御金蔵破り

石井輝男監督作品  1964.8.13東映

キャスト
大川橋蔵 丹波哲郎 北篠きく子 朝丘雪路 杉浦直樹 安部徹 青木義朗 今井健二 待田京介 伊沢一郎 中村時之介 堀正夫 岸本数子 潮健児 汐見洋 伏見扇太郎 高松錦之助 滝恵一 川浪公次郎 坂口祐三郎 蓑和田良太 丘郁夫 川路誠 近江雄二郎 片岡千恵蔵

原案/高岩肇 脚本/野上龍雄、石井輝男

∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥

 ベテランの大泥棒と旗本くずれのやくざ者が出会い、老盗は念願の遂行を、世を倦んだ若者は運命の打破を夢見て、困難な大仕事に取り掛かる。
精緻にして大胆な手口を見せ、道具にされた中臈の心情も描き、予期せぬ事象も次々出来する、フィルム・ノワール風味の痛快娯楽作。

大阪城千貫櫓

ロケ地

  • 牢を出された富蔵が、しつこくまとわりつく岡っ引きの勘兵衛をまく塀際、広隆寺東塀。竹馬で塀を乗り越えて逃げた富蔵を追って、丹哲が中を覗き込む(立ち木と草原が見える)
  • 弥太五郎一家の刺客をやり過ごした後、神谷帯刀にねちねち嫌味を言われる半次、大阪城堀端。神谷が権威を笠に着る際、天守が大写しになる。
  • 半次に、一緒に仕事をしようと持ちかける富蔵、琵琶湖(船上、釣りの態。設定は江戸前の海)
  • 半次を連れ、江戸城を見に行く富蔵、大阪城堀端。太田道灌は大したものと論評するくだりでは、千貫櫓と続きの石垣を映す。天守の頂部も見えている。
  • お中臈のおこうが役者買いをする出会茶屋(料理茶屋・おかね茶屋)大覚寺天神島朱橋たもとに門しつらえ。
  • 竹造と野博打をする富蔵(ご隠居ふうのなりをしている)宇治川派流(大倉浜に汚穢船を舫い)
  • 釣りの態でツナギをとる富蔵と半次、唐橋下手中州汀(橋脚越しに橋上手左岸側の町並みが見えているが、マズいものは無し。橋上には行き交う人々、橋下には屋形船がすべっていくさまを演出)
  • 代参のおこうの袖を引き逢瀬を強要する半次、仁和寺宸殿。和尚の案内を受けているおこうは宸殿階前の庭、和尚と別れ庭を歩いていると宸殿の床下(北東部)に潜んでいた半次が衣をつかむ。
  • 姉に託された文箱を持って、半次が待つ出会茶屋へやって来るおくみ、大覚寺護摩堂前〜大覚寺天神島(茶屋の門あしらい)。急な呼び出しを受けて帰城するおこう、入る西桔梗門は大阪城桜門(塀上部の白漆喰が無い)。茶屋を出てきたおくみを呼び止め口説く紋太(弥太五郎一家)大覚寺石仏(二人で仏をいじりまわし)
  • 吉例の紅葉山の花火の日、おくみを呼び出し高飛びに誘う紋太、大覚寺石仏(仏の裏に荷物と金を隠してある)
  • 長持二棹にそれぞれ入って西桔梗門を入る富蔵と半次、大阪城桜門。入ったものの神谷の舅に誰何されるシーンは大阪城多聞櫓(内側)。以降、金蔵はじめ城内施設はセット撮り。
  • 葛西衆の船でまんまと金箱を運び出すくだり、積み込みの堀端は大掛かりなセットで、富蔵が正体を現し引渡しを強要するシーンはセットかロケか不明(土手の上にある蔵は書割?)。また、竹造が霊岸島で待機する葦原は広沢池みたいでもある。
  • 竹造が船を回してくるのを待つ富蔵と半次、琵琶湖西岸。見返りの絵はホリゾントか。

※半次と富蔵の出会いは、伝馬町の牢。新入りに対する洗礼が描かれたあと、クソ生意気で乱暴な半次が入ってきて騒然となるところ、「隅のご隠居」たる富蔵が助け船。
※おこうは花火師・玉屋の娘、お手つき中臈だが上様の通いは最近間遠という設定。金蔵破り当日、半次に真実を聞かされたお局さまは泣き崩れるが、突然の上様御成りを契機として「覚醒」、半次の行為を後押しし成功を祈るまでに「発展」。
※結局手に入らなかった金箱、水底に沈むそれの上に様々な魚たちが行き交い、最後は蛸が這ってエンドマーク。


・日記目次 ・ロケ地探訪 ・ロケ地探訪テキスト版目次 ・ロケ地一覧
・時代劇の風景トップ  ・サイトトップ