侠客 幡随院長兵衛

時代劇スペシャル、1995.10.6TX/松竹

キャスト
塚本伊太郎(幡随院長兵衛)/村上弘明 笹又高之助/石橋蓮司 お金(山脇宗右衛門息女)/野村真美 小平(八百屋若主人)/尾美としのり 権兵衛(山脇小頭)/伊藤敏八 寺沢堅高(唐津藩主)/中原丈雄 お栄(元唐津藩士妻女)/栗田よう子 辻十郎(唐津藩士)/遠藤征慈 坂田茂平次/真田健一郎 良順(幡随院住職)/喜多村英三 榎文蔵(唐津藩士)/沖田さとし 山脇宗右衛門(口入屋)/神山繁 塚本伊織(伊太郎父・元唐津藩士)/北村総一朗 三木兵七郎(唐津藩士)/西田健 お万(水野十郎左衛門母)/菅井きん 水野十郎左衛門/渡瀬恒彦

原作/池波正太郎 脚本/吉田剛 監督/杉村六郎


 有名な、湯殿での「例のシーン」を冒頭に持ってきて、実はこの二人の間には深い友誼が、というフリではじまる裏話。

 父を殺された若侍が、たくさんの人の助けを得て仇を討つプロセスを、詳細に描く。
彼が晴れて仇を討ち、武士を捨てて侠客として立つところでドラマは終わり、水野とのその後は語りで。

大覚寺

ロケ地

  • 伊太郎が父・伊織の亡骸を運び込む、幡随院・新智恩寺、粟生光明寺方丈甍(薄明演出)。お堂内部は阿弥陀堂。
  • 伊太郎の父の墓、粟生光明寺石段上部・手すり際(背景に本堂甍)
  • 父の死の真相を知るべく大坂へ向かう伊太郎、富士山の見える橋は流れ橋。富士を合成したロングの絵のあと襲撃場面、橋上から橋下、河原も使い水に入っての立ち回りも。刺客の首領・笹又に腿を斬られ危機一髪のところ、山脇宗右衛門一行に救われる。
  • 負傷した伊太郎の代わりに大坂へ赴く権兵衛のくだり、大坂イメージに大阪城天守。伊太郎の父の家来だった塩田半平が営む数珠屋は松竹のセット、「隠宅」に似たアレ。
  • 江戸へやって来た半平が待ち伏せていた笹又に斬られる夜の川端、大覚寺放生池堤。伊太郎を連れ帰った宗右衛門が、要請に応じ幡随院へ連れてゆく途中、半平の亡骸を発見する運びで、その前に様子を見に出ていた八百屋の小平と出会うのは五社明神
  • 幡随院・新智恩寺イメージ、粟生光明寺方丈石庭俯瞰。伊織の隣に葬られた半平の墓に頭を垂れる一同、先と同じ石段上部。傷をおして歩き回り倒れる伊太郎は紅葉道・薬医門。
  • 唐津藩・寺沢兵庫頭堅高上屋敷、随心院薬医門。殿のお召しを待つ間、藩士・辻十郎が、笹又に討ちもらしたことの嫌味を並べ立てるのは相国寺大光明寺玄関前庭・方丈石庭中仕切り際。殿が女に無体をはたらき狂乱の態を示す茶室はセット撮り、辻らが控える茶室前の庭は大光明寺石庭。このときいたぶられていた女は辻の妻女、という次第。
  • 殿の側近の三木兵七郎が屋敷を辞した笹又を追ってきて、伊太郎暗殺に加え辻殺害を示唆する邸外、相国寺大光明寺南路地(塀越しのアングルも)
  • 水野十郎左衛門邸、随心院長屋門。奴さんが扉を開けると庫裏の破風がのぞく仕掛け。
  • 笹又をお供に吉原で悪遊びをしてきた帰り、酔った辻がオダを上げる橋は中ノ島橋、河原へおりていった辻が斬られるのは橋下、通りかかった水野は見届けて進ぜると叫び橋から飛び降りてくる。まだ息のある辻を運び込む水野邸は、先と同じ随心院長屋門、下から見上げ。
  • やっと歩けるようになり喜び合う伊太郎とお金、粟生光明寺本堂縁先。水野が焼酎漬けの辻の早桶を持って現れるシーンは阿弥陀堂、カメラ中から。すぐ彦根へ発つことになり、お金と別れを惜しむのは阿弥陀堂座敷、外がちらちら見えて効果的。
  • 生き証人のいる彦根へ赴く伊太郎と水野、彦根イメージに彦根城天守、佐和口多聞櫓。犬上郡富之尾の野道、七谷川河畔林沿い田畔。茂平次が寺男をしている山寺は丹波国分寺、一行は門をくぐり小坊主に声をかける。茂平次は石仏の裏に隠れていて、堂内(セット)へ逃げ込み。
  • 自らを刺し危篤に陥った茂平次の回想、当時の若殿・堅高が稽古で無体の広場、不明(大覚寺か)。遠乗りに出て茂平次の妹をさらう堅高、不明(「崖の下のアレ」か)。さらわれた挙句死体で見つかる妹は大覚寺御殿川河床、この検分に伊織もいて若殿廃嫡を願い出る運び。
  • 江戸城イメージ、姫路城天守。水野邸、随心院長屋門。水野の母堂が伊太郎に、仇討ちの手助けができて倅も天晴れと「激励」。
  • 小平や権兵衛が堅高を探ってくれている間、山脇の手伝いをする伊太郎のくだり、お金とお昼をつかう川端の船は広沢池東岸、お金の夫婦芝居が哀れ。
  • 笹又と会う三木、粟生光明寺総門。先に門をくぐり坂を上がっていった六部たちは三木の手の者、笹又が去ったあとくるりと踵を返す。
  • 六部が三木を乗せた船で漕ぎつける川端、広沢池東岸。汀に苫屋あしらい、笹又と「情婦」のお栄が住んでいて、船から狙撃される。
  • 堅高を討つべく、仕込槍を携え雲水に化けて向かう伊太郎、大覚寺放生池堤。お金の駕籠や堅高の行列がやって来る道は大沢池堤、それを眺める伊太郎は天神島。このとき石仏脇に笹又が潜み、そのうしろを駕籠がゆく。伊太郎が斬り込むのは五社明神、少し離れた場所で笹又が同じく斬り込む。堅高を仕留めるのは五社明神本殿裏手、乱闘のさなか馬でやって来る水野は心経宝塔を背にして立つ。襲う場所の設定は白金あたり、堅高の目的地だった目黒下屋敷は大門。
  • 季節イメージ、東寺塔と桜。「長兵衛」のなりで水野邸へ挨拶にやって来る伊太郎、随心院長屋門。お金は入らず門外で待つ。

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