いれずみ判官

沢島忠監督作品  1965.2.25東映


 言わずと知れた名奉行を鶴田浩二が演じた、ちょっと変わった「遠山の金さん」。
安易に自死と断じた事件が後を引き犠牲者が相次ぐ事態に、黙って居れぬ正義の男は木場に潜入。しかし、敵はいち早く彼の存在を察知し、あらぬ言いがかりをつけて北町奉行を切腹に追い込もうと画策するのだった。

大阪城

ロケ地

  • 北町奉行所、仁和寺本坊表門(左右の壁に海鼠壁パネルあしらい、ステップ映さず)。南町奉行所、京都御苑管理事務所長屋門(クレーンショット)。両方とも役者入らずのイメージカット。
  • 木場、「丸太町」の材木置場か。かなり広大で、背後に立ち木が見える。また、合成と思われるが遠景に「川」を配した絵も。角乗りのシーンは「現地」撮りか。
  • 梶川の墓、金戒光明寺墓地。行き帰りの際石段が使われ塔が映り込むほか、梶川の妻女が住職に何やら渡すシーンで石段南側の塔頭が映り込む。このあとも何度も登場、夜間撮影もあり。
  • 幸吉が死罪と決まり、絶望したお加代が入水する大川、広沢池か(汀は葦原、滞水)
  • 梶川宅、不明(弟を込めてある蔵は川に面して建つ。対岸の高堤が見えていて、流れは瀞。蔵は炎上するが、セット撮りか川端で燃やしたか定かでない)
  • 鳥居邸、不明(兼田が出てくると矢文が飛んできて門柱に刺さるくだり。門は普通の棟門、門外に花頭窓を持つ建物、および与吉が身を潜める石垣)
  • 登城する金四郎を止める村上、城を望む堀端は大阪城内濠端。一人城へ向かう金四郎のシーンは天守真下。

 金さんは鶴田浩二、金四郎の旧友・村上浪人は大木実。村上を食客にしている火消しの親分は高松錦之助、金さんを呼びに来て捻られる気の毒なは組の若い衆は小田部通麿と潮路章。東照宮改築を請け負うはずだった近江屋は原健策、番頭は中村錦司で手代は唐沢民賢。近江屋を殺したかどで捕まる、蕎麦屋の幸吉は藤山寛美、妹のお加代は藤純子、二人が住む長屋の衆は河原崎長一郎や芦屋雁之助にミス・ワカサ。墜死した南町配下・本所方与力の梶川は栗塚旭、未亡人は桜町弘子、梶川の「馴染み芸者」小春は南田洋子で夜鷹のおしのと劇中でも「二役」。

 近江屋のライバル・難波屋は阿部九州男、近江屋をクビになったあと難波屋に雇われる乱暴者の人足・グズ安は遠藤辰雄。水野老中は内田朝雄、普請奉行は徳大寺伸、南町奉行・鳥居甲斐守は佐藤慶で筆頭与力の兼田は天津敏、こやつらは一つつながりのワル。
幸吉を引っ立ててゆく捕り方に西田良(良明表記)、福本清三と川谷拓三は木場人足か。

脚本/沢島忠、中島貞夫

■冒頭、徳川幕府が身分制度保持のため武士に威信を強い、当然いれずみなど絶対ダメで、やったら改易ものだったとテロップが入り、これが後段の鍵に。
■KBS京都「中島貞夫の邦画指定席」にて視聴。解説の監督談話抄録:千恵蔵御大の金四郎と鶴田浩二のそれをどう変えるかが大テーマ…勧善懲悪の典型的明朗東映時代劇→暗めのサスペンスタッチに/女優の芝居を前面に押し出した点が当時としては画期的/お白州での名啖呵をやめて城中にして、会社に叱られ。


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