紅つばめお雪

1970年、NET/東映

キャスト
紅つばめお雪/宮園純子 藤吉/里見浩太朗 与三郎/工藤堅太郎

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第1話 「花にいれずみ陣羽織」 1970.10.2

 超絶武技を持つものの、世間知らずの「島育ち」天然娘・お雪。平凡な娘になるための旅に出た彼女が、珍妙な道連れ二人と出会う、起こりの話。
秘剣・八重垣流小太刀は、護身のためにのみ使えと父に言い渡されていたが、民を泣かす極悪非道の輩を見ては黙っておれず、お雪は華麗に悪を懲らすのだった。

慈眼堂

ロケ地

  • 一旦別れた藤吉と与三郎が合流する橋、日吉大社走井橋。藤吉は橋下で脱いでいた衣を着込み、与三郎は橋上から覗いて「さっきはゴメン」。その後二人が身の上を語り合う門、日吉大社東本宮楼門
  • お雪が権造一味に囲まれさらわれかける細道、不明(山腹?の坂道、坂中ほどに塀囲い、斜面には石積み。何やら蔵っぽい建物ちらり)
  • お雪の戦いぶりにお追従を飛ばす与三郎たち、慈眼堂境内石畳。新左が出てお雪の腕を試すシーンは廟所前灯篭群の脇。
  • ラスト街道筋(ED被り)日吉大社東本宮参道坂〜二宮橋(三人は橋上を歩く)

ゲスト
清助/剣持伴紀 お春/明星雅子 お種/古林泉 伝助/浜伸二 平木武太夫/五味竜太郎 黒雲の権造/藤男純 戸部新左ヱ門/伊藤雄之助

脚本/森田新 監督/荒井岱志

※新左は浪人態、お雪の父の弟子で幼いお雪の守をしたことも。
※お雪は母の早世後、父と伊豆大島に籠もり剣一筋の日々を送り、秘剣を会得。このため、若い男と相部屋はおろか混浴OK何かおかしい?とかぬかすトンデモ娘に。困り果てて娘を「修行」に出した父親は、存命のもよう。
※赤褌一丁に陣羽織のみという風体で登場の藤吉、偉ぶって侍風を吹かすが実は百姓出で、ときどき語尾に訛りが出るほか弱点は尻の病、自称上杉藤吉郎。
※渡世人のなりをした与三郎は漁師の倅で銚子生まれ、背の登り竜はここだけマジ刺青の髭部分を残して流れ落ちるというギャグが炸裂。


第2話 「おっ父は田吾作流」 1970.10.9

 悪代官父子を懲らすお話、お雪が乗り出すに至る理由をドラマに組み込む。
与三郎がスケベ心を抱いて接近した田舎娘、祖母と二人暮らす彼女には、本人も知らされていない哀しい過去があった。

走田神社

ロケ地

  • 野良に出ていたお玉の腰つきを見てナンパする与三郎、不明(谷地田、青田の畔には枝豆が育っている。ラストに出る際は、山の上にいるお雪一行を見て手を振るシーンも)
  • 与三郎の態度に呆れて先に行った藤吉、お雪にボヤく茶店は走田神社鳥居前に設営。画面端に社務所と塀がちらり。お玉の祖母にボコられた与三郎がよたよたとやって来るシーンには、神社前の道が使われている。
  • 孫作とお玉が、互いを親子と知らずすれ違う夕暮れの橋、若森廃橋
  • お玉に無体をはたらこうとした代官の倅の取り巻きをやっつける藤吉、夜の林は大覚寺五社明神。祠映り込み。
  • 迫るお玉から逃げ出した藤吉、代官の狩りのため足止めを食らう峠、不明(切通し山道)。狩場、湖南アルプスか(起伏地)
  • 代官を狙い山に走る孫作、湖南アルプス若布谷河口付近、崖地や天神川河床。
  • 孫作を父と覚り、代官に殺されてしまうと泣くお玉のくだり、山道は「発射台」か(眼下に見える里が、竜ヶ尾山から見た穴太の里に似る)
  • 代官が孫作抹殺・領民脅しの計画を倅に語る狩場、湖南アルプス。崖道や切通しが使われるが、暴将・評判記のOPに出てくる、開削で残ったみたいなトンガリ岩も映っている。
  • 藤吉と与三郎が罠を仕掛け待つ湖畔、中山池。汀でのチャンバラあり、与三郎の「刺青」が流れる。

ゲスト
お玉/江夏夕子 お梅/山田桂子 糸川半左ヱ門/天津敏 糸川右近/金光満樹 孫作/小林昭二

脚本/今村文人 監督/荒井岱志

※孫作はむかし圧政に怒り代官殺害を試みるも失敗・投獄、妻は見せしめに殺され。破牢し出奔、腕を磨いて帰還の運び。お雪は彼の構えを見て、「馬庭念流」と呟く。


第3話 「夢は血まみれ」 1970.10.16

 困っている者を見過ごせない一行は、時に騙されつつ、せっせと人助け。
主人公たちはいたって能天気だが、助けられる側では微妙な心の襞も描かれたりする。

酒屋神社

ロケ地

  • 剣の稽古をしていて、通りすがりの娘さんを驚かせ失神させてしまう藤吉、酒屋神社。本殿石積脇(広場)〜参道鳥居付近。お夏を寝かせ介抱する三人、拝殿脇。藤吉の稽古を見ていた二人は広場の茂み、与三郎の竜を描いてやっていたお雪という図?手拭を浸すのに水場も出てくる。
  • 五十松親爺が吊るところへ行き合わせ助けるお雪、中山池畔。
  • 事後、お夏がまた旅人をカモにしようとしている茶店、不明(池堤の地道?古い作品でよく見るところ。山城か)

ゲスト
友吉/石山律 おふみ/高野ひろみ お紋/水上竜子 師範代/鮎川浩 お夏/田坂都 三好楼女将/阿井美千子 片波屋丑五郎/池信一 赤庭十兵衛/林彰太郎 佐伝次/蓑和田良太 友吉の母/新海なつ 駒八/西田良 五十松/小栗一也 牛久保の儀三郎/見明凡太朗 

脚本/本山大生 監督/井沢雅彦

※お夏の借金15両で、藤吉らに頼られたお雪、財布の中を示し「大の男二人も世話見てるから」と溜息。
※吊り→入水の五十松、ここで与三郎がカナヅチと判明、お雪が脱いで水に入る運びだが、ほわわわーんとしたお色気効果BGMが被ってて笑える。
※タイトルは、いい気になって大立ち回りの与三郎が、勢い余って藤吉を袈裟がけに斬ってしまうという「夢」。


第4話 「ふたりがひとり」 1970.10.23

 三人が立ち寄った港町には、お雪に瓜二つの売れっ子芸者。さっそく、その芸者と「誤認されて」お雪が襲撃を受ける。
いかにも悪そうな船奉行と廻船問屋の影、芸者の父親の謎の死、陰謀渦巻くさなかに、芸者に身をやつしたお雪さんが突っ込んでゆくのだった。

大覚寺

ロケ地

  • 漁師相手のいかさま野博打がバレて袋叩きの与三郎、琵琶湖東岸松原。砂浜に漁具あしらい、沖ノ島がちらり。
  • お雪が襲われる夜の大和橋、中ノ島橋
  • 前夜の襲撃の件を慎之介に相談した帰り、三人が話し合う土手、大覚寺大沢池堤
  • 芸者・小鈴の腕に彫られた謎の記号を見たあと、師の蔵書を調べてくると慎之介、三崎屋を当たるとお雪、それぞれ別れるお堂前、大覚寺聖天堂前。
  • 三崎屋の蔵が爆発した際、逃げ出したお雪たちは大覚寺天神島朱橋を渡り、祠脇に身を伏せる。吹っ飛ぶ蔵はミニチュア。その後チャンバラは祠脇広場で行われ、鳥居から覗く池の汀には水草が繁茂。

ゲスト
慎之介/長谷川明男 良斎/永田靖 武藤平四郎/川合伸旺 井垣主膳/幸田宗丸 三崎屋官兵ヱ/武藤英司

脚本/今村文人 監督/荒井岱志

※小鈴とお雪はもちろん二役、同時に映るシーンも。
※小鈴の父は蘭法医、実は地下に監禁され火薬を作らされていたが、そのブツに火を放ち共に吹っ飛ぶ運び。
※用心棒の武藤、実は殿の密命を受けた藩目付、お雪に忠告する際もニヒルなおいしい役どころ。


第5話 「鬼さんどなた」 1970.10.30

 持病が悪化した藤吉のため、一行は湯治場へ。そこはお尋ね者の盗賊が逃げ込んだとして封鎖されるが、泊まり合わせた客はどれもこれも一癖ありそうな人物ばかりなのだった。

日吉大社

ロケ地

  • お雪と与三郎にサポートされて道をゆく藤吉、日吉大社宇佐宮下坂。
  • 一行を追い越していった老爺たちが身軽に越えてゆく沢、大宮川か。湯治場は日吉山荘か(部分のみ)
  • 封鎖される、湯の谷宿西木戸、不明(山道に柵設置)
  • 蝶助に恩返しするため死んだ絹の墓、不明(安楽律院みたいな感じ)

ゲスト
大和屋蝶助/玉川良一 お絹/有川由紀 お杉/藤里まゆみ 直次郎/楠年明 美代香/池田幸路 勘八/青山宏 名取源吾/丘路千 湯ノ花の松五郎/織本順吉 りく/白石奈緒美 古坂万兵ヱ/清水元

脚本/本山大生 監督/荒井岱志

※外様の小藩・波戸ア藩領内という設定、賊が化けた役人は鷺沼藩秋月家と称する。


第6話 「割り込み無情」 1970.11.6

 お雪が助けてやった乞食の老爺、実は…というお決まりの話。
藤吉らが関わり保護した青年を、爺さまのボロ小屋へ匿おうとするが、そこは凶賊の盗人宿なのだった。

小幡神社

ロケ地

  • お雪が弥助を人足たちから助けた街道筋、小幡神社。お雪は脇参道を来て、拝殿前でボコられている弥助を見る運び。旅人あしらい。
  • 弥助の小屋がある河原、不明(河原は礫、ところどころ白い岩が露出←この岩はよく水に洗われていて丸い。河畔林は雑木でよく茂っており、流水も相当ある。野洲川や愛知川に川相が似る)
  • 弥助の小屋を出た藤吉らがクサりながら歩く町角、相国寺方丈角〜湯屋前。大光明寺南路地から捕方が走り出る。
  • 藤吉らが立ち寄るお北の蕎麦屋台、相国寺弁天社前。鐘楼裏から捕われていたお北の倅・源次が現れる。祠裏からお初が凝視。

ゲスト
お初/白木マリ 源次/小川真司 お北/吉川雅恵 川辺三左ヱ門/永野達雄 流れ星安造/舟橋元 弥助/潮万太郎

脚本/森田新 監督/佐々木康

※賊のかしらが舟橋元、金蔵番役の中間をしていた源次に取り入り内情を聞き出し。お初は十手持ち、川辺与力のため働く。
※設定は「高畑」城下(字は当て字)。奥州やら、架空やら知れず。


第7話 「三ン下に最敬礼」 1970.11.13

 一国一城の主になった、大親分になったという、二人の夢オチではじまるお話は、お家の大事で跡継ぎの若様さがし。忠臣や刺客団、天一坊まがいの騙りコンビなど出て賑やかに進行、ほろ苦い若様との別れで締める。

大覚寺

ロケ地

  • 藤吉が勝利に酔う戦場(夢)、不明(湖南アルプスか、幼松が植えだされた砂地)
  • 藤吉と与三郎が寝ていたお堂、大覚寺護摩堂。ヤクザにからまれた忠助の騒ぎで起こされる次第。石仏前で立ち回り、二人が障子の穴から外を見る「演出」も←「堂内」はセット撮り。
  • 忠助の金をアテにして鰻を食いにゆく一行、通り過ぎる石部代官所は穴太の里か(現存の長屋門とは細部が異なる)。中ではお雪が代官と稽古中という趣向・看板が出ている。
  • 仙太郎たちを追ってゆく藤吉、追いつく街道、不明(松林沿い地道、道隈になっている)。ここへ、話にかかわる者たちが次々とやって来る次第。
  • 人捜しの侍たちからこそこそ逃げた忠助、街道筋は不明(摩気民家に少し似た立派なお屋敷の裏手田畔、湧き水のある小川など)
  • 質屋帰りの藤吉がお雪と出会い、宿へ戻る夜道、大覚寺有栖川畔。野営中だった与三郎と忠吉は五社明神舞殿前。
  • 「若様」が待ち伏せされる宿はずれ街道、不明(草津川沿い湖南アルプスか、松林沿い地道や幼松植えられた起伏地、冒頭の戦場も同所と思われる)

ゲスト
忠助/太田博之 鬼山田団十郎/江波多寛児 鮎川平左ヱ門/永田光男 田中角兵衛/河上一夫 仙太郎/森次浩司 弥十郎/遠藤辰雄

脚本/今村文人 監督/佐々木康

※草津川沿い?の一件、赤影や月影兵庫等で頻出のアレと思われるが、付近は開発著しく特定は難しい。今回、EDもここ。
※与三の背の「絵」、ピンクの豚。忠助のいたずららしい。
※一万石ながら譜代の松田藩、嫡子の急逝で跡目争い勃発。奔放な性格の次男・忠明ぎみが失踪中という設定。


第8話 「昨日を失った娘」 1970.11.20

 記憶喪失の女を抱え旅する浪人、彼には哀しい過去があった。
お雪たちと出会った祭りの城下で、過去のしがらみが交錯する。

小椋神社

ロケ地

  • 沼垣浪人が柳生武蔵と称し大道芸で稼ぐ祭礼の神社、小椋神社。参道橋から境内を使い、舞殿付近や奥宮へ通じる道など出る。
  • 沼垣のため、当地の殿様に直談判の藤吉、押しかけて藩士に取り押さえられる城門は知恩院北門
  • 沼垣と忠五郎がまとめて始末されかかる大洲の渡し、不明(河原は砂地、河畔林が豊か。水は湛水、堤はそう高くない)

ゲスト
藤岡の忠五郎/村井国夫 お布施/新井茂子 黒木将監/山岡徹也 代貸/山本一郎 五本木の松吉/汐路章 沼垣平四郎/葉山良二

脚本/今村文人 監督/荒井岱志

※当地の殿様は松尾山城守、音を聞き取っただけなので字は不明。大洲の渡しも同様。よって、どこ設定なのか判らず。また、実は忠五郎の許婚者だったお布施は、上州からやって来て国見峠で難に遭ったと語られるが、特定の手がかりにはならない。
※沼垣は無外流と見抜くお雪。今回は仇が藩指南役ということもあり、剣術談義でお雪の父の名も出る(魚住清之助、字は当て字)。


第9話 「悪もさじ加減」 1970.11.27

 立ち寄った先で麗人を見たお雪は、彼女を師匠にと思い立つ。しかし、世直し大明神とまで称される麗人の亭主、実はトンデモ。過去の悪行があらわになるほか、公害騒ぎまで持ち上がり、里人に同情したお雪は怒りの刃を振るうのだった。

小幡神社

ロケ地

  • 茶店で黒松屋の評判を聞いた三人、ここを素通りはないと話すところ、通りかかったお縫にお雪一目惚れの町角、小幡神社。三人は脇参道を入ってきて、拝殿脇から出てきたお縫を見る運び。お縫をつかまえ弟子入りを乞うお雪のシーンは、穴太会議所前(この建物は映らず)。お雪に去られた二人が困り果てて相談をぶつのは水場屋形。
  • 郡代官所、民家長屋門。様子を窺っていた里人のシーンで、南塀付近も映る。郡というのは、××代官所の上部分が切れているのかも知れない。
  • 用心棒・権藤に手籠めにされかかり、黒松屋を出てきたお雪が二人と再会する町角、小幡神社境内。
  • 当地を去る三人、中山池堰堤上の道(地道、お雪の行く手に朱橋が見える)。三人を遠くから見送る尼姿のお縫は、堰堤を見下ろす高所に立つが、どういう地形なのか不明。

ゲスト
弥之助/黒木進 お咲/園浦ナミ お縫/和田幾子 鎌五郎/田中直行 仙太郎/関真太郎 久八/徳田実 権藤/上松高也 黒松屋七五三造/藤岡重慶 庄屋多左ヱ門/原聖四郎 芹沢群太夫/吉田義夫 江川玄琢/田崎潤

脚本/本山大生 監督/井沢雅彦

※呑んベの医者・玄琢先生は、賭場で借金をつくり悪事に加担させられた過去を持つ。このとき陥れられた弥之助の兄が、お縫の許婚者。玄琢の娘は弥之助の恋人だったり。
※七五三造の悪事のひとつは、染工場からの汚水垂れ流し。泥鰌も蛙も消え、稲が育たなくなるという事態。藍玉の代わりに、南蛮渡りの劇物を使ったという設定。


第10話 「いい奴欲っ張り」 1970.12.4

 馬鹿息子に無体をはたらかれた娘は反撃、簪で刺してしまう。恋人は娘を庇い追われる身に、というお決まりパターンに、宿場の有力者たちの三様の腹黒さを加味。八州と思しき男の影も見えたりする。

下河原橋

ロケ地

  • 凄腕浪人や、逢引男女と出会う街道、不明(切通し山道、野道。石仏がある山裾なども)
  • 仙右ヱ門の倅を「殺した」磯吉の捜索を買って出る与三郎、三人が川向こうへ出向く際渡る橋は犬飼川下河原橋。もちろん旧の木橋だが、欄干が一部損傷している。
  • 磯吉を捜しまわる仙右ヱ門の手下ども、犬飼川土手か。里で聞き回るお雪たち、穴太の里か(蔵や畑)。あとどこを捜す?と相談するお雪たち、小幡神社水場脇石積(拝殿も映る)
  • 川尻一家と問屋場の万蔵一味が激突する宿はずれの河原、不明(松目立つ砂地、起伏あり・湖南アルプスか。川らしき痕跡は見当たらない)

ゲスト
磯松/坂口祐三郎 お糸/花里ゆかり 熊之助/小瀬朗 三ン下/樋口史和 子分/伝法三千雄 木曽屋五兵ヱ/山村弘三 鯉屋の万蔵/須藤健 川尻の仙右ヱ門/田中春男 一本橋の陣十郎/勝呂誉

脚本/今村文人 監督/長谷川安人

※逢引を見たお雪の天然反応描写あり、「あれなにしてるの」。
※問屋場の用心棒と見えた陣十郎、最後に正体を示唆し去る。槍の遣い手。「見回り」が来ると、劇中伏線が張られている。


第11話 「ちびがなこうど」 1970.12.11

 二人とはぐれたお雪は、易者の言うまま行動し、落ち目の一家の救いの女神に。二重にからんだ悪謀を解決したのは、お雪の働きだけでなかったという、泣かせる話。

酒屋神社

ロケ地

  • 易者の言うとおり東へ向かうお雪、街道は不明。このあと出てくるさまざまな道も同所と思われるが、手がかり無し。池堤、谷地田沿い、一本杉など、他作品でも見た要素あり。山城か、丹波か。
  • 春太郎が夜中に辿り着くやしろ、鳥居本八幡宮。鳥の声に怖じて駆け込むお堂は舞殿、「扉と壁」を付けてある。中には藤吉たちが入り込んでいるという趣向。
  • 春坊にやらず団子をドカ食い、腹をこわした二人がへたりこむやしろ、酒屋神社拝殿。割拝殿の通路のベンチも映っている。
  • 春坊が二人のため芸をして稼ぐ渡し場、不明(河原か池畔か、静水のほとり。ヤナギやヨシが茂る)。立ち回りの際は、広い草原も見える。

ゲスト
河岸山の田之助/太宰久雄 桶穴のたが三/二見忠雄 お蔦/山田桂子 お千賀/町田祥子 春太郎/二宮博見 新左ヱ門/不破潤 最上権兵ヱ/五味竜太郎 尾花陣九郎/山田康夫 鍾馗の岩五郎/西山嘉孝

脚本/本山大生 監督/井沢雅彦

※大庄屋の跡取り息子の春坊、生さぬ仲の後妻に赤子というお決まりの構図。しかし弟をあやす坊を見て皆ホロリ、わだかまりは氷解。夫婦復縁だから仲人も当たってはいるが、どちらかというと鎹かも。
※渡し場、道標に「鎧の渡し、三原宿へ三里四丁」と表示あり。草深い情景なので、日本橋川とは思えないが、果たして?


第12話 「穴はひとすじ」 1970.12.18

 かわいい娘の秋波、人助けで金儲けときて、盗人にころっと騙され穴を掘る二人。しかし横穴は、さる商家の蔵へ続いていた。

西の湖

ロケ地

  • 二人がお里と出会う川、不明(流れはちょろちょろ、土手はけっこう高く、欄干付きの木橋が架かる)
  • 「父」と荷駄を曳くお里についてゆく二人、街道は不明(棚田の下の地道?このあとの茶店等は田畔)
  • 人夫仕事をするかどうか相談をぶつ二人、お宮さんは不明(塀囲いの中に萱葺きの小ぶりな神殿、丸木の鳥居。××大神宮と彫られた燈篭あり)
  • 旅籠の息子と不審な件について話すお雪、不明(松林、墓か碑か不明な石造物あり、10話と同所)
  • 江戸屋と「一味」が盗金を船に積み込むところへお雪、隅田川の水辺は西の湖(広大な葦原)

ゲスト
お里/青柳美枝子 お道/三田登喜子 三之助/石津康彦 甲州屋/北原将光 浪人/浜伸二 角兵ヱ/横森久 喜八/市村昌二 江戸屋仁右ヱ門/花柳喜章

脚本/今村文人 監督/井沢雅彦

※賊のターゲットにされた甲州屋と、母の秘密に不審を抱く旅籠の倅以外、登場人物ほぼ全部賊の一味で笑える。


第13話 「みんなで仇討ち」 1970.12.25

 卑劣にして残忍な殺人剣の遣い手を見たお雪は、看過し得ず乗り出す。仇討ちを助け、一揆衆を糾合するお雪。城下には蓆旗が立ち、悪の巣窟となっていた奉行所は炎上するのだった。

若森廃橋

ロケ地

  • 与三郎がもぐり馬子・熊造に引っかかる街道、不明(路傍に瓦屋根つき小屋のある地道、途中溜池端の通る。地形は谷地田)
  • お雪と藤吉が、竹脇のむごい所業を目撃する竹林、北嵯峨か。
  • 山辺藩城イメージ、彦根城天守。天守アップのほか、外濠越し遠景も。
  • 熊造と与三郎が問屋場の衆にボコられ金も盗られる街道、不明(田畔か池堤か、道隈もあり)
  • お雪が吾堂に立会いを申し入れる夕暮れの橋、若森廃橋。川中から見上げのアングルもあり。吾堂は対竹脇の秘策を披露する。
  • 高札を破棄して逐電した熊造を捜す一同、不明な地道のほか、中山池汀や鶯橋。
  • 一揆衆が気炎をあげるのを嘲笑い城下を去る竹脇、吾堂やお雪と戦う藩境の竹林は北嵯峨農地
  • 熊造に見送られ発つ藤吉と与三郎、不明(切通し崖際山道、道隈あり。自分を呼ぶ二人を遠目に見て別れを告げるお雪は、二人のいる道を見下ろす林道。ここへズームアウト)

ゲスト
熊造/夏八木勲 吾堂知久平/早川保 お冬/小山陽子 上月天心/原健策 竹脇資龍/山本麟一

脚本/今村文人 監督/松尾正武

※竹脇は藩に乞われて来た設定、実は改易狙いの隠密だったというオチ。仇の件は、単に酔っての犯行らしい。二刀流をつかう。
※藤吉に、少しは物慣れたふうに評されているお雪、「お嫁に行きたくなっちゃった/二人ともスキ/だからここでお別れ・許してネ/楽しかった」で幕。


 殺陣の音楽は、女性が主人公なのでソフトかつ華やか…パヤパパ・らんらんというスキャットが、ゆったりと流れる。しかしマジ斬り主体なので、画面はけっこう殺伐。お雪の得物は小太刀、常は傘を携行し、ときには武器にする。


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