吉宗評判記
暴れん坊将軍

100〜119話

1978-1982テレ朝/東映


第100話 天下御免のにせ将軍 1980

 松平健が二役をつとめる、お遊び要素強い一作。そっくりさんは遊び人の「秀次」。秀次が持ってきた銀鉱石から話が始まり、銀は枯渇したと偽り私腹を肥やしていた大番頭が成敗される。
上様は、調査に入るのに好都合と秀次を身代わりに仕立ててお城を出るが、秀ちゃんはお下品な態度をとりまくり周囲は少し混乱。出されたお膳を見て、碌なモン食ってねぇなーと呟きながら飯に汁を打ちかけぐるぐる掻き回して食すシーンは傑作。このとき、そのさまを見て同役と顔を見合わせる口役に福本先生、裃にマスク姿。この身代わり劇は、忠相が上様を唆してのものだったり。

ロケ地
・御霊屋に参る上様、日吉大社か。
・秀次と間違われて襲われる新さん、相国寺大通院西・鐘楼前路地
・秀次が墜死した男から銀鉱石を入手した上州・上野原の渓流端、保津峡落合巌(侍に落とされるのは落下岩・見上げ)
・密かに採掘が続けられていた妻恋鉱山、砕石場か。
・秀次を諭し別れる上様、相国寺放生池天界橋たもと。
*秀次を立ち直らせようとする同郷の娘に浅茅陽子、神君のお墨付きをタテに好き放題・贋金作りにまで手を染める大番頭は安部徹、手下に岩尾正隆や石倉英彦。


第101話 八百万石を担ぐ男 1980

 なかなか正体を掴ませぬ抜け荷一派だが、酔っ払いの陸尺に荷揚げを見られてて露見。目撃者を狙う若年寄の手下から彼を守るべく接触する上様、好人物の呑み助との情話がユーモラスに展開される。

ロケ地
・日光参拝から帰城の上様、姫路城大手門天守バックに三の丸広場。じいが出迎える玄関は大覚寺式台玄関
・陸尺の又助が襲われるのを助ける新さん、金戒光明寺長安院下坂
・め組一同が又助をハメた狂言のことをじいと忠相に話す上様、姫路城西の丸
・又助に駕籠かきの練習をさせられる新さん、金戒光明寺本堂前参道石段。これに手裏剣を放つ刺客は経蔵から。
・市中での忠相や庭番とのツナギは大覚寺天神島祠前。
・襲撃から逃れた又助夫婦が新さんに礼を言いに出て来る、護摩堂前。
*陸尺の呑んべ親爺は長門勇、ついこないだまで新宿代官だったような気が。抜け荷をはたらく若年寄は森幹太、グルの船手組は穂高稔。手下は唐沢民賢に国一太郎とお馴染みの面々、又助襲撃犯の一人「服部」に福ちゃん←かなりの尺映るが目だった台詞は無し。あと陸尺仲間に小峰さんも。*又助に見込まれ後を継いでくれと申し出られ、俺の乗る駕籠を俺が担ぐのかー、と「想像」の新さん、上様ルックで慌てて駕籠から出てぱぱっと衣装を脱ぎ捨て駕籠かきに変身…こういうのを大マジメに映像化するから暴将は侮れない。くるくると下帯一丁になる上様がラブリー。


第102話 悪党の首まで取った借金取り 1980

 火事で店を失くし、ただ一人生き残った娘はトラウマから言葉を失う。これを遊蕩児であった自分の罪と悔み日々を送る父。新さんの助力で言葉を取り戻す少女だが、彼女を闇に突き落とした張本人が再び迫る。もちろんワルをボコボコにしてのけ断罪の上様、仇も取らせてやり庄助の長き償いの日々は終わる。

ロケ地
・庄助が裃姿で加納じいの付け馬して通る道、大覚寺有栖川(河床から見上げのアングルで導入)
・医者のアドバイスでおきくを外で遊ばせる庄助、今宮神社境内石畳。おきくが川に浮かべたおもちゃの船を見て言葉を取り戻す、上賀茂神社ならの小川神事橋と河畔。おきくを見かけ始末しようと襲ってきた小田原藩士とチャンバラは奈良社前から河畔で。
・小田原藩勘定方と両替商が謀議の向島住吉神社、仁和寺九所明神(鳥居脇に「住吉神社」の石碑あしらい、立ち回りは鳥居と拝殿の間。林間に塔基部が映り込む)
*庄助に左とん平、全て自分の放蕩が招いたことと人に笑われる商売を選ぶ→道化の掛け取り屋。小田原藩勘定奉行に五味龍太郎、庄助の父を暗殺し店に火を放った荒事担当の配下は丘路千、つるむ両替商は汐路章。おきくを診る蘭方医は中村錦司。岡場所で喧嘩沙汰の旗本衆の一人に福ちゃん、上様と加納じいに捻られる。加納じいに「おのれ糞じじい」の台詞あり、じいにはたかれて海老反り。きんぴか衣装に身を包む。


第103話 大騒動!寄り道したのが悪かった 1980

 部屋住み時代の友を案じ、日光参詣の途中烏山藩に赴いた上様が見たのは、頭を強打して以来呆けてしまった旧友の姿。悄然と城を去りかける上様だが、なーんかヘンな気配を鋭く察知、果たして馬鹿殿は擬態で忠義の臣と見えた国家老一派は大ワル。土壇場で芝居をやめ正気に立ち返った殿様とともに大暴れする上様、なぜか忠相もいたりして。

ロケ地
・野州・烏山藩領遠景、亀岡盆地か。烏山城、彦根城天守。領民をお城に入れて収穫祭のくだりはセット撮り。
・将軍家日光東照宮参詣のくだり、御成りの行列がゆく山道は谷山林道、本物の東照宮のイメージ画が出たあと参詣を終えやしろを出てくる上様のシーンは石清水八幡宮本殿〜南総門。
・烏山の殿様・大久保忠之と過ごした青年時代の回想シーン、剣の稽古に大覚寺天神島、釣りに大沢池堤、手を握り合う背後に心経宝塔
・烏山入りの上様が上意討ちの目付役を見る山道、酵素ダート河川敷。その目付役が上様の馬の口をとり城へ向かう途中「捕縛」に出てくる代官、北嵯峨陵付近か。
・目付役が上様に語る自失した殿の行状、彦根城玄宮園池端。友である藩主の狂態を目の当たりにした上様が、じいに来るのではなかったと肩を落とすお城の石垣際、彦根城天秤櫓下。
・侍女の小浪が上様に訴えて出る神社、石清水八幡宮参道。覆面の侍たちに襲撃されるのは本殿裏手。
・日光から帰るめ組一同が休む茶店(雀の宮と書いた道標)北嵯峨農地高台。
・日光さして山駕籠をやる上様トリオが渡る橋(鬼怒川設定か)木津川流れ橋夕景。
*烏山藩主は西沢利明、馬鹿殿を怪演。忠義の侍女は服部妙子で兄は有川博。悪党と見えて実は忠義者の代官は遠藤征慈、忠義の士と見えて大悪党の国家老は御木本伸介でグルの目付役は原口剛。*烏山の殿様が頭を打ったのは収穫祭のバルコニーがばりんと割れて落下、ちゃんと映像化してある。以降の馬鹿殿ぶりは釣竿の蝶々を追う・おもちゃの馬に跨って腰元を追い回すなど正統派。


第104話 日本一の花嫁御寮 1980

 老中の一人が倒れ後任人事を巡ってギフト攻勢、筆頭老中は猟官運動の大内伊予守に目を付けていた女をねだる。その女は大内の侍女で、祝言も決まっていた。嫌がって逃げた女はめ組に逃げ込み、すったもんだの末青山のもとに行くと決意、しかし白無垢まとって屋敷に現れたのは新さんで、ヒヒ爺の老中を投げ飛ばす。

ロケ地
・大内伊予守邸、大覚寺大門参道石橋(腰元の父拉致のシーン)
・大内の領地、一揆の相談をぶつ百姓たち、鳥居本八幡宮(竹林、石段)
*大内伊予守は北原義郎、筆頭老中は川合伸旺。大内の領地で一揆衆を取締りに来る侍、陣笠かぶった差配役は小峰隆司、横にいる鉄砲方に福ちゃん。侍女の親爺引っ立ててゆく家来でもちらり。


第105話 止めろ!天下御免の暴走車 1980

 タイトルの暴走車は、諸大名が将軍に献上の各地の特産物を運ぶ荷車のこと。これが往来を疾走して庶人に大迷惑をかけるのを放置できぬと上様が乗り出し、私腹肥やしが暴走の因を作っていた幕閣が処断される。親子して轢かれる、魚行商の坊と病の母が被害者代表。

ロケ地
・荷車が爆走する街道、大内・亀岡道(カーブを駆け下りてくる)
*若年寄に滝田裕介、御進物番頭に福山象三。朝右衛門チョイ出、自裁を勧められるもかかってくる若年寄を斬るほか、偽の半鐘叩きをとっ捕まえる。進物ねだりのお局さま・白木万理の加納じいへの悪口は「きりぎりすじじい」。欲しいのは寒ブリなのだが、「おブリ」表現は大笑い。*荷馬車暴走シーン、これを撮りたかったみたいな迫力。脚本は結束信二、監督は松尾正武。


第106話 将軍はんて何どすえ? 1981

 水戸中納言に焚きつけられた上様はめ組と共に賑やかに京都入り、映画村の日本橋も今日は三条大橋。わざとらしい京ことばが飛び交う悪ノリのなか、遠藤太津朗演ずるけったいなヤクザが登場、こいつをハメて焦点の京都所司代に迫る。断罪はいつになくソフト、斬ると見せて寸止め、今までのお前は死んだ/更生せよ…暴将の旅ものはお笑い路線。

ロケ地
・京イメージ、大原女が雲水と行き会う坂、高台寺参道石段。新さんの宿から見える塔、八坂の塔(合成か)。小安塔前から清水寺全景。托鉢僧が降りてくる石段、金戒光明寺三門前石段。芸妓が参る宮、辰巳大明神。茶店床机越しの橋、白川新橋。め組の衆が怪しげな京言葉を使う塔の見える町角、三面大黒天前か(現在塔は見えず。このあとの茶店も付近か)
・半蔵とおそのが里人に寂光院への道を聞く野道、藪田神社前。
・新さんがお美津に案内され行く大原の道、本梅川左岸堤。二人が渡る橋、本梅川若森廃橋(たもとに道標あしらい「是より大原の里・古知谷へ」)
・寂光院、不明(お堂は檜皮葺、門は塀の左端で檜皮、周囲は草深い)
・静原の里へ向かう江文峠、谷山林道か。
・静原の里イメージ、穴太の里。志賀屋に所司代の悪行を聞く茶店、藪田神社舞殿前に床机と朱傘あしらい(舞殿は萱葺き)
・祇園イメージ、白川巽橋(俯瞰と北望のアングル、白川女あしらい)
・京都所司代、知恩院北門(衛士あしらい)
*所司代に高城淳一、志賀屋に北見治一、水戸中納言に市川男女之助、チラ出老中に永田光男、所司代役人に西田良や福本清三、所司代とつるむ侠客に遠藤太津朗、その手下に小峰隆司・小船秋夫・出水憲司・広瀬義宣と賑やか。


第107話 あわれ、女お庭番 1980

 新しく伊賀から来た「試用期間中」の女お庭番は、生き別れの双子の妹と数奇な出会いを遂げる。無実の罪を着せられ詰め腹を切った夫の無念を晴らすべく、汚職官僚と悪徳商人を付け狙うその妹は、最後の仇に返り討ちに遭い落命。これを見た姉は、上様の制止も聞かず作事奉行の駕籠を襲うのだった。

ロケ地
・渡船に乗り遅れる源三、大沢池堤
・狭霧(姉)が野博打の駕人足に絡まれる品川宿はずれ、鳥居本八幡宮鳥居下広場。
・一年前の大川橋の件で詰め腹を切った侍は無実だったのではと語る上様トリオ、相国寺大光明寺石庭
・お堂に隠れている深雪(妹)が、お参りに来た百姓の会話から狭霧が自分を庇って捕まったと知る、大覚寺五社明神(深雪が隠れているのは舞殿で、建具をセットしてある。百姓からが拝むのは本殿のほう)
・作事奉行の駕籠を襲う狭霧、下鴨神社(糺の森、馬場、河合社裏手、池跡)
*狭霧・深雪の双子は甲にしきの二役。深雪の夫をハメた悪党、作事奉行は織本順吉で手下に宮口二朗、つるむ商人の一人は菅貫太郎・姑息風味で異彩を放つ。品川で狭霧に絡む雲助の一人に福ちゃん、口ひげつき・台詞もクレジット(駕人足)もあり→「なんだとぅこのアマ」。渡し場で源さんに大川橋工事の噂をするご隠居は北見唯一。


第108話 将軍に命令する男 1980

 上様お気に入りの太鼓の音、鳴らすは御太鼓方の小柳。太鼓が好きで仕事に誇りを持ち、将軍の生活リズムは俺が作っているとひそかに自負する彼が、ある日櫓に立てこもり時を刻ませぬ暴挙に出る。それは愛する女の窮地を救うためだったが、上様は天下の政道を正そうとしたのだと強弁し嘉するのだった。

ロケ地

  • 江戸城イメージ、二条城西南隅櫓姫路城天守。登城風景、彦根城石垣際〜天秤櫓内側。上様の朝の参拝、日吉大社。町場の鐘撞堂、清凉寺鐘楼(刻の鐘か寺院か不明)
  • 新さんに浪速屋のことを報告するおその、大覚寺五社明神祠脇。
  • 弓のお稽古上様に、久世播磨守のことを報告するお庭番たち、相国寺庫裏(幔幕張り、庫裏のうしろには書割の天守)
  • 小柳が立て籠もっているせいで時の鐘を撞けない鐘撞番、清凉寺鐘楼。浪速屋の乾分が来て凄むが、城の太鼓が鳴らないと撞けないと突っぱねらる。先と同所だが、いろんなアングルで出る。
※小柳左京はなべおさみ、無理を聞いてくれる質屋の女将は町田祥子、うるさ型の番頭は岩城力也。女将に上納金を強要し言い寄る浪速屋は高桐真、これとつるむ若年寄・久世は亀石征一郎。太鼓方の朋輩は木谷邦臣、同朋頭は小田部通麿、鐘撞番は宮城幸生。

第108話 天下晴れてのつまみ食い 1980  本放送時の話数は109話

 職分に不満たらたらのお毒見役、上役の甘言に乗せられ、安値で庶民の家計を助ける正義派の米問屋を陥れる道具に使われてしまう。徳田新之助の助言もあり、死を賭して単身ワルの大もとの勘定奉行邸に乗り込む彼は、危地を上様に救われることとなる。

ロケ地
・下城する毒見役・柳田市十郎が同僚に「つまみ食い」と揶揄される坂、姫路城はの門下坂
・良心的な米問屋・上州屋をゴロツキに襲撃させたのは近江屋の手先と新さんに報告のおその、今宮神社若宮社付近。
・柳田の妻女に忠告する新さん、大覚寺放生池堤(上州屋の土左衛門が上がる大川も同所)
・御膳奉行に上州屋の件を質す柳田、姫路城三国濠前。
・新さんと話す柳田に刺客が放たれる、今宮神社東門内の石橋と周辺。このあと、半蔵が新さんに上州屋暗殺の事情を報告するのは本殿舞殿周辺。
*お毒見役に目黒祐樹、妻女は葉山葉子。御膳奉行は小林勝彦、勘定奉行は千葉敏郎。上州屋は北原将光、悪徳商人は永野辰弥に早川研吉。上州屋でゴロツキをやっつける男に長門裕之、以降出番なしだがクレジットには特別出演とある。今宮神社で柳田を襲う刺客の一人に福本先生、覆面の下に薄髭。


第109話 立て!江戸の若者たち 1980  本放送時の話数は110話

 一番組の肝煎り名主を操り、公共工事で大儲けを企む富商と勘定奉行。名主たちの腐敗を嘆く若手が立ち上がり制度の刷新を図るが、様々な妨害工作が来る。上様は陰に陽にサポートし、最後は勘定奉行宅に乗り込み成敗。

ロケ地
・肝煎・庄兵衛が暗殺されるやしろ、日吉大社東本宮境内。
・町会所、坂本の里坊か(め組の選挙運動でも出る)
・庄兵衛の葬儀が行われる寺、坂本か。
・助太夫が娘を実家へ引き取ろうとしているところへ行き言い争ったあと忠相にボヤく新さん、大覚寺放生池堤
・庄兵衛を斬った浪人が入ってゆく寺、坂本の慈眼堂(連絡場所の模様)
*肝煎りに立候補する若手代表は森次晃嗣、女房は珠めぐみ。舅は睦五郎、真の悪党ではなく踊らされていただけで、ワルは勘定奉行の神田隆やシンパの田口計。浪人は川浪公次郎。


第110話 咲け!姥捨山の恋 1980  本放送時の話数は111話

 将軍家の菩提を弔う大奥の女たちの「姥捨山」、桜田御用屋敷が舞台。ここに無理矢理押し込められて恋人と裂かれた中揩救い出し、屋敷に巣食う公金横領犯たちを断罪する上様。乗り出すきっかけは、お転婆のお端下の目安箱への投書。「将軍は馬鹿」などと書かれていて、以後もそのお端下は新さんを振り回す。

ロケ地
・お端下・お孝が目安箱に訴状を入れる評定所、相国寺林光院門。
・秀月院が生木を裂かれた恋人と密会の神社、今宮神社合祀摂社前。手引きしたお孝が「恋っていいな」とくねくねするのは若宮社前。これを叱り付けに来る「鬼婆」賢光院たちがくぐるのは楼門
・賢光院が御用屋敷奉行にしなだれかかり「今月のお手当て」を渡すのを目撃してしまう秀月院、枳殻邸回棹楼
・御用屋敷視察に乗り込むも秀月院の心の内は聞けず去った「将軍」に怒ったお孝が騒ぐ御用屋敷の御廊下、相国寺方丈裏手廊下(後段でも登場、庭園から見上げのアングルあり)
・鯉に餌をやりながら、桜田御用屋敷の改革に着手すると宣言する上様、枳殻邸侵雪橋上。
・秀月院との逢瀬が不調に終ったあと、今夜御用屋敷に忍んで連れ出すと新さんに告げる榊、大覚寺放生池堤
*お孝は東啓子、秀月院は堀越陽子、恋人は荒木しげる。御用屋敷奉行は早川保で取締は二本柳俊衣。ラス立ち福ちゃん入り、御用屋敷奉行の配下。


第111話 誇り高きカモ侍 1980  本放送時の話数は112話

 鳥身役のつとめを篤実に果たす堀部政之進、御狩場に紛れ込んで鴨を獲っため組一同を見逃してやるなど、人情に溢れた好人物で新さんとも意気投合。しかし許婚者の娘とは、最近の父親同士の齟齬でままならず。娘の父は出世欲から悪事に加担させられかけていたが、最後は非を覚り娘を政之進に託して逝く。これを死に至らしめたのは、お浜御殿修復で公金横領を働く作事奉行と富商たち。上様は仇討ちに乗り込んだ若い恋人たちの危機を救い、ワルを断罪し二人を娶わせてメデタシで幕。

ロケ地
・亀戸の御狩場でカモを獲るめ組の衆、広沢池北岸
・め組で鴨鍋を食ったあと御狩場へ出かけ意気投合する新さんと政之進、大覚寺護摩堂脇石仏前。御狩場から帰る政之進に結婚させられそうと訴えに来る許婚者・澄江、五社明神
・家を出てきた澄江をめ組に預けたあと、刺客に襲われる政之進、日吉大社走井橋上。
・御浜御殿の材に不審を持ち消された大工の死体が上がる汀、中ノ島橋(忠相とこれを見る上様は橋上、死体は堰堤脇の護岸法面)
・鳥見役たちをお城に呼ぶ上様、阪口青龍苑
*鳥見役は工藤堅太郎(父は村田正雄)、婚約者は佐野アツ子(父は井上昭文・材木奉行)、作事奉行は江見俊太郎で悪徳商人は加賀邦男に丘路千、手下の悪党に西田良。*御狩場のカモに一羽一羽名をつけている鳥見役が微笑ましい。各種カモのほかカイツブリやオオバンもいる…オオバンは広沢池で見ないので、鳥のいる水面は別撮りかも。


第112話 どうにも止まらなかった男 1980  本放送時の話数は113話

 飛鳥ひろし脚本に時々現れる破壊的展開、今回は婚約者と母を失い自暴自棄の荒法師が阿弥陀を求めてひたすら西へ進む話。こう書けば巡礼か何かみたいだが、にわか坊主の彼は目前に何があろうが破壊して進む。女湯だろうと、め組だろうと、壁をこう、ばりーんと突き破って。そして行き当たる千代田のお城、これを通させてやるというんだから乱暴。番士を去らせ大奥をだまくらかし立ち働く、上様トリオのヘルプでひたすら進む猪男。そして彼が辿りつくのは伽の強要に抗った恋人を射殺した、憎い鉄砲方の屋敷。上様の大暴れののち荒くれ男は仇を討ち果たし、破壊的西進は止むのであった。

ロケ地
・市松の許婚者・お咲がお先手組鉄砲方に射殺される印旛沼、広沢池東岸
・半蔵が「荒法師」市松の突進を見る下総の街道筋、北嵯峨農地(竹林脇、畑)。お咲と野良仕事の回想シーンでも畑が出る。
・一年前の印旛村、旅の僧に弟子入りの市松、下鴨神社河合社前、塀際。
・お城に突き当たり堀端から天守を見上げる市松、姫路城三国濠堀端。忠相が番士をたばかり去らせる門、ろの門。城を通り抜けた市松が出る門、ぬの門
*荒法師・市松に千田孝之、彼の許婚者を殺した鉄砲組頭は田中弘で手下に岩尾正隆や福ちゃん。村名主に中村錦司、彼を得度させた旅の僧は山村弘三。*止まらぬ乱暴者を鎮静化する新さん、柄杓に汲んだ水を飲ませる。これに懐から出した眠り薬を盛るのだが…いつも持ってるのかそういうの。


第113話 正体見たぞ!隼小僧 1980  本放送時の話数は114話

 前老中の息・江川主殿は、己の悪所通いの入費を賄うため、飢饉や災害に苦しむ領民から冥加金を取り立てる始末で、民は泣く泣く娘を身売りさせたりと難渋。ここに義賊あり、世話になった名主の娘を世話したり、盗んだ金を冥加金に当てたりと立ち働くが、一村のみへの施しが近在を苦しめる仕儀に、悪の首魁を討つべく殴りこみ。

ロケ地
・甲州横手村の名主が江川に斬られ死体となって上がる、嵐山公園中州北岸・桂川堰堤脇。
・次郎吉が新さんに身の上と村の状況を話す市中、今宮神社石橋付近。
・甲州へ向かう半蔵、北嵯峨農地(松の生えた高台)
・上様に文鎮屋を装った隼小僧の人相書きを渡す忠相、大覚寺護摩堂前。
・隣村の百姓たちに冥加金拠出の件で苦情を言われる横手村の百姓代、北嵯峨農地
・冥加金を補填したことで却って隣村が苦しむことを知り悩む隼小僧次郎吉、嵐山公園中州岸(中ノ島橋上手左岸)
・忠相に名主殺しの主犯は江川と聞く上様、大覚寺五社明神(導入は有栖川から見上げ)
*隼小僧に坂上二郎、所作台詞まわし絶妙。村名主は増田順司で女郎に売られた娘は渡辺やよい、百姓代は宮城幸生、次郎吉に振り回されるお町のダンナは石倉英彦。江川の殿様は大木正司。


第114話 一攫千金ご用心 1980  本放送時の話数は115話

 富籤で大掛かりな詐欺を働く薩摩の留守居役、一番富を引き当てた職人たちが惨殺される。自身に疑いがかからぬよう手の込んだ芝居をかますが、新さんをスカウトした示現流の剣客から薩摩とバレバレ。親を亡くした子の哀れさから、今日は上様ワルに刃を向ける(フィニッシュは庭番たち)

ロケ地
・弓のお稽古上様が三千両富の話題を出す、枳殻邸印月池(北のほう)
・半蔵が忍び込む薩摩藩江戸屋敷、不明(五本線・平門、脇に出窓)
・富突きが行われる神社、不明(バンク映像、人を入れてのシーンはセット撮り)
・釣りの新さんに富の抽選は公正に済んだと報告の半蔵、大覚寺大沢池畔。
・伊集院邸、どこかで見た覚えのある門。
*子供に頼まれたカブトを折る新さん、呑み屋でめ組の衆に将軍の悪口を言われながら黙々、お城の居室でもせっせと無数の歪んだカブトを作成…やっとできた一件を枕元に大事そうに置いてすやすや寝ている将軍様が可愛い。*当りナンバー、大笑いの「亀の組への六番」。*ラス立ちに福ちゃん(浪人)、上様と半蔵にのされている。


第115話 死んで花実の咲いたやつ 1980  本放送時の話数は116話

 日光修築の御用材を巡る陰謀、上様は幕閣の思惑を退け入札を行わせるが、漏れた悪徳商人が一番札をとった木曽屋に妨害工作を仕掛けてくる。ここに一人の老侠客あり、拾い上げてくれた木曽屋の娘と、実は我が子であった小頭のため一命を賭してワルの手から守り果てる。新さんは事情を知りつつ、彼の素性を問う若い二人には黙し通すのだった。

ロケ地
・木曽屋の主が襲撃されても黙っている訳を新さんに話す水辺、広沢池東岸(水に張り出した祠と茶店セット)
・木場の情景、本物の貯木場。新木場まで大人数連れて行ったとは思えないので、住吉あたりの貯木場か(映画村セットと組み合わせ)*参考・大阪市住之江区平林の貯木場
・妨害工作募るなか、最早放っておけぬと忠相に宣する上様、枳殻邸傍花閣前。
・島蔵の墓、広沢池東岸葦原(夕景)
*老侠客・人斬り島蔵は大木実。


第116話 虎に食われた悪い奴 1980  本放送時の話数は117話

 寺社地に悪所を作らせ私腹を肥やす寺社奉行、屋敷内では祝言間近の女中に目をつけ宿下がりを許さず蔵に籠めるなど悪辣。父親の棟梁には娘を返して欲しくば、と悪所作りに邪魔な長屋への放火を唆したり。思い詰めた棟梁は酒をあおって奉行宅乗り込み、消されかかるところへ上様の扇はきちんと飛んでくる。

*ロケなしセット撮り。棟梁は多々良純、弟子は三波豊和。寺社奉行は小林勝彦、悪徳口入屋は中井啓輔、グルの住職は小田部通麿。

第117話 天下御免の盗ッ人修行 1980  本放送時の話数は118話

 神君の脇差を盗み出し、上様を退位に追い込もうとする企みが出来。脇差が入用な嘉祥の式典まで日も無いのに、新さんはかつての大盗に弟子入りして探り出すという、ちょっと迂遠な展開で、お笑いポイントも多数散りばめた泣き笑い人情劇。

ロケ地
・元若年寄が神君の脇差を携え入る尾張屋敷、興正寺阿弥陀堂門(駕籠が石橋を渡る)
・脇差が盗まれたことで善後策を練る上様トリオ、枳殻邸傍花閣前の遣水汀。そこへわたわたと橋を渡って脇差の件を糺しに来る老中・鷹野備前守、侵雪橋。これを追っ払ったあと忠相がムササビの吉兵衛の話を出す、回棹廊上。
・橋の欄干を歩かされる盗っ人修行の新さんが思い出す槍のステップの回想シーンに枳殻邸印月池畔。
・脇差が間に合い儀式に望む衣冠束帯の上様、枳殻邸ゲストハウス前に幔幕・背景に書割の天守合成。
*むささびの吉兵衛に金井大、娘のお朝は小野恵子で亭主は峰蘭太郎。脇差を盗んだ御家人政は遠藤征慈、元若年寄は北原義郎。*盗っ人になるという新さんに辻斬りのほうがいい発言の久ちゃんや、上様をさがしてお鈴廊下手前まで行って男子禁制に気付く鷹野の爺さまのエンタツなど、コメディ要素強し。吉兵衛が盗みの手口を語るくだりは松平健で映像化してあり、ぎらついた目をした新さんが大笑い。*式典はお庭歩いてるとこで終わり、嘉祥のお菓子なんかは出てこない。


第118話 女狐が泣いた人情纏 1980  本放送時の話数は119話

 大奥の畳替えを巡り陰謀が展開。珍しく贈賄もはねつける柳の局、それには、彼女の出自に関する秘事。畳職人を父に持つ局を父の臨終に立ち合わせてやり、彼女を襲う若年寄の魔手からも護ってやる上様なのだった。

ロケ地
・若年寄一派が帰城する柳の局を襲うラス立ちの神社、走田神社(本殿前、本殿)
*局の実父の畳職人に小栗一也、尾張派で上様の政策を嫌う若年寄は外山高士、大奥畳替え独占を狙う悪徳商人は武藤英司。局の市井での名は「おあき」。


第119話 竹姫様 涙のお輿入れ 1980  本放送時の話数は120話

 二度も婚約者に死なれ不遇の日々を過ごす綱吉の養女・三の丸さま、これを道具に上様失脚の陰謀を巡らす尾張の留守居役。総登城の折上様を糾弾の悪企みは直前で封じられメデタシの運び、陰謀の過程で、娘婿を殺されかかった同心の逸話など絡む。

ロケ地
・竹姫のいる三の丸、芸人を招いての宴は相国寺方丈から法堂を望む縁先。貢物を献上させられた藩の役人同士たちが愚痴を垂れる廊下は法堂と方丈をつなぐ回廊
・弓のお稽古上様が竹姫付き用人を質す庭、枳殻邸印月池畔芝地
・人見同心が憤然と立つ尾張藩江戸屋敷、興正寺阿弥陀堂(石橋上で止めに来た新さんや辰五郎と問答)
・半蔵が千両の打ち掛けについて上様に報告するやしろ、相国寺弁天社(おそのが竹姫の心境を報告するのも同所)
・竹姫が柳の局に千両の打ち掛けのことで嫌味を言われる庭、枳殻邸侵雪橋上。
・尾張大納言の密書をもたらす早馬が走る道、酵素ダート大覚寺参道石橋。留守居役にこれを注進におよぶ藩士が走る廊下、相国寺方丈裏手廊下(庭から見上げ・半蔵が植木職人に化けて庭木をいじっている)
*竹姫は中島ゆたか、姫付きの用人は織本順吉、尾張の留守居役は安部徹。人見同心は深江章喜。*柳の局と加納じいの罵り合い、「女狐」「嫌味かまきり」でつかみ合いに。


話数は、時代劇専門チャンネルで再放送時に打たれたナンバーに準拠しています。
これにはスペシャル番組やフィルム亡失分が含まれていないので、本放送時と異なります。
私的資料をここに挙げたナンバーで作ってしまっているので、ここはこのままにします。
全話リストを別に作りましたのでご参照下さい。

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