剣客商売
  第四シリーズ 2003年1月〜5月 CX/松竹

近江八幡水郷 キャスト
 秋山小兵衛…藤田まこと おはる…小林綾子 秋山大治郎…山口馬木也 佐々木三冬…寺島しのぶ

 OPロケ地 酵素各所、主演鶏と大根と沢蟹 EDロケ地 西の湖・水郷、安土山見えるところまで船で


第1話 陽炎の男 2003.1.21

 キャスト変更後第一作、また今回からスーパー16mmに。OP/EDも一新(子連れ狼ふう)
 半年の旅から帰還する大治郎、弟子に飯田粂太郎いるが入門三日目で師匠に旅に出られてしまったという設定。三冬は「田沼道場」の師範代、じいにももちろんだが新しいキャスティング、寮の設定も新規。不二楼のしつらえが少し変わって、おはるの訛りが弱い目。

 三冬の寮に侵入する曲者、前の持ち主が盗賊の頭で三百両の金がそこに隠されているのだった。金を隠した盗賊の死に水を取った一味の医者がその金を掘り出しに来るのだが、手強い妙な「男女」がいてたじたじ。小兵衛の配らいで寮に詰める大治郎、遂に襲ってくる曲者を撃退、このあと三冬の夢の「陽炎の男」は大治郎の顔に。

ロケ地
・三冬の暮らす和泉屋の根岸の寮、錦水亭・八条池畔の東屋。池は映らず西側の門と橋を使用、セットと複合。
・小兵衛隠宅は変わらずの酵素、民家セットと回りの小川に竹林。
・大川をゆく大治郎の船、これも変わらずの西ノ湖。鐘ヶ淵付近の大川イメージ、飛鳥・橘寺南塀遠景と水面を合成。
・和泉屋で根岸寮の出自聞き神田鍛冶町の秋田屋へ赴く三冬と大治郎、八幡掘明治橋−白雲橋間の左岸堀端上賀茂神社ならの小川(手拭絞る三冬は水場、大治郎は橋上)
・ラスト、物思う三冬、中ノ島橋上、背景に堰堤からの落水、イメージに汀のコサギ(場所取りの喧嘩)


第2話 約束金二十両 2003.1.28

 老剣客と「物干竿のような」小娘のいたずらのような「約束」はささやかな幸福へ続いていた。これがマイティー・小兵衛の人生とクロスする一瞬を描く。

ロケ地
・隠宅に植える桜の苗を持って町をゆく小兵衛とおはるがゆく、大沢池堤。弁当を使う、大覚寺護摩堂縁先。平内太兵衛とおもよの会話を盗み聞く小兵衛、放生池堤〜大楠根方。苗を置き忘れたことに気付く小兵衛とおはる、放生池堤。舟着、西ノ湖。苗持って走ってくるおはる、西ノ湖太鼓橋。おもよが見送るのも同所。
・太兵衛が「看板」出す神田明神社、上賀茂神社ならの小川畔に茶店セット。看板の内容を大治郎に話す三冬、中ノ島橋上。コサギ飛び去りのショット挿入。
・あと八両にくたびれ眠りこける太兵衛、旗本のやんちゃの母が口止め料持ってくる、大覚寺護摩堂(駒込?)
*六尺の長刀の居合、小兵衛が「抜き方」を見切る解説となる映像はなかなか面白い。グルメ談義もなかなか旨そう。


第3話 ぶんたろの命 2003.2.11

 小兵衛を訪ねる途中幼児が殺害されかける現場に行き合わせ、咄嗟に石塊をぶつけ助ける三冬。子は小兵衛が匿うことに。その子・文太郎は大店の跡取りで男児を産んだ後妻が害そうとしての仕儀、背後には裏稼業の者たちが深く関わっていた。
襲撃犯を誘き出そうとする小兵衛だが、一味に無外流の剣客崩れがいて「爺さん」の正体バレバレ、乗ってこない。やむなくおはると文太郎を囮に使いようやく仕留める。

ロケ地
・押上村、行商の途中休む態の男と文太郎を抱いた男が目配せ、大覚寺五社明神
・三冬が辿る隠宅への道、下鴨神社河合社前。
・白金の徳蔵のアジトの芝白金一丁目正蓮寺門前の茶店、今宮神社東門参道のかざりや
・徳蔵が剣客崩れの大野とツナギをとる小兵衛隠宅近くの寺嶋村の民家、梅宮大社神苑
・おはるに文太郎を隠宅まで連れてこさせる大川の風景、八幡掘〜西の湖畔。
・囮となって文太郎を背負籠に入れ木母寺付近から江戸市中への道をゆくおはる、西の湖太鼓橋広沢池東岸汀〜山室堤道?
・襲撃犯が待つ寺嶋村の松林、酵素ダート待避所・ダート上の林
・ラスト、小兵衛夫婦を見送る大治郎と三冬、西の湖畔。
*原作(秋の炬燵)設定では文太郎と関わるのはお秀。文太郎巡る人間関係も少し違う。また、小兵衛が徳蔵を刺す設定は無く姿を晦ますのみ。


第4話 赤い糸 2003.2.18

 弥七の追う追い剥ぎの事件と小兵衛の弟弟子の老いらくの恋を絡めて描かれる、原作を二本ミックスしてある一作。ここへ進展しない大治郎と三冬の仲、足繁く縁談を依頼に来る田沼の用人がレイヤーされる。

ロケ地
・隠宅と三冬の寮は変わらず。
・落合の息の重傷の報に駆けつけた小兵衛がお崎に憎まれ口を叩いて去る、妙心寺大方丈西通用門前。
・貫太郎のリハビリ、上賀茂神社ならの小川摂社前。
・生島用人から逃げ出した小兵衛夫婦が落合とお崎の睦まじい様子を目撃、清凉寺境内湯豆腐竹仙前、小兵衛たちの背後に山門。
*原作とは落合の設定が「時雨蕎麦」と「小さな茄子二つ」双方から採られているので少々違う。追い剥ぎを小兵衛が懲らしめるのは原作どおりだが、落合襲撃はお崎が差し向けたゴロツキである点が異なる。また、借金は息子の治療代ではなく義弟の博打。あと、桂山と小兵衛が旧知というエピソードは無し。


第5話 東海道見附宿 2003.2.25

 小兵衛の剣友・浅田忠蔵からのSOSに応じ見附宿に救出に向かうと、実家の叔父に監禁され病で命が危ないという奇妙な話。相続に絡む十年前の因縁からの仕儀。
先発した大治郎は浅田の門弟たちを訓練し監禁場所の商家に討入り。三冬も出張り小兵衛も出てくる大立ち回り、浅田を無事救出、というお話。
浅田道場の和気藹々・春風駘蕩たるさまが個性的な脇により見事に表現されるが、おはるまで伴うという図はまるでめ組の遠征のよう。

ロケ地
・大治郎が旅に出たと聞き隠宅へ急行の三冬、船上風景は桂川・バックに嵐山自転車道の木立。
・東海道の裏街道をゆく大治郎が雨宿りして昼を使う、大覚寺五社明神舞殿
・見附宿の橋入ったビジュアルはみろくの里
・後発の三冬が大治郎に小兵衛からの言伝をツナぐ、沢ノ池東岸汀。
・浅田道場、不明。
・小兵衛がおさきに事情聞く神社、走田神社鳥居(入口)


第6話 誘拐−かどわかし− 2003.3.4

 第四シリーズでやっと来た品川お匙屋敷。追われ、死んだ女から三冬が託された練香は抜け荷の符牒に使う代物だった。奪還に躍起になる一味に拉致され危機一髪の三冬を救い出す大治郎、話は高砂まで一気に突入。

ロケ地
・おはるの里帰りに同道する小兵衛、関屋村の山川およびおはる実家の萱葺民家美山町
・上野広小路付近をゆく三冬、仁和寺本堂下〜塔前。追われる女を抱き起こす、疎林。
・遺体を運び込む円常寺、西賀茂の神光院(山門、本堂、中興堂)
・田沼屋敷、随心院薬井門
・三冬拉致を田沼に報告の大治郎、田沼屋敷内の欅の間は粟生光明寺方丈
・弥七とツナギの大治郎、金戒光明寺三門


第7話 騙された男 2003.3.11

 秋山父子が懇意の仕法家・笠原源四郎が暗殺される。大治郎の道場に来合わせた浪人・中沢の態度がおかしいのに気付き尾けさせる小兵衛。
中沢は賭場で知り合った男に「悪い侍を懲らしめる」と騙られ、前夜不二楼から酔って帰る笠原をぶっ叩いたのだった。謀られたことに気付いた中沢は、その男を見掛けたという賭場での聞き込みから小石川の寺の門前茶屋で見張りを続ける。そのうち、前を通る不二楼の女中を見掛け事情を聞くと、この女も「平吉」に謀られていて笠原の動向を話してしまったのだという。
女は亭主を亡くし幼女を抱える身、中沢は先年愛児を亡くしそれがもとで女房も自害してしまい剣の道を捨てた経緯あり、母子のために平吉を斬って捨てる。
*原作は「敵」、細かい設定に違いあるもののほぼ同じ筋立て。大治郎と三冬の新婚生活が絡めて描かれる。米が粥に変じる・鱗つきの鮒の煮つけを出すなどの三冬のドジが描かれるがやや唐突の感あり

ロケ地
・笠原暗殺の浅草今戸慶養寺の土塀、設定では左手は山谷堀、南禅寺僧堂脇の坂。笠原が中沢に棍棒でぶっ叩かれるのは僧堂の鐘楼前の塀。
・中沢が張り込む小石川丸山片町の日蓮宗丸山浄心寺、仁和寺。塔をバックの御室桜林と塔前が使われる。門前町の茶屋は仁和寺とセット合成。
・平吉を追い使った黒幕の高橋の小石川原町の道場、黒谷金戒光明寺東坂。


第8話 逃げる人 2003.4.15

 大治郎がふと知り合い水魚の交わりを持った老武士、しかし彼は親友が父の仇と狙う男だった。苦悩の果て親友に早飛脚を送る大治郎だが、帰って来た文は親友からではなく寄宿先の主から彼の急死を知らせるものであった。幾度と無く二人語り合った語り合った蕎麦屋の定席で父・小兵衛としみじみ呑む大治郎の姿を窓外より眺めやったあと、老武士は黙して去り再びの逃亡の途につく。

ロケ地
・老武士と大治郎がならず者の中間から助けた娘を送ってゆく山谷浅草村の名主宅
・老武士の寄宿する新鳥越町の貞岸寺の土塀、
・貞岸寺、龍潭寺
・釣りの老武士に声をかける小兵衛、大覚寺放生池堤
・三ノ輪往還で中間が意趣返しのため雇った浪人に老武士を襲わせる、山室堤上。


第9話 勝負 2003.4.22

 以前田沼に頼まれるものの大治郎が断った笠間藩の指南役に抜擢された谷鎌之助、しかし仕官には大治郎に勝つことという条件がついていた。
小兵衛も三冬も揃って負けてやれと言い、挙句は谷の女房の父の小間物問屋が手心加えてくれと申し入れてくる。笠間藩邸で行われる試合に負ける大治郎、しかし芝居うったのではとの噂が立ち、再度立ち会う二人、小兵衛は笠間藩家老を伴いその野試合を見せ皮肉を言うのだった。

ロケ地
・田沼屋敷、随心院薬井門
・大治郎が村田屋に声を掛けられる神田橋御門外の外堀付近、随心院土塀
・公式の立ち合いが行われる牧野家下屋敷、随心院本堂(薬井門内側に幔幕)
・再度の立ち合いの橋場・総泉寺西方の野原、仁和寺疎林(小兵衛らは塀際で見ている)
・高橋道場の土塀と長屋門、長屋門と続きの土塀(土塀はクレーンで上からのダイナミックな構図もあり)


第10話 剣の師弟 2003.5.6

 唐突に己のもとを去った愛弟子・黒田精太郎と思わぬ再会の小兵衛、薄汚い殺し屋に成り果てた弟子を手にかけるに至る苦悩が描かれる陰鬱な一作。

ロケ地
・染井村の旗本・阿部屋敷近くで町人の匕首にやられる侍を見る小兵衛、上賀茂神社ならの小川畔。
・馬鹿な申し出をしに来た大治郎夫婦が帰りの船、罧原堤下桂川
・大治郎の道場に立ち寄ったあと物思う黒田、中ノ島橋上。
・黒田のターゲットの足袋問屋・丸屋勘蔵の根岸の妾宅、安楽寺(山門)。
・妾宅を出た丸屋を金杉新田外れで狙う黒田、下鴨神社河合社塀〜馬場
・小兵衛が駆けつけ弟子と対峙、じりじりと追い詰められるのは池跡
・事後、大治郎とゆく小兵衛、妙心寺大庫裏脇の路地。


第11話 待ち伏せ 2003.5.13

 小兵衛のパトロン・若林春斎の機嫌伺いの帰り、大治郎は仇と間違えられ斬りかかられる。狙われたのは若林家の関係者ではと忖度の大治郎、それと思われる侍を見つけ事情を聞くが詳細は語られず。小兵衛は捨て置けと言うが何か引っ掛かる大治郎、後日仇として討たれた侍を看取ることとなる。亡骸を届けた大治郎が妻女から聞いたのは他でもない隠居・春斎の過去の悪行だった。

ロケ地
・大治郎が間違えて襲われる本所六間堀川の猿子橋、中ノ島橋(ロングですごく大きく見えるアングルもあり)
・小名木川沿いで「仇持ち」の近藤周蔵を尾行する大治郎、八幡掘(堀端、脇の路地)。頼まれた弥七が尾けるのも同所。
酵素西の湖はいつもどおり。
・田沼屋敷もいつもの随心院薬井門だが、室内から門を見る変わったショットも。
・春斎と縁切りとなることを父に告げる大治郎、沢ノ池東岸汀。設定は鐘ヶ淵か。
*重苦しい陰鬱な後味わるぅい話は三冬懐妊の騒ぎであかるく締めくくられ、第四シリーズ掉尾を飾る。


・剣客商売 表紙

・日記目次 ・ロケ地探訪 ・ロケ地探訪テキスト版目次 ・ロケ地一覧 ・時代劇の風景トップ  ・サイトトップ