吉宗評判記
暴れん坊将軍
  40〜59話

1978-1982テレ朝/東映


第40話 翔べ!下町の神童 1978

 嫁入りの荷を狙い当たり屋を働く一味あり、車馬による人身事故にはきつい咎めあるのを利用したあくどい脅しで人々を泣かせる。一味の証文書き役の若者は、学問を志すものの町人ゆえ道を閉ざされクサったすえ悪の仲間になってしまったナイーブな男。新さんは一味と背後にいた黒幕を断罪し、若者には新たな道を開いてやる。

ロケ地
・一味を荷車でひっかけた商家の下男が身投げの汀、池端か。
・当たり屋について忠相の報告を聞く新さん、赤山禅院拝殿。
*学者志望だった佐吉に真夏竜、黒幕の元北町奉行は五味龍太郎で、当たり屋一味は遠藤太津朗や汐路章。十手持ちのエンタツは、着ているものも「万七親分」に似ていて見もの。*黒幕は最後に唐突に登場、すぐに成敗乗り込まれでそろそろルーティン化が見受けられる。


第41話 切腹!酒呑み代官 1978

 あの呑んべの新宿代官(26話・朝寝朝酒で出世した男)がワルにはめられ危地に陥るお話。
酒癖を利用され、違法の芥子が運ばれるのを許可してしまうお代官・酒田。責任を感じ入水しようとするところへ現れたのは朝右衛門、芥子密売一味から「一色十郎太」に話が来ており、探索に入る。上様が龍虎の話から嗅ぎつけ先に入っていたアジトで大立ち回り、酒田は危なっかしい手つきで黒幕だった関東郡代を討ち果たす。

ロケ地
・芥子が江戸へ入ったことを告げる早馬が走る、大覚寺大沢池堤(あとで上様も通る)
・弓のお稽古上様は大覚寺宸殿
・絶望した酒田が自死しようとする川端、広沢池東岸
・アジトの四ツ谷はずれの慈雲寺、神光院(本堂、中興堂、橋)。慈雲寺が普段は住職一人だと報告の庭番、大覚寺有栖川畔。
・事後、下城し妻子に駆け寄る酒田、放生池堤
*新宿代官は長門勇、彼を酔い潰しにかかる売人は小林昭二、仲間に北九州男や森章二、黒幕の関東郡代は山本麟一。このほか酒肆の女将が「銭平」のひょうたんの武田てい子だったり、代官配下の役人が「赤影」坂口徹郎(クレジットはこの表記)だったり、慈雲寺に屯する用心棒がぼっさぼさ髷の福ちゃんだったりと楽しい。*朝右衛門のお祈り部屋が出てくる。拝家のそれと似るが、お試し御用にはなったばかりの筈なのに既に位牌がいっぱいで笑える。


第42話 燃える男と莫連女 1978

 神田で続く火事、うち火元も不明で不審な件にはいつも定火消しの大久保弾正が出張り、め組の邪魔をして消し口を奪う。また、続発する火事を受け普請奉行が家々の構造そのものの改革を進言、上様は許諾。しかしこやつらはつるんでいて、グルの悪徳商人に買い占めさせた漆喰材料で大儲けが目的、あろうことか火事は大久保の示唆による放火だった。火事に心痛める辰五郎を案じ、身を危険に晒して動く酌婦の人情話が華を添える。

ロケ地
・忠相に火事の件で報告を受ける上様、大覚寺宸殿廊下と回廊。
・庭番に辰五郎が何を隠しているのか探るよう命じる新さん、西壽寺本堂前。このあと柏屋の墓に額づくお綱を見るのはここの墓地。
・大久保弾正邸、相国寺林光院
・定火消しの放火について報告を受ける新さん、大覚寺五社明神
・お綱が石灰の高騰について聞き込む木場、例の木に囲いのある材木置場。
*お綱は赤座美代子。大久保弾正に菅貫太郎、事を糺しに来た辰五郎と対峙の際の狸っぷりはさすが。グルの作事奉行は小瀬格、ガエンのかしらは国一太郎。


第43話 お庭番非情! 1978

 元お庭番でおそのの父・中津清右衛門が出府。中津郷士としての意地を貫く清右衛門と、父を案じ動く娘の情話。二人の危機にはちゃぁんと上様が駆けつけ、ワルを懲らしめてくれる。
清右衛門出府の用は綿作の肥料にする干鰯の買い付け、ここに干鰯の産地を知行地に持ち暴利を貪る大身旗本と、こいつとグルの上方商人が絡み、正当な値で買おうとする清右衛門を害そうとする。

ロケ地
・め組の喧嘩に介入しならず者をヒネる清右衛門、石座神社
・おそのの馬術調練を見る上様、嵐山東公園か。
・清右衛門襲わるを聞き、おそのには伏せておくよう命ずる上様、大覚寺宸殿中庭(おそのは回廊脇で菊を鑑賞。後段、宸殿廊下をじいがずかずか歩くくだりも)
・旗本・八橋右京之介に綾瀬川の中州に呼び出される清右衛門、木津河原(背景に流れ橋、千住街道の描写には堤道や堤法面が使われる)
*清右衛門に岡田英次、千葉の網元に小島三児、ワル旗本は田中浩で悪徳商人は山本清。*殉職くさいタイトルだが、おそのも父も負傷するものの無事。


第44話 鮮血!拝領の剣 1978

 侍になりたいという研師の息子に、中間の奉公先を世話する辰五郎。しかし頼んだ先が悪く、普請奉行の殿様は辻斬りを嗜むいかれた男で、凶行に及ぶ得物が神君拝領の刀というとんでもない奴。しかも夜鳴き蕎麦の老爺と孫娘を殺った際に刀を損じ、これがもとで恥をかいたと研師を無礼討ちにするに及び上様と辰五郎ブチ切れ。研師の息子も斬られかかるところへ乱入し、繰り出される人数を叩きのめしたあと、普請奉行を取り押さえ仇をとらせてやる。

ロケ地
・辻斬りについて忠相の報告を聞く上様、大覚寺宸殿脇。
*研師は村田正雄、息子は松山省二。馬鹿殿は名和宏、家来に原口剛。中間仲間の爺さまに中村錦司も。脚本は結束信二。*刀が絡むと出てくる朝右衛門、無頼の一色浪人から段々スクエアなお試し役に変化。


第45話 寿限無寿限無のニセ小判 1978

 大鳥神社のお酉さまで奇特な飴細工師を見る新さん、孤児院を創設したいと語る彼の夢に共感。お城で忠相に男のことを語るが、その場に居合わせた勘定奉行はこの情報を別の意味で聞いていた。
男は腕のいいかざり職人で、かつて贋金作りの罪で遠島となった経緯を持つ。今まさに自分が指図して贋小判を打たせている勘定奉行は、配下の職人から腕利きのその男のことを聞き探していたのだった。罠に落ち仲間に引き入れられかかる男を助け動く新さん、勘定奉行を断罪し事件を解決。

ロケ地
・お酉さまで賑わう大鳥神社、石座神社
・勘定奉行・工藤帯刀邸、大覚寺大門、参道石橋。贋造小判の工房は五大堂付近で、仁兵衛が逃げ出すくだりでは宸殿裏手の庭、中間に化けた助八が屋敷から出してやるのは有栖川に面した木戸、出たところに新さんという運び。
*仁兵衛に笑福亭仁鶴、表題の落語を早口でぺらぺら。勘定奉行は横森久、ヤクザは長谷川弘で、仁兵衛のことを悪党ばらに教える元の仲間は蟹江敬三。


第46話 天下御免のお年玉 1979

 正月早々、つけ上がりまくる御数奇屋坊主を懲らしめる上様、ついでに年始で休業の警察業務を年中無休に改革したりする。

ロケ地
・新年の礼を受ける上様が退屈してトンズラ、外へ出て衣冠束帯のままで伸びをするのは姫路城ほの門前・小天守見上げ。
・じいに忠相が年末に出した上申がハネられた件を問いただす上様、姫路城はの門下坂
・柳の局の野点、姫路城西の丸
・御数奇屋坊主・大内山宗俊邸、金戒光明寺長安院
*御数奇屋坊主は遠藤太津朗、つるむ口入屋は小田部通麿、娘たち売り飛ばしを知ってしまい追われる大工は牧冬吉、ちんぴらに福ちゃんがチラリ。大奥が出るので白木万理のお局さまが出るほか、朝右衛門もちらっと出て照れ笑いギャグも見せる。


第47話 拳固で治す女医者 1979

 患者を厳しく扱い治療する男勝りの女医者・君島志乃が、町役の推薦で御目見得医者に推挙される。これに今年は我こそと野望ムンムンの悪徳医師が立ちはだかり、命は狙う・罠にはめようとするなど悪さしまくり。上様は陰に陽に彼女を助け、一味に斬られ瀕死の名主も志乃の治療で九死に一生。悪徳医師は典薬頭に連れられのうのうと御前に出てきたところで、証拠を突きつけられ一巻の終わり。志乃は御目見得を辞退、助手の良助とラブラブで女のなりに戻るというオチつき。

ロケ地
・お庭で素振り二千回の上様、大覚寺御影堂(前に幔幕)
・医師・大場尚山邸、相国寺光源院
・志乃に身の上を聞きながら市中をゆく新さん、大覚寺放生池堤護摩堂
・御目見得医者に推挙されたと聞いた志乃が想像する、御殿に上がり弟子を引き連れて御廊下を行く自分、大覚寺宸殿前縁。
・志乃がライバル・大場尚山の弟に襲撃される夜道、大覚寺五社明神
・大場が裏工作に赴く典薬頭・中小路右京太夫邸、相国寺大光明寺(門、南塀)
*志乃は江利チエミ、彼女を慕う弟子は南城竜也。悪徳医師は稲葉義男で、弟の剣客は宮口二郎で手下に丘路千・五十嵐義弘・高並功のいつものメンバー。志乃と新さんにビビらされ禁酒を誓わされる患者に藤尾純、志乃を褒める隠居に中村錦司。


第48話 極楽風呂に地獄を見た 1979

 新宿代官シリーズ。またまたワルの罠に落ちる酒田善右衛門、新宿にフーゾク作られ大弱り。しかも湯女がしなだれかかっている現場を市民に見られ信頼を失い、しまいに心中立てで消されかかる。この罠の裏には、上様の人事にミソをつけ改革を阻もうとする守旧派の筆頭老中。酒田の危機に駆けつける新さん、大暴れのラス立ちをちゃっと終え、城に取って返し老中らを断罪。今回のワルどもはおとなしくうなだれて退出。

ロケ地
・弓のお稽古上様に改革について異議を唱えに来る筆頭老中、大覚寺御影堂(幔幕張り)
・新宿のフーゾクのことで助八の報告受ける新さん、大沢池畔。
・酒田がフーゾクに四日居続けと聞く上様、観月台(バックに大沢池)


第49話 生かす殺すは筆一本! 1979

 下野屋の売る炭は不良品の屑と瓦版に書き立てられ、商い立ち行かず主人は首吊り。しかしこれは偽装殺人で、下野屋が扱う良質で安価な野州炭が邪魔な、八王子炭を扱うライバル店と、八王子代官に北町奉行まで噛んだ悪企み。瓦版を作ったのは誤解で下野屋を恨む錦絵の職人、これを説得し事態逆転の上様、ワルが慌てて謀議する席へ乗り込み大暴れ、首謀者の奉行と代官はお城に呼びつけ「腹切れぃ」。

ロケ地
・八王子代官が疑いをかけられ腹切ると座り込む城中、姫路城西の丸
・瓦版屋の調査結果報告を受ける新さん、金戒光明寺鐘楼下坂道
・助八が飛脚のなりで走る甲州街道・八王子へ二里の道、北嵯峨農地
・錦絵職人の娘が父の仕出かしたことに悩み佇む水辺、広沢池東岸(夕景)
・助八から八王子の情勢について報告を受ける新さん、金戒光明寺石段(バックに三門および本堂大屋根)。八王子村の炭焼小屋、酵素河川敷。
*錦絵職人に汐路章、娘は小林かおり。北町奉行は御木本伸介で八王子代官は曽根晴美、手下の暗殺者は国一太郎、武州屋は森幹太。*ワルの巣に乗り込んでの決め台詞「俺の命は天下万民の為ならいつでも捨てる覚悟、だがおまえらの如き…」、次回で出る「三つ葉葵の風」の原型か。


第50話 味一番!細腕べんとう 1979

 味噌・醤油が高騰、これを皮肉る投書が来て、事態と共にそこに書かれてある仕出屋のことが気になり出張る上様。行き掛かりで仕出屋・升屋の息子に剣を教えることになり住み込みの新さん、女将の危機に立ち上がる。味噌醤油の値を吊り上げる悪徳商人は、結託している与力に三年前升屋の主人を闇討ちさせた刀剣フェチだったりする。

ロケ地
・お城で助八と試合う上様、枳殻邸印月池(ガラス張りのゲストハウスには幔幕)
・升屋の三太に稽古をつける新さん、仁和寺金堂(縁先の陰から朝右衛門が覗き見て「今度は升屋の倅の用心棒か」と呟く)
*悪徳商人宅に獅子舞で乱入の上様(うしろは助八)、お獅子の口で刀受けたりファンキーな真似をと思っていると、ばっくれ与力召し出して断罪の際、でっかい三つ葉葵がくるくると回る前にそのカッコの新さんがすーっと下から現れ「俺の命は天下の命、三つ葉葵の風が吹くってなァ」をやるという仕掛けの伏線。葵紋の回転具合がなんというかアレで、カーンカーンの音も鳴り響く。*事後、長屋衆に弁当を配り歩く升屋、新さんはこれを三つ取りどこかへ飛んでったと三太、お城ではトリオでこれを食っているというオチ。上様、食わしてない子みたいにちゃっと完食、じいの包みに手を伸ばす。忠相のは盗らないのがミソ。*升屋女将・おみねに浜美枝、与力は和崎俊哉で悪徳商人は潮万太郎。


第51話 魚河岸の花嫁 1979

 魚屋・太吉の好いた娘の父はかつて京で盗賊の片棒を担がされ、江戸へ逃げてきていた。前身を隠し暮らしていた父子の前に昔の仲間が現れ、再び悪の道に誘い込もうとする。この盗賊団のバックには忠相追い落としをはかる旗本がいた。
意に反して片棒を担ぐかたちとなった父は「執行猶予」の大岡裁き、娘は太吉とメデタシ。

ロケ地
・忠相が自分の襲撃事件について上様に報告、枳殻邸侵雪橋上。
・姿を消したお梅のことでベソをかく太吉を励ます新さん、仁和寺塔前の疎林
・市兵衛が錠前破りで手配中だと太吉に告げる新さん、仁和寺九所明神
・市兵衛父子が監禁される漁師小屋、広沢池東岸にセット。
・市兵衛の回想、京で押し込みのあと、これからも手を貸せと言われる林、仁和寺御室桜林
*23話「怒れ!!魚河岸野郎」で出た太吉が登場、桜木健一。市兵衛とっつぁんは花沢徳衛、彼に錠前破りを強要した盗っ人に伊達三郎(顔に派手な傷演出)、元京都町奉行で忠相を妬む寄合席の朽木大膳は左右田一平。魚河岸で太吉と喧嘩してぶっ倒されてる一人に福ちゃん。*前回に引き続き「三つ葉葵の風が吹く」の決め台詞。


第52話 失脚!大岡越前守 1979

 忠相の失脚を狙う旗本が妻・なみを拉致、せっかく捕えた夜嵐の虎蔵の釈放を迫る。激怒の上様、しかし忠相は私事と介入を拒否し言い争う一幕も。そのうち、拉致に関わった忠相宅の小者の線と、虎蔵の宴席で押収した祝儀袋から旗本の名が浮かび、なみ救出のあと虎蔵再逮捕・浦辺は呼びつけて糾弾で落着。

ロケ地
・なみ拉致の八丁堀から子安地蔵への近道、赤山禅院参道。監禁のお堂等は境内。なみのもとへ馬を飛ばし駆けつけてくる忠相のシーンでは参道の奥に高麗門が見える。
・誘拐の手引きをした小者が始末される池辺、不明(池堤際に塀、竹林も見える)
*なみは珠めぐみ、ふてぶてしい大親分の虎蔵に今井健二、黒幕の旗本に川合伸旺。小者が斬られる池辺で朝右衛門が釣りをしていて関わるほか、首魁の旗本の介錯で出てくる。


第53話 からくち一番!母子酒 1979

 下り酒主流の江戸に、関東の地酒を流通させようというお話。
毎年開かれる酒の品評会に下総の名酒を出そうと図る大坂の料亭の天満屋おまさ、安い酒が流通しては困る向きに妨害工作を仕掛けられるが、裏でサポートの上様たちに助けられ初心を果たす。工作にはおまさの生き別れの勘当息子が道具にされたりするが、ワルは上様に断罪され、母子のわだかまりも解けメデタシ。

ロケ地
・おまさの用心棒を引き受けた新さんが彼女と話しながら行く道、相国寺大通院脇路地〜鐘楼付近〜仏殿跡路地。
*おまさは京唄子。*悪党が乗り込んできた用心棒を上様と認識する道具立ては、新さんの啖呵「三つ葉葵の風が吹く」のバックに高速回転の葵紋。*朝右衛門は刀を投機に使う江戸屋に出入り設定、ラス立ちにも参加。


第54話 小判がお好きな女医者! 1979

 拳骨医者・君島志乃再登場、金儲けに走ると陰口を叩かれる彼女の真の目的は、補助金を打ち切られ困窮する孤児院の救済だった。補助金の件は、引退した元若年寄のじじいが猟官運動資金を得るための公金横領と知れ、上様大暴れ。

ロケ地
・元若年寄・稲葉内膳正邸の庭、阪口青龍苑
・加納五郎左衛門邸、相国寺光源院門。このほか周辺の路地と鐘楼まわりを武家屋敷街や市中の情景に。
・孤児の面倒を見ている尼寺・妙蓮院、神光院(門、本堂、石橋、中興堂、蔵)
*志乃先生は江利チエミで変わらず、元幕閣は嵯峨善兵で手下の勘定組頭は近藤宏。


第55話 奮戦!いも侍 1979

 昌平黌の腐敗を抉るお話。在野の学者を登用し、昌平黌の門戸を民にも開こうと画策する上様だが、根太の腐った組織には悪が巣食い既得権益を守ろうと蠢動、召し出す予定の学者が暗殺されたり。公儀の手回るを察したワルが、人身御供を用意して事態打開を図るところへ乱入の上様、ワルをひとまとめに快刀乱麻。

ロケ地
・甲斐の山里で不慮の死を遂げる甲府勤番侍・佐伯、保津峡落合落下岩と崖下。彼の妻子が額づく墓、二尊院か。事故現場に立つ妻子、落下岩を崖道から見上げ・背景に保津峡。
・昌平黌、大覚寺明智門
・青木文蔵が庶民を集めて易しく孔孟を説く常念寺、神光院(門から庫裏のぞく。後段佐伯の遺児が母にハッパかけられるのは本堂前石橋)。野良仕事の青木に声をかける新さん、民家門前の畑。
・お召し予定の学者・榎木寛斉が暗殺される夜道、吉田神社参道石段(後段、母子が文耕堂にたばかられ連れ出される夜道も同所)
・青木文蔵が皆に送られ数馬と長崎へ旅立つ道、大覚寺放生池堤
*芋先生は左右田一平、息子を昌平黌に入れるため躍起の母に磯村みどり、文耕堂は南原宏治で用心棒に西田良。責任感じて腹切りかける林大学頭は永野達雄。


第56話 春の淡雪に消えた男 1979

 越後・長嶺藩では天候不順で凶作、餓死者やツブレを多く出すありさま。しかし年貢は減じられることなく、窮した庄屋の一人は直訴を決意するが発覚し捕えられ刑死、妻子も連座。捕吏として任についた津雲半兵衛は幼児を殺すに忍びず、上司と押し問答し過ってこれを斬る羽目となり庄屋の遺児を連れて逐電。そして江戸、追われる津雲と子に関わる新さん、凶作にも関わらず江戸へ回米し売り払おうとする藩主を断罪し成敗。しかし事後、新さんの身分を知った津雲は腹に刃を突きたて、子の助命を嘆願し果てるのだった。

ロケ地
・忠相に殺された船頭の件を聞く上様、枳殻邸侵雪橋上。のちに連座制について聞く場面では池畔を使用。
*津雲に河原崎長一郎、子を託される酒肆の女将に新藤恵美、長嶺藩主は織本順吉。


第57話 百鬼・一刀両断! 1979

 巡察使を勤める使番衆の腐敗を糺す一話。
太平の世、母衣武者の末裔も堕落の極みで、行った先で賄賂を受け饗応に溺れる日々。経費節減を図る上様、メスを入れようとする矢先、内実を告発しようとした侍は斬られ、腐敗に憤り暇をとり目安箱に訴状を投じた元奉公人も危地に陥る。ここへ上様乱入、集まったワルを掃討。朝右衛門に新さんの正体がバレてしまう回でもある。

ロケ地
・使番・青山左京太夫邸(下谷七軒町)金戒光明寺善教院
・庭番に青山探索を命じる上様、彦根城三重櫓前。青山が任務半ばで帰還していると報告を受けるのは彦根城観音台への橋
・硬骨漢の使番・彦坂政四郎邸、金戒光明寺龍光院
・忠相に使番の旧弊について聞く上様、彦根城西の丸、天守を背負い。
・朝右衛門とお城の奥庭で会う上様、彦根城玄宮園池畔。
*悪い使番に北原義郎と亀石征一郎のほか、笹本俊志に波多野博、森源太郎とずらずら。暗殺される正義派は水上保弘、主を告発した下男に小林昭二。め組に久ちゃん登場。*朝右衛門に正体が知れるのは新さんが刀を貸したから、その刀は朝右衛門が鑑定して納めたばかりの代物だったというオチ。事実を知って凍る栗塚旭の表情に注目、これを強調するため冒頭「将軍がケチだと苦労する」と新さんに言ってしまうエピソードを入れてある。


第58話 江戸一番!桜おどり 1979

 庶民の観桜の場にと、岩井藩主・太田左近太夫に命じ飛鳥山を整備させる上様、このプランに乗じ太田を失脚させ上様の面目を潰そうとする企みがなされる。黒幕には尾張の大目付。この大筋に、マザコン桜フェチの左近太夫が些細な罪で追った家臣の遺恨話が絡む。

ロケ地
・岩井藩設置の飛鳥山番所、酵素(小屋は降り口直下、助八が人足に苗木盗難について聞く現場に河川敷)
・朝右衛門が尾張の大目付を斬る道、大覚寺五社明神
*桜の枝を折ったかどで岩井藩を追われ、チンピラとつるみ荒れた生活を送るポニーテールの若侍に真田広之。彼を慕う茶屋娘は佐藤万理、若侍を庇い腕をなくしたとっつぁんに水島道太郎、太田の殿様は穂高稔で裏切り家臣は外山高士、陰謀の主の尾張藩目付に五味龍太郎。*成敗の舞台となる中村座、おかめの面つけて踊るは上様、決め台詞の際の仕掛けは葵紋高速回転ぐるぐる。


第59話 賭けた命が纏に燃える 1979

 武張った旗本の一団・鎧組が市中で大暴れ。馬で人を引っ掛けるは露店を壊すはの果て、難詰した娘を追い掛け回し、庇っため組と大喧嘩、纏を壊す。そのうえ纏を新調しようとするのを悉く妨害、この背後には纏を作る槍師から多額の金を毟ろうと企てる槍奉行がいて、血気の若者を煽り立てていた。

ロケ地
・槍師の娘がさらわれたと知らせに来るおその、下鴨神社河合社(内陣)
*今回、新さんは脅しに屈した槍師宅前で座り込み敢行、夜になっても雪が降っても動かない新さんに根負けした槍師は覚悟を決めて纏を作ると約束。お城に帰った上様は槍奉行と旗本たちを召し出し断罪、の大活躍。*槍師の娘は岡田奈々、槍師は高桐真、手代に峰蘭太郎。槍奉行は藤岡重慶で、鎧組は曽根晴美、西田良に岩尾正隆。


話数は、時代劇専門チャンネルで再放送時に打たれたナンバーに準拠しています。
これにはスペシャル番組やフィルム亡失分が含まれていないので、本放送時と異なります。
私的資料をここに挙げたナンバーで作ってしまっているので、ここはこのままにします。
全話リストを別に作りましたのでご参照下さい。

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