影同心

毎日放送/東映、1975年

キャスト
更科右近/山口崇 高木勘平/渡瀬恒彦 柳田茂左衛門/金子信雄 お佐知/范文雀 源太/林大興 柳田園江/丹阿弥谷津子 小田頼母/勝部演之 おとら/菅井きん 鳥居甲斐守/田村高廣
 


第1話 「夜霧の殺し節」  1975.4.5

 雲の上のお偉方に、いいだけ踏みつけにされ嬲り殺しに遭う「庶民」。彼らの血を吐く思いをぶつけられた「三人」は、一応根回しのうえ巨悪を討ちにゆく。

ロケ地

  • 逃げた女中の代わりに試し斬りの的になってしまう夜鷹、大覚寺大沢池畔か(夜鷹が客を呼び込む船が係留されている。設定は仙台堀)
  • 南町奉行所門、大覚寺明智門。おとら婆さんが取り立てに来ていて、出られなくて裏塀を乗り越える勘平たちは中山邸参道。後段、付近の描写に大覚寺の参道と石橋も映る。
  • 辻斬り旗本とグルの材木商・木曽屋、「材木置場」。蔵映り込み、神社側は映らず。
  • 次期若年寄候補の、書院番頭である辻斬り旗本・二階堂邸、大覚寺大門
  • 木曽屋が二階堂を案内し下屋敷建設予定の長屋を見下ろすシーン、高台の表現の石積みは嵐山公園中州か。
  • 捜査打ち切りに怒り刀を振り回す勘平、広沢池東岸(夕景)。殺された夜鷹の妹とおとら婆さんが来て不満をぶちまける。
  • 木曽屋の手引きで通行人を試し斬りする二階堂、夜道は広隆寺東塀か。
  • 悪党が待ち構え、「三人」とお佐知が乗り込む木曽屋の寮、中山邸門。

*二階堂玄蕃は成田三樹夫、木曽屋は内田朝雄。殺された夜鷹の父は岩田直二、二階堂に駕籠訴と見せてテロルを敢行するガッツな親爺(襲撃は失敗→娘の怨嗟が「影同心」たちにぶつけられる運び)。


第2話 「罠かけ殺し節」  1975.4.12

 阿片密売のキーマンが殺され、大元には手が出せず。しかしお奉行から「黙示」、三人は不謹慎かつ危なっかしい手段で、悪の根を引きずり出す。

ロケ地

  • 女の阿片中毒患者と右近のシーン、不明(池端)
  • 南町奉行所、大覚寺明智門。御殿川に欄干あしらい、川べりの石柵は無し。
  • 藤七に偽装した囚人を運び込む医師宅、不明(スロープが確認できないが、おそらく「また又三匹が斬る!」4話のアレ。長屋門のほか外塀がけっこう映る)

*藤七の娘は武原英子、藤七殺しの家の長男な恋人は工藤堅太郎、彼の親爺は佐藤慶、後妻は谷口香で連れ子は小野川公三郎。医師・了庵は西山嘉孝。


第3話 「鐘に怨みの殺し節」  1975.4.19

 恨みをのんで縊れた娘を見た勘平は、ぼうぼうと怒りに燃え突っ走る。きつい取り立てに加え、証文改竄までして人々を苦しめていた金貸し、その裏にいる巨悪の存在はおとら婆さんが教えてくれる。

ロケ地

  • 勘平が源太に指令を出す水辺、二回とも広沢池東岸。源太がおようの愛人の浪人を尾行する道は大覚寺大沢池堤。
  • お佐知がおようを連れて岡場所から逃げるくだり、広沢池東岸大覚寺五社明神(ここで捕まり、おようは打擲され死に至る)
  • おようの死を知った桜井浪人が、何もかもブチまけると奉行所へ向かう道、大覚寺大沢池堤か。お佐知の示唆でこのことを柳田に告げに走る源太、相国寺方丈塀際。知らせを受け、奉行所の外に出て桜井を待つ柳田、大覚寺明智門
  • 鐘撞きの元締が殺されたと奉行所を走り出てくる小田、大覚寺明智門(御殿川の「欄干」越しの面白いアングル)。このあと小田が走る塀際は不明。

*鐘撞きの元締・仙右衛門は菅貫太郎、阿漕な鍵屋は北村英三。強面の用心棒は五味竜太郎、鐘撞き男は川谷拓三。鍵屋の女郎・おようは八木孝子、彼女のため書類改竄で金を作る桜井浪人は剣持伴紀。冒頭の首吊り娘は渡辺やよい。


第4話 「欲にからんで殺し節」  1975.4.26

 富商の馬鹿息子どもがのうのうと罪を免れ、お上は被害者の娘を貶める。お父さんのお仕置きが悪徳与力のせいで悲惨な結果となるのに加え、魔手はお佐知にまで及ぼうとしていた。

ロケ地

  • 南町奉行所、大覚寺明智門
  • お佐知が悪徳与力に言い寄られ脅迫される神社、今宮神社。摂社や坂を使う。
  • 勘平が右近に事態をボヤく水辺、大覚寺大沢池水門傍。

*北町の悪い吟味方与力は岸田森、お佐知の初めての男だったり。いっとう悪い馬鹿ガキの親の富商は織本順吉で始末対象、娘を陵辱された挙句冤罪で消される父親は北見治一。


第5話 「惚れた弱みの殺し節」  1975.5.3

 目に余るどころではない、火盗の悪行。まず表向きに勘平が調査に遣わされ、最終的に柳田に「指令」が降ってくる。

ロケ地

  • 南町奉行所、大覚寺明智門。ラストでは勘平の「鉄棒」が見られる。
  • 勘平が志ン吉を呼び出すくだり、今宮神社高倉と脇の坂。
  • 屑拾いが勘平に火盗の三人がおかよのところへ来たと証言するくだり、今宮神社合祀摂社前〜境内石畳。

*やりたい放題の火盗与力は今井健二、彼に目をつけられる酌婦は京春上、その亭主で火盗に責め殺される島帰りは牧冬吉、結局小田が捕まえる大盗は阿波地大輔。
*自刃した酌婦はお佐知の幼馴染設定。火盗に怒り心頭の小田、勘平が彼ら相手に立ち回って壊したモノのお代を出してくれたり。


第6話 「廓に咲く花殺し節」  1975.5.10

 タダ同然で妓を集めるからくりが、たださえ苦界で苦しむ女を地獄に叩き込む。右近の馴染みの女郎が逃げえず殺されたあと、三人は「勝手に」狩りをはじめる。

ロケ地

  • 南町奉行所、大覚寺明智門
  • 胸を病んでいた女郎が見る、故郷へ帰る夢の中に出てくる橋、流れ橋。祖母と子に駆け寄り抱き合う夕日の土手、木津堤
  • 右近に言われた通り、逃げる芝居をするお新が走る内藤新宿はずれ、木津の茶畑か。
  • 事後、父と許婚者と一緒に八王子に帰るお新、木津堤流れ橋

*右近の馴染みの女郎は池玲子、朋輩のお新は松木路子。最初に摘発された岡場所の楼主は小田部通麿、捕まった女たちが奴女郎として働かされる吉原の妓楼の主は江見俊太郎で冷酷な手下は志賀勝と井上茂。こやつらとグルの廓会所見回り同心は原田清人。
*今回お奉行は出番あるものの、仕置きは許可なしのフライング。メッセージ入りのナニが帳面に挟まれているのが笑える。


第7話 「首狩り殺し節」  1975.5.17

 仇討ちが天晴れと賞賛される陰には、という哀話。勘平たちが知り合った健気な中間の主は、仇討ちを志す身。
大身のお坊ちゃまは流浪の果てに、或いは最初から、腐っていた。

ロケ地

  • 南町奉行所、大覚寺明智門。二日酔いで吐く勘平は御殿川、小田与力に叱られる。
  • 見回り中にヘタる勘平に声をかける格助、桂川松尾橋下手右岸堤法面。彼が働く普請場、桂川松尾橋上手右岸河川敷(蛇籠あしらい)
  • 首無し死体の検分、今宮神社石橋下の溝の中。
  • 篠山藩邸、西本願寺大玄関門。後段、勘平が掛け合いにゆくくだりでは、大玄関が門越しにのぞくほか、門前払いを食う勘平の背景に興正寺の甍が大写しになる場面も。門前石橋越しのローアングルなどもある。門から出た藩士たちが北小路通をゆく絵もある。
  • 国表へ帰る主馬一行を「襲う」勘平たち、楊谷寺山門西側の塀際と、柳谷道の燈籠群を組み合わせ。この頃は塀が筋塀でない。

*仇討ちの坊ちゃまは滝田裕介、安易な方へ流されまくる情けない若者を好演。彼に仕える中間・格助は山崎猛、恋人の酌婦は葉山葉子。
*おさんが格助に作ってくる弁当、勘平に齧られてしまう玉子焼き旨そう。丹波「篠山」で青山家と言ってるから丹波篠山なんだろうけど、役者は複数人が「しのやま」と発音している。


第8話 「女のかたき殺し節」  1975.5.24

 火事で解き放ちになり、戻れば罪一等が減じられるのに逃げ続ける男。その妹を探りに行った勘平は、薄汚い旗本の存在を知ることになる。

ロケ地

  • お蓉の名で旗本を呼び出す権現の森、赤山禅院境内林(ピークの上に土壁の小屋)
  • お蓉の墓、罧原堤下汀

*逃げた囚人は高橋長英、妹は宇都宮雅代。後ろ暗い旗本は川辺久造。


第9話 「あぶな絵殺し節」  1975.5.31

 ヒヒ爺とつるんだ絵師は、南の与力も味方につけ、のうのうと摘発を逃れるばかりか、目障りなライバルの始末もついでに目論む。嵐が過ぎ、新たなモデルを贄にせんとした外道どもだが、女は勘平たちが送り込んだお佐知だった。

ロケ地

  • 南町奉行所、大覚寺明智門。手鎖をつけられた伊之助たちが釈放されるシーンでは、御殿川の河床から見上げのアングルも。
  • 死んだモデルが棄てられる霊岸島の埋立地、大堰川河川敷か。
  • お佐知を送り込んで外道を仕置の、丹波屋向島寮、中山邸通用門。与力の始末は参道〜通用門前で。

*あぶな絵を描く絵師は天本英世、身代わりで出頭させられる弟子は森次晃嗣。ライバルの頑固な絵師は城所英夫、父を支える娘は渡辺やよい。ヒヒ爺の旦那衆は島本均や田島義文、つるむ与力は睦五郎、荒事を手伝うチンピラの一人に福ちゃん。


第10話 「油地獄の殺し節」  1975.6.7

 商家に入り込んだ悪い虫は、阿漕な商売で民を泣かせる。右近がその悪党どもに踊らされていたり、久しぶりにお奉行のゴーサインが発せられたり。油屋に巣食ったワルの仕置は、ぬらぬらと「油地獄」。

ロケ地

  • 伊勢屋の圧力に逆らって商売を続ける後家に事情を聞く勘平、今宮神社境内。

*伊勢屋当主は中山昭二、グルの番頭は山口幸生、用心棒の浪人は千葉敏郎。夫のやり口に心を痛める伊勢屋の家つき娘は二本松俊衣、先代から仕える手代は山本亘。亡夫の遺した店を守り、悪党の餌食になってしまう小売りの油屋女将は服部妙子。


第11話 「情けに賭けて殺し節」  1975.6.14

 錠前屋が錠前破り、手下を消し職人を身代わりにして高飛びの算段。しかし、色と金とに更なる欲をかき、怒りに燃えた勘平を引き込む結果に。

ロケ地

  • 心中の片割れ捜索に大川へ出張るところ、入水女を助ける羽目になる勘平、流れ橋直下の木津川。橋はコンクリート橋脚のみ映り込み。
  • 南町奉行所、大覚寺明智門。勘平に弁当を届けに来るおきぬのシーンで門内外が映り、祖父の拷問を見てしまう運び。
  • おきぬを迎えに来る巳之吉、大覚寺大沢池畔。
  • おきぬの祖父を助けるため奉行所へ行く途中、職人頭に消される巳之吉、大覚寺石仏天神島朱橋。検分は天神島大木の根方。
  • 十字屋の手下が埋められていた河原、罧原堤下河原か。
  • 釈放された祖父を迎えに出て喜ぶおきぬ、大覚寺大沢池畔。

*おきぬは紀比呂子、祖父は里木左甫良、恋人の巳之吉は阿久津完。錠前屋の十字屋の主人は永井智雄、賊方面で腹心の職人頭は柴田p彦。


第12話 「花も恥じらう殺し節」  1975.6.21

 女の弱味に付け込んだ堕胎屋が横行、無茶をして死なせるほか、証拠隠しに人殺しも。ふしだらゆえの自業自得と奉行所の捜査も打ち切られるが、父の薬代ゆえ身を汚し身籠って死に追いやられたのは、右近が純情していた娘だった。

ロケ地

  • 堕胎後「変死」して見つかった茜屋の娘の検分、広沢池東岸
  • 右近を追ってきて父の非礼を詫びる千代、今宮神社東門(導入は燈籠の火袋越し)。休む茶店は一和、親爺があぶり餅を焼く姿が演出されていて、おとら婆さんが右近から餅をさらって大量一気食いするシーンも。
  • 娘の墓を暴く件を拒否して奉行所を出てくる茜屋、大覚寺明智門。堕し屋一味に見られ、警戒される運び。
  • 茜屋が「縊死」して見つかる木、大覚寺大沢池畔。
  • 千代が死体で見つかる水辺、大覚寺大沢池水門そば汀。

*千代は市毛良枝、気位高い浪人の父は稲葉義男で、ヘンな病態。堕し屋の産婆は中原早苗、黒幕の旗本は深江章喜、手下のゴロツキは出水憲司。


第13話 「乙女が哭いた殺し節」  1975.6.28

 町名主と添役がはたらく悪事は狡猾、弱い立場の女から金も身も奪う外道ぶり。しかし不審死も言い繕う善人面は、影同心には通用しない。

ロケ地

  • 亭主が赦免で帰るというのに身を投げたお仙の検分、大覚寺大沢池水門傍汀。
  • 南町奉行所へ入ってゆく町名主と添役、大覚寺明智門。お仙の不始末を詫び、寺にいる被災者のため御救小屋建設を願い出る運び。
  • 被災者が暮らす寺、本法寺境内。本堂と渡廊、多宝塔が映り込む。
  • 家計を助けるため夜鷹に出たお咲が捕まってしまう警動のシーン、捕り方が走る橋は大覚寺天神島朱橋。
  • お咲の弟に姉を助けてくれと迫られる勘平、広沢池東岸に船着きあしらい。園江が通りかかって見かけるシーン、源太に町名主捜査を命じるシーンもある。
  • お咲の死体検分、大覚寺大沢池畔。
  • お咲の墓、黒谷墓地。参って帰りの三人が渡るのは極楽橋

*貰えるはずの金をガメられ、手鎖の身を弄ばれるお咲は小野恵子、飯屋の女将で町名主のなぐさみ者にされていたお仙は水上竜子。町名主は田中明夫、添役は小鹿番。


第14話 「大奥(秘)殺し節」  1975.7.5
      *(秘)は○に秘の字

 外道に殺された娘の仇をとりに行く勘平だが、道具に使った外道の息女と二つ、哀れな魂を送ることになる。胸のすく大胆な手口で笑わせ、悲惨な結末で泣かせるお話。

ロケ地

  • 江戸城イメージ、姫路城天守。側用人が下がってくる大奥御廊下、相国寺方丈裏手縁先(このあと腰元を手篭めにする蔵はセット撮り)
  • 大奥から逃げ出すものの、家にも帰れず入水の腰元・お袖、中ノ島橋(勘平が通りかかり飛び込んで助ける)
  • 加賀さまの子息を招く黒田家の庭、阪口か(千賀をさらうのは築山?)
  • 千賀を連れ込むヤサ、赤山禅院池端小屋(水面は映らず)
  • お袖と千賀の燈籠を流す勘平、中ノ島橋下手河原。

*千賀は水原麻記、お袖は八木孝子。側用人・黒田備後守は室田日出男、グルでちょっと変態入った御中臈は宗方奈美。


第15話 「三三九度の殺し節」  1975.7.12

 箔付けの後妻欲しさに、長年連れ添った女房と忠実な手代を罠に嵌める外道。うかうかとその先棒を担いでしまった右近は、一人で悪党を始末してくるものの、苦界に落ちた女はもう救えないのだった。

ロケ地

  • 南町奉行所、大覚寺明智門。同心たちの出入りの場面ほか、「不義者」の処分が決まったあと、したり顔で出てくる加賀屋のシーンにも。
  • お佐知と伊之助がばったり会う町角、今宮神社高倉脇坂。二人が話す茶店は高倉下にあしらい、右近が出て「不義者!」と冗談をかます。二人は幼馴染設定。
  • 伊之助と加賀屋の内儀が、番頭にたばかられて入る池之端の水茶屋・錦、嵐山公園中州料亭・。入る時は別々。

*加賀屋の内儀は野際陽子、手代の伊之助は島田順司、訳もわからず追われる身となった二人が昇華させる愛が哀れ。嫁を始末して高家の娘を後妻に貰う加賀屋の主は犬塚弘、主と意を通じる番頭は上田忠好。


第16話 「もてた男の殺し節」  1975.7.19

 勘定組頭の家へ婿入りが決まっている青年が、与力見習いとして南町へ一時出仕。その腰掛けのポストで発揮した正義が、彼を地獄に叩き込む。

ロケ地

  • 入札の席で、顔役の俵屋に異議を申し立てた伊勢屋が消される帰りの夜道、大覚寺天神島朱橋たもと大沢池畔(ドボンあり、別撮りか)
  • 悪党を懲らしに出向く「四人」、夜道は大覚寺参道石橋付近か(どん突きに塀)。闇裁きを終えた彼らが立つのは池端か。

*「いい奴」だった見習与力・森川は長谷川明男、評定所での証言を阻まれたかたちの森川の幼馴染の女は有吉ひとみで心中立てで自刃。公金横流しの顔役・俵屋は嵯峨善兵、腹心は汐路章。森川の岳父となる筈だった、俵屋とつるむ勘定方は高城淳一。目撃者の願人坊主は小島三児。


第17話 「二つ枕の殺し節」  1975.7.26

 心ならずも引き離された、夫婦約束をしていた幼い恋人たちの出会いが惨劇に。色と欲道連れの外道のせいで、勘平たちにも火の粉が飛んでくる。

ロケ地

  • 新之助と千勢が密会しているところを北島らに見露わされる屋形船、広沢池
  • 南町奉行所、大覚寺明智門
  • 様子のおかしい内儀のことを案じつつ帰るお佐知、不明(中山邸付近か、建物裏手)
  • 宗達流宗匠邸、湯豆腐嵯峨野か。
  • 芝居見物に出かける千勢、巴屋の門は中山邸通用門
  • 千勢が連れ込まれる北島の隠居の屋敷、中山邸門
  • 死体で見つかった千勢の検分、広沢池北岸。駆けつけた勘平たちが、引き上げてゆく火盗を空しく見送るのは東岸並木。
  • 火盗与力に金を渡しに行く若宗匠、屋敷は不明、途中の道は大覚寺放生池堤。与力に斬られるのは五社明神本殿前。
  • 出陣の三人(夜景)大覚寺有栖川畔〜五社明神境内。叩門する隠居所は中山邸門、お父さんが隠居を成敗するのは大覚寺大沢池船着(小)、仕置は船上。

*千勢は緑魔子、亭主の富商は伊沢一郎、幼馴染で今は茶道若宗匠の新之助は青山良彦。元火盗改長官の北島の隠居は遠藤太津朗、スケベで強欲なえげつない外道。手下の現役火盗与力は内田勝正で絵描きは林浩久。
*松尾監督らしいトリッキーな映像効果も見もの。


第18話 「濡れた女の殺し節」  1975.8.2

 「辻斬り」を見たことで、運命を狂わされる女。過酷な状況から逃げなかった健気な彼女に、さらなる仕打ちを加える巨悪。敵わぬかもしれぬ相手に、三人は三様に向かってゆく。

ロケ地

  • 南町奉行所、大覚寺明智門
  • 吊りかけたお登勢を阻止したあと、身の上を聞く右近、桂川左岸水制(清滝道三条交差点前)。設定は深川の漁師町、右近が探してやった落ち着き先。

*お登勢は松本留美、「辻斬り」から彼女を助けて腕を失った職人で現亭主は川谷拓三。「辻斬り」がそも野望の一歩だった筆頭与力は室田日出男、彼が老中への貢物にした情婦は絵沢萌子。


第19話 「色の地獄は殺し節」  1975.8.9

 店を繁盛させる後妻も、話のわかる上司も、なかみは真っ黒な外道。救えなかった無辜の死に、影同心の闇裁き。

ロケ地

  • 檜屋の「娘」がカモの両替商のヒヒ爺と「密会」の屋形船、広沢池東岸に船着あしらい。筆頭同心の示唆で勘平たちが踏み込み、金を握らされる。
  • 南町奉行所、大覚寺明智門
  • お嬢様を慕っていた檜屋の手代が殺されて見つかる堀、大覚寺御殿川河床。勘平が参道橋から飛び降りて駆け寄るシーンもある。

*娘たちを人身御供にする鬼母の、檜屋の女将は瑳峨三智子。食い物にされる檜屋の養女は服部妙子、手代は根岸一正。女将とグルの筆頭与力は橋爪功。


第20話 「新妻ひとり寝殺し節」  1975.8.16

 たとえサンピンでも、浪人にとってはたいそうな出世、しかも勤め先がやんごとなきご連枝ときては言うことなし。しかしその屋敷は、冷血がぼんくらを飼う恐怖の館だった。

ロケ地

  • 松平公太郎の小名木川屋敷、庭および茶亭は阪口青龍苑。植木職が斬り殺される庭は池泉、川崎平馬が殺される茶室は築山の上の芝地にある亭。平馬が息子を案じる母に声を掛けられる裏口はセット撮り。
  • 父を案じて泣く植木屋の娘を宥める右近、大覚寺明智門前・御殿川「欄干」。もちろん設定は南町奉行所前。

*松平邸の中小姓に採用され有頂天となる浪人・川崎平馬は石山律雄、就職できたので娶る妻は竹下景子、彼女の父の浪人は浜村純。狂気の若様は住吉正博、無辜を犠牲にして恬と恥じぬ用人は浜田寅彦。


第21話 「牢屋は極楽殺し節」  1975.8.23

 闇の顔役の金を持ち逃げした男が、逃げ切れず殺られる話に、見習い同心が巻き込まれる哀話。むごたらしい死を見た三人は、その足で闇裁きに向かう。

ロケ地

  • 仙三が妹に待っていろと言った明神さま、不明(少し曲折した参道坂の上に建物、参道脇にもう一つ細い石段。上には舞殿に接近した拝殿他建て込む感じ)。お参りに来たお佐知が妹を発見・保護。
  • 見習いが捕えた仙三の件を協議する勘平たち、大覚寺蔵(遠侍裏塀際)
  • 自身番から出した偽装の駕籠が入ってゆく南町奉行所、大覚寺明智門(駕籠の裾から襦袢が覗くが、中の人は勘平)。嶋屋の差し金で、松前船乗船を言い渡される三人は御殿川「欄干」に凭れ。
  • 仙三が金を隠してあった石橋、大覚寺参道石橋。このあとヤクザが殺到し、仙三と見習いが殺られるのは御殿川河床。回向院の親分が覗き込む橋は勅使門橋。三人がやって来る橋も勅使門橋。

*はりきり見習い同心は志垣太郎、勘平は彼をいいヤツと気に入っていた模様。一家の代貸・仙三は樋浦勉、ヒヒ爺の贄になりかかる妹は紅景子。回向院の親分は田口計、顔役の嶋屋は梅津栄でお父さんに潰され。


第22話 「無理が通って殺し節」  1975.8.30

 無礼討ちの裏に汚い意図、憤るもののなにもできない勘平たち。殺された男の許婚者だった娘の悲嘆の果てを見たあと、お父さんはお奉行にお伺いをたてにゆく。

ロケ地

  • お幸が勤める明神さまの茶店、今宮神社高倉下に床机等しつらえ。後段、周囲の描写に稲荷社脇や摂社前。
  • 水口藩江戸屋敷、御所長屋門。西側からの、極端に幅が縮まって見えるアングル。溝からのアオリは別撮りかも。
  • 引越し代のため辻に立ったお幸を見かける勘平、夜の町角は大覚寺有栖川畔。
  • 水口藩の留守居役と勘定方が、お国入り後のポストについて語らいガハハの、藩邸の庭の池端、大覚寺大沢池畔。
  • 神奈川宿さしてターゲットを狙いにゆく三人、変装して集合する水辺は罧原堤下河川敷

*恋人とその母を、同じ侍に「無礼討ち」される娘・お幸は上村香子、理不尽に怒る姿、悲嘆の果ての酌婦姿いずれも哀し。藩財政にことよせて私腹を肥やし、そのための無辜の死も意に介さぬ留守居役と勘定方は穂積隆信と灰地順。
*ムクドリ?が木から一斉に飛び立つ、必殺ふうシルエットが登場。


第23話 「花嫁買って殺し節」  1975.9.6

 札差の馬鹿息子が仕出かす、数々の悪行。お父さんなんか、ハメられて打首寸前。そして養家を絶するに及び、勘平たちが動く。三億円事件をパロったり、ハチャメチャ展開が連続する、騒がしくも楽しい一話。

ロケ地

  • 勘平が見合相手の逢引を目撃する水辺、大覚寺大沢池畔。軽と倉之助が会うのは水門のそば。
  • 北町奉行所、御所長屋門。勘平が縁談を断りに行くシーンと、ラストのお父さん釈放シーンで出る。
  • 平野屋が運ぶ三千両が強奪される伝馬町牢近くの道、大覚寺五社明神
  • 南町奉行所、大覚寺明智門。呑気に出勤してきたお父さん大捕物でお縄。
  • 軽が倉之助に会いに来るも、金蔵の企みで爆破されてしまう小屋、酵素河川敷。

*軽は望月真理子、父の北町同心は北原将光、恋人の花火職人・倉之助は成瀬正。勘平の名前を騙り同心ごっこをしていて、のちに軽の婿におさまる札差の倅・金蔵は石橋蓮司。札差の父・平野屋金兵衛は桑山正一。敵娼の高尾太夫は賀川雪絵。北町奉行・遠山景元は山城新伍、首斬り朝は若山富三郎。
*勘平ちゃんなんかメじゃないくらいイっちゃってる、若い頃のレンジの狂気を孕んだ演技が見もの。


第24話 「男の操は殺し節」  1975.9.13

 己を襲った不逞浪士を囲い込み、野望の道具にして使い捨てる悪徳商人。しかし、流れで「懲らしめた」同心が勘平だったため、企みは気の毒にも頓挫する。

ロケ地

  • 「常盤津の師匠」にハメられ晒し者になる勘平、吊られる橋は渡月橋
  • 南町奉行所、大覚寺明智門
  • 狼牙党に斬られた材木問屋の検分、大覚寺五社明神
  • 増田屋の根岸妾宅、不明(広沢池のアレか、戸は引き戸)
  • 増田屋に大金を貸し込んでいた高利貸しが斬られる屋形船、広沢池東岸に繋留。

*お町のダンナにはいい顔をする野望家・増田屋は新田昌玄、勘平をハメた妾のおりうは森秋子、狼牙党ヘッドの浪人は中田博久。勘平に根負けしておりう情報を呉れる辰巳芸者は堀越陽子。お父さんにヤラしい本を見せられまんまと勘平に破牢される牢役人は中井啓輔。


第25話 「相合傘の殺し節」  1975.9.20

 悪徳商人のライバル殺しに、若い職人が利用される。投獄された兄を助けてと勘平に縋った妹は、彼をほのかに恋うていた娘だった。

ロケ地

  • 唆され鉄砲を渡された猪之助が、相模屋を殺ろうとして別人を撃ってしまう寺、相国寺大光明寺。相模屋の法事は方丈座敷で、猪之助が取り付く塀は南塀、逃げたところを勘平が捕まえるのは湯屋前付近南路地。
  • 南町奉行所、大覚寺明智門。早朝出勤の右近が押収品の鉄砲を持ち出すくだり。
  • 「現場」の寺へ掃除係で入り込み探るお父さんとお佐知、相国寺大光明寺石庭。右近がやって来て南塀に取り付き、ここからだと届かないと分析。
  • 相模屋から帰る立花の懐を狙う源太、大覚寺大沢池堤

*猪之助は山本圭、兄の銃から弾を抜いておいた妹は亀井光代。相模屋は福田豊土、猪之助に銃を渡す鳶の親分は北村英三、法事の際実際に弾を撃った浪人は天津敏。


第26話 「金がかたきの殺し節」  1975.9.27

 弱い立場の無宿人を雇う、ピンハネ放題の親方は、寄場役人と結託しさらなる悪事を重ねる。わけても悲惨な一件が勘平たちの身近で起こり、悪党を粛清しても空しさだけが残るのだった。

ロケ地

  • 仕事帰りの周太が通る道、上賀茂社家町・明神川畔。川中で子供の鞠を拾ってやり、杭に引っ掛かった袋を見つける次第。後段、周太が無宿人狩りに遭うのも同所。
  • 南町奉行所、大覚寺明智門。集金のお金を落とした手代が拾得証明を貰いに来るが、宿直の勘平に断られ絶望して帰るくだり。
  • 自刃した手代が見つかる川、大覚寺御殿川河床・落ち口付近。見つけて悲鳴を上げる娘たちは勅使門橋に。
  • 周太が斬られ埋められる寄場、不明(砂地に幼松、水は湛水)
  • 周太が捕まった経緯に疑問を抱き右近と話す勘平、大覚寺蔵(奉行所内)
  • 出陣時、夜の海イメージは琵琶湖南湖(バンクフィルムか)

*周太は左右田一平、親なしというだけで脅えて暮らす腕のいい大工。彼と結婚を約束していた娘は入江若葉、父親は岩田直二で最後に己の出自を明かすのが泣かせる。ピンハネ親方は谷村昌彦、グルの寄場役人は八名信夫。


第27話 「赤いしごきの殺し節」  1975.10.4

 行き詰ったお店の資金繰りのため、無尽講にのめり込んだすえヒヒ爺の慰み者になる女。彼女は、かつて右近と縁談のあった御家人の娘。玉の輿に乗るも一時のこと、幸薄かった女は右近の褥に赤いしごきを残し、奈落へ堕ちる。

ロケ地

  • 爺やに連れられて江戸を去ってゆく越前屋の坊、不明(亀岡か、田んぼの中の地道。茶店あしらい、見送った右近は妙の形見となったしごきを浮き草まじりの澱んだ水面に投げ捨てる)

*亭主に死なれ番頭に金を持ち逃げされた越前屋の後家・妙は茅島成美。無尽講を催す詐欺師は川合伸旺、場所を提供する料亭の主は柳沢真一で悪事に加担する仲居は宗方奈美、親切面で妙を食う債権者は汐路章。料亭の男衆に福ちゃん、仕置時は当身されてキュー・クレジットはベタで、元は「清二」って書かれてたっぽい。


第28話 「わたしが愛した殺し節」  1975.10.11

 ちんけな騙りに怒っていると、その向うに巨悪。ワルは三人を仕官で釣ろうとするが、直にお断りに来られてしまう。

ロケ地

  • 儀平とお滝が美人局に失敗した挙句痛い目を見て立ち尽くす水辺、広沢池か。
  • 普請改方の吉岡が土左衛門で浮く川端、広沢池東岸
  • 武蔵屋の手下にからまれていたお滝たちを助けてやる源太、今宮神社境内。
  • ヤバいので旅に出された武蔵屋の人足頭の前に立ちはだかる源太、不明(塀際)
  • 「貝」を埋めて封じるお父さん、罧原堤下河原

*儀平は岡田裕介、お滝は水原麻記。普請奉行は戸浦六宏で腹心は田島義文、つるむ悪徳商人は高城淳一。不正を正そうとして消される、勘平たちの元同僚の普請改方・吉岡は平泉征。吉岡と会う酒肆の女は主題歌を歌う朝月愛、劇中名を聞かれ答える場面あり。このほか、第二シリーズのメンバーがちらり。


 → 影同心 II

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