御家人斬九郎

第一シリーズ
かたてわざ/用心棒二人
姉の宿下がり/青い肌の謎
入牢志願す/わしは将軍
遊蕩の指南/奇妙な刺客


第1話 かたてわざ 1995.1.11

 母に毒づかれ、知り合いのボンから妙な頼まれごとをし、筋の通らない副業では大給松平の名を出し葵紋の扇子をぱちり。
残九郎の無頼の日常を描き、蔦吉との出会いとなる事件を絡めてゆく。

ロケ地

  • 本所・深川界隈の情景に八幡掘を多用。堀端白雲橋などが効果的に使われる。斬九の溜まり場・船久の二階からは掘割が望まれる仕掛け。
  • かたてわざに赴く途中、斬られる女の許婚者が襲うのは仁和寺塔前の疎林。難なくかわし、追って事情聞くのは塀際の疎林。原作設定では渋谷村の雑木林。
  • 蔦吉がゴロツキに絡まれる帰宅途中の道、上賀茂神社神事橋
  • 石崎同心の墓参の帰り、雷おこしが栗林兵庫に襲われるのは粟生光明寺石段上部。
  • 西尾の護衛の佐次が夜鷹につかまり岡っ引とバレる、大覚寺護摩堂
  • 栗林の菩提寺に墓参の斬九と蔦吉、金戒光明寺墓地と寺務所(茶店設定、バックに鐘楼)

*斬九を「火の見櫓」と蔦吉、蔦吉を「喧嘩神輿」と斬九、互いに剣突応酬の会話が楽し。麻佐女さまの薙刀は、蔦ちゃんの髷切り依頼のボンの髷をすぱっと切り落としたり。母上様にお金届けの佐次親分の大汗も傑作。


第2話 用心棒二人 1995.1.18

 係累の誼で信濃松谷藩家老の用心棒つとめる斬九郎、その家老を巨悪と狙う改革派の雇った用心棒・高坂伊十郎とは奇妙な縁があり、交流を持つ。
所業を諫止して家老に消された侍と親しかった蔦吉、たまたま知り合った高坂にその遺児を託される斬九郎、高坂は夫と息子二人の仇と恨んでいる麻佐女さま。
高坂に父の面影を見出し親しむ斬九郎、立場の違いから斬りあうことになる二人。しかし高坂の胸を卑怯にも貫く家老の手下の銃弾、斃れる高坂を見た斬九郎の怒りの剣は射手と家老に振り下ろされる。

ロケ地

  • 河田彦四郎が斬殺される松谷藩城下、南禅寺僧堂坂(僧堂より下手)
  • 河田の遺児が下僕から高坂に託されるのは保津峡落合(河口、落下岩)
  • 蝦蟇の油の大道芸している高坂、北野天満宮本殿裏手
  • 松谷藩邸、随心院薬井門
  • 家老襲撃、大覚寺大沢池周辺各所(偵察の若侍が走るのは御殿川河床、襲撃開始は大沢池堤、このあと難を逃れ走る駕籠のくだりは天神島橋から護摩堂へ移動、ロングで。斬九郎と高坂の一騎打ちは護摩堂裏の広場)
  • 事後、事の経緯を斬九郎に告げに来る蔦吉、桂川臨川寺地区の左岸汀・堰堤前。
  • 市中をゆく斬九郎が高坂を回想、北野天満宮東塀

*高坂に丹哲、抑制の利いた演出で見せる。


第3話 姉の宿下がり 1995.1.25

 一橋家に仕える斬九郎の姉・粂女が帰還、当然物入り。用心棒に賭場にと走り回る斬九郎、姉からはかつての恋人の消息を求められたりもする。
奔走も空しく足らぬ入り費、しまいに幇間のバイトに手出す斬九郎、出たお座敷は一橋家出入りの商人が粂女を接待の座敷。弟「斬八」のお下品な屏風芸目の当たりにした粂女は激怒、麻佐女さまも並べてがみがみ叱責、キレた斬九郎は経緯をブチまけ開き直る…が姉上の昔を聞いてしまい萎む。そして、粂女が支えとしていた昔の男は凶盗に成り果てているのだった。

ロケ地

  • 入費調達に赴く斬九郎がゆく菖蒲咲く堀端、八幡掘。粂女が船で帰還、白雲橋下掘割
  • 佐次の案内で名所見物の粂女、沢口の行方を尋ねる、梅宮大社神苑橋上。
  • 凶盗を探索の佐次らが腕に刺青の男を尾ける、大覚寺放生池堤。アジトは護摩堂
  • 奉公先へ帰る粂女の駕籠がゆく、妙心寺涅槃堂前路地。これを追って駆けつける斬九郎、東林院下のどん突きから小豆の袋背負って走り出てくる。

*南無八幡の佐次の謂れを聞く粂女、麻佐女さままで一緒になって刺青を見たがり、剥かれる佐次、目にも鮮やかな八幡大菩薩…は妙に優しげな造形、二人に観音とか阿弥陀とか言われ拝まれたり。親分の畏まった顔が傑作、折角なりを整えてきたのにね。


第4話 青い肌の謎 1995.2.1

 斬九郎のかたてわざを女の死の証明に使い、商売敵の追い落としに利用する一味あり。不審持つ斬九郎、長崎まで赴き経緯を知る。そこで友となった、女の庇護者にして愛人の清国人が災禍に遭い落命するのを見届けた斬九郎は、江戸へ取って返し、友を欺いた一味を断罪する。

ロケ地

  • 小夜太夫が斬九郎の前で青変して自死を遂げる舞台となる上野不忍楼、中山邸(通用門、参道)。ここから出た不審者が人数と合流し消える笠森稲荷、吉田神社竹中稲荷
  • 斬九郎が小夜太夫の首を刎ねたとの瓦版に斬九郎たちを襲撃の怪しの清国人集団、上賀茂神社ならの小川畔、神事橋
  • 長崎の寺町をゆく斬九郎、下鴨神社馬場。薬売りを締め上げ唐人寺の所在を聞く、河合社塀際。
  • 王紹栄のいる唐人寺、黄檗山萬福寺(開山堂門、開山堂、天王殿と回廊、法堂)

第5話 入牢志願す 1995.2.8

 黙して語らぬ容疑者の口を割らせるべく、斬九郎を牢に派遣する西尾与力。一方、暗い顔をした女から仇討ちの助っ人も頼まれる斬九郎。事はすべて十年前の御用金奪取に発していた。
悪事を隠蔽するため、利用された挙句無惨に消された女の死体が上がるのを見た斬九郎は、焦点の回船問屋に殴りこみ。追い詰めた主の背後の壁に刺さった斬九郎の刀は、土蔵に塗り込められていた銀を暴き出す。

ロケ地

  • 西尾の依頼を聞いた斬九郎が舟久へ赴く道、八幡掘堀端
  • 紀州屋の葬儀の列がゆく道、仁和寺中門参道。これを見る蔦吉と西尾、茶店の陰、が背後に。
  • 佐和の死体発見を告げに走る同心、上賀茂神社ならの小川畔。
  • 死体上がる川べり、桂川松尾橋上手右岸汀
  • ラスト、蔦吉が斬九郎に簪の礼を言うのはならの小川畔。

第6話 わしは将軍 1995.2.15

 須美どのの祖父が失踪。雷おこしが水辺でふらついているのを発見した、その景之進どのは様子がおかしく「余は将軍」などという。気が触れたと思い込み、お上への聞こえを危惧した西尾与力は、斬九郎と語らって景之進を座敷牢に籠める。世話を任された麻佐女さま、頓珍漢な言動繰り返す老人を「厳しく」扱う。しかしなんのつもりか、老耄の御家人に迫る刺客、寝言で水野憎しの言辞吐く「景之進」。次第に怪しむ斬九郎たち、昨今の水野老中の仕様からアレはまさかマジ将軍ではと疑いだし、お浜御殿で静養中の上様のお顔を確かめるべく、お局さまに扮した蔦吉を派遣。そして現れる水野老中、大立ち回りのあと、自分を案じて呼ばわる斬九郎の声を、物陰でいたずらっぽく微笑んで聞く蔦ちゃんなのだった。

ロケ地

  • 斬九郎に祖父の文を見せる須美、大覚寺天神島石鳥居下。
  • 西尾が駆けつけ「景之進」を保護する水辺、広沢池西岸湿地。
  • 夜、出勤の蔦吉、須美と斬九郎のお話、上賀茂神社ならの小川神事橋
  • お浜御殿のくだり、「局」の駕籠がゆく、大覚寺放生池堤。御殿外観は五大堂、対岸からロングで。帰ってくる駕籠を見てしばし安堵の斬九郎、護摩堂脇。しかし駕籠は誰何され水野老中登場、蔦吉とバレている、五社明神本殿東脇。駆けつけようとした斬九郎に立ちはだかる水野の用心棒、放生池堤。蔦ちゃんが隠れてるのは五社明神本殿入り口。

*景之進・家斉二役の田村高廣、将軍さまのときは腕下主丞の父親そっくり。ラスト、家斉が座を去ったあと顔を上げた景之進はまるきし別人、怖いくらい巧い。
*クレジットロケ協力に西教寺、お浜御殿内部に使用か。


第7話 遊蕩の指南 1995.2.23

 斬九郎が舟久で出会った、固餅の焼きざましのような勤番侍が持っていた五百両を巡って巻き起こる大騒動、大金は実は贋金。蟹江敬三扮するその情けない勘定方・河村忠兵衛を助け動く斬九郎、事はなんとか片付き河村は帰参叶うが断り、市井に生きると申し出るのだった。

ロケ地

  • 斬九郎が矢文を打ち込む奥津藩邸、相国寺大光明寺門。
  • 拉致された河村と須美を助けに贋金持って駆けつける斬九郎、大覚寺五社明神(崩れ塀をセット)

*遊蕩指南とばかりに河村とどんちゃん騒ぎの斬九郎、ツケは蔦吉の讒言によりしっかり斬九に回されるが三両ちょっと…セコいよ斬九のダンナ。


第8話 奇妙な刺客 1995.3.1

 高遠へ養子に行った斬九郎の兄がやってきて、弟にかたてわざを依頼。ターゲットは幕府から押し付けられた毒婦・絢姫だった。
ほぼ初めて会う兄とのぶっきらぼうなやりとり、妾腹と知れる経緯、仕事に関わってくるザンクファミリー、麻佐女さまはいつもの如く美食三昧(八百善の朝粥、八丁堀鰻安の大串)、テンポよく進行するストーリィ。しかし女の命は絶てずに髪をバッサリにとどめる斬九郎なのであった。

ロケ地

  • 兄に呼び出される本所界隈の料亭、錦水亭(八条池からの外観)
  • 佐次に高遠藩探索を依頼の斬九郎、法然院山門
  • 高遠藩深川上屋敷、大覚寺大門。邸内の御守殿、勅使門

*おかまの和七郎に三ツ木清隆、前藩主の幽霊を演じる。
*事後、兄上が払う後金は麻佐女がしっかり懐に。斬九の「泥棒猫」呼ばわりに「にゃ〜ぉ」といらえる母上。


→御家人斬九郎 視聴メモ表紙


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