大奥〜永遠〜[右衛門佐・綱吉篇]

大奥〜永遠〜[右衛門佐・綱吉篇]

2012.12.22松竹

キャスト
右衛門佐/堺雅人 徳川綱吉/菅野美穂 柳沢吉保/尾野真千子 秋本/柄本佑 玉栄/田中聖 伝兵衛/要潤 大典侍/桐山漣 新典侍/竜星涼 佐之助/満島真之介 中村/郭智博 斉藤/永江祐貴 浅沼/三浦貴大 二の姫/椿鬼奴 貞安/猪野学 時枝/辻元舞 孝子/佐藤めぐみ 豊子/松山メアリ 松姫/渡邉このみ 井岡/木野花 牧野備後守成貞/市毛良枝 阿久里/榎本孝明 水無瀬中納言氏信/由紀さおり 隆光/堺正章 御台所/宮藤官九郎 桂昌院/西田敏行

原作/よしながふみ 脚本/神山由美子 監督/金子文紀

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 逆転大奥、第三弾は綱吉。
希代の悪法を触れ出し、退廃の後宮に暮らす女あるじは、世人に疎まれるより前に内側から腐っていた。ドラマは、そこに至る哀れな事情と、回り道の恋を描く。
「儂は鼠や」と自らを嘲る貧乏公家の青年と、「将軍という名の女は春をひさぐ者より卑しい」と吐き捨てる貴人と、終に寄り添う二つの魂が胸を打つ。

 綱吉の死は描かれず、終わり方のニュアンスが原作と異なり、迂遠な愛が成就したともとれる幕切れ。

聖護院

ロケ地

  • 冷泉家外観イメージ、妙心寺涅槃堂、夜間撮影。二の姫の種馬をつとめた継仁(のちの右衛門佐)が閨で自嘲の呟きを漏らすくだり、アバンタイトル。
  • 諸人行き交う江戸のお城下、姫路城好古園路地、カメラ引いてゆくと姫路城天守含む連郭ロング。次いで映る堀端の城門は、皇居に木橋合成か。城門内側の絵は二条城東大手門内側、遠侍前に駕籠や人をたくさん入れてある。御用商人たちが荷駄を引いて入ってくる大奥御広敷門は二条城二の丸御殿土蔵前で、七つ口はセットへスイッチ。米や炭の俵が運び込まれる蔵は大覚寺蔵
  • 側用人・牧野備前守成貞邸門、随心院薬医門越し大玄関(夜間撮影)。観能のシーンは多賀大社能舞台、綱吉の座所は前の広場に設営し、幔幕を張り巡らせてあり、幕の上に社務所の破風ちらり。綱吉の駕籠が帰ってゆく際には随心院薬医門を真上から。
  • 昨夜の牧野邸はどうだったかと、綱吉に化粧を施しながら問う吉保のくだり、江戸城・中奥イメージ、二条城二の丸御殿書院を池泉越しに見た図、奥に天守を合成・雪景。この絵はこのあと季節を変えて何度か出てくる。
  • お城イメージ、二条城本丸櫓門と後ろの石垣、石垣上部に白漆喰を付けて隅櫓も足し、「郭内」に天守を据えてある(これと類似の絵が後段にも出る)。ここから左にパンし二の丸御殿へ・ロングの絵には「三の丸御殿」とテロップが入る。綱吉の牧野邸お成りを知り、桂昌院にベソかいて訴える伝兵衛のくだりで、室内はセット撮り。
  • 成貞は夫のみならず息子まで上様に差し出したと秋本に愚痴る御台のくだり、庭イメージの池泉(紅葉)は黒谷か。京から雅な男を呼び寄せようという話になる。
  • 雪の朝、高台から江戸の町とお城を眺める旅姿の右衛門佐、三井寺観音堂裏手・御幸山山腹。近景の寺の建物は残してあるが、あとは合成、琵琶湖も消してある。このシーン、右衛門佐のほかに人影無し。
  • 右衛門佐が大奥で皆に孟子の講義をしているところへ綱吉登場、初顔合わせは随心院書院座敷、導入は池ナメて。後段でも何度も出る。
  • 右衛門佐が大奥総取締となったことが布告される大広間、聖護院宸殿。カメラ、俯瞰の絵から大胆に室内へ入ってゆく。
  • 水無瀬中納言家イメージ、妙伝寺塔頭。夜間撮影、門灯あしらい。継仁が家族と話すくだり、回想シーン・室内はセット撮り。
  • 松姫の具合が悪いのに気付く吉保のくだり、座敷から見えている庭の立石は三玲の作に似る。将軍の居室の座敷はセットっぽい。
  • 松姫の死後、新しい男を綱吉にあてがう右衛門佐のくだり、横笛を吹く公達・新典侍が船で来る池、それを茶室から見る綱吉と右衛門佐、和歌山・養翠園。背景に天守合成。
  • 大奥の男たちに妍を競わせるくだり、集団御庭御目見得や騎馬戦は聖護院宸殿と前の白州。後段、諸肌の舞等行き過ぎの乱痴気騒ぎでも使われる。
  • 松姫の死から四年後、隆光を訪ね世継が出来ぬ訳について教えを乞う桂昌院のくだり、護国寺は粟生光明寺本堂。外観のほか、内部も使用・須弥壇の前で二人が対峙。
  • 生類憐みの令発布の高札を見る民衆のくだり、姫路城好古園路地八幡堀新町浜、大津市千野棚田。セット併用。
  • 衆道カップルを嬲って右衛門佐に窘められた夜、床についた綱吉の回想、おもと(のちの柳沢吉保)と会話する館林藩上屋敷の徳子(のちの綱吉)居室、彦根城博物館(後段、忠誠の証を求めるシーンでは雪景の庭がのぞく)。阿久里と睦む庭は妙心寺退蔵院庭園・池泉切石橋たもと。父とおもとの秘め事を垣間見してしまう御殿、西教寺書院廊下。
  • 伽に呼んだ浅沼に殺されかかったあと、右衛門佐と初めての一夜を過ごす綱吉、暁イメージに広沢池西岸からのビュー、天守シルエット小さく合成。
  • 綱豊に将軍職を継がせると父に通告し、右衛門佐のもとへ走ってゆく綱吉、大覚寺式台玄関から大門。このあと走る城内は二条城本丸御殿西側内濠土手脇、本丸櫓門の橋上で吉保が立ちはだかり。

多賀大社

※右衛門佐の、秋本以下を引きつれて廊下どやどや歩きが○、有功は絶対こんなふうに歩かないよっていう、パッと見だけで違いが判る演じ分けがナイス。
※秋本が妹に書く届かない手紙という形式でナレーションを入れてあるが、「妻たる妹」は一切出てこない。また、これも構成上しかたないことだけど、オマエは有功さまって呼ぶなよ秋本。
※ドラマでは出ていない、ねこキラーは見もの。桂昌院の派手袈裟も、ある意味綱吉の豪華衣装より見もの。スケの部屋の装飾が渋い。
※忠臣蔵部分、すっぱり切り捨て。

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→ 大奥 男女逆転 (2010松竹)

→ 大奥〜誕生[有功・家光篇] (2012TBS)


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