十三人の刺客

工藤栄一監督作品  1963/12/7東映


 将軍の弟で明石藩主の松平左兵衛督は、やりたい放題しほうだいのトンデモ馬鹿殿。
参勤交代の道中でも揉め事を起こすので中山道を行くよう計らわれているが、あろうことか上松宿で陣屋に詰めていた尾張藩士の新妻を手籠めにした挙句駆けつけた夫を殺害、その後妻は自害して果てる。
無論尾張は申し開きを迫るが、無論耳なんて貸すもんじゃない馬鹿殿、それを諫止し得なかった明石藩の家老は公儀による処分を求め、老中・土井大炊頭の門前で切腹。しかし将軍の意向で処分はナシ、どころか幕閣にポストを用意。
立たぬ一分に大炊頭が取った手段は暗殺、拝命するは目付・島田新左衛門。腹心の剣客をはじめ人材を集め、馬鹿殿の国元への道中を狙う。

 仕掛けが凝っていて、まず尾張に依頼し藩領通過を認めぬ処置を打ち、諸事情から通らねばならぬ美濃・落合宿を襲撃ポイントに設定、宿ごと買い上げて要塞を作る。
宿場へ向かった一行の背後で橋を落とし、宿場出口には柵を植え込んで塞ぎ、袋小路に追い込み矢衾や丸太落としを仕掛け、最終的に戦いは壮絶な斬りあいに突入してゆく。馬鹿殿が始末されたあと、旧知の仲の馬鹿殿付きの鬼頭と暗殺部隊のヘッド・新左の一騎打ちとなり、新左は鬼頭の刃をわざと身に受け果てる。生き残った明石藩士が、狂気の裡に哄笑する泥田で幕。

西本願寺大玄関門

ロケ地

  • 江戸城馬場先御門外・老中土井大炊頭邸、西本願寺大玄関門
  • 上松陣屋詰・牧野靭負が、土井邸で新左に経緯を語るくだりで出る、松平左兵衛督一行がやって来る街道、不明(山道、樹木越し遠景)
  • 土井邸出入りの者に関する調査報告を苛々して待つ鬼頭半兵衛、仁和寺本坊表門(内側、石畳や老松が映り込む。座敷越しの絵も)
  • 浅川の浅慮をたしなめる鬼頭、仁和寺本坊表門(外側、北望の図で参道を映す)。左兵衛督お国入りの際行列が出てくるのも同所。
  • 島田新左衛門邸、不明(塔頭の門か、鬼頭が馬で乗りつけるシーン)
  • 戸田の渡しで左兵衛督を狙う新左たち、木津河原。河川敷にしつらえた苫屋に潜んでいると、一行が堤をおりてくる。鬼頭のフォーメーションと、ダミーの駕籠に惑い、襲撃は果たせず。
  • このあと左兵衛督一行がゆく道中、木津堤上。その後の蕨宿〜熊谷宿は不明、萱葺きが見える道、植林杉の山の裾、山峡?の野道など。
  • 新左らが落合宿にて襲う策を講じている間、中山道・信濃路をゆく左兵衛督一行、鳥居本参道(つたやの店先越し北西望、両部鳥居の脚のみ見えている)
  • 木曽から尾張国境へ差し掛かる左兵衛督一行、不明(植林杉の林道)。牧野靭負が立ちはだかり、一行の通過を阻む国ざかいの橋、不明(二つの木橋を組み合わせて使用、欄干の仕様が異なる。一行がやって来る川堤は高く、川水は少ない←天井川か。設定は王滝川)
  • 倉永が騎馬で来て新左の待つ茶店へ至る街道、不明(丘陵地の野道か)
  • 権兵衛峠を越えてゆく左兵衛督一行、不明(山道)
  • 落合宿入口の橋、不明(穴太橋に似る。落とされる際の橋はセットか)。落合宿セット、陸自長池演習場

参考資料 「光と影 映画監督 工藤栄一」ワイズ出版


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