蠢動−しゅんどう−

蠢動−しゅんどう−

2013.10.19三上康雄監督作品

キャスト
原田大八郎/平岳大 香川廣樹/脇崎智史 香川由紀/さとう珠緒 重森勝造/細川純一 鵜沼一信/芝本正 前田家也/楠年明 木村美奈江/増田久美子 黒田陣九郎/山田公男 伊藤弥平/中野貴生 原田咲江/池田理佳 原田市之介/大倉伶士郎 山崎たよ/中村彩美 真田康兵衛/三上康雄 松宮十三/目黒祐樹 植木直久/梅田脩平 草加直平/金子栄章 白井門平/鎌森良平 奥野景信/齋藤廉 佐伯伊助/櫻井忍 加瀬一郎太/慎竜太郎 藤田靖介/鶴井一矢 合田与五郎/内藤邦秋 結城誠太郎/夏守陽平 木村一浩/花田昇太朗 塩田孫一/福場翔太 井田久之助/三角園直樹 山崎新六/森本真也 西崎の供侍一/西浦真二 西崎の供侍二/森井拓也 西崎の供侍三/小丸恵一 西崎の供侍四/福澤孫征 原田救護の藩士一/中尾将士 原田救護の藩士二/大石勇斗 舟瀬太悟/中原丈雄 西崎隆峰/栗塚旭 荒木源義/若林豪

脚本・監督・編集/三上康雄

伊賀上野城 城代屋敷跡小丘から天守を望む

 倹約を重ね飢饉からようやく持ち直した山陰・因幡藩だが、どうやら幕府は治水工事の拠出金を求めてくる気配。しかも公儀が送ってきた新陰流の指南役は、連日領内を歩き回り、隠し田など全ての内情を調べ上げ報告しようとしていた。まもなく公儀の使者が来るという段、その指南役を始末する策が練られ、「犯人」が作り上げられてしまうのだった。
やっと許可がおり、嬉々として剣術修行に旅立つ青年。討手はその彼を、国境に襲う。騙されたことを知り、親友を目の前で亡くし、何人もの血に塗れた手負いの修羅は雪山に咆哮する。

伊賀上野丸之内 旧崇廣堂講堂

ロケ地

  • 登城する城代と用人、水口城城門と橋。享保20年、山陰・因幡藩とクレジット。飢饉から立ち直ったばかりなのにまた無理難題とぼやきつつ城へ向かう坂、伊賀上野城内坂。剣戟の音に気付き行ってみる城代、天守を望む丘は同じく上野城内・城代屋敷跡の小丘、ここで若き藩士たちの寒稽古が行われている(草加のやり方に怒った香川が介入、勝って禍根を残す。後段、松宮暗殺を命令された原田が城に向かって瞑目するシーンでも出る)。このあと城代たちが入ってゆく天守は上野城天守(天守はこのあと何度もイメージに挿入される)
  • 城代以下の家老会議が行われる城内大広間、旧崇廣堂講堂。指南役・松宮が内情を探っていることなどが報告され、香川の父が身を挺した十年前の危機のことも話題に上る。ここは、このあといろんな報告のシーンや、公儀の使者と相対するシーン、深手を負って香川の髻を持ち帰った原田のシーンなどで、幾度も出てくる。
  • 城代屋敷の庭、名張藤堂家内庭。香川の剣術修行認可について師範の原田が問いにくる段。後段、無辜の若者を死地に追いやる業に沈思する城代が、孫の転がした鞠にも気付かないというシーンでも出る。
  • 松宮が見て回り何事か帳面に書き付ける冬枯れの田、不明。背景は植林杉か。笹藪に用人の密偵・伊藤が潜んでいる。
  • 松宮に土下座して香川の推挙を依頼する原田、伊賀上野城内石垣際、城代屋敷跡の近く。寒稽古の際の香川の粗野な振る舞いを言い立てられ、却下される。
  • 香川と友人四人が行く堀端、伊賀上野城堀端、高石垣が木の間から見えている。山崎が父になった話を皮切りに、木村が由紀と結婚したら香川が兄上とか、笑い話で盛り上がる。
  • 松宮が連絡役に追い使っている寺男と接触する境内、不明(笹藪の向こうに鐘楼が見えている)。松宮が去ったあと密偵・伊藤が出て、寺男をシメて書状ゲット。
  • 由紀が神代(くましろ)神社のお札を入れた手製の守袋を弟に渡すくだり、木村が訪ねてくるシーンで映る香川家の玄関、入交家住宅玄関。後段、原田が訪ねてくるシーンでも出る。
  • 剣術修行の件で、松宮の許可が要るためもう少し待てと香川に言う原田、二人来る道は上野城内石垣際。
  • 業物の刀を香川に進呈する木村、石部宿場の里・米問屋前(米屋前設定か、俵が店先に積み上げられている)。このあと「居酒屋」付近で草加らにからまれ手を出したところ、松宮に見られて遊学許可を手ひどく拒否されてしまう。このとき守袋を落とし、何者かが持ち去る。
  • 城代に松宮暗殺を指示された原田が悄然と行く夜道、勝持寺参道(本堂前坂をおりて東に行った塀際、墓地の北)。原田家の玄関、不明。このあと自室で刀をあらためる原田のシーンが、パンフ表紙やソフトのジャケットなどに使われた印象的な画。
  • 由紀が木村の母とお使いに出る城下の道、勝持寺参道坂、坂下にいる二人を見下ろす図。木村の母の永年の厚情に、由紀が深い謝辞を述べるくだり。
  • 木村に手をとられ石橋を渡る由紀、仲睦まじい二人のシーンは勝持寺境内池畔の遣水まわり。
  • とうとう夢がかなったと喜ぶ香川と木村のくだり、二人が出てくる門は不明(高麗門?)
  • 修行の旅に出る弟を見送る由紀、途中まで送って行き別れる坂は勝持寺参道坂、門前にいる二人を見上げる図。
  • 草加らに酒を奢り酒肆を出てきた松宮、暗殺される夜道は石部宿場の里、蔵付近「路地」。雪が舞っている。
  • 香川追捕の人数が集められるシーン、水口城城門と橋。夜間撮影で、篝火が焚かれている。指示を受ける集合場所もこの城内か。人数が出立するシーンは夜明けの画。
  • 伯耆への道を辿る香川、それを追う討伐隊のくだり、雪の野山は不明箇所多数。積み藁の並ぶ山沿いの田んぼなど、印象的なところが多い。香川が水を飲んで小休止する神社(石の玉垣際で休む/燈籠がいびつな形)、討伐隊が二手にわかれる小屋、伯耆藩宛の書状の中身が白紙と知り喚くシーンの小滝など。香川が立ち寄る福善寺、美山の歓楽寺(墓地は不明/ここで木村と会ってしまい、木村は香川を擁護するうち斬られる羽目に)。国境まで半里の道標を見る香川だが、草加が率いる隊と遭遇し大立ち回りとなる雪原、くつきの森ユリノキ広場。死屍累々となったそこに原田が駆けつけてくるが、彼と香川の殺陣は別の場所にスイッチ(ゲレンデのような広い雪原、林の向こうに雪嶺。上映時の監督の挨拶では勝山市とのこと)

武家屋敷 入交家住宅

※監督の熱意溢れまくる、骨太で男臭くリアルな時代劇。封建制下の、理不尽極まりない運命を描くヒューマンドラマとして、カテゴリーを越えて普遍と言える。オールロケを敢行した画面は素晴らしいとしか言い様が無く、小屋で見る満足感をもたらすサウンドも秀逸、隣のスクリーンに聞こえないか心配になったほどの迫力だった。
※ロケ地については、ふつうはセットで撮る室内シーンもおそらくロケなので、ここに不明と書いている箇所以外もあると思われる。

水口城

石部宿場の里

くつきの森 ユリノキ広場


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