二人の素浪人

1972〜1973年、CX/東映

キャスト
流月之介/平幹二朗 柴源之進/浜畑賢吉 きっかけの三次/品川隆二 東ノ小路道麿/河原崎長一郎

音楽/冨田勲


第1話 「砂金が呼ぶ野良犬殺法」 1972.9.2

 代官が訝る、妙に懐具合の暖かい村。代官になっている先輩に頼まれ、偵察に来た柴源之進は、「浪人」仲間の流月之介から辛口の意見を食らう。そして結局いちばん悪い奴を斬る羽目になり、どうにも胸のつかえが去らぬ源之進なのであった。

ロケ地

  • ヤクザにリンチを受ける青年を助ける源之進たち、立ち回りの荒れ地は不明(山肌の白いバッドランド、白水峡か砕石場か)。青年が崖際に追い立てられるシーン(谷を覗き込むアングル、石がパラパラ落ちたりする)保津峡落合落下岩、画面を切り替えて使ってある。
  • 牛を拾って道をゆく東ノ小路道麿、北嵯峨農地竹林際。牛が動かず難儀するところへ三次が現れるシーンでは、道下の田畔が映っている。このあと、流が出て道麿に意見するシーンは不明(ちょっとした林)
  • 流・道麿・三次ら三人が身投げ女を見つけるくだり、大堰川河川敷。道麿が飛び込んで助ける。衣を乾かす二人は大覚寺天神島祠、芝居でいいから腹の子の父になってと頼み込まれる。
  • 身重のお光とともに村へ入る道麿、不明(用心棒シリーズなどで頻出の、切通しの道←すぐ奥に仏の龕が彫られている筈。道は里へ続いている)。村人が口々に二人を囃す農道、北嵯峨か。
  • 夜、村人がこそこそと砂金を採りに出る川、清滝か。
  • お光宅へ侵入しようとしていた平太を見つけ、追っかけて捕まえる三次、大覚寺五社明神(林間と祠脇)
  • 辰五郎たちヤクザが押しかける庄屋屋敷イメージ、不明(かなり大きい屋敷)
  • 代官こそ大悪党と知った源之進が村を出て台各所へ向かう道、不明(村中の道、蔵や萱葺屋根など見える路地)
  • 代官と対峙する源之進、不明(田畔の地道。はさ木の畦道や、広大な田地が広がるビューなど。亀岡か)
  • 事後、晴れて夫婦となったお光と平太に見送られ村を去る一行、不明(村の出口は先に出た切通しのアレ、坂道は大内亀岡道に似る)

ゲスト
お光/松木路子 お月さまの平太/倉丘伸太郎 甚兵衛/玉川良一 だるまの辰五郎/高品格 不知火源内/深江章喜 菊池兵衛/葉山良二

脚本/池田一朗、田上雄 監督/原田隆司

※先輩の菊池の言によると、柴源之進は「番町の麒麟児」、旗本の若様だったもよう。三次は本人の台詞に「昔は御用の十手預かってた」とある。東ノ小路道麿は、名乗る際京の町に捨てられていた孤児に、養親が付けてくれた名前と話している。


第2話 「死を賭けた姉弟」 1972.9.9

 軍学者の暗殺現場に居合わせる流、状況から犯人と見做されてしまう。申し開きもせず立ち去った彼には、残された者を傷つけぬための腹案があった。
浪人の境涯から這い上がった男に寄せる、流の情けが泣かせる。

ロケ地

  • 先を急ぐ源之進に、足が痛いとごねる三次、城を望む野原は彦根城城下。
  • 源之進たちが恩師宅近くへ来て、ただならぬ気配で出てくる幼子を見る塀際、広隆寺東塀際(木あり)。高品宅の門は不明。
  • 幼い弟妹に稽古をつける新太郎、大覚寺天神島祠脇。額を怪我した弟の手当てをしてやる道麿のシーンは、西壽寺境内(墓地の坂下)
  • 源之進と約した寺へやって来る流、西壽寺。導入は鐘撞きのシーンで鐘楼、いらいらと流を待つ新太郎の描写は石段上(本堂を背に、鐘楼も映る)。流がやって来るのは墓地坂から、高品を斬っていないと釈明したあと去るのは参道坂。
  • 事後、武士を捨てるという新太郎に見送られ当地を発つ一行、不明(山裾の田畔、地道の下に河畔林ぽい茂み)

ゲスト
利恵/鮎川いづみ 篠巻又右衛門/田口計 大沢九郎兵衛/稲葉義男 新太郎/加賀爪清和 高品精一郎/市川男女之助

脚本/田上勝 監督/山崎大助

※流のダンナは高品先生の人柄に惚れて城下に滞在中、利恵は彼を憎からず思う設定。大番頭の大沢は姉弟の母の兄。
※源之進、「屋敷はまだあってちょっと今浪々してるだけの旗本」発言あり。


第3話 「居合い斬り宿場の嵐」 1972.9.16

 縁薄い実の母より、ともに暮らしてきた確かな温もり。流は、「親子三人」にとってもっとも良い結末を、彼ら自身に選び取らせる。

ロケ地

  • 問屋場の衆に制裁を受ける源太を助けてやる流、不明(林際の野原)。その後二人ゆく街道は、谷地田の地道脇に瓦屋根つき小屋のあるアレ。
  • 事後、宿場を出て街道をゆく三人、不明(農道、道隈に仏あしらい。背景に河畔林ぽい木立、遠景に山なみ)

ゲスト
萩乃/岩崎加根子 加代/磯野洋子 三枝伊織/高松英郎 権三/外山高士 源太/川口英樹 弥助/海老江寛 唐津頼母/志摩靖彦 黒岩軍十郎/小田部通麿

脚本/宮川一郎、安西英夫 監督/山崎大助

※源太は捨て子、伊織は旅籠に居ついた浪人、加代は病の父を抱えた旅籠の娘。萩乃はさる藩の姫様の乳母、城代の娘で源太の生みの母。
※源之進が月代をあたるのを茶化すシーンあり。この回道麿出ず。


第4話 「剣が走った母子峠」 1972.9.23

 大きな犬を連れた少女を拾う流、その子は仇を討つため旅していた。彼女の父を殺し母を連れ去った凶賊を打ち懲らすと、目も当てられぬ事実が判明するのだった。

ロケ地

  • 里人に囲まれ石をぶつけられていたあきを助ける流、小幡神社脇参道〜境内。
  • あきを連れて道をゆくと、道麿が縁先に寝ていて声をかけるお堂、大覚寺護摩堂
  • あきの腕を冷やしてやるため、手拭を湿しにゆく流、大覚寺大沢池水門。逃げた女を連れ戻して来た、木っ端組の九兵衛と出会う。
  • 木っ端組から逃げて斬られた女を看取る柴と三次のくだり、不明(松林沿いの野原、立ち枯れた木も見える)
  • あきと流と道麿、三人連れでゆく街道、大覚寺大沢池堤。道麿が、仇討ちをやめさせろと食ってかかる。
  • あきの犬を見て村人が逃げるくだり、田畔は亀岡盆地か。ここへ鶏泥棒をやらかして逃げてきた三次が合流。畦にははさ木、山裾に里、竹を干す小屋や、民家も映り込む。
  • 犬のことで木っ端組の先乗りと誤解された流たち、歓待される名主宅の内部はセット撮り、村人たちが「先乗り」を酔わせ、夜を待って打ち殺す相談をぶっている門前は民家長屋門前。
  • その村へ差し掛かる途中、村娘に郡奉行所への道を聞く柴、不明(林沿いの地道、道端に大きな石)
  • 村の女たちが避難するくだり、通りかかった柴と話す先の村娘のシーンは北嵯峨農地竹林際(石のある道隈)。その後越えてゆく山道は保津峡落合崖道と落下岩、木っ端組と遭遇してしまう吊り橋は不明(峡谷)。落合は、あとで道麿がお使いに出されるシーンでも出てくる。一味がたむろする湯治場はセット撮り。
  • 事後、あきと彼女を送ってゆく三次を見送る流、罧原堤下汀

ゲスト
あき/上原ゆかり 竜村その/加賀ちかこ 山形十郎左衛門/戸浦六宏 おとよ/神鳥ひろ子 室九兵衛/藤山浩二 郡奉行/玉生司朗 おつた/井上明子 孫右衛門/柳川清

脚本/池田一朗 監督/松村昌治

※犬はセントバーナード、もう一頭いて、木っ端組のかしらの情婦のもの。
※湯治場へ通じる橋たもとにいる、木っ端組の見張りの一人に福ちゃん。クレジットはベタ、「清二」表記。


第5話 「女人村の謎」 1972.9.30

 亀石藩のお家騒動、若き殿様と異母弟の容貌がそっくりなことから、悪家老が画策。流は、悪党の誘いに乗るかに見えて、ちゃんと人の心底を見定めているのだった。

ロケ地

  • 殿様の獲物の雉を横取り、焼いて食っちまう流、清滝河原。食ってるところを見つかり怒られるシーンは酵素か(礫が目立つ)
  • 流に何かあったと察した柴、道端で休んでいた行商人に話を聞くシーンは北嵯峨農地・農道(背景に竹林)。その後柴と三次がゆく街道、谷川沿いの道か。これよりつばくろ村の道標がある山道、不明(山から里見下ろし)
  • 殿様と弟君がいかに似ているかのエピソード、弓の稽古をしていて殿様と間違えられお冠の千太郎、青龍苑芝地(茶亭のある高み)。千太郎と間違えられる殿様のシーンも青龍苑、池泉の切石橋上。
  • 身分を捨てて村娘のもとへ行く殿様、水汲みを手伝う河原は清滝。それを見届けて当地を発つ一行、保津峡沿い地道。

ゲスト
おさよ/早瀬久美 宗近・千太郎/太田博之 大垣源左衛門/高桐真 林外記/山岡徹也 神崎主馬/五味竜太郎

脚本/小川英 監督/山崎大助

※公儀隠密(行商人)は西田良(クレジットはベタ)、吊っている腕は作り物。
※城代に排斥された殿様に味方する、女ばかりの村。なぜ女ばかりなのか説明なし必然もなし。


第6話 「抜刀!雨の脇街道」 1972.10.7

 幾人もの運命が交錯する街道、ふと出会い明日には別れる人々。奇しき定めは結ぼれかつ解けて、ひとりの男の「献身」がふたつの首途をもたらす。

ロケ地

  • 三次が人違いされて括られる街道、北嵯峨農地竹林際。地道で、水溜りができていて、三次はそれを避けて歩く。捕り方は茂みから湧く。
  • 傷を悪化させて倒れる猪之助、広沢池東岸。通りかかった柴が拾う。
  • 忘八らが協議する道端、北嵯峨か。
  • 川止めイメージの濁流、桂川か。よそでも見た覚えあり、バンクフィルムか。
  • 八州を先導して来る三次、北嵯峨農地竹林際。
  • 忘八らを待ち伏せて斬る流と柴、鳥居本八幡宮。石段、小柴垣、広場を使う。夜設定だが、昼撮ったものに効果を施したと思われる。
  • ゆったり構える八州さまに焦れる三次、やいのとぼやく本街道は広沢池西岸沿いの道、前景に稲穂。
  • 忘八に追われる若い男女に化けた浪人と鳥追いがゆく本街道、小幡神社境内・脇参道塀際(角)。後から来た流は脇参道を入ってくる。
  • 同じ頃、流たちに逃がしてもらった男女が忘八たちに出くわしてしまう脇街道、走田神社参道〜本殿前。
  • 猪之助と鳥追いを見送る道隈、走田神社社叢脇(境外)。猪之助たちは西へ、流たちは北へ別れゆく。道隈に野仏あしらい、遠景にははさ木。高速道路やスポーツ施設などもちろん映っていない、貴重な映像。

ゲスト
おみつ/麻田ルミ おつた/工藤明子 紋太/山本麟一 猪之助/津川雅彦 馬場/夏目俊二 相楽左門/富田浩太郎

脚本/池田一朗 監督/松村昌治

※若い男女は、女衒を傷つけて忘八に追われる身。鳥追いと人斬り猪之は、ともに神楽坂の毘沙門さまの氏子。川止めの旅籠で相部屋になった相楽浪人は仇持ち、逃亡に疲れ果て討たれて解消するため相手を探していたところ、流たちが仇討ち兄弟を斬ってしまう運び。
※道麿出ず。


第7話 「闇を裂く隠密二代」 1972.10.14

 賑やかに祭りが行われている平和な城下、追われる男が通りかかった流に託した飾り駒には、重大な秘密。永年その地で安穏に暮らしてきた里入り忍に、役目を果たす時がやって来たのだった。

ロケ地

  • 祭礼の幟が立つ参道(?)をゆく流、不明(両側土手?で並木あり)
  • 藩の捕り方に追われる薬売りを見る流、上賀茂神社ならの小川畔・立ち回りは河床で。祭りの雑踏はバンクフィルム(清凉寺か)。その後薬売りが殺されて見つかるのは藤棚付近。
  • 魚とりをしていて怪我した井筒屋の息子・大助を助ける道麿、大覚寺有栖川。子らは御殿川合流点付近の河床にいて、道麿は岸に。
  • 流に飾り駒を貰った三次、朴斉に襲われる町角は上賀茂神社奈良社
  • 須坂藩家老・榊原邸、大覚寺明智門。密談を立ち聞いたお糸がこっそり出てくる際は、門前で見張っていた男が御殿川に隠れる。
  • 川にいた大助をさらう家老の手下、柊野堰堤落差工下・巌上。
  • 大助を人質にお糸を呼び出す神社、イメージに上賀茂神社二の鳥居
  • 姉弟に見送られ発つ道麿、柊野堰堤落差工下・巌上。道麿を待つ流たち、冒頭の参道と同所。

ゲスト
お糸/東山明美 犬塚唐十郎/伊達三郎 榊原主膳/北原義郎 山崎屋佐兵衛/幸田宗丸 大助/道井和仁 朴斉/出水憲司 井筒屋新兵衛/中村竹弥

脚本/津田幸大 監督/山崎大助

※家老の腹心・唐十郎の手下に福ちゃん、クレジットはベタで「清二」表記。


第8話 「一万両を賭けた脱出」 1972.10.21

 妙な経緯で助けた病人、以降もへんな状況が続き、三次も柴も御金蔵破り一味に監禁されてしまう。凶賊も人の子、の情話で締めくくられる。

ロケ地

  • 病んでフラフラの旅人を拉致しようとする一味に食ってかかる三次、柴が出て撃退する野道、大堰川河川敷か。広大な草原、遠景にポプラ。
  • 賊が隠した金箱を掘り返す河原、大堰川か。芝居は浅川で。

ゲスト
お島/佐藤友美 与兵衛/園井啓介 伝蔵/天津敏 玄庵/永井智雄 金井彦四郎/中井啓輔 吉松/吉原正皓 辰/蓑和田良太

脚本/森田新 監督/松村昌治

※流登場せず。


第9話 「双つぼくろの女を斬れ!」 1972.10.28

 執拗に、旅の一座の娘を狙う向きあり。彼らが捜している「姫」の腕には、目印の黒子があった。敵だか味方だかわからない、凄腕の浪人が現れて引っ掻き回すが、オチはふたつついてくる。

ロケ地

  • 郡代出張陣屋の検問、不明(野道か山道か)
  • 柴が来る山道、湖南アルプス。切通しに謎の浪人・脇坂がいて斬りかかってくる。このあと下の道で騒ぎがあり水入り、その道は谷沿いで小橋あり・たもとにはきれいな石積護岸、他作品でも同アングルを見た覚えあり。このあとデ・レーケ堰堤と思しき堰堤や、大堰堤上の天神川河床も出る。
  • 家老邸への早馬が走る道、北嵯峨農地竹林際。屋敷はセット。
  • 三次たちをまじえて飯田を目指す小扇一座、街道は棚田を眼下に見る山道。このあと出る渡し場は桂川松尾橋下手の河原に似る。船着は嵐峡
  • 一座が小屋掛けする広場、大覚寺か。
  • 柴に故郷の話をする小雪、大覚寺天神島鳥居そば。鼻緒を切った小雪をおぶわされる柴、大沢池畔。「追っ手」が出て囲み小雪をさらってゆくシーンは護摩堂前。さらって逃げるところへ脇坂が出て阻止するシーン、不明(山腹の墓地か、脇坂の背後に建物ちらり)
  • 柴が脇坂を問い詰める町角、不明(大きな、自然石を積んだ燈籠のそば、石積や民家あり)
  • 義助を供に買い物に出る小扇、胡乱な侍が出て拉致される坂は金戒光明寺鐘楼脇坂(この下が長安院下坂)
  • 小扇が監禁されている妙法寺、西壽寺。脇坂は山門をくぐり参道を上がり、鐘楼基壇に座らされている小扇のところへ。もちろん罠で、このあと立ち回り。墓地参道坂なども映る。
  • 一座を見送る街道、不明(谷地田の道、谷へ入る一本道で小橋あり。湖西の丘陵か、古い映画でよく出てくる場所)

ゲスト
小雪/土田早苗 関根民部/中山昭二 伊兵衛/牟田悌三 小扇/進千賀子 義助/久野四郎 木場弥九郎/楠本健二 お万の方/三浦徳子 山南鉄太郎/滝義朗 脇坂塔十郎/丹波哲郎

脚本/津田幸夫 監督/原田隆司

※流登場せず。


第10話 「殺し屋には死の報酬」 1972.11.4

 悪代官が支配する地へ、流が助けて連れてきたのは「スパイ」。庄屋に手を出し、健気な娘を巻き込むにおよび、ダンナ方は代官所に殺到。結末は、勘定頭下役がつけてきりきり引っ立ててゆく。

ロケ地

  • 当地へ向かう街道、柿をとって食う流、不明(土手)。追われる男に縋られ、お芝居で斬って落とす崖も不明(砂地の斜面)
  • 事後、恋人の死を乗り越え長崎へ旅立つお杉を見送るダンナ方、不明(お杉は土手の上、ダンナ方がいる土手下には石積)。その後四人が当地を離れるシーンは冒頭の道と同じ。

ゲスト
お杉/菊容子 森主水/川合伸旺 紋三郎/渚健二 江差一郎太/宮口二郎 三郎兵衛/五藤雅博 速水太郎左衛門/市原清彦

脚本/池田一朗 監督/山崎大助


第11話 「宿場牢の襲撃を断て!」 1972.11.11

 なりたてほやほやの、新米岡っ引きを助け励まし、大手柄を上げさせるダンナ方。大年増に惚れられる、柴のエピソードが面白い。

ロケ地

  • 丸屋の親分の埋葬、鳥居本八幡宮広場。
  • 徹夜明けの清作、おすみと表へ出て将来を語っていると白銀屋の衆に囲まれてしまう水辺、大覚寺放生池堤。溢水口に架かる橋の上へ、二人腰掛けて話す。
  • さらわれた清作とおすみを、捕えた勘次と交換の野原、酵素河川敷。
  • 宿場へ戻らず街道をゆく三人、北嵯峨農地竹林際。燈籠二基あしらい。

ゲスト
おすみ/木内みどり 清作/高橋元太郎 お鈴/北あけみ 長兵衛/堺左千夫 勘次/松山照夫 白銀屋/永野辰雄 辰三/芦田鉄雄 仙太/薩長照夫

脚本/池上金男 監督/内出好吉

※番太の長兵衛が応援を頼みに行く先は、太田の御城下。常陸の太田藩か。舞台の宿場は、間の宿場設定。
※道麿出ず。


第12話 「対決!仕込み刀殺法」 1972.11.18

 藩を憂える若侍たちは、抜け荷商人とつるみ私腹を肥やす悪家老を斬るが、証拠の帳簿が手に入らず万事休す。そのブツは三次の手に渡り、謎の鳥追い女がからんで事はややこしくなってゆく。

ロケ地

  • 家老・成田邸、相国寺林光院。船長が「分け前」を持って入る時点で、鳥追い女のお紋が門内を覗き込んでいる。
  • 天誅の刃を受けた船長が逃げ出し、三次に出入帳を託す路地、金戒光明寺長安院裏路地(東望の図、本堂の向拝が見えている)、墓地ほか。
  • お紋に出入帳を託した三次、会う約束をした船番小屋、琵琶湖西岸松原。ここへ至るに渡る白鳥橋もありもの、萩の浜と思われる。橋たもとに茶店を設営。
  • 事後、剣友の重宗の墓に参る柴、金戒光明寺本堂裏手墓地。現在の境涯に疑義を呈した柴を置いて去る流、金戒光明寺参道石段。

ゲスト
お紋/松山容子 重宗小四郎/長谷川明男 岬屋剛右衛門/藤岡重慶 進藤数馬/坂口徹 荒川重五郎/内田勝正 服部重蔵/阿木五郎 成田頼母/北原将光

脚本/池上金男、安西英夫 監督/内出好吉

※お紋の得物は三味に仕込んだ細身の刃、もちろん「お市」を髣髴とさせる仕掛け。賞金稼ぎではないが、「任務」を帯びている設定。
※重宗は柴の剣友、証拠の帳簿提出期限猶予を嘆願するため切腹して果てる。
※道麿出ず。


第13話 「荒谷に風が待伏せた」 1972.11.25

 街道に出る追い剥ぎ集団、訳あって家老を憎み狙うが、彼らを使嗾する者こそ真の悪党という、典型的なパターン。家老というだけで嫌な顔をする柴が、雇われてたんまり貰う流に反発する図も乗せてある。

ロケ地

  • 雇い主の件をボヤく柴、流と連れ立って藩領をめざす途中「風」に襲われる道、酵素ダートか(雑木の山、崖に木の根張り出し)
  • 村人を診る道麿、にわか診療所の鎮守は梅宮大社、舞殿越しに参集殿を見る図で、集まる患者を三次が仕切り。室内はセット撮り。
  • 「風」一味に連行され「往診」の道麿、担がれてゆく道は広隆寺東塀際。
  • さらった家老の娘をネタに「風」が取引する現場、湖南アルプス(切通し)
  • 風一味の娘・お秋が恋人の無事を祈る碑、保津峡落合落下岩
  • 風の首魁・佐平太が流を襲うも失敗、捕えられる町角は梅宮大社神苑。立ち回りは門前、門は閉まっている。通りかかって参戦する柴は、東参道「入口」から入ってくる。流らの背後に東参道沿いの家や蔵が映り込み、効果的。
  • 道麿とお秋が、風に好意的な郡奉行に疑いを抱くくだり、曲者の名主が入ってゆく神尾邸は相国寺大光明寺
  • 佐平太らが家老の駕籠を襲う夜道、不明(塔頭の塀際?)
  • 家老を殺った褒美で、佐平太らが嬉々として故郷へ帰る道、湖南アルプス。神尾が出て盗賊として消されるところ、流らが出て阻止、そのあと家老が登場。事後、流たちが佐平太と別れる街道も同所、崖際。

ゲスト
お秋/佐野厚子 佐平太/夏八木勲 奥野頼母/河野秋武 神尾主膳/小林勝彦

脚本/山本英明 監督/山内鉄也

※佐平太らは元の土地を追われ、畑も作れぬ荒谷に押し込められた一族。元の地では、「悪党」が煙草作ってウハウハ設定。


第14話 「地蔵河原に砂金が舞う」 1972.12.2

 許されぬ愛を紡ぐ男女に、悪党が乗じる。柴と流が乗り出して、欲深商人は懲らされるが、追い詰められた者たちは既に運命を選び取っていた。

ロケ地

  • 気楽な夫婦旅を演じ砂金を運ぶ早坂夫婦、不明(開けた山道と、植林杉の林道。夫婦と共に行く駕籠の中身を忖度する柴と三次のシーンでは切通しも)
  • 早坂の妹・早苗が兄や嫂のことを柴に話すくだり、不明(神社境内、石積の生垣や舞殿が見える)
  • 早坂襲撃犯を見かけた三次、つけてゆくと刃を突きつけられる並木、広沢池東岸並木。その後追い立てられて西岸汀へ、屋形船に寝ていた流が出てピンチを救う。刺客を追い払ったあと、根付を見せて経緯を話す三次、観音島。
  • 早苗がさらわれ、流たちが呼び出される地蔵河原、湖南アルプスか酵素か、礫の目立つ河川敷に細流がちょろちょろ。爆破される小屋が設営されていて、「地獄」演出は積み石で。
  • 当地を去る一行、湖南アルプスか(山道、ガレた山肌が見える)

ゲスト
加奈/松岡きっこ 生田新八郎/早川保 但馬屋利兵衛/潮万太郎 早苗/市毛良枝 早坂治助/宮浩之 矢崎源九郎/千葉敏郎

脚本/津田幸夫 監督/山内鉄也


第15話 「渋川宿の陰謀をあばけ」 1972.12.9

 人望あつい問屋場の元締を、やくざとつるんだ代官が投獄、鑑札を返上するまで嫌がらせはつのる気配。居合わせた流たちは、三者三様に関わってゆく。

ロケ地

  • 問屋場の元締が仕込み芝居で逮捕される街道筋、北嵯峨農地竹林際。茶店あしらい、直訴百姓に化けた一味は竹林からわらわら湧いて出る。その一味がしてやったりと手柄話をする庚申堂、大覚寺護摩堂←流が縁先で寝ていて、企みを聞く。
  • 父の逮捕に続き代官の無理難題、思い詰めた問屋場の娘が佇む水辺、広沢池観音島。ここは後でも、同じ流とお柳のシーンで何度も出てくる。
  • 事後、流が遅い訳を話し盛り上がる柴と三次、大覚寺大沢池堤法面。堤上を、柴にご執心の旅籠の女中が駆けてゆく。
  • お柳に会わず宿場を出てゆく流、広沢池西岸柳の並木際の道。道は地道、田んぼをナメての絵。

ゲスト
お柳/梓英子 堂内の甚五郎/富田仲次郎 諸井軍兵衛/金井大 お咲/小野恵子 河野新平/牧田正嗣 佐吉/山本一郎 権蔵/川浪公次郎 政右ヱ門/市川男女之助 宗之助/中林章 猪之松/西田良

脚本/浅井昭三郎 監督/松村昌治

※問屋場の元締を助けてと宿の女中に頼み込まれる柴、飯つき酒つき女つきの接待にたじたじ。三次は堂内一家に草鞋を脱いでいて、内部をさぐる役割を果たす。流のダンナは、ニヒルにお柳を励まし、気のないふうでいてちゃんとラス立ちには現れる次第。
※道麿出ず。


第16話 「隠し砦に銀が散る」 1972.12.16

 隠し掘りの銀山にまつわる騒動。欲をかいて己を破滅させる悪党、役目を負った女、世と隔絶して生きる一族と、多彩な人の運命に、ダンナたちが関わってゆく。流のイージーさが大笑いな一話。

ロケ地

  • 太田代官所の手先を斬って手配された流、高札を読む三次と柴は大覚寺聖天堂前、隣に盗賊のも立っていて流の倍額。
  • 盗賊が山の者を殺す山中の坂、不明(山は雑木)
  • 阿久津が役人を騙し討ちする街道、北嵯峨か。
  • ダンナたちがそれぞれ別々に入る、隠し銀山のある山、不明(山道や尾根、谷川など出る。建物も出るが、古びた造り)
  • 山をおりたダンナたちがさしかかる、代官領と赤松藩領境の街道、不明(赤土の露出した崖の下)

ゲスト
久美/中山麻里 平田雪江/赤座美代子 阿久津主馬/亀石征一郎 芦名甚五佐/見明凡太郎 武山与太夫/人見明

脚本/池上金男 監督/松村昌治

※道麿出ず。


第17話 「天竜に怨を流せ」 1972.12.23

 柴のダンナの因縁話、八年前に掛川藩勘定方を殺したことになっていて仇と狙われるのだが、もちろん身に覚えなし。変名を使って潜入していた柴は、ある密命を帯びていたのだった。

ロケ地

  • 勘定方だった梅沢の屋敷、相国寺大光明寺
  • 追っ手から逃げる柴、相国寺鐘楼前からセットにスイッチ。
  • 偽証していた中間・平造が、斬られ重傷を負ったのを保護する小松河原の水車小屋、酵素河川敷に小屋ほかしつらえ。
  • 梅沢の家族に見送られ当地を発つ三人、北嵯峨農地農道。

ゲスト
中西伊兵衛/村井国夫 平造/柳沢真一 三田村外記/神田隆 梅沢雪乃/二本柳敏恵 梅沢数馬/青山隆一

脚本/窪田篤人、安西英夫 監督/内出好吉

※柴は佐竹十郎太と名乗って梅沢家の若党をしていたが、正体は天竜川工事にからむ不正を調べに来た公儀隠密。このお役目に嫌気がさし浪人となったもよう。
※隠密だったことを知り柴を売りかける三次、あとで真相を知り反省しきり、いつになくマメに立ち働く。
※流のダンナ出ず。


第18話 「剣に砕けた密航船」 1972.12.30

 さまざまな理由で異土を夢見た人々を、ハナから食い物にする気で集めた大悪党。親身になって世話を焼いた気持ちの分だけ、怒りは強くなる。

ロケ地

  • 旅人の財布を盗って逃げる女掏摸をいったんは捕まえる柴、北嵯峨農地竹林際。
  • 自分のせいで逃がしてしまった女掏摸により、求馬の夢が断たれたことを嘆く三次、琵琶湖東岸松原。この浜から異国行きの船が出ると語られる。
  • 求馬の渡航費用について、通りすがりの神社で神頼みをする三次、大覚寺五社明神本殿。
  • 捕まえた女掏摸から、持っていたクルスの謂れと、南十字星を見たかった話を聞く浜、琵琶湖東岸(岩浜)
  • 滝沢浪人相手の大捕物が展開される鎮守、鳥居本八幡宮鳥居前〜広場。
  • お峰の墓に参る三人、不明。その後当地を発つ街道は畦道、亀岡か近江か(広大な農地)

ゲスト
田坂求馬/目黒祐樹 白魚のお峰/御影京子 江川右衛門/飯沼慧 赤潮源蔵/織本順吉 滝沢/田中浩 山岡/岩城力也 仙太/市村昌治

脚本/石橋博臣 監督/松村昌治

※求馬は洋医学を学びたくて渡航を計画、そのための金を掏られてしまう運び。三次と道麿が彼に共感、力を貸すが、スクエアな柴には言えず。
※女掏摸・お峰は、役人に殺された恋人がキリシタン。彼が語っていたサザンクロスを見るため、密航を思いつく。求馬も星を見て夢を語るが、こちらは烏座の帆かけ星(星座絵つき)。
※滝沢の仲間で福ちゃん登場、役人に追われ飯屋へ押し入り、そこでご飯食べてた柴にのされる。ベタでクレジットされている。
※流のダンナ欠席。


第19話 「故郷を焼くひとり旅」 1973.1.6

 恩讐を越えて行くべき道を見出す青年医師、その誕生に関わるダンナ方。いつになく熱い心で事に当たったのち、四人はひょんと別れゆく。

ロケ地

  • 道麿たちが、長崎帰りの伸太郎と出会う、沼津へ一理の浜、琵琶湖(松原)。火傷した子の治療にアドバイス。
  • 隣藩に来ている若年寄に会うため馬を駆る柴、谷山林道か。ロングの絵のほか、魚勝の用心棒として現れた流とチャンバラ芝居は切通し。
  • 事後、あっさりと右左に別れゆく柴と流、田畔。亀岡か。

ゲスト
たず/鳳八千代 勝五郎/菅貫太郎 伸太郎/小林芳宏 道庵/新井和夫 お松/岡田千代

脚本/池田一朗 監督/内出好吉

※伸太郎の父・道庵は、コロリ予防に生魚をやめよと説き、有力者の魚勝の怒りを買い撲殺される。己の子が病気になったスガカンは平身低頭し伸太郎に診てもらう運び。この間のスガカンの豹変ぶりも見ものだが、髭もじゃメイクも笑える。
※魚勝に転がり込んでいた流、恩義はちゃんと心得ていて、乾分とやり合う際も峰打ち。


 「二人」の名前からして、柴左近とか桔梗鋭之介とか橘一之進とか流右近とか楓源三郎とか思い出すし、元目明しの渡世人は焼津のなんとかにしか見えないし、流の着物に「月」とか染め抜いてるに至っては、もう笑うしかない。

 平幹二朗はトップにクレジットされているが、途中何回かお留守こいてて何が「二人」状態。時専の解説に、浜畑賢吉が主役と書かれているのもむべなるかな。
ただ、最終回で流が柴を「浪人暮らしの垢が身についた、人間くさくなった」と評し一区切りつけていることから、全体的には柴のダンナの成長記だったとも言えるし、皆勤だし、やはり主人公かも。


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