鬼あざみ

冬島泰三監督作品  1950.10.28大映


 代官の倅と貧しい水車小屋の娘の恋は、とてつもなく数奇な転変を経てのちに成就する。最後のさいごに、切れかかった糸が繋がるさまは感動的。
世間知らずのボンボンで沖田ふう細身月代、翳のある凄腕の浪人で総髪、「東京」の床屋で粋なザンギリ頭と、なりを変える長谷川一夫も見もの。

ロケ地

  • 御赦免船が着く船番所、セットか或いは湖畔の施設を利用か。奥に水面、浜へ突き出したような作りで屋根には見張り所つき。
  • お光と礼三郎がデートの水郷、内湖か。湖畔は広大な葦原。
  • お光の父の水車小屋、田んぼの中に萱葺の小屋。ありものを利用か。
  • 黙って茂原を出ようとしたお光に追いつく礼三郎、町外れの墓地は干拓地か。墓はありものっぽく、背景の長く伸びる林は河畔林ぽく、遠くに水面が光る。
  • 茂原代官所、不明(門のパーツのみ)。内外のアングルあり、外に森が見える。
  • 駆け落ちの二人が乗る船、琵琶湖か。
  • 代官所手代の軍兵衛が代官の後妻と道行きの山道、不明。眼下に渓流を望む谷筋。
  • 別離と再会の舞台となる永代の高灯篭、琵琶湖西岸にあしらい。木の桟橋はありものっぽい。
  • 夜鷹のお光を見て自棄になった礼三郎が一味に加わり押し込む医師宅、不明(細竹編みの戸、萱葺がちょこんと乗った瀟洒な門口)

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 駆け落ち時は幕末、赦免時は明治二年。遷都の祝いに市民が浮かれ騒ぐさまや、シャグマつけた官軍が町をゆくさまも描かれる。島の垢を落とす湯屋、礼三郎の脳裏をよぎる回想というかたちで、物語がはじまる。
押し借り一味の用心棒となった礼三郎は、土地のならず者にまで恐れられる存在になり、取る異名が「鬼あざみ」。

 茂原代官の倅・並木礼三郎は長谷川一夫、お光は山根壽子、父代官は香川良介、手代でのちに「一味」に加わる軍兵衛は本間謙太郎、代官の後妻は藤代鮎子。荒れ寺に巣食う押し借り軍団の長老格は羅門光三郎、礼三郎を気に掛け一味にいざなった女・お駒は利根はる恵、一味の使い走りをつとめるあんちゃん・金太は飛田喜佐夫。盗みに入る先の医師は高田稔、赦免後の礼三郎を気遣う永代の目明しは沢村国太郎。


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