喧嘩屋右近

杉良太郎主演作品 1994TX/松竹

茨右近/杉良太郎 お弦/坂口良子 亀吉/赤塚真人


第1話 女房の取り返し方教えます

 生活のため大奥へご奉公の八王子千人同心の妻・喜和を上様がみそめて大変。職務遂行に燃える大奥筆頭御年寄・萩尾の方は応じぬ喜和を座敷牢に込めるは、亭主に去り状書かせようとするはと苛烈な振る舞い。これに付け込もうとする萩尾の対抗勢力、御用取次・梶原図書をバックにつけた年寄・弓岡の方は喜和がお傍に上がらないのは萩尾の監督不行き届きとして追い落としを謀る。
一方、喜和の妹から依頼を受けた右近は以前大奥潜入の際にできた伝手・大奥御客会釈の藤島の方を通じ動く。上意をもって喜和の夫に書かせた去り状を示し迫る萩尾の方、喜和は最後に一目夫に会いたいと懇願、萩尾の方は鬼子母神代参の供を申しつけ夫との面会を許す。

ロケ地
・武州八王子、大奥へ奉公に出る千人頭の娘たちがゆく里の道、民家前畑。
・江戸城、姫路城天守(堀留から)。大奥イメージ、二条城東大手門越し外観。後段で出るイメージは彦根城佐和口多聞櫓
・芝愛宕下の将軍家御用取次・梶原図書邸、相国寺大光明寺門。平野父子を呼び出し話す座敷は方丈座敷。
・座敷牢の喜和の回想、夫に大奥奉公の話をした野良の昼食、民家裏手の蔵際。
・雑司ヶ谷鬼子母神、粟生光明寺(石段、本堂)

 鬼子母神から再開。
右近夫婦は萩尾の方に喜和を大奥から下がらせるよう計らってくれと申し出るが、萩尾は何が不満か判らぬと言う。世間の常識とズレた萩尾の方に「満更悪いヤツじゃないな」「世間知らず」と右近夫婦、男に惚れたこともないのかと突っ込まれ肩を竦める萩尾の方。
その頃喜和と家族は庭越しに対面、しかし図書の手の者に拉致されてしまい、萩尾の隠居願いと交換の捨て文。窮した萩尾は右近を頼ることとなり、ここからは喧嘩屋やりたい放題。大奥へ潜入するは、弓岡さらうは、図書の邸へ乗り込んで器物損壊を働くは、図書の馬鹿息子たちボコるはの大騒ぎ、果ては人質交換となり伏せた人数をぶった斬ったあと捕えた弓岡と図書を大奥へ運び寝巻き姿で密会仕立てて失脚させる。喜和の件は萩尾と藤島が上様に疫病と言いたて落着。

ロケ地
・鬼子母神は粟生光明寺(石段と本堂まわり)。さらった喜和を駕籠に乗せるのは大覚寺五社明神、祠に捨て文貼り付け。
・梶原図書邸は相国寺大光明寺、喜和を閉じ込める座敷はここの方丈。屋敷を窺うなんでも屋たちは方丈南西端塀際から。父の諌めを聞かず駆け出す又四郎は大光明寺南路地。
・右近が長持で潜入の江戸城平河門、知恩院黒門。弓岡の入った長持ちを運び出す御広敷御門、知恩院北門
・人質交換(喜和と弓岡)の浅草御門外清水山、粟生光明寺紅葉道薬井門。図書の人数は脇の林に伏せてある。

*再放送時、前後編に分割
キャスト/南條玲子、葉山葉子、工藤明子、西沢利明、矢木沢まり、青木義朗


第2話 墓場の死体引き受け候

 墓から掘り出された、蘇生した女は「河豚で毒殺しようとした」亭主を詰り「過って殺害」。しかし世の同情をあつめ微罪で放免、右近らは父の名誉回復を願う娘の依頼で動き、殊勝な態度の女房の企みを暴く。悪党どもが墓に隠すつもりだった千成屋の身代一万両を見て舞い上がる右近だが、奉行所が来て差し押さえ、そのうえ和尚に迷惑料とられた夫婦はお粥を啜る。

ロケ地
・千成屋の後妻・おりくを埋めた墓のある谷中の光明寺、妙顕寺(山門、鐘楼)。墓地はセット。亀が取ってきた依頼で出向いてくる右近夫婦のくだりは本堂脇、三菩薩堂・尊神堂間のアーチ回廊(今は無い)をくぐり「墓地の方」へ。墓から出たおりくは参道石畳から山門の方へ。住職におりくの早桶を渡せと迫る浪人たちは先に出たアーチ回廊の上。

キャスト/大塚良重、古柴香織、吾羽七朗、下元年世、徳田興人

第3話 恋の指南も命がけ

 右近のもとに持ち込まれたモテない侍の恋の相談は、キナくさい汚職事件の真相を暴き出すこととなる。相手の娘が命の恩人とする同藩の侍には大きな秘密、助けた行為も暗殺を誤魔化すためだった。

ロケ地
・安曇野藩邸、大覚寺大門
・モテない君が好きになった町娘の働く茶店、仁和寺茶店(ラストには中門と傍の石段も映る←EDにも使われている尻あわせ夫婦)
・娘の回想、借金とりの手から逃がされたもののゴロツキにからまれ危ないところを大垣軍兵衛に助けられた河原、流れ橋(後段、軍兵衛の回想で「殿様の密偵でもあった三国屋の死体が見つかり、刀改めの検問がかかる武州・戸田の渡し」として出て、橋上も使われている)
・江戸家老と、死んだことになっている元物産方組頭・大垣軍兵衛が密談する安曇野藩邸裏の水辺の漁師小屋、広沢池東岸(お冴が船でゆく軍兵衛を目撃したのも同所)
・藩邸から依頼者を連れ出した右近らが乗り込む屋形船(ご馳走をタカる)嵐峡

キャスト/六平直政、阿川藤太、小野めぐみ、田中弘史、石倉英彦

第4話 同心は殺しがお好き!?

 与力に身代わり借金を頼まれた同心、直後金を借りた両替商が殺され犯人として追われる。右近への依頼はこれを捕まえようとする岡っ引の忠次から来ていて、同心をあっさり捕まえた右近は話を聞き事情を察知、ワルがべらべらと自らの悪事を喋る場に捕り方をいざない一件落着。

ロケ地
・同心・陣内が嫁と決めている船宿の娘のことを朋輩に話す水辺、大覚寺天神島
・与力が陣内に身代り借金を持ちかける密談の屋形船は大覚寺大沢池上。
・両替商・紀州屋殺害現場の辻堂、大覚寺護摩堂(ライトアップされた心経宝塔が映りこむ)
・船宿・霞屋まわりの船のシーンに大覚寺大沢池中央部(船上)や池端、戻りの猪牙船は大沢池北辺水路(船頭をシメるのはセット)
・追われ水辺で物思う陣内、広沢池東岸(遍照寺山は紅葉、水少なし)
・ラスト、右近夫婦が船で発つ陣内とお藤を見送る茶店(鍋つつき)嵐峡

キャスト/吉岡祐一、藤代宮奈子、坂田雅彦、中村孝雄、青木義朗

第5話 ダメな亭主も預かります

 飲んだくれの亭主・権六を断酒のため預かって欲しいと女房・小春からの依頼が来る。右近はお門違いと亀に預けるが、その夜小春の差し金で町方に連行される権六。訝る右近、依頼の真の理由は盗賊から隠し守るためと知れる。腕のいい錺職人の権六は前にも一度博打で作った借金のカタに金蔵の鍵を作らされていた。再び錠前を作らせようと現れた賊はしまいに小春をさらい脅迫、右近は盗みの現場に乗り込み賊を叩きのめす。

ロケ地
・大番屋からの帰途権六を案じる小春、今宮神社高倉下に茶店あしらい。お絃が小春の妊娠に気付くのは合祀摂社前。

キャスト/北原佐和子、蛍雪次朗、山本昌平、久賀大雅、河野実、山崎博之

第6話 騙されるのも仕事のうち?

 薄幸そうな面持ちの騙り女に引っ掛かる右近たち。この女との関わりで私腹肥やしまくりのお納戸頭の屋敷に乗り込み、商人から奪った金無垢の「餅つき兎」の像を取り返す運びとなる。騙りの女は次から次へと言い訳・辻褄あわせのドラマ展開、尺も終わり頃になってやっと気付く右近、最後は忠公に引渡し「今度やったら肩のとこが平に」で済ませてやる。

ロケ地
・浪人者から越後屋の主人を助け5両貰う右近、仁和寺五重塔前。
・お歌(騙り女・とんびのお吉の二つ名)が右近騙しのエキストラに金を分配するのは上御霊神社境内(本殿裏透垣〜福寿稲荷)
・御納戸頭・伊賀山将監邸、相国寺大光明寺(門、南塀、石庭)

キャスト/岩本千晴、睦五朗、柳原九仁夫、高見祐二、水上保弘、青木義朗

第7話 お役人稼業は辛いもの

 上役の与力に出役の遅れを叱責され失職する同心、しかしこれは与力自身が働いた強盗をごまかすためというトンデモ。依頼を受けた右近はもう一遍ハメられかかってる八丁堀を助け、愚弄しまくりの立ち回りの末与力配下のワル同心を罪状書いた板つけてさらし者に。慌てた与力が帰宅すると奉行が来ていてお縄。
*亀の新商売、出がらしのお茶っ葉を集めてきて乾かし再販するというなんかキタないもの。自分も飲まされていたことに気付き吹く右近。このエピが延々時間とって描かれるほか、夫婦が激しくイチャつく。*ロケなしセット撮り。

キャスト/安藤一夫、永光基乃、黒部進、崎津隆介、武井三二、結城市朗、玉生司郎

第8話 用心棒は時間給

 今回の依頼は越後の小藩の若君の警護。隠居して下屋敷で放蕩三昧の大殿に最近できた愛妾の子めぐり騒動…と聞かされた話は江戸家老の作り事、こいつが藩金を私し資産運用して肥え太るというもの。右近は大殿に会って話を聞き事情を察知、土壇場で若君と大殿側に立って家老以下のワルをぶった斬り。

ロケ地
・堀家へ向かう右近夫婦が通りかかる道、仁和寺茶店前。
・神田橋の堀家上屋敷、大覚寺大門式台玄関
・釣りの無用斎(大殿)に話しかける右近、大覚寺放生池堤
・菩提寺へ墓参の若君の経路、仁和寺観音堂脇。刺客が伏せられている、御室桜林。殺陣は大沢池北辺並木にスイッチ。
・国元から大殿を諫止に出て来た勘定奉行が殺される湯島付近、大覚寺心経宝塔付近。
*冒頭、まる鍋を突付く夫婦を見て悶絶の亀が傑作←亀が食われて悲しい。

キャスト/天田俊明、吉田美江、早川保、伊庭剛、楠年明

第9話 母娘のよりも戻します

 15年ぶりに江戸へ戻ってきた女が娘に会いたいという依頼。女は身代りの罪を着て島帰りの身、人に託した娘は安女郎に堕ちていた。託した相手・上州屋が悪辣なワルで、五歳の折吉原に売られその後もしゃぶり尽くされての仕儀に右近の怒り炸裂、鶴亀の駕籠に乗り座敷に乱入・用心棒を叩き斬り上州屋を駕籠に乗せ南町門前に晒す。島帰りの女から当然金は取れず重湯を啜る夫婦、集金に来た亀ちゃんは箸の要らない椀の中見せられ退散。

ロケ地
・上州屋を訪ねたあと差し向けられた刺客を待つ夫婦、仁和寺中門(内側)。もちろん撃退。

キャスト/北林早苗、青山知可子、森下哲夫、時代吉二郎、梅沢昇、小船秋夫

第10話 盗むは極楽、戻すは地獄

 右近が生霊?に依頼を受けた相手は瀕死の病人で、さる大名から奪った品を返してきてくれという。実は盗ったのは臍の緒ではなく姫本体で、まだ三つの跡取り息子を無礼討ちにされた意趣返しだった。姫は依頼者・八十助の娘として育てられており、返す返さないが藩の内情と相俟って大騒動に。

ロケ地
・中越藩江戸屋敷、門は松竹のセットで殿様と姫が逍遥する庭は建仁寺久昌院の庭で座敷から家老が見てなぜ万里姫を嫁に出さんとボヤく(姫に来ている話は若年寄の子息との婚儀)。このあと廊下へ出て右近が来たことを聞く(座敷は後段でも出て門も映り込み)
・中越藩からの帰途右近夫婦が尾行される道、妙心寺海福院前路地大通院塀南東角
・自分が姫であることを知らされた八十助の娘・千里が呆けて歩き行商人とぶつかる市中、今宮神社稲荷社前。物思いに沈むのは上賀茂神社ならの小川神事橋下手右岸水場。
・父の病平癒を祈願する千里、ならの小川畔の摂社。お弦が千里に事情を話すのは神事橋たもと。
・「千里」姫が父の殿様と会う座敷、相国寺大光明寺方丈座敷。右近夫婦は廊下にいて、正体を現した家老らとチャンバラはここと石庭で(セット併用)

キャスト/土家里織、草薙良一、中井啓輔、大竹修造、溝田繁

第11話 二人のお千代に手を出すな!

 富商の子をさらったと脅迫状、しかし子は遠出して迷っただけで戻る。さらわれたのは裏店に住む同名同年の女児、身代金を払える筈も無いこの父子のために新キャラも交えた右近たちはあの手この手で取り戻す。*新キャラは智恵者屋小春、フライで釣りしたりしてなかなかと思わせて酒粕絞って売るあたりは亀ちゃんと同類かも。

ロケ地
・亀の教えたポイントで朝から釣りの右近、広沢池観音島。小春がフライフィッシングを披露。
・身代金受け渡しの大川端川中明神、広沢池東岸

キャスト/速水典子、小袖京子、田山涼成、山内としお、芝本正、岩尾正隆

第12話(終) どこか怪しい右近七変化

 病の母のため一度だけ辻に立ったおりょうは運悪く夜鷹狩りに遭い、仕置として吉原羅城門河岸の局女郎にされた経歴を持つ女。その折太夫に蔑まれたことを根に持ち、仲人稼業の今は吉原の女をことさら憎み陥れては大金を巻き上げるという所業を重ねていた。
右近は年季明けて良縁を得ようとして高砂屋に騙された女の意地を晴らすべく、お弦に亀・小春らを客に仕立てて高砂屋に乗り込ませ、バックにいた同心を薙ぎ倒しおりょうに迫る。
最後は亀と小春のための「高砂」を練習の夫婦のイチャイチャで幕。

ロケ地
・ラス立ちの場から金持って逃げたおりょうが乗り込む屋形船、大沢池に繋留。

キャスト/石倭裕子、河原崎建三、小袖京子、名代声二郎、沢田里沙、桃山みつる、萩原紀、青木義朗

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