地獄の辰捕物控

1972〜1973年、NET/東映

キャスト
地獄の辰/北大路欣也 お玉/大原麗子 銀太/田中邦衛 磯貝源之進/稲葉義男 お京/五十嵐じゅん 松五郎/北村英三 留三郎/広瀬義宣

音楽/宮川泰
ナレーション/芥川隆行


第1話  千羽鶴が泣いている  1972.10.5

 寄場上がりの岡っ引き・辰造が、新婚間もない恋女房の失踪に際会する起こりの話。必死で追い求め、荒事のすえ助け出した女たちのなかに、お玉の姿は無かった。

ロケ地

  • 大八に死体を乗せて天龍一家に乗り込む辰、走り抜ける町並みのシーン、セットとセットの間に挿まれる風景、橋は中ノ島橋、土手は松本酒造前東高瀬川堤
  • 磯貝同心宅へやって来る辰、表の通りは社家町・明神川畔。お玉失踪を打ち明けたあと、本所界隈で神隠しの噂が出ていると語られるくだり、イメージの渡し舟は罧原堤下の桂川か。回想シーン、留三郎から聞いて駆けつける材木河岸、宇治川派流大倉浜土手法面から「材木置場」へ(かなり規模の大きい現場で、一部斉宮神社付近と思われるシーンも)
  • 銀太に助けを求めるため松五郎の酒肆・龍虎亭へ出向く辰、梅宮大社神苑。東参道に面した通用門から入り、池中亭へ(萱葺を酒肆に仕立て、土橋も効果的)
  • 天龍一家の代貸・政次郎を呼び出す辰、今宮神社門前茶屋・一和。導入は東参道のロングから。
  • 政五郎をつける辰、酒樽を携えた政五郎がゆく木場、不明(貯木場か)。さらった女たちを隠してあった、用心棒の浪人がいる寺は神光院、中興堂をメインに回廊、本堂裏など。
  • 或る日帰宅した辰、飯の用意がしてあるのを見てお玉が戻ったと欣喜雀躍、駆けつける思い出の神社は神泉苑。法成橋を走り渡るシーンはクレーンショットで、額づく女を振り返らせると別人なのは善女竜王社(お玉が辰と結ばれることを祈念して千羽鶴を奉納したやしろという設定)。回想シーンで出る、語り合う婚前の二人は不明、水際で遠景に土手。
  • 天龍一家の親分が上方の女衒に女たちを引き渡す船小屋、罧原堤下河原。小屋をセットしてあるほか、土手法面に板を立てかけ「足場」に。

ゲスト
政五郎/中野誠也 助五郎/石山健二郎
脚本/田上雄 監督/松尾正武

※政五郎と辰は、寄場仲間。政五郎は友を見返り親分に尽くすが報われず、女ごとヤバいところを辰に救われ。


第2話  御用金が死を招く  1972.10.12

 御用金強奪犯の上前をはねようとする青年、彼には苦界から救いたい女がいた。彼に過去の自分を重ねた辰は、体当たりでもう一つの道を指し示す。

ロケ地

  • 御用金が強奪される戸田の渡し、木津河原。加島屋一味が、対岸の板橋宿の問屋に化け、出迎えと称して一行に近づく。
  • お玉との思い出の神社へやって来る辰、神泉苑。法成橋と善女竜王社が使われ、狛犬や池もよく映える。祭礼が行われている設定で、川に船を出して賑わうさまも描かれている。このシーンはバンクフィルムと思われるが、川は瀬田川で橋は唐橋、対岸の家並みもちらり。留が事件の話をしても呆けている辰を見て、磯貝さまが留を去らせ、このシークエンスが終わる。
  • 辰の十手が錆び付いていると、銀太が松五郎に愚痴る龍虎亭近くの汀、梅宮大社神苑咲耶池の切石橋。松五郎は大根洗い。
  • 加島屋の贋金工房がある竹藪、北嵯峨か。ここへ特攻をかけ金をかっさらった仙次が船に乗って逃げる河原、木津河原
  • 仙次がお光と落ち合うはずだった海浜、琵琶湖西岸。夕景の海も琵琶湖、琵琶湖大橋から堅田方面を望む図でバンク映像。

ゲスト
為吉/柳沢真一 仙次/石橋蓮司 お光/光川環世 山村弘三 五味龍太郎 峰蘭太郎
脚本/田上雄
監督/松尾正武

※加島屋が強奪犯の首魁で、盗った金を小判に仕立てる次第。レンジは口入屋・加島屋の小頭。
※お光説得のくだりで、辰のお玉回想が出る。今回は、なれそめ+寄場送りになった経緯。喧嘩沙汰で負傷した辰を匿い、手当てしてくれたお玉が磯貝に「密告」、更生を希う。


第3話  刺青者は闇に消えた  1972.10.19

 一心に慕ってくれる幸薄い女のため、足を洗おうとする怪盗。潜伏中の彼を鋭く見抜く辰だが、健気な女の純心にほだされ、職務を擲つほか肩入れしまくり。

ロケ地

  • 大火から逃れる人々を見る松五郎、避難民が通るのは梅宮大社神苑池端(神苑門前、龍虎亭前設定)
  • おしのに会いに行く伝八、店の外で話すシーンは石座神社
  • 龍虎亭に潜伏している伝八を見つけ出し、盗めを強要する賊のくだり、梅宮大社神苑土橋〜境内蔵前。二人を目撃する銀太は神苑門前の石橋。
  • 伝八の正体がほぼ辰にバレたあと、伝八とおしのを一時外へ出す松五郎、二人が話す神社は石座神社、本殿前にいる二人を、舞殿脇から辰が見上げる図。
  • 伝八を脅した賊が狙う銀座屋敷、永観堂。門は中門、蔵は千佛洞。立ち回りは御影堂・釈迦堂間の回廊下でも展開される。

ゲスト
おしの/梶三和子 猿の伝八/夏八木勲
脚本/飛鳥ひろし
監督/荒井岱志

※最後と決めた盗めを終えた伝七は、その夜起きた大火に乗じ人別を手に入れ、新生を期す運び。顔と墨入りの腕を焼き転がり込んできた彼を、松五郎が匿う。とっつあんは、伝八の親父に恩を受けた過去あり。
※伝八探索を放棄した辰に制裁を加える磯貝さま怖すぎ、殴る蹴るがマジで痛そう。


第4話  縁切寺で女が死んだ  1972.10.26

 凶賊と渡り合う辰、満身創痍でなお立ち上がる。その脳裏には、死に至るまで苛まれても我が子を守ろうとした、哀れな母親の死に顔が刻まれていた。

ロケ地

  • 幽霊小助逮捕に賞金がついた高札が折り捨てられる大川端、宇治川橘橋と周辺の土手、河原(橘橋は現在架けかわっており、欄干や橋脚が大幅に異なる。土手越しに見える甍は、平等院観音堂のもの)
  • 小助の女房が入っている東慶寺へ赴く辰、切通しの山道は不明。小助一味に襲われ刺されるのは北嵯峨竹林、からくも逃げて里人に助けを求めるのは北嵯峨農地竹林際の道〜田畔。小助の女房の検死は小丘際か。
  • 東慶寺境内、尼が降りてくる石段、不明(幅は狭く、両脇にサツキと思しき刈り込みがあり頂には大木。負傷した辰が保護されるくだり)
  • 小助の子を猿回しで誘き出すくだり、その子が音を聞きつけ外を覗く蔵、不明。子がやって来る大川端は宇治・橘橋と周辺、子を抱いた小助と辰がやりあうシーンは桂川河川敷にスイッチ(罧原堰堤付近の右岸河川敷と思われる。河原には細い流れが見える)

ゲスト
お照/三島ゆり子 幽霊小助/沼田曜一 中門前町の仁吉/長谷川明男
脚本/池田一郎
監督/原田隆司

※小助は、女房が連れて逃げた子に執着。高札を捨てたのはその子で、母に害をなす男・小助を憎んでの所業。小助の女房は東慶寺に駆け込み、子は大川端の知人に託してあった。
※猿回しは龍虎亭のオヤジが担当。


第5話  御用提灯が闇に泣く  1972.11.2

 おぞましい所業を重ねる外道、辰は僅かな手がかりから犯人に迫ってゆく。出てきたのは「殿様の宿痾」、狂態は修羅場を迎えても治まらない。

ロケ地

  • 磯貝に命じられ辰を呼びにゆく留、梅宮大社神苑。龍虎亭に入らず、神苑門前の橋たもとでもじもじ。酒肆は池中亭で、ここから留を見るアングルもあり、そうこうするうち焦れた磯貝さまがやって来てしまう。
  • 辰が磯貝邸を出てくると門前で留が待っているくだり、上賀茂社家町。留は猫構い中、このあとお玉に似た女を追っていってしまう辰のシーンはセットにスイッチ。
  • 葵小僧の記録を調べにゆく磯貝と辰、伝馬町牢屋敷は御所長屋門
  • 牢屋敷から戻る辰たちを襲う雇われ刺客、相国寺鐘楼。刺客は大通院南西角の塀際から殺到、立ち回りは宗丹稲荷でも行われる。
  • 牢奉行が帰宅するくだり、相国寺回廊
  • 磯貝に十手を返上し出てゆく辰、父に言われ十手を渡しにゆくお京、追いつく夜道は相国寺大光明寺南路地上賀茂社家町藤木社前とミックス。
  • 突き止めた本多邸を張り込む辰、屋敷は相国寺大光明寺。辰は方丈塀際に潜み、松五郎と銀太は南塀に取り付いて中を覗く。夜になって出てくる殿様、御用提灯をともして行く夜道は大光明寺南路地。このあと社家町の磯貝邸へ。

ゲスト
永野達男 森章二 志摩靖彦 有馬淳平 宮口二郎 藤沢リカ 高森和子 三上真一郎
脚本/池田一郎
監督/原田隆司

※女に執着する殺人鬼・葵小僧の正体は殿様、身内が身代わりを立てて庇い座敷牢に籠めてあったが、出てきて悪さを重ねる次第。姉が牢奉行の妻。


第6話  牡丹の花が闇に咲く  1972.11.9

 裏で巨悪が蠢く抜け荷事件、月番違いなうえ、評判の鬼同心に睨まれながらも、ダチのため辰は命を張る。

ロケ地

  • 馬鹿な偶然で割符を渡されてしまった三平、お使い帰りの道を襲われるのは吉田神社竹中稲荷参道重ね鳥居下。彼をシメにかかった男が殺され、三平が犯人にされ遁走。
  • 龍虎亭へ行く前、岸辺に佇み釣り人を眺める辰、嵐山公園か。
  • 三平が潜む横穴、大覚寺大沢池木戸下溢水口(河床から見上げ)。御高祖頭巾のお女中が来て饅頭を呉れ、連れ出される。三平を捜しにやって来た辰が、子らに行方を尋ねる川端は大覚寺有栖川(子の幾人かは御殿川落ち口で遊ぶ)。三平を呼びに来た怪しい男をシメる辰、先の溢水口〜有栖川河床。
  • お女中が三平を連れ込む大目付邸、相国寺林光院(門のみイメージ)
  • 磯貝に十手を返上してきた辰が襲われる道、宗忠神社北参道(見上げ)吉田神社竹中稲荷参道重ね鳥居下。
  • 頭巾の女に後をつけさせ接触する辰、吉田神社大元宮下坂。女はこの坂の崖下にいて、朱玉垣越しに見下ろす図。
  • 猫目の弥之助をつける銀太、相国寺大光明寺南路地〜門前(南東角をクレーンショットで。設定は若年寄邸)。あとで銀太の残した印を頼りに辰と大沢がやって来る。
  • 割符と三平を交換する約束の上野松宮天神、鳥居本八幡宮。頭巾の女と用人は本殿前に、弥之助一家を引き連れた辰がやって来るのは小柴垣の道、舞殿を挟んで対峙の運び。大沢は辰と別行動でやってきて介入。
  • 三平が太平楽に寝ているのを見て帰る辰たち、大沢が飲みに行こうと誘う町角、相国寺天界橋たもと。横穴付近で遊ぶ子が走り寄り、託されていて忘れていた割符を渡すシーンは大覚寺有栖川畔と組み合わせ。

ゲスト
三平/加藤春哉 おえん/高毬子 猫目の弥之助/福山象三 三浦主税/江見俊太郎 大沢左近/米倉斉加年
脚本/池田一郎
監督/原田隆司

※三平はだいぶトロくて、上物の煙草を頼まれたのを覚えきれず薩摩→相模と言い違え、それが割符を渡す符牒に合致してしまった次第←煙草屋の親爺が元盗っ人で仲介者。頭巾の女は忍者設定、町方を見て観念し自刃。北町同心の大沢は、はじめ冷徹な嫌な男として登場、しかし悪を許せぬ正義漢なため辰に協力。


第7話  無縁佛が旅に出た  1972.11.16

 抜け荷商人の保身が、一組の夫婦を引き裂く。思い合う二人に癒されていた安女郎の、まさに必死の願いを無視できない辰であった。

ロケ地

  • 辰も参加しての抜け荷摘発シーン、イメージに挿まれる橋脚は流れ橋
  • 辰に縋りに龍虎亭へ走ってくるおとら、梅宮大社神苑。神苑通用門を入り(南望のアングル)、池中亭へ。
  • 心中者の片割れとしておふさが連行されてゆく佃の浜、琵琶湖岸。漁具や船あしらい。ここへ駆けつける辰のシーンでは、舟板塀?の小屋と林が映る。
  • 営業中のおとらが殺されかかる苫船、大覚寺大沢池北西岸に舫い。
  • 町方の動きを輪島屋に伝えに来る北町同心、不明(お堂の前に苔庭、そこに床机をあしらい。読経が演出されているので寺設定か)
  • 吉原から早桶を担いで帰る辰たち、抜け荷商人差し回しのヤクザが襲う道は大覚寺大沢池堤。池ドボンあり。
  • 幸せそうに旅立ってゆく清吉とおふさ、中山道板橋宿付近の街道は流れ橋、橋上を来る二人を映したあと、側面シルエットで夕景。
  • 浄閑寺に参る辰、不明(墓地)

ゲスト
清吉/佐々木功 おふさ/松木路子 おとら/佐々木愛 原健策 森章二 外山高士
脚本/飛鳥ひろし
監督/松尾正武

※清吉は輪島屋の若旦那、おふさは岡場所上がりでおとらは元朋輩。清吉とおふさは相対死を企てるが失敗、二人して晒されるところ清吉のみ金の力で逃れる。これに怒った辰が大暴れ、しかし清吉に罪はなく巨悪が暴かれる寸法。


第8話  深川河岸が血で染まる  1972.11.23

 意味ありげに置かれた折鶴は、辰を巻き込むための釣り餌。お玉を思う心を踏み躙られた辰だが、民を泣かす巨悪に敢然と向かってゆく。

ロケ地

  • 折鶴を門口に置いて去った女を追う辰、女が消えて船から死体が見つかる千鳥橋たもとは嵐山公園中州掘割、橋から堀端を望むアングルも。
  • 銀太に折鶴を見せる辰、梅宮大社蔵脇。
  • 大蔵屋の妾がやっている本所の料亭を訪ねるくだり、帰る辰を呼び止める女中のおよしのシーン、このとき辰がいるのは嵐山公園料亭・錦前。およしは五木茶屋の方から出てくる(後段、料亭付近でおよしを問い詰める場面では、料亭群の隙間を利用し塀等あしらった、店裏手の堀端が演出されている)。場所を変えて話を聞く川辺は中州岸堰堤脇。
  • 折鶴を持って「思い出の神社」にやって来る辰、神泉苑善女竜王社。お京がやって来るシーンで、法成橋が映り込んでいる。
  • お京が父の使いと偽り調書を借りる南町奉行所、大覚寺明智門
  • およしが復讐をやめてと清吉を掻きくどく墓地、くろ谷墓地
  • 辰が龍虎亭へやって来るのを待ち構え、今日が磯貝との約束の日と迫る留、梅宮大社神苑。留は神苑入口門前の橋たもと、辰は通用門から入り、池中亭へ。
  • 亡母の命日に墓へ現れた清吉を囲む、大蔵屋差し回しのちんぴら、くろ谷墓地。文殊塔下の石段で大立ち回り。
  • 大蔵屋が「火事になったあと」、磯貝が召し取らせる塀際、広隆寺東塀に似る。
  • 焼け出された人々に混じるおよしと清吉に自主せよと諭す辰、渡月橋下桂川右岸河川敷。このあと辰が物思う堀端は、起こりの中州堀端。

ゲスト
林真一郎 三浦徳子 磯野洋子 北原義郎
脚本/笠原和夫
監督/原田隆司

※件の料亭が建つ場所は、そも火除地にするとて住民を追い立てた土地。住処を失って不幸に落ちた者あるにかかわらず、富商はその土地に料亭を建て妾を囲う始末。
※お玉がらみと思い込んだ辰は、磯貝のダンナに無断で動き、バレたあとも三日間の猶予を願い出て捜査を続ける運び。


第9話  かんざしの向うにお玉がいる  1972.11.30

 銀太が目撃した殺しの凶器は、他ならぬお玉の簪。手がかりを求めて奔走する辰だが、巨悪に挑む健気な娘を助けずにはおれない。そして、お玉の消息を知る男は、肝心なことを伝えられずに事切れてしまう。

ロケ地

  • 駒形屋の小頭が殺される現場に出くわす銀太、大覚寺護摩堂。降られてお堂の軒先で雨宿り、石仏のお供えをパクっていると、護摩堂前で事件が出来。
  • 木場へ赴く辰、宇治川派流大倉浜土手法面〜貯木場(南港か新木場か)
  • 龍虎亭に顔を出す辰、梅宮大社神苑池中亭。後段ここが出る際は、神苑通用門から池端を使い表現、露店もあしらい。
  • 思い出の神社へやって来る辰、神泉苑善女竜王社。導入は俯瞰のクレーンショットで、辰は法成橋を渡ってくる。回想シーンつき。
  • 磯貝のダンナに全てを打ち明け協力を要請する辰、辰を呼びに出たお京と出くわす川端は上賀茂社家町
  • 入札に参加するためお紋がゆく川端、宇治川派流大倉浜土手法面。このあとセットにスイッチ、駒形屋と遭遇。
  • 手下にお紋を拘束させた駒形屋が入りかける紀州家下屋敷、東福寺一華院。門前で辰に呼び止められるが、この際辰の背後に経蔵の甍が見えている。逃げた駒形屋を追いかけるお紋のシーンは、一華院付近の路地石畳。
  • 事後、辰がゆく土手、松本酒造前東高瀬川堤

ゲスト
駒形屋/神田隆 佐七/坂口徹 友蔵/村井国夫 お紋/御影京子
脚本/田上雄
監督/松尾正武

※駒形屋は木場の新興勢力、汚い手でのし上がる大ワル。友蔵はお紋の兄さんで、心中の生き残りのはぐれ者、お玉をさらった実行犯だが頼まれ仕事。冒頭殺される小頭は出水憲司。


第10話  月に吠える狼のように  1972.12.7

 黄金仏を盗んだ三人組は、巨悪に乗せられたピエロ。惨めな死に様を晒す彼らを見て、昔の俺と同じと自嘲する辰、怒りをこめて十手が振り下ろされる。

ロケ地

  • 仏像を盗んだあと、逃げた三人組の一人が消される神社、木島神社。立ち回りは本殿前、玉垣の内で。土砂降りの夜演出。
  • 龍虎亭、梅宮大社神苑池中亭。辰が二階でとぐろを巻いているところへ、留が呼びに来る。
  • 手がかりを求め、殺された青年が住んでいた深川のスラムへ赴く辰、突っかかってきた政をシメたあと意気投合、酒を奢る茶店は東高瀬川堤にあしらい、背景に松本酒造酒蔵。岡っ引きと話す政に怒ったチンピラと喧嘩になる段では、法面を転がり落ちるシーンも。
  • 船宿・川よし、入口は大覚寺望雲亭。船着きは大沢池南西畔。
  • また一人殺される三人組、不明(神社境内か、灯篭に吊られ)
  • 政が栄三を呼び出し友吉(三人組の一人)のことを聞く川よしの裏手、大覚寺大沢池堤に塀あしらい(池と直角に立ててある)。このシーン、導入は北側の堤から大沢池南西畔を望む図から。
  • 政が友吉を匿う船小屋、不明(川の汀に小屋あしらい、近くに葦原が広がる。流れは瀞、深い緑の水がゆったりと流れる)。葦原は、友吉が留を見て誤解する段でも登場、かなり広く、足元は湿地。
  • 同じく留を見て裏切られたと誤解、辰を襲う政は梅宮大社神苑門前橋(門扉は閉じられている)。辰は通用門の方から来る(夜間撮影)
  • 栄三の船に転がり込む友吉、大覚寺大沢池南西畔の屋形船。友吉の検分は大沢池畔。
  • 栄三が仏像引渡しに指定の谷中・了願寺、丹波国分寺。門と境内をたっぷり使い、今は無い参集殿らしき建物も確認できる。辰が駆けつけるシーンには、「はさ木」が映っている。

ゲスト
栄三/工藤堅太郎 惣助/西沢利明 お峯/八木孝子 いがみ政/松山省二
脚本/松山威
監督/松尾正武

※友吉の姉・お峯が勤める船宿・川よしの主は小田部通麿、元大盗で番頭の惣助も盗っ人、仏像を盗られた井筒屋も元はグルの賊。政はお峯にほの字。
※留が銀太の軽口に「うるせえな青大将」と突っかかるシーンあり。


第11話  お玉の足が辰を追う  1972.12.14

 近しい者に恨まれ背かれ、傷つき荒れる辰。呑んだくれ表で寝てしまったその頬を優しく撫でる女あり、果たして生きていた恋女房は、また遠く去ってしまう。

ロケ地

  • 龍虎亭、梅宮大社神苑池中亭。オヤジが池に何やら投棄するシーンあり。
  • 見つけた弥之吉を船で運ぼうとすると、臥煙どもが襲う川端、宇治公園中州。
  • お京を呼び出すお玉、今宮神社稲荷社。導入は坂の上から見下ろした図。
  • 上方への回船に乗るというお玉を追って走る辰、琵琶湖西岸(砂浜汀)。渡船場で船は出たと聞き、海に走り入り叫ぶ辰、突堤周辺。

ゲスト
剣持伴紀 勝部演之 国一太郎 芦田鉄雄 山田良樹 成瀬正孝 河村有紀
脚本/田上雄
監督/鳥居元宏

※辰を恨んで死んだ牢破りの男はダチ、その男を見返った女と懇ろになって辰をハメたのもダチ、銀太と松五郎まで辰を誤解し疎遠になるという気の毒さ加減。そして、お玉はずっとそのさまを観察していて、お京に辰のことを頼み込む次第。


第12話  女の目に海が光った  1972.12.21

 恋女房を求め回船を追う辰だが、その旅程を悪者に利用された挙句、やっと会えたお玉はまた何処かへ去ってしまう。

ロケ地

  • お玉が乗った和泉丸の消息を求め、浦賀奉行所へ赴く辰、浦賀の海イメージの荒磯や湾、不明。浦賀奉行所は大覚寺明智門
  • 役人から聞いた、お玉らしき女の消息を嗅ぎ回っていた男を捜す辰、行方を聞く街道筋の橋は琵琶湖河口の橋か、同じく聞きまわる海辺の茶店は不明(マジ海)
  • 小田原で雲助にからまれた辰を助けた女・お夢が、手当てするため布を浸す「川」、大覚寺放生池源頭か。心当たりがあるので同行しようと持ちかけるお夢、大覚寺天神島祠脇。
  • 三島宿、辰が雨宿りするお堂へ戻ってきて「男」の消息を告げるお夢、大覚寺五社明神舞殿。
  • 下田への近道をゆく辰とお夢、尋ねる「男」である源次が出てお夢とグルなことが発覚する山道、白水峡か。
  • 下田、辰がお夢を監禁してある蔵、不明(後段、留が追いついてくる段では、周囲に茅葺民家多数?)。下田の海、丹後海浜か(大きな丸石がある浜、小川の河口の砂浜等。後段、お玉やお夢とのからみのシーンでは、沖に小島)。お夢がお玉と辰を引き合わせようとする神社、不明(お玉がいる鳥居は両部鳥居、辰がいる付近にはお堂らしき建物)

ゲスト
源次/今井健二 鳥吉/織本順吉 お夢/野川由美子
脚本/笠原和夫
監督/原田隆司

※鳥追姿で辰の前に現れるお夢、江戸では怪しげな宗教(内実は阿片窟)の教祖様をやらされていて本人もジャンキー。お玉はお夢の後釜に狙われていた次第。


第13話  お玉の声が波に散った  1972.12.28

 辿りついた大坂で聞くのは、絶望的な情報。せめて仇をとろうと走り回る辰は、お玉に仕掛けられた汚い罠と、罪無き命を救った漢がいたことを知る。

ロケ地

  • 宿場人足に無体をはたらかれるおふじと下僕(この時点で正体は知らず)を助ける山崎街道、不明(植林杉の林道、道に門口を演出)。イメージの海辺は琵琶湖西岸河口州。
  • 和泉屋の小頭・定八をつけてシメる辰、小椋神社。参道橋〜稲荷社、田所神社と来て、定八が逃げ去る際に蔵など映る。大宮川に架かる参道橋は、現在の朱色のものでなく石橋。
  • お京が御高祖頭巾の女を見かけてついてゆくと果たしてお玉のくだり、神社は吉田神社竹中稲荷。参道重ね鳥居下〜三高碑への階段を降りてくる二人〜本殿。辰と会うことを拒否したお玉は、三高碑への石段を登って去る。
  • 定八殺しの下手人と大書され橋たもとに括られ晒される和泉屋親子、中ノ島橋
  • 江戸へ戻る辰一行、湖西丘陵か。

ゲスト
おふじ/北川めぐみ 和泉屋久太夫/遠藤辰雄 定八/入川保則
脚本/田上雄
監督/荒井岱志

※和泉屋の娘・おふじは小大名の妾になるのを嫌い「死んだ」芝居、これにお玉が使われる運び。定八はおふじの幼馴染で許婚者「だった」次第。


第14話  恋路の果てに地獄を見た  1973.1.4

 男の腐った性根はなおらず、女の献身は悪い方にしかはたらかない。愛に縋る女が哀れで立ち回る辰だが、思いやりが仇となる。

ロケ地

  • 喜助らに侵入られる御目付衆・早瀬家屋敷、随心院長屋門、拝観口。後段では、長屋門向こうのクランクや、拝観口右手の塀際なども使われる。おふくが喜助への合図の折鶴を置く際は、拝観口から出て門前の松へ。
  • 喜助とおふくが住みつく渡し番の小屋、宇治公園。小屋は左岸河川敷に設置、左岸の礫河原と湛水域、土手法面が芝居に使われ、土手越しに平等院の甍が掠め、橘橋側面もちらり。おふくが米を研ぐのは湛水域、渡し場の向こうの川にはけっこうな荒瀬が見えている。

ゲスト
喜助/河原崎健三 おふく/西山恵子 市太郎/樋浦勉 早瀬主水正/川辺久造
脚本/池田一朗
監督/原田隆司

※喜助は大工崩れの盗っ人、市太郎が相棒。おふくは早瀬家の侍女で、喜助に引き込み女の役を知らず荷わされた次第。
※拝領の品を盗まれた早瀬は、秘密を知る者を消そうとし、辰まで付け狙われる。


第15話  憎しみの果てに朝が来る  1973.1.11

 松五郎のとっつあんがボコボコにされては、黙っていられない辰。ふだん荒っぽい親爺の口が堅い裏には、深刻な訳があった。

ロケ地

  • 松五郎がひどい目に遭ったと聞いた辰が走り入る龍虎亭、梅宮大社神苑南通用門〜池中亭。この過程を、北側からクレーンショットで。
  • 幻一味の音松が土左衛門で上がる大川、広沢池か。
  • 喜平を訪ね語らう松五郎、家の外で話す渡し場は広沢池東岸。後段も登場。

ゲスト
喜太郎/中尾彬 お花/有川有紀 喜平/瀬川菊之丞
脚本/松村正温、森功
監督/松尾正武

※体を壊し寝ている老爺・喜平の前身は、本格の盗賊。その名を騙り出没する畜生働きの賊「幻」は、喜平のとっつあんが捨てた女の生んだ子、血を分けた我が子で父親を憎悪する者であったという哀話。喜平の面倒を見ている娘は、喜太郎の異母妹・お花。松五郎は喜平の古馴染み。


第16話  十手者が闇に追われた  1973.1.18

 江戸をフケた凶賊を追って、お大名の領地にまで乗り込む辰。たださえ身動きとれぬところへもってきて相手は卑劣狡猾、しかし絆されたお役人と組んでみごとお縄。ペーソス漂う逸話もついている。

ロケ地

  • 和助の手下・鎌太郎が斬られる橋、中ノ島橋(セットの橋からスイッチ、斬られてドボン→釣り船へ這い上がる寸法)
  • 小田原の浜で和助差し回しの刺客とやり合う辰、丹後松島か(沖に小島、砂浜には河口も見える)
  • 負傷した辰が和助の娘・お夏と出会う水辺、大覚寺放生池堤、護摩堂。家から焼酎等持ってきて手当てしてくれるシーンは石仏裏で。
  • 和助にカマをかけて釣り出す街道、湖南アルプスのダート。立ち回りは天神川河床へなだれ込み。

ゲスト
鬼権/福田豊士 お夏/上原ゆかり おぼろ影の和助/河津清三郎 菊池助之進/大友柳太朗
脚本/池田一朗
監督/荒井岱志

※和助の差し金で、辰が寄場帰りだと証言する「寄場仲間の平六」に福ちゃん。
※鎌太郎は銀太のダチ。お夏と辰は飼い犬を介して知り合う。菊池は小田原のお町のダンナ、銀太に絆され。


第17話  念佛お竹も地獄を見た  1973.1.25

 度外れた慈悲深さで慕われる女中だが、施しは盗っ人に利用されていた。彼女をしょっ引いたため散々な目に遭う辰だが、そのまま変わるなと願う。

ロケ地

  • 五兵ヱ一味がツナギに使う正源寺、慈眼堂。門越しに廟所を望む図で導入、墓地も使われ、阿弥陀仏も映っている。
  • 辰に足止めを施したあと、お竹に近付かぬよう竜崎に念押しする五兵ヱ、釣り船が浮く水辺は西の湖か。
  • お竹に詫びを入れに来る竜崎、二人が話をしにゆく店の裏の稲荷、吉田神社竹中稲荷。参道から舞殿前あたり。竜崎の回想、孕んだまま入水した妹の検死、大覚寺大沢池水門
  • 辰と一味が大立ち回りの中川芒ヶ原、宇治河原か(土手あり)
  • 磯貝に呼ばれ、留を供に赴く辰、東高瀬川堤

ゲスト
念佛お竹/松本留美 竜崎真之介/田口計 佛の五兵ヱ/浜田寅彦 桃助/汐路章
脚本/池田一朗
監督/松尾正武

※竜崎は、妹の一件で「商家の主」を憎悪し必ず殺す凶賊に。佛の五兵ヱの名の謂れは、主は殺すが奉公人を殺さぬところから。


第18話  蘭の花は血の中に咲く  1973.2.1

 叩きなおすつもりで辰が寄場送りにした男は、性根を腐らせて帰ってきた。罪を重ねてゆく男を庇い立てて甘やかす母哀れ、愚かしくも深い母性を肌で知らぬ辰もまた哀れなのだった。

ロケ地

  • 井筒屋が天竺から取り寄せた蘭の花が荷揚げされる船着き、広沢池東岸。蘭を輸送中賊が襲うのは大覚寺大沢池畔、見回り中たまたま騒ぎを聞きつける磯貝さまは観月台下、賊どもが逃げ去るのは放生池堤。
  • 遺留品から辿り、持ち主の源太を問い詰める町角、中ノ島橋たもと。
  • 辰と歩きながら、蘭を盗った目的に疑義を呈するお京、上賀茂神社二の鳥居前。その後町中でままごとに使われていた蘭を発見、それが投棄されていた場所はならの小川(神事橋下手の水場、両岸に鉢割って撒き散らし)
  • 蘭の花を持って井筒屋を訪ねた帰り、浪人衆に囲まれる辰と留、上賀茂神社ならの小川。凄腕の浪人から逃れる二人は、河床をじゃばじゃば。
  • 源太らがたむろする本所・竜勝寺、神光院中興堂。室内はセット撮り、辰が踏み込んで大暴れの際には、中興堂はじめ回廊、本堂裏手も使う。
  • 源太の脅しに応じ一万両を大八に載せ運んでくる井筒屋、仁和寺金堂前〜経蔵(ここで源太一味が現れ、金箱を検品)。凄腕の用心棒が源太を斬り殺すシーンは金堂前、老母の悪罵を背に去る辰は参道石畳(奥に中門映り込み)

ゲスト
源太/橋本功 小平次/松川勉 おくま/村瀬幸子 井筒屋五兵ヱ/潮万太郎
脚本/田上雄
監督/荒井岱志

※札差・井筒屋は好事家を装い、蘭の鉢に阿片を仕込み密輸入。源太の知るところとなり、脅迫事件に発展。
※おくまが源太の母、左官の小平次は弟。


第19話  密告状は涙で書いた  1973.2.8

 タレコミで捕まる本格の盗賊、裏にはぎりぎりの哀しい事情。辰の知り合いの鈍牛のような青年は、恩あるかしらを売った者を殺そうとするが、凄惨な結末が用意されていた。

ロケ地

  • 龍虎亭、梅宮大社神苑。池中亭土橋、通用門や池端が映る。
  • 深川八幡へ参るところを捕まる霞の又兵ヱ、今宮神社。境内石畳付近に茶店を仕立て、磯貝さまはじめ皆で見張り、松五郎の爺さまも面通しに連れて来られていて床机に陣取り。又兵ヱは楼門をくぐり入ってきて、本殿へお参り。張り込みに気付かれて逃走劇がはじまり、境内各所を走り回る。又兵ヱが稲荷社の玉垣を飛び越えて中に踊り入る一幕も。捕縛シーンはセット撮り。
  • 護送途中で逃げた又兵ヱ、市に船を用意させていた大川端は広沢池観音島。お町のダンナが追いついて又五兵ヱに刃を浴びせるが、市に絞め殺され。
  • 又兵ヱの娘・おとせを訪ねた帰り、「思い出の神社」に立ち寄り、お玉の密告と重ねて物思う辰、神泉苑。法成橋を渡り、善女竜王社へ。

ゲスト
市/東野孝彦 おとせ/神鳥ひろ子 霞の又兵ヱ/安部徹 徳兵ヱ/浜田晃
脚本/飛鳥ひろし
監督/松尾正武

※掟にうるさいおかしらが煙たくて裏切りを画策する手下、その筆頭の女房がかしらの娘で、企みに気付き父を救う意図でタレコむ次第。うすのろ市の思い込みや献身が痛々しい。
※又兵ヱが入れられる牢、先客に福ちゃん。


第20話  わらべ唄が闇に聞こえた  1973.2.15

 与力が殺され、磯貝さまが容疑者に仕立てられてしまう。辰の懸命な捜査で浮かんだのは、金で殺しを請け負う闇の住人。そして、知りたくなかった事実が露わとなる。

ロケ地

  • 浅山与力と口論したあと、怒って奉行所を出た磯貝がラリって寝込む稲荷脇の道端、広隆寺東塀(大木のそばにある祠はあしらいものか有りものか不明)
  • 龍虎亭、梅宮大社神苑池中亭。導入はクレーンショットで、土橋で銀太が立小便中、釣りの格好の山形浪人が童歌を口ずさみながら来るのは咲耶池端。
  • 留の知らせを聞いて磯貝宅へ駆けつける辰、上賀茂社家町。明神川端で、お京が切腹予防のため両刀を抱えて立っている。
  • 殺人を依頼したと目される津の国屋を、心中相手に偽装された女の母の墓へ連れてゆき力押しで白状させる辰、西方寺小谷墓地
  • 殺し屋を釣り出して尾行するくだり、「依頼者」のお京に接触したあと船で去る殺し屋たち、嵐山公園掘割。船は渡月小橋をくぐり、橋たもとに磯貝らが駆けて来る。殺し屋たちが上陸するのは、右岸側橋たもとの石段。

ゲスト
浅野太市/伊達三郎 浅山伝兵ヱ/林彰太郎 三造/小田部通麿 津の国屋/天草四郎 山形右京/左右田一平
脚本/池田一朗
監督/松尾正武

※山形浪人は京の童歌を常時口ずさむ設定、味噌の銘柄に言及するなど、見た感じはまんま万平ダンナだが、凄腕の剣客設定。三造は匕首を得物にする実行犯、浅野は学者で連発銃を持つ。
※津の国屋が墓地に連れ出される際、ついてくる火消しの下っ端に福ちゃん。


第21話  竜神河岸に一人立つ  1973.2.22

 凶賊を捕えてみると竹馬の友、彼は荒んだ挙句名うてのスラムの住人となっていた。殺伐の中、再出発の母子が救い。

ロケ地

  • 凶賊・めくら狼について話す辰と銀太、大覚寺大沢池堤。銀太と別れたあと、土手で子を遊ばせているお袖と再会。遠景に五大堂の破風がちらり。
  • 犯行現場を押さえられ逃げた賊を追う辰、下鴨神社糺の森(朝靄演出)。逃げた男がなりを変え出てくるのは泉川切石橋たもと、このあと池跡で立ち回り。縄を打ったところで、男が幼馴染の常吉と知る。
  • 辰の回想、常吉と過ごした幼い日々、中ノ島橋下河川敷(取っ組み合い)と橋上(竹馬を譲り合って遊ぶ)
  • 龍虎亭、梅宮大社神苑池中亭。保護し預かっていたお袖の息子がさらわれるのは神苑池端・入口門付近。坊やを捜すお京の背後で通用門が開いていて東参道の蔵が見える。
  • 坊やを人質にされ呼び出され赴く妙満寺裏の水神の森、大覚寺放生池畔。辰がやって来るシーンは放生池堤、一味が待っているのは護摩堂脇で裏手に塀を仕立て、放生池畔には墓地を演出してありここに隠し金という次第。

ゲスト
常吉/川地民夫 お袖/上村春子 お蓮/姫ゆり子
脚本/高田宏治
監督/原田隆司

※お袖は玉の輿に乗り、辰らの住む貧乏長屋を出て行ったが婚家が零落・夫と死別、子連れで常吉と一緒になった設定。薄々察してはいたものの、亭主の稼業を知ったショックで子を抱いて入水(未遂)。
※スラム描写はセット撮り、入口には橋。


第22話  千羽鶴に地獄を見た  1973.3.1

 金貸しの座頭が殺され、溜め込んでいた五千両が行き方知れず。怪しい向きは全てハズレ、いるはずのない謎の男が現れるが、あとに残るのは哀れな女の悲嘆のみ。

ロケ地

  • 座頭・貞の市の死体が上がる大川端、広沢池東岸
  • 彦市が貞市の墓をあばくくだり、見ていた辰らが襲われる夜の林、不明。
  • 辰を襲った浪人たちが貞市を囲む竹林、北嵯峨か。
  • 貞市の甥・新之助が金を運びこむ元船宿、広沢池東岸料亭跡。
  • 事後、押し黙って水辺をゆく辰、大沢池畔か。

ゲスト
お秀/藤田弓子 彦市/藤岡重慶 青山新之助/松原光二 大工/川谷拓三 貞市/内田良平
脚本/服部佳子
監督/松尾正武

※妾のお秀は貞市に苦界から掬い上げられた身、何もかも知っていた設定。大工は銀太のダチで寄場帰り、貞市にハメられ。


第23話  夜の終りに殺しを見た  1973.3.8

 辰らに優しかった「仏」と称される爺さまが、寄場から出た日に殺される。その死に一端の責ありと落ち込む辰だが、犯人逮捕が弔いと遮二無二動き出す。

ロケ地

  • 足抜きを責められ殺されて川に投棄される弥平の爺さま、中ノ島橋下手河川敷。留が居合わせ橋上から目撃、一部始終をものかげから見ていた爺さまの娘婿も見咎める。河原はラストシーンにも登場。
  • 弥平の検死、宇治公園左岸河川敷(中州側水路脇)

ゲスト
高品格 小堀明男 松山照夫 睦五郎 桜田千枝子
脚本/山本英明
監督/鳥居元宏

※船頭をしていた爺さまは、むりやり加担させられた抜け荷一味から逃げるため、微罪を犯し寄場へ。娘婿は、辰に頼んで一緒に迎えに行くつもりだったが、辰が博打してて行き違いに。


第24話  ご赦免船に花が散った  1973.3.15

 六年待ってやっと会えた亭主は、懲りもせず念願のお盗めに邁進、夫婦の縁も切れかかってしまう。島帰りの盗っ人には、友の思いも、辰の気遣いも届かない。

ロケ地

  • 勘助のアジト、中山邸通用門
  • 勘助の塒に乗り込んだ辰、襲われる帰りの夜道は上御霊神社楼門〜参道石畳、本殿まわり。辰が人数を蹴散らすさまを、勘助らが摂社脇から見つめている。
  • 御金蔵破りの段、お城イメージに姫路城天守。抜け穴の井戸前に位置する金蔵はロケかセットか不明。
  • 抜け穴入口のお宮さん、鳥居本八幡宮。舞殿に扉と壁あしらい、内部はセット撮りで、床下に地下坑がある次第。立ち回りは石段や鳥居まわり。

ゲスト
お徳/真屋順子 かまいたちの勘助/花沢徳衛
脚本/池田一朗
監督/鳥居元宏

※龍虎亭のオヤジが勘助のダチで、女房のお徳が思い余って相談に来て辰に出会う運び。島から帰った勘助を盛大にもてなし、御金蔵破りに一枚噛もうとする賊仲間は汐路章以下。
※鳥居本の舞殿下にある設定の坑は、将軍の脱出口として作られた抜け道で、中は横穴だらけの迷路←勘助のみこれを知悉。


第25話  恋女房の幽霊を見た  1973.3.22

 上方の盗賊団が跋扈、目を光らせる邪魔な岡っ引きを制する手段に、たった一つの泣き所をぐりぐりと抉ってみせる。意外と冷静に賊どもを捕える辰だが、お玉への思いは募ってゆく。

ロケ地

  • 辰に着物を届けにゆくお京、大覚寺大沢池堤。水辺に佇んでいた辰を見かけ声をかけるシーンは水門傍。遠景に観月台が映り込んでいる。
  • 遊里で定吉を見つけ追っかける銀太、不明(川堤下に家並み、土手法面には家庭菜園ぽいネギ畑、堤上には並木)
  • 定吉が逃げ込んだヤサから帰る辰と銀太、クサる銀太にあれは怪しいと語る辰のシーン、仁和寺観音堂(塔映り込み)
  • 辰の家に乗り込んできて自分はお玉の亭主と嘯く山吉、ボコられて逃げ出すくだりは金戒光明寺。善教院前坂(南望、坂を駆け上がり)〜長安院下坂(北望)。ここでお玉らしき女が坂脇の崖に出て、逃げる山吉と追う対象が二方に。両方とも見失う段では、本堂前石段や鐘楼下など出て、立ち尽くす辰を陰から見るおつたのシーンは修練道場へ行く坂から東坂を見る図。
  • 龍虎亭、梅宮大社神苑池中亭。土橋たもとで、エラいことになったと爺さまが銀太にボヤいていると、通用門の方から辰が現れる。早朝設定で朝靄演出。現れたお玉はニセモノに決まってる・でもお玉ひょっとして泥棒の仲間?などと混乱した辰が外へ出て水辺に座り込むのは大覚寺天神島(朱橋と護摩堂が「対岸」に映り込み、大沢池も水面がちらり)
  • 市中でおつたを見かけ捕まえる辰、仁和寺御影堂前〜観音堂脇〜鐘楼脇。

ゲスト
斬られの山吉/山田吾一 切らずの定吉/柳沢真一 伍市/大泉滉 おつた/森秋子
脚本/池田一朗
監督/原田隆司

※山吉たちは上方の盗賊・仏の仁左衛門の手下。複数グループが江戸に入っていて、同時多発犯行。定吉はむかし銀太をひどい目に遭わせた設定、銀太が興奮して長ドス持ち出したことから辰の介入を見て、盗っ人どもの動向がバレる運び。一味の女・おつたがお玉を演じるが、辰に惚れてしまう。
※大泉滉は松吉のとっつぁんに情報を提供するコソ泥、手癖の悪さを笑いにしたシークエンスあり。


第26話  恋女房に十手を賭けた  1973.3.29

 上方へ行こうとしていた矢先、謎めいた形でお玉が現れる。そして辰のもとを去った「訳」は解消され、夫婦はやっと二人で歩みだす。

ロケ地

  • 龍虎亭、梅宮大社神苑・池中亭。旅立つ辰に餞の宴が催される。
  • 夜回り中の磯貝がお玉の乗った駕籠を発見する夜の河原、嵐山公園か(磯貝を見て逃げた鬼火の手下が、かしらに報告のシーンでは「護岸」が見える)
  • 屋形船から上がった新五郎に迎えの者が出て案内するくだり、嵐峡か。連れて行かれた先で喜平次らが待ち構えている鎌倉河岸の橋、中ノ島橋
  • お玉を滞在させている淡路屋の寮、門は中山邸通用門。中の庭は不明(白沙村荘に似たつくり、中に小川あり・比較的きれいな水が流れている。川端には大刈込があり、縁側にお玉がいる建物はけっこう立派)
  • 事後、お玉と歩みだす辰、京都御苑厳島神社(千羽鶴あしらい)〜拾翠亭脇。磯貝や松五郎たちは、高倉橋の上から二人を見ている。辰が十手を投げ入れる水はプール撮り。

ゲスト
淡路屋五兵衛/水島道太郎 喜平次/潮健児 鬼火の新五郎/小池朝雄
脚本/田上雄
監督/原田隆司

※淡路屋がお玉の父、松五郎とは兄弟分。喜平次は五兵衛の片腕。新五郎は、むかし抗争で五兵衛の女房を殺害し、お玉を大川に投棄した経緯あり、五兵衛に江戸を売らせた次第。


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