天罰屋くれない
 闇の始末帖
 2003年テレ朝/東映

中ノ島橋 キャスト
 松坂紅/片平なぎさ
 禊影之介/渡辺裕之  からくり竜次/高知東生  お亜季/上原さくら  沈黙の壱松/白川裕二郎
 松坂平之進/嶋田久作  松坂達之介/塩野魁士  茂助/鈴木ヒロミツ
 恵比須屋文三/古谷一行

主人公の紅は途中から既にできあがったチームに入る。殺しをためらい被害者に深く同情する姿に仲間は苛々、しかし徐々に通じ合う心が描かれる。ワル退治には黒のお召に紫頭巾で現れ、頭巾をしゅるっと外し「天に代わって天罰下します」がキメ台詞。元締の表稼業は口入屋。紅の父とは古い知り合いで、暖かく彼女に接する。ふだんは天罰に出ないが、自ら匕首をふるうこともある。影之介は古手のメンバーで示現流の達人、浪人姿。からくり竜次とお亜季は兄弟、竜次は生業のおもちゃを使った小道具で天罰を下し、お亜季は走り役をつとめる。壱松は寡黙な鍛冶屋、拳法を使う怪力系。紅の夫・平之進は仕官の口を求める浪人。紅の裏稼業には全く気付かず、息子とともに彼女の心のよりどころ。腕っ節は強くなくアルバイト先で辻斬りが出た際には「助けてくれー」と大音声で呼ばわり人を呼ぶ妙なワザをつかう。


第1話 「恨みはらします!!刺客になった良妻賢母」2003.4.21

 仕官を餌に謀殺される浪人、夫の身の証を立て恨みを晴らすべく「天罰屋」に依頼のため髪を売るその妻、しかし思い敵わずワルの手に落ち母子とも虫けらのように殺されてしまう。長屋でその一家と親しくしていた同じく浪人の妻・松坂紅はこの死に遭い、嫌っていたはずの父と同じ稼業に足を踏み入れることとなる。
 ロケ地、冒頭紅の夢・父の殺しを目撃した娘の頃の悪夢、足元の石礫・植生・川水の色からすると山室か。ぼやけていて確信持てず。絶望した三枝の妻が天罰屋からコンタクト受ける水辺、上賀茂神社ならの小川畔。独自に調査する紅の前に立ち塞がり手を引けと迫る天罰屋チーム、仁和寺御室桜林。天罰屋元締の文三が紅と父・語らずの玄馬の話をする、仁和寺観音堂(バックに塔)
*紅の父に本田博太郎、怖い顔と激情の表現、特マル。


第2話 「狙われた千人の命!!初恋の男に哀しき天罰」2003.4.28

 湯島中町で白昼大勢の人がばたばたと倒れ苦しむが原因不明という、どこかで聞いたような事件が勃発。紅の息子も被害に遭う。運び込まれた寺で「霊水」を貰うと不思議に回復、しかしこれのため紅の夫は刀を売り払ってお布施をしていたのだった。
一方、酷似の事件で家族を亡くした村娘が江戸で始末されるが、今わの際の「天罰を」との願いを元締が受け取っていた。調査に入る天罰屋チーム、息子の看病のためツナギに現れない紅だが別方面から核心に迫る。結果明らかになったのは事件当日に紅が再会した幼馴染の男が計画した毒を撒いたあと解毒剤を餌に大儲けという悪企みだった。
 ロケ地、解毒剤の霊水を配り大金を毟る尼僧の寺・竜泉寺、神光院(中興堂をメインに使い周囲も多用)。元締にツナギ欠席の詫びを入れる紅、仁和寺手水場付近。


第3話 「天罰屋VS葵の御紋!引き裂かれた夫婦愛!!」2003.5.5

 ほうぼうで無体を働く御三卿・田安家の三男坊・右京介、天罰屋チーム各員はそれぞれに右京介の悪行に苦しめられた人々と関わってゆく。
祖父を殺された百姓の孫娘の依頼は果たされ、元締は温情こもった扱いを施す。
今回は積極的に「天罰」を段取りする紅だが、依頼人の身売り話に耐えかね元締に訴える青さも見せる。
 ロケ地、野菜売りの百姓が右京介の蹄にかけられる森下町往来、下鴨神社糺の森馬場。その孫のお千代が身投げする、中ノ島橋。助けて介抱したあと紅と壱松が送ってゆく、大覚寺放生池堤。田安家本所下屋敷、大覚寺大門勅使門橋御殿川。右京介らの死体が上がる、嵐山公園中州舳先


第4話 「罠に落ちた天罰屋!!恋を知った女刺客」2003.5.12

 次々と事件を解決し市中の評判高い火盗改同心・福田正衛門、紅の息子も憧れたりなんかして傘張り浪人の父を悲しませる一幕も。
しかしこれがとんだ悪党で、手柄はほぼでっち上げどころか押し込みは自分自身で、つるんでいる材木商・土佐屋のライバルを蹴落とすための所業。評判をとるため瓦版屋を抱きこんだり、押し込みに遭った商家の元奉公人を冤罪着せたうえ、生き残りの女将とまとめて始末したりと悪逆の限りを尽くす。これに天罰チームのお亜季と壱松がそれぞれに絡むエピソードが散りばめられ、調べの結果天罰が福田とその一味に下ることとなる。
 ロケ地、冒頭あくどい女衒を始末する天罰チーム、一人逃げ出した浪人を殺る紅、中ノ島橋(ターゲットの後藤は川落ち)。長州屋殺しの疑いで火盗改に捕縛された又吉のことを話す紅と壱松、大覚寺参道御殿川べり。火盗役宅は明智門。お亜季が瓦版屋・彦六に福田の悪行を告げる、広沢池東岸


第5話 「愛の逃避行!品川宿で待つ女!!」2003.5.19

 子を流産したことから齟齬をきたし擦れ違う夫婦、しかし心の奥で二人は固く繋がっていた。
自分の不摂生から子を亡くしたと思い酒びたりの亭主に尽くす女、仕事も碌にしないのに妙に金回りのいい亭主は盗っ人の一味と成り果てていた。しかし一味に加わった経緯は女房の病を治すための多額の出費、これに付け込んで錠前破りをさせていた盗っ人の頭目は医師の玄庵。
女房は無頼時代の竜次に捨てられた女で、絶望し入水するところを今の夫に救われた経緯を持つ。過去のしがらみから女の身辺を探り天罰に掛けようとする竜次、女の同僚で身を案じている紅、はじめは依頼も無いことから動かないチームだが、元締は玄庵を店に呼び出し探りを入れる。事の真相が次第に焙りだされ、夫婦を江戸から落とそうと図る竜次と紅だが亭主は玄庵の凶刃にかかり殺されてしまう。女房は苦界に身を沈め、天罰を乞うのだった。
 ロケ地、紅とお袖・矢吉夫婦の話をする竜次、大覚寺大沢池船着(定点から三回)。竜次に捨てられ絶望し入水するお袖、中ノ島橋・堰堤下(通りがかる矢吉、橋上)。怒りに任せ玄庵に斬りかかる竜次、大覚寺五社明神


第6話 「十三年目の絆!自分の始末を依頼された刺客!!」2003.5.26

 盲目の孤児・お琴を足長おじさんよろしく13年も見守ってきた「皐月の小父さん」の正体は元締だった。お琴には死んだ両親のことを世話になった善良な人と聞かせてきた元締だが、実は両親は凶盗・狐火一味の首領で、天罰を下したという経緯を持つ。
そして隠された真実は一味の生き残りのお琴の叔父・治郎により暴露され、13年前にし残した天罰が元締自身の手で下されることとなる。
 ロケ地、皐月の小父さんとお琴が年に一度会う祠、大覚寺天神島。お琴に皐月の小父さんとの関わりを聞く紅、放生池堤。治郎らに誘拐され身代金取られたうえ殺された富商夫婦の死体が上がる、中ノ島橋下河原。元締の偽情報で広瀬村西はずれの神社に隠し金を探しにゆく治郎、鳥居本八幡宮井戸(参道石段を駆け上がるショットあり)


第7話 「江戸VS上方 刺客の激闘!!親子鈴に託した愛」2003.6.2

 紅の息子が関わり負傷し記憶を無くした男を救うが、男の正体は同業の殺し屋だった。
男は上方の元締・加賀屋のもとで殺しを生業としていたが、変質し金で請け負うようになった加賀屋から逃げたのであった。男が江戸へ来たのは昔天罰屋になりきるため捨てた娘に会うためだったが、願いが適ったとき男には死が訪れるのであった。
男と旧知であった「江戸の元締」はチームに加賀屋一味の始末を金無しで布告、死を見届けるまで関わった紅はもとより全員が許諾。
 ロケ地、山城屋の依頼を蹴る元締、鳥居本八幡宮(本殿前・夜)。加賀屋から通告のあった人相書き見て動揺する紅に釘を刺す元締、大覚寺大沢池木戸(南側)。紅の息子が飴売りに飴を貰う、中ノ島橋上。その後襲撃される飴売りの男、橋下右岸水路脇の岸公園林自転車道下桂川右岸河原嵐山東公園。新八の馴染みだった上野山下の水茶屋へ聞き込みの影之介、今宮神社東門外茶屋・一和。新八の記憶を戻そうと湯島天神へ伴う紅、今宮神社境内に縁日セット。通行人に当たり転倒した新八と休む茶屋は高倉傍にセット。来ていた元締とツナギは若宮社前。加賀屋を始末する夜の神社は鳥居本八幡宮(鳥居下、夜間撮影・スモーク焚)。ラスト、何も知らぬ夫と息子が新八を案ずるのを聞く紅、大覚寺放生池堤


第8話 「悲しき10代の反抗!殺しの罠と母の着物…」2003.6.9

 不良少年グループがヤクザの傘下に入れられ、深みにはまってゆく。リーダー格の政吉は以前紅の長屋にいた少年で、壱松ともかかわりがあった。母の形見の着物を渡し昔に戻れと言う紅、壱松も見守り説得するが、政吉は代紋を背負わされてしまう。しかし示唆された殺しがどうしても行えず、仲間の少女が人質にされるに及び覚悟を決めた政吉は、母の縫った着物をまといヤクザの親分に決死の抵抗を試みる。結果は政吉の斬り死にとなり、天罰チームが仇を討つかたちとなる。
 ロケ地、熊蔵に殺しを強要された政吉が茂助に斬りかかる、上御霊神社拝殿裏の透垣前。元締に事情話す紅、大覚寺天神島朱橋上。政吉の命令で逃げる少年たち、大沢池堤。仲間を船で逃がし斬り死にする政吉、大沢池北西畔(夜)。事後、少年たちが立てる政吉の墓、大沢池堤?


第9話 「禁じられた男と女!15年の陰謀、黒幕の謎」2003.6.16

 市中に阿片が出回り犯罪が多発。阿片中毒者に殺された者、阿片で死罪になった者、双方の身内から阿片を広めたものどもへの天罰をと依頼が来る。阿片を扱う吉田屋へ仕掛ける天罰チーム、しかし売人の女一人は影之介が連れて行ってしまう。
女は影之介の盟友の妻で、夫が無実の罪を着て切腹して果てたあと藩の役人に騙され阿片中毒にされたうえ売人に身を落としていた。この女を紅とともに介抱し禁断症状をやり過ごさせる影之介だが、女は奉行所へ駆け込む寸前に見つかり殺されてしまう。これを受けて真の黒幕に再びの天罰が下されるのであった。
 ロケ地、影之介がお雪を匿う川べりの小屋、山室対岸?紅に経緯を語る元締、大覚寺梅林?奉行所へ急ぐお雪、妙心寺東海庵前路地〜大覚寺参道橋大門前。血塗れのお雪のもとに駆けつける影之介、有栖川(河床にカメラ据えて見上げ)
*ラス立ちに帰国間もない福本先生、ぬおーと吼えくるりと元気に回転。


第10話 「さらば天罰屋!炎に消えた涙の折り鶴!!」2003.6.23ANB/東映

 苛烈な高利貸しが無体を働き、これに天罰をとの依頼が来る。さっそく忍び入る天罰チームだが、なぜか邸内には南町の捕り方、壱松は捕縛の網から辛うじて逃れるもメン割れてしまう。高利貸しの仕様そのものが天罰屋を誘き出す罠で、次々とメンバーがあらわにされてゆく。
仕掛けは南町与力が手柄を立てて奉行に成り代わろうというもので、しまいに元締の正体も知れ、茂助が捕われてしまう。救出に動く元締、そのことで決定的に正体が割れ窮地に。ただひとりメンの割れていない紅に手を引くよう諭し散る天罰屋。しかし最後の戦いに出てゆく仲間のもとに紅は現れ、共に赴く。与力宅での天罰を終えたチームだが、まわりを奉行の人数が固め絶体絶命。ひとり別の方向に逃がされた紅は、追い詰められた小屋の前で頭巾を被ったお亜季が紅に変装し名乗るのを見る。このあと小屋は爆破され、炎に消えた紅以外のチームの消息は杳として知れない。
 事後、市中にお亜季の幻影を見る紅、しかしからくり屋の家も壱松の仕事場も廃墟、恵比須屋には竹矢来が組まれたまま。そんななか窓辺に置かれるツナギの折り鶴、置いた主を探し走り出る紅だが、後段は語られず。
 ロケ地、最後の川べりの小屋、桂?


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