水戸黄門

佐々木康監督作品  1957.8.11東映


 希代の悪法に泣かされる民を見た老公は、将軍に犬の毛皮を贈り天の声を示す。これは直ちに聞き届けられるが、綱吉の目を曇らせる佞臣は、欲深亡者どもが競って献上する賄賂で肥え太るばかり。そんな情勢のもと、悪家老にお家を乗っ取られかけている高田藩の正義派は、最後の望みと老公に縋ろうとしていた。

北小路通

ロケ地

  • お犬さまに荒らされる畑、不明(山裾の丘陵、麓に鳥居二つ重なったやしろ、作物はキャベツ)
  • 江戸城イメージ、東映城の櫓か。
  • 小栗美作の駕籠がものものしい警護付きでやってくる道、不明(杉林、セット併用)
  • 越後高田藩江戸屋敷、西本願寺大玄関門。玄関はセットにスイッチ。美作が入ってゆくのを見届ける次席家老派の侍は興正寺外塀北西角にいて、背景に本堂の大屋根が来ている。
  • 美作についていた警護は高田藩のお家騒動ゆえ、と報告の助格、上賀茂神社二の鳥居傍(老公が待っている「境内」)
  • 美作と献上品の娘たちが入ってゆく柳沢邸、仁和寺本坊表門。事を聞き藩邸に駆け戻る主水が走る道は仁和寺か(五本線入り塀際)
  • 柳沢の側室・おたきの方が墓参に行く正光院、大覚寺。門は勅使門で警備の侍と助格が立ち回り。内部描写には回廊、座敷はセット撮り。お縫を連れ出してくる裏口は大沢池木戸。
  • 観音さまにお参りのお六、清凉寺本堂。それを見てからかう宇之吉がいる茶店はセット。
  • 老公一行を見つけるお六、梅宮大社神苑。一行が通り過ぎる露店並ぶ一角は神苑門前、お六は対岸から眺める。お六に唆され(実は関根のため)老公の懐から守袋を掏った宇之吉が助格に追われ逃げるのは神苑池の中島。畏れ入るシーンはセットにスイッチ。
  • 美作の密書を持った藩士に仕掛けるくだり、出てくる門は西本願寺大玄関門北小路通を過ぎ、川堤の街道筋(不明、堤下に萱葺茶店と森)へ・堤法面で飛脚に化けた宇之吉が掏りとり。
  • 事後、再び旅に出る老公一行が見返る江戸の町、街道下の茶畑、不明。川堤、大河と遠景に山なみが望まれる。

 水戸老公は月形龍之介、格さんは大川橋蔵で助さんは東千代之介。
綱吉は片岡千恵蔵、中身は英明な君主設定で、老公の言うことはちゃんと聞くので正義派には最終兵器に。桂昌院は入江たか子、隆光は水野浩。
佞臣筆頭の柳沢は進藤英太郎、欲まみれの俗物を好演。柳沢側室のおたきの方は花柳小菊、柳沢への貢物にされた娘を哀れみ助け手となる設定。柳沢の用人は加賀邦男。
高田藩の面々、我が子を藩主の養子にとはかる筆頭家老・小栗は薄田研二、痩せこけた風貌が古怪な大悪党にぴったりハマる。彼の悪行を幕府に訴えるも、幕閣に鼻薬効いてて遠島の沙汰下る次席家老は大河内傳次郎。その片腕で老公に助けを求める剣客は市川右太衛門、その危機を救い保護していた掏摸の青年は中村錦之助、掏摸仲間の女は千原しのぶ。柳沢への贄に選ばれた高田藩士の娘は長谷川裕見子、許婚者の藩士は大友柳太朗。


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