ちいさこべ

田坂具隆監督作品 1962.6.10東映

キャスト
中村錦之助 江利チエミ 中村賀津雄 東千代之介 桜町弘子 古川博子 千秋実 木暮実千代 河原崎長一郎 藤原釜足 渥美清 大村文武 夏川静枝 織田政雄 東野英次郎 山本礼三郎 徳大寺伸 尾上鯉之助 水野浩 中村時之介 赤木春恵 北竜二 杉狂児 坂本武 国一太郎 和崎隆太郎 神木真寿雄 遠山金次郎 石丸勝也 中村錦司 鳳衣子 片岡半蔵 尾形伸之介 熊谷武 波多野博 伊吹幾太郎 大崎史郎 有川正治 大浦和子 利根川弘 毛利清二 小山田良樹 源八郎 島田兵庫 東映児童劇団

原作/山本周五郎
脚本/田坂具隆、鈴木尚之、野上竜雄

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 町を焼き尽くした大火で二親に死なれた大留の若棟梁は、悲しみを押し隠して立て直しを急ぐが、誰にも頼らずにという方針は周囲と齟齬を生じる。
気を張って忙しなく過ごす彼のもとに、やっかいな生ものが持ち込まれるが、それは頑なな男の心を解きほぐしてくれる恩寵でもあるのだった。

 ロケ地は川越街道の往還を表現する流れ橋のみ。夕景も入っている。早駕籠が走ったり、大八を曳いて通ったり。右岸側のコンクリート橋脚も映っている。
焼け野原は、凝ったセットが組まれている。利吉が賭場を開帳する、焼け残りの蔵もいい感じ。

 原作から質屋の総領の名を借りた、利吉というオリジナルキャラクターが出ていて、おりつや子らを通して茂次と対立する影に仕立ててある。
彼の死がクライマックスで、見届けて戻った茂次はおりつに求婚する運び。

 菊次のつきまといが性的な興味でなく、おりつに母を見ていたという最大の見せ場が省かれていて拍子抜け。しかし、ラストに菊次少年が大留の法被をまとい、大人の仲間入りを果たすという絵もわるいものではない。

 江利チエミが出ているので、子らと歌うシーンも入っている。映画が作られた当時の空気を反映しているようで、興味深い。

※二部構成、同日上映。第一部は、出ていったおりつと子らを呼び戻そうという段、おゆうが披露する「ちいさこべ」の話で終わる。


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