雪之丞変化

河野寿一監督作品  1954年 東映

キャスト
中村雪之丞、怪盗闇太郎/東千代之介 軽業お初/喜多川千鶴 浪路/高千穂ひづる 土部三斉/薄田研二 門倉平馬/原健策 広海屋/香川良介 目明し勘兵ヱ/堀正夫 中村菊之丞/藤村秀夫 長崎屋三郎兵ヱ/清川荘司 下っ引六助/岸田一夫 脇田一松斎/河部五郎 雪之丞の父/高松錦之助 雪之丞の母/朝雲照代 土部駿河守/中村市女蔵 用人田島/島田伸 岡部助次郎/飯田覚三

原作/三上於菟吉 脚本/西篠照太郎

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雪之丞変化 復讐の恋  1954.3.31

 江戸初下りで人気を博す若女形・雪之丞、彼には秘めた目的があった。
ある日、桟敷で芝居を見ていた、羽振りの良さそうな一行が雪之丞を芝居茶屋に呼ぶが、彼らこそ父母を死に追いやった、憎んでも飽き足りない仇なのだった。
奥義伝授で雪之丞を恨む、道場の兄弟子が駕籠を取り囲んだ段で中ほど。

ロケ地

  • 一松斎から雪之丞に渡された奥義書を横からかっさらった門倉平馬、中が白紙なのを見て怒り燃やす神社、不明(坂上がって境内?舞殿あり)
  • 盗みに入った先で雪之丞の秘密を立ち聞きしたお初、歩く道は松並木〜水辺。
  • 土部邸の門、不明(料亭ふう)
  • 土部に招かれてゆく雪之丞、駕籠がゆく道は伏見市街(酒蔵のある町並み)。門倉一派がつけてきていて、別口でお初もつけている。

伏見

雪之丞変化 復讐の舞  1954.4.7

 冒頭に、「雪太郎」の両親が陰謀に落ち亡くなった経緯を持ってきて、門倉一派に囲まれた前回の終わりからお話が始まる。
元松浦屋の番頭だった長崎屋は、民の困窮も顧みず米相場で大儲けを企むが、雪之丞と闇太郎の工作で破綻をきたす。
一方、身も世もなく雪之丞に惚れこんでしまった浪路は、大奥へ戻るのを嫌い出奔。そこに、恋に狂った女の激情が襲いかかろうとしていた。

ロケ地

  • 門倉一派に囲まれ窮する雪之丞、土部邸から使いが来て水入りの段、使いが来て去る坂道はセットかロケか不明(両側に町並み)
  • 顛末を見届けて去るお初のシーン、前話と同じ松並木か。
  • 長崎屋が市中の米不足を尻目に大量の米俵を荷揚げする浜、伏見の堀端か(石積み護岸の端に蔵、続きの建物も見える←この土手で闇太郎が民衆を扇動)
  • 勘兵ヱに見つかり逃走する闇太郎、町並みや溝端の一部はロケか。
  • 雪之丞に文を突っ返された浪路、傷心を抱え彷徨うシーン、梅宮大社。神苑門前の池端〜南岸(南側に高い松が生えているが、東参道にある蔵が素通しで見える)〜東参道(西望)
  • 浪路の乗った駕籠が運ばれてゆく道、不明(五本線入り塀の「大寺」の角を曲がり、崩れた築地塀が脇にる門の傍を通り、いかにもな「荒れ寺」へ)
  • 広海屋に呼ばれてゆく雪之丞、駕籠が通る道は天龍寺参道(奥に庫裏)。ここでわらわらと門倉一派の侍が湧く←この時点で門倉は土部の刺客。
  • 雪之丞が連れ込まれる岡部道場、旧地裁官舎長屋門。

旧地裁官舎

雪之丞変化 復讐の剣  1954.4.20

 遂に土部は雪之丞の正体を知り、芝居小屋で仕留めようとはかる。その舞台には、抜き差しならぬ容態となった浪路も来ていて、因果の糸が絡まり合う。

ロケ地

  • 浪路が監禁されている荒れ寺と周辺、不明。ほぼ前に出た場所と同じだが、お堂裏手通用口とそれに続く路地も出てくる。
  • 土部邸、不明(既出)
  • 土部邸へ押しかけて恨み言を述べる長崎屋、ごまかされて帰る道、不明(既出の松並木か)
  • 事後、浪路の遺骨を抱いて江戸を去る雪之丞を見送る、闇太郎とお初、不明(田んぼ道の土手、山際。茅葺屋根も見える)

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※薄田研二の三斉、ほとんど猛禽類みたいな鷲鼻を付けて熱演、横向きの顔映るときなんか傑作。片目ヘンな感じなのは、長崎奉行時代には無い演出。
※上演中を襲われるクライマックスの出し物は「鐘供養」、ゆえに瀕死の浪路との哀切なシーンで、雪さまの顔は鬼女の隈取。


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