唄祭りかんざし纏

深田金之助監督作品  1958.12.27東映 69

キャスト
秋月新太郎/東千代之介 香山龍三郎/尾上鯉之助 雪江/円山栄子 中根主膳(火消奉行)/阿部九州男 は組の勘八/星十郎 と組の助五郎/富田仲次郎 は組の弥助/月形哲之介 近藤辰之進(尽忠組)/仁礼功太郎 は組の辰六/富久井一朗 は組藤吉(かしら)/薄田研二 新門辰五郎/大河内伝次郎 友情出演/朝汐、若前田 お雪/美空ひばり


 慶応四年、官軍が東進を続ける情勢下、混乱の裡にある江戸では、三田の薩摩屋敷の火災が、いい気味だとして見逃されかける。ここへ突入したは組を率いるは、病の父に代わって出張る娘のお春。どういった筋でも、火消しとして火事は見逃せないと啖呵を切るお春の意気に感じた若侍が闖入してきて、そのままは組に居着いてしまうが、彼には別の顔があった。
彼らが戦う相手は、エセ忠義を振りかざす尽忠組。私欲のため江戸の町を焼き払おうとした悪党どもを、散々に懲らしたあとふっと姿を消す新太郎だが、お春たちは、威勢良く江戸に進軍してきた軍勢の中に、颯爽と馬上にある彼と龍三郎を見る。

清凉寺

ロケ地

  • 東進する官軍、不明(川堤〜木橋。堤はけっこう高く、橋は欄干つきの高橋、流水はごく浅い)
  • 明けて新年、新太郎とお春が梯子乗りで張り合う出初式、「東映城」前か。
  • 尽忠組の用心棒に果たし状を突きつけられ、約束の場所に出向く新太郎、清凉寺鐘楼脇。新太郎が待っていると、基壇上から「龍三郎」が現れ、次いで基壇の物陰から雪江が出てきて、彼女を預けられてしまう。
  • 用心棒の仮面を投げ捨て、尽忠組から武器を奪う龍三郎、夜の林は糺の森か。
  • 中根主膳が放火の合図の狼煙を上げようとする上野のお山、仁和寺五重塔。塔西側の石畳両脇に、燈籠がたくさんセットされている。塔内部の描写はセット撮りで、連子窓と階段が作り込まれている。

*新太郎ははじめ侍姿で出てきて纏を振ったあと、は組に現れたときは背一面に刺青を入れている運びで、柄はは組の纏。
*もう一人の謎めいた若侍・龍太郎は、尽忠組の用心棒として登場し、なりは着流しアイパッチ(伊達)。二人ともラストでは「ハグマ」をつけて騎乗姿。
*タイトルの意味は、尽忠組が火を放った米蔵の大屋根に上がる新太郎が持つ纏のヘッドに、お春がつけた簪。
*「朝汐」は大関として登場、梯子や丸太を手に大暴れ、もちろん正義の味方。
*悪党どもの企みは、新式銃転売で大儲けのほか、買い占めてある米を高く売るため江戸を焦土になど、悪辣そのもの。徳川恩顧を言い立て、火消したちに放火を使嗾するところで、怒りのあまりキレた、お春の啖呵が降ってくる。


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