地雷火組

キャスト
桂小五郎/里見浩太郎 氷川新三郎(森下弟子)/伏見扇太郎 白河の仙太(掏摸、桂のシンパ)/品川隆二 天人お玉(女掏摸)/永井三津子 夏絵(城戸息女)/花園ひろみ 森下大蔵(火薬研究者)/黒川弥太郎 近藤勇/阿部九州男 法界の五郎八(掏摸)/吉田義夫 けんつくの銀兵ヱ(掏摸)/杉狂児 ばったの頓兵ヱ(掏摸)/渡邊篤 城戸重蔵/原健策 沖田総司/国一太郎 お君(森下息女)/久我恵子 泥人形のお綱(女掏摸)/舟橋圭子 瀬戸内四郎(森下弟子)/里井茂 隼の金助(岡っ引)/天草四郎 綾小路卿/大邦一公 土方歳三/楠本健二 板倉内膳正/香川良介 西郷吉之助/那須伸太郎 佐橋与四郎(長州浪士)/近衛十四郎

原作/大仏次郎 脚本/結束信二


地雷火組

井沢雅彦監督作品  1960.11.2第二東映

 元治元年、洛北の方より怪しの爆音響く京の町では、勤皇佐幕いずれもそれを敵方の新兵器と疑い、緊張の日々が続いていた。そんななか、国事に奔走する桂小五郎は、長州の虎と称される同志を京に迎え、彼に塒を世話するが、信頼して預けた先の主は新選組に通じていた。

保津峡

ロケ地

  • 爆発騒ぎで捕り方が慌しく出入りする京都所司代、京都御所管理事務所東門
  • 新選組屯所、京都御所管理事務所北門。隊士らが爆発現場の北山へ向かう道、不明(丘の際、小橋あり・谷沿い?/現場手前の道は林道)
  • 薩摩藩邸、青蓮院長屋門
  • 京へ八里の丹波の街道筋、不明(山際の道に茶店あしらい)←仙太が爆発騒ぎを話題にして人の気をそらし、掏摸をはたらく場面。
  • 掏られたことに気付いた男たちが追ってくる道、不明(谷に架かる橋、清滝か)←追っ手をやり過ごした仙太が迎えに来たと、佐橋に明かすくだり。
  • 佐橋と桂が再会する川べり、保津峡右岸。ここへは、「こっちから行くと嵐山の裏へ出る」と言って仙太が連れてきた設定。
  • 桂が佐橋を預けた城戸の家を見張っていた岡っ引が、新選組屯所へ注進に走るくだり、京都御所管理事務所北東角を曲がって屯所設定の長屋門へ。この表現は後段でも何度か出る。
  • 勤皇狂いの仙太を糾弾する「京都中の掏摸が集まる寄り合い」、そこを役人に踏み込まれ、仙太とお玉が逃げて一息つく神社、新日吉神社楼門前。二人は南から来て、仙太は鳥居をくぐり北へ去る。鳥居の向うが坂になっているのがよく判る絵。
  • 桂から佐橋宛の文を預かった仙太がゆく道、不明(大寺境内の路地か、石畳の道。腰板付きの塀が続き、奥には庫裏が見える。仙太をつけてきたお玉の背後に、妙心寺長慶院によく似た門)
  • お玉が佐橋の懐から桂の文を掏るくだり、真如堂。お玉が佐橋を待ち構えて煙管を吹かすのは参道・塔前(地蔵尊の碑が見える)。参道坂を佐橋がやって来てお玉と接触、軽くいなされたお玉を笑う仙太は茶所から出てくる(茶店仕立て)。佐橋は本堂の方へ去るが、このあと通る路地は境内か(下っ引が見張っている)
  • 佐橋が綾小路卿を説くくだり、屋敷の門は妙心寺壽聖院、二人が話す庭は不明(睡蓮びっしりの池泉、石橋のほか立石がいっぱい)
  • 下っ引が新選組に佐橋と桂が来ると注進し、二人が囲まれるくだり、二人が歩いてくる道は智積院講堂西塀(北望、奥に本坊の門が見える)。下っ引が、出動してきた隊士に「佐橋と桂が」と告げるのは妙心寺法堂脇。桂たちが隊士に囲まれてのチャンパラは、智積院講堂北の林か(井戸の屋形が映ったような)
  • 城戸の内通で新選組に踏み込まれてしまう、桂たちが寄り合いを持つ東山の寺(青雲寺と発音)、不明(門前は石段、門脇に腰板。坂を上がるとお堂があって、奥に方形の小さなお堂・そこが寄り合い場所。智積院密厳堂付近に似る)
  • 城戸父子が保護される所司代別邸、不明(屋根は檜皮、両脇に狭間を見せた築地を持つ門)。内部はセット撮り。
  • 森下が実験中の北山の爆発現場、湖南アルプスか(一部山肌露出)。森下の小屋、不明(山中)
  • 新選組屯所を探って帰ってきた仙太に、お玉が城戸の裏切りを告げるくだり、隊士から逃げた二人が合流する町角は梅宮大社東参道・蔵の脇。お玉から城戸のことを聞いて激怒した仙太が、お玉の持っていた刀を取り上げて放擲する池は神苑の池、仙太は神苑入口の門をくぐって走り去る。東参道から神苑へは、遮るものなく移動。
  • 爆発騒動は勤皇派の仕業と決め付けた新選組が関係先を見張るくだり、長州藩邸は民家長屋門(前の道はまだ地道)。ここを見張るため潜む町角は不明(鐘楼か何かの基壇脇、大寺の境内と思われる)。同じく見張られる薩摩藩邸、先に出たのと同じく青蓮院長屋門
  • 城戸の裏切りを桂に知らせに走る仙太、桂が潜伏している水車小屋はセット、ここへ至る際渡る橋は不明(小川に架かる木橋、簡素な造りで欄干はごく低い。周囲は田んぼ)
  • 師・森下の諌めを聞かず、桂に会いに来た新三郎が新選組に誰何されチャンバラの林、不明(先に出た智積院?の林と同所か)
  • 仙太の知らせを受け、長州藩邸から出てきた佐橋がゆく道、不明(石垣沿い、ステップ上がると祠など。道には石橋架かり)。このあと佐橋は新三郎の危機に介入。

地雷火組 完結篇

井沢雅彦監督作品  1960.11.16第二東映

 北山の爆発は強力な新兵器と知れ、勤皇派も幕府方も入手に躍起。しかし、地雷火の生みの親たる学者は、研究の成果が破壊活動に使われることを拒否、勤皇の士の志は汲みながらも、何方にも与せず自らの手で爆薬を消し去るのだった。

平岡八幡宮

ロケ地

  • 裏切者として城戸を斬るのを一旦諦め、斬りかかる役人から逃げる桂、なお追ってくる侍とチャンバラの町角は妙心寺大庫裏脇路地(通用門前)
  • 前編から引き続き、佐橋が新三郎を助けに入ってチャンバラの林、不明。仙太が助けを求め門を叩く長州藩邸は民家長屋門。駆けつけた長州藩士たちの背後に、石垣や塔頭らしき門、花頭窓のある建物など。
  • 仙太が様子を見に行く屋敷、不明(門の屋根は檜皮)。これを佐橋に報告しに戻るシーンは仁和寺塔前〜経蔵。
  • 北山の森下のラボ、不明。後段、台地らしき地形がちらり。
  • 所司代屋敷、京都御所管理事務所東門。ここから出た役人が北山へ向かう道、不明(山道)
  • 城戸が裃つけて駕籠に乗り込み出てくる所司代別邸、不明(前編と同じ、両脇の築地が派手に出ているのが明瞭に映る)。駕籠が所司代へ向かう路地、妙心寺か(クランク石畳)
  • お薦さんに変装中の桂に、新三郎のことを告げる仙太、大堰川河川敷か(友禅流し演出、河原は礫)
  • 虚無僧に化けて北山へ向かう桂、つけてきた岡っ引の金助と対峙する頂上は保津峡落合崖上、役人が桂を追うシーンは植林杉の斜面。桂が逃げ込む村、お祭り開催中の神社は平岡八幡宮、石段前に舞台がしつらえられ、太鼓や天狗ダンスを演出。村内の路地、不明(石垣が多く、坂もある)
  • 桂が北山にとの報を受け、近藤土方らが馬で出陣してゆく屯所、京都御所管理事務所長屋門。門を出て東へ向かった隊列は、画面が切り替わると椹木口の方へ向かい、板塀脇を通る。隊列がゆく野道、湖西の台地か。
  • 村に潜んでいるのを見つかった桂が船で逃げる谷川、保津峡。船をつけて陸に上がったところ新三郎が寄ってくるシーンは落合河口、桂をラボに案内する近道は清滝に架けた一本橋を渡って←カメラ上から。

■前編は、城戸を斬りにやってきた桂の前に夏絵が立ちはだかり、どうでも父を殺す気の桂に銃口を向けるクライマックスで終わる。そして、二週間あとに公開された完結篇では、冒頭丁寧に前編のおさらいがなされる。これは、当時ほぼ毎週新作がかかっていた頃によく見られた形式、というのは解説の中島監督談(KBS京都「中島貞夫の邦画指定席」にて視聴)。東映映画で埋め尽くそうという意気込みで作られた新会社・第二東映が、普及しはじめたテレビに押され短命に終わった話もなさっていた。

■里見浩太郎の桂は、大物志士というより美剣士・若武者で、月代は例の「沖田」ふう鋭角細身のアレ。そしてこのお話では、その沖田が悪辣風味で、夏絵に横恋慕してあわやの場面も。掏摸集団の、どこか硬いギャグも見もので、ここではエエモンの「メフィスト」がにこにこしていて可愛い。


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