋。武蔵が駆け入り縋るシーンはここから山門へ。

*三宅道場の主は北原義郎、伊織を拾う堺の船宿の娘は森田めぐみ、禅僧・愚堂は浜村純で、彼が征圧した剣士は阿波地大輔。


第24話 「巌流の挑戦状」 1976.3.16

 佐々木小次郎からの請求が矢継ぎ早、未だ己が技に得心ゆかぬ武蔵は即答を避けるが、武蔵を父の仇と狙う青年との「戦い」を経て、二刀流に心が入る。

ロケ地

  • 豊前・小倉城、彦根城天守
  • 京、武蔵かと編笠侍を呼び止める彦八、大覚寺五社明神。武蔵ではなかった浪人が顔を見せるのは天神島
  • 武蔵が滞在中の光悦邸、不明(細竹編みの扉)
  • 浪人が彦八に武蔵の滞在場所を告げる茶店、大覚寺大沢池畔にしつらえ。
  • お通が藍染めをして暮らす飾磨の浜、琵琶湖西岸
  • お通が麻屋とお吟のもとへ向かう竜野街道、不明(野道)。行くとお婆が出てくる神社(?)、不明←立派に侍のなりをした城太郎が出てお婆を拘束。本位田の郷士たちがお通を連れ去るところへ城太郎が出てチャンバラの野原、木津河原か(1カットだけ、橋脚っぽい「柱」が掠める)
  • 彦八と試合う野原、酵素河川敷
  • 小倉へ行くべく堺へ向かう武蔵、不明(野道)

*彦八は石田信之、浪人は綾川香。城太郎は小林芳弘にチェンジ。


第25話 「めぐりぞ逢はん」 1976.3.23

 いよいよ対決の地へ向かう武蔵、こぞって会いに来る人を遠ざけ、一人海路をとる。その船は、試合の前にひとめ会いたいと切望する女の目の前を通過してゆく。

ロケ地

  • 武蔵が乗り込む船、磯と船の絵はバンクフィルムか。乗船シーンはセット撮り。
  • 沢庵とゆく又八が、子を産んでいた朱実と出会う橋、流れ橋。橋下に朱実が暮らす掘っ立て小屋あしらい。母と子を守るため還俗すると言い出した又八を放って行ってしまう朱実のシーンで砂河原も。
  • 船の武蔵が姫路藩の申し出を断るくだり、寄港す筈だった飾磨の浦、琵琶湖畔。水制か突堤のような構造物あり。
  • お婆に又八の消息を告げに来た沢庵が、婆もお通も武蔵を追って出たあとで会えず立ち去る七宝寺、西明寺。本堂縁先で小僧と話し、山門を出るとお吟が参道をやってくる。
  • 殿様の命で試合まで休養を命じられた小次郎が駒をやる城下、相国寺法堂前。
  • 雨宿りの沢庵とお吟、流れ橋下。このあとお吟は佐用へ、沢庵は京へ戻る。
  • 小倉へ向かう朱実と又八、湖畔か河原か。
  • 小倉へ向かうお通とお婆(城太郎におぶわれ)琵琶湖岸白髭神社前。
  • 弓の稽古をする小次郎、相国寺大光明寺石庭。家老がやって来て武蔵との対決の場所が決まったと通知。
  • 小倉へ着いたものの混雑で宿がとれずお堂をねぐらにする又八たち、イメージに相国寺鐘楼。ここで朱実が突っ張りを詫び、又八の思いに感謝。
  • 武蔵との対決を前に型を使う小次郎、柊野堰堤下。

第26話 「巌流島慶長17年4月13日」 1976.3.30

 届けられた予祝の品を棄てる小次郎、恋人を妻と呼んでから対決の場に向かう武蔵。勝敗は決するが、又八の言葉どおり道は果てしない。

ロケ地

  • 武蔵が挨拶に赴く家老・長岡佐渡邸、相国寺林光院式台玄関。後段、又八らが武蔵の消息を尋ねにやって来るシーンでは門が使われている。
  • 武蔵の父と昵懇だった新免六人衆の話を聞く城下、流れ橋下か。
  • 武蔵の姿が城下から消え、逃げたと騒ぐ巌流の門弟たち、相国寺大光明寺南路地。駆け入る佐々木邸は門。
  • 慌てて武蔵を探し回る六人衆、相国寺法堂前。
  • 武蔵の消息を求め赤間関に渡る伊織、琵琶湖岸〜湖上。
  • 小次郎が船出する浜、琵琶湖岸。砂浜に岩が点在。必勝祈願の品々を棄てるシーンは湖上、沖ノ島が見えている。手水に花びらが入り顔を顰める神社は不明(水に近い場所に石の鳥居)
  • 汐の加減を聞き船へ向かう武蔵、琵琶湖東岸松原。お通らが駆け寄る浜も東岸砂浜。
  • 船出する武蔵、琵琶湖上。長命寺山が見えている。
  • 対決の舟島、琵琶湖東岸河口州。
  • 武蔵の勝利を里人に聞く又八夫婦、不明(土手か)
  • 惜しむべき敵だったと述懐する武蔵、琵琶湖(島影等見えず)

*船宿の主は中村錦司、六人衆の一人に寺島雄作。


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