花の遊侠伝

安田公義監督作品  1958.8.31大映

キャスト
金子市之丞/長谷川一夫 片岡直次郎/勝新太郎 暗闇の丑松/林成年 河内山宗俊/黒川弥太郎 千葉琴江/浦路洋子 おとし/中村玉緒 おその/角梨枝子 小春/阿井美千子 勘美津/水戸光子 平手造酒/千葉敏郎 お浪/美川純子 おみね/大和七海路 お兼/飯田蝶子 おもん/東山千栄子 千葉栄次郎/小堀明男 中野石翁/柳永二郎 林肥後守/香川良介 彦六/左卜全 芸州/堺駿二 森田屋清蔵/清水元 倉橋権太夫/光岡竜三郎


 自他共に認める「人間のくず」の、四人の無頼が痛快な活躍を見せる、ダークヒーローもの。
仲間の御母堂のために打った無理くりな大芝居は、小娘に執着し非道を重ねる要人の所行をあばいて懲らしめる結果に。勢いで話に乗らされるフィクサーの粋なはからいと、何もかもわかっていてお芝居に乗ってくれるおっかさま、死を覚悟して若年寄の手勢と戦う四人に加勢してくれる乞食たちなど、じんと沁みる情話がたっぷりと添えられている。

西本願寺大玄関門

ロケ地

  • 練塀小路の河内山宗俊宅、不明(塔頭の門か、塀には腰高な石積)
  • 直次郎の母を迎えるため「勝手に使う」石翁の今戸寮、不明(セットか、門扉は瀟洒な細竹編み)
  • 御母堂を迎えに、丑松が先導してたいそうな行列を仕立ててやって来る板橋の茶店のくだり、街道は川堤か(堤に軒が接する感じ、古い映画で頻出の一件)。茶店は、松の高木が疎らにある野、亀岡か。
  • 近江屋から出た使いの者をつける丑松、町角は不明(塀の角)。使いが入ってゆくところで文を掏りとる、肥後守屋敷門前は西本願寺大玄関門。後段、宗俊がねじ込みに来る段では、彼の背後に北小路通と興正寺の甍が見えている。
  • 事後、旅の空の四人、不明(川堤か、高さは相当にある)

 四人の日常はまことに怪しからぬ体たらくで、丑松は掏摸で直次郎はコソ泥、宗俊は尿瓶を銘器と騙って田舎侍に売るなどして悪辣そのもの、金子市はいろんな女にモテまくりの色悪。そんなところへ、息子が出世したと聞いて田舎から直のおかかが出てきて、金子市がお芝居を提案する運び。幼時に母が逐電してトラウマを抱える金子市に、おっかさまが母を演じてくれる、クサいのに泣かせるエピソードが秀逸。
御母堂接待の大宴会が屋敷の持ち主にバレて一大事の段、佐渡おけさの唄と踊りの輪に一切を呑み込んでゆくノリが見もの。悪者でない中野石翁も見どころのひとつ。


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