必殺からくり人 富嶽百景殺し旅1978 ABC/松竹

キャスト
唐十郎/沖雅也
宇蔵/芦屋雁之助
うさぎ/高橋洋子
(-4)、真行寺君枝(5-)
鈴平/江戸家小猫
お艶/山田五十鈴


第1話「江戸日本橋」 1978.8.25

 広重に続いて今度は北斎の絵を道しるべの殺し旅。前作「新からくり」の設定を受けるが、メンバーは山田五十鈴と雁之助を残してあとは入れ替え。
 お話は天保の改革による禁令で一座取締り、江戸払いからはじまる。小屋を壊されたからくり人たちの前に、手持ちの仕事人を失った元締・永寿堂が現れ殺し旅を依頼し、あぶり出しの絵を託す。
今回の仕事は江戸、津軽に産した麻薬で阿片窟を営む御用商人がターゲット。絵によって標的は指定されているが、阿片運びに利用され殺された瞽女からも恨みの筋を託される。

 ロケ地、引越しの荷を乗せた大八を引く北斎の娘・おえい、金戒光明寺東坂、設定は富士見坂。このあと三門越しに北斎たちを見るショットも。天保一座に江戸払いが申し渡される北町のお白州、相国寺方丈(座敷越しに前庭、バックに門)。日本橋の掘割に面した井筒屋の蔵、渡月小橋下手南岸堀端(渡月小橋自身も堀端も、様々なアングルで用いられる。昼間の画も夜間撮影もある)。江戸を発つ一座、凱風快晴の下部に野道合成。
*殺しの指標となる絵のほか、華麗な北斎の浮世絵が処々に使われる。今回は北斎の紹介を娘が語るかたちで、北斎自身の絵のほか、印象派の洋画もたくさん映し出される。また、日本橋の堀端に画材を求めて出る北斎が、自身の「富嶽三十六景・江戸日本橋」の中にいる合成映像もあり面白い。また、北斎阿片でトリップの際に描いた絵として五図しか残っていない貴重にして奇抜な妖怪画シリーズ「百物語」から「お岩さま」と「さらやしき」が採用されている点も凝っていて、ビジュアルも秀逸な本作に華を添える。*阿片窟を燃やして立ち去る際、お艶が旧知の瞽女のことを語るシーンがあり物語に肉をつける。


第2話「隠田の水車」1978.9.1

 舞台は江戸郊外の貧しい村、しかしなぜか村の宿には江戸で儲けて帰りの富裕な商人たちが集まる。一座は、奇妙な雰囲気の村で絵に秘められた「亀」のキーワードから、ヒヒ爺相手の闇売春を探り当てる。

 ロケ地、渋谷村の水車小屋周辺、萱葺民家の傍を流れる小川、民家周辺。水車はあしらいもの。お艶が出頭する代官所、大覚寺式台玄関。小屋掛けする神社、鳥居本八幡宮広場。「亀遊び」の舞台となる寺、西寿寺(石段は夜景のみ、左手に十三重石塔。探りを入れる唐十郎のくだりは昼間で、鐘楼越しに縁先で亀の品定めをしている和尚を見る)。庄屋屋敷、民家塀と玄関。釣りの唐十郎が寺に高く売れるという亀獲りの子らを見る、広沢池東岸
*キーワード・亀の探索がドラマの根幹を成す。人名、刺青、岡場所の屋号、悪い遊びの小道具とイメージを重ねてゆくつくり。*一座に罪を着せようとはかる代官らに扇動された村人が小屋を襲うくだりも見もの、鈴平の得意技で危機を脱する。


第3話「駿州片倉茶園の不二」1978.9.8

 自藩の茶を将軍家飲料にとの茶頭・千阿弥の口約束に振り回される小島藩、家老は娘を差し出してまで千阿弥の歓心を得ようとするが、約束が果たされないばかりか事態は最悪の方向へ転がってゆく。

 ロケ地、唐十郎を待つ一座、流れ橋(荷車は橋上、お艶は橋下で涼む)。絵にあった「片倉」のことを聞き込む街道筋、北嵯峨農地・竹林脇。お茶壺道中がゆく道、木津堤。お茶壺道中一行が入る小島藩本陣、大覚寺大門(藩主が挨拶に出るのは式台玄関)。釣りの唐十郎が領民に聞き込み、広沢池東岸。お堂で休む一座、大覚寺護摩堂(お艶は縁先に腰掛け。あとで若侍たちがやってくるのは石仏脇から)。家老の娘・琴路の墓、くろ谷墓地。寂しく興行の八木節、大覚寺護摩堂裏手(家老が見に来る)。若侍たちが家老に話があると詰め寄る橋、大覚寺勅使門橋。琴路の姉が仇討ちに行って斬られる片倉屋の寮(千阿弥滞在中)民家長屋門。小島藩を発ったお茶壺道中に仕掛けるチーム、保津峡落合をフル活用。落石で足止めして宇蔵が別の道へ導くのは崖上の道。天領の、ここから先は田中藩と示す道は落合トンネル(上方のアールは映さず、お艶の殺しはシルエット)。宇蔵が茶壺を投げ捨てる先は河口付近。茶壺を岩に置き待ち構える唐十郎は保津峡川中の巌上。宇蔵の殺しは酵素ダートか。旅立つ一座、木津堤


第4話「神奈川沖浪裏」1978.9.15

 唐十郎の過去が覗く話。「仕事」は相模から江戸へ初鰹を運ぶ男たちが殺された件と関わっており、黒幕のいる江戸が主舞台となる。その黒幕と、それに使われる殺し屋が唐十郎の「因縁」で、島流しになった過去と消えた恋が露わになる。

 ロケ地、泊まったお堂で夜殺し屋を見るお艶、下鴨神社糺の森。事件の黒幕の調査に江戸へ向かう唐十郎、糺の森池跡(アップダウンを巧みに利用)。駕籠舁きに化けて江戸へ向かう宇蔵と銀平、北嵯峨農地・陵前の道。
*嫌な予感がするとお艶に告げる唐十郎の背景が北斎の浮世絵に変じるシーン、ほんの一瞬なのに妙に凝っている吉原、上総屋に仕掛けるくだりの蚊帳、映像がこの上なく美しい。また、上総屋に仕掛ける唐十郎のくだりから鳴り出す「夢ン中」がスムーズにEDにつなげられるのも絶妙。


第5話「本所立川」1978.9.22

 おいてけ掘の河童騒ぎは、老盗賊と孤児たちの夢を実現する手立て。しかし屋敷を貸した殿様が三百両の分け前で引き下がる筈もなかった。

 ロケ地、河童の噂を聞く水辺の茶店、罧原堤下河原(茶店の中からという仕立てで暖簾越しにちらちら対岸の堤が見える)。釣りの帰りの夕暮れ、宇蔵と鈴平が「おいてけー」の声を聞く水辺、大覚寺大沢池北西畔。河童一味の幼女を捕まえる堀、有栖川河床。幼女を取り返しに来た「河童」らが消える堀端、有栖川畔(この先に盗っ人宿の旗本屋敷、設定は本所四ッ目堀)。田舎に家と畑を買ってみんなで暮らす「夢」の風景、萱葺民家と畑、不明。事後、盗んだ金では夢は買えないと子らを説得する唐十郎、有栖川に架かる小橋。道中をゆく唐十郎、罧原堤下汀。お艶らが船でゆくのはその前の川。子らがお艶の船を見送り「おいてけー」と呼ばわる、桂川松尾橋下手右岸堤
*子らが扮する河童を、場面ごとに巧みに使った演出が上々。ことに、仕掛けの場で旗本たちをおどかすのにぬっと現れての「おいてけー」を山田五十鈴の「さぁ置いてけ、その薄汚い命を」につなげるあたり、台詞まで絵画的。この構造ゆえ、月代剃ったはずの唐十郎のアタマがあっさり「戻っている」なども気にならない。*老盗賊は花沢徳衛。


第6話「下目黒」1978.9.29

 お鷹さまネタ、偉いさんは登場せず鷹匠たちが横暴の限りを尽くす話。お宮さんの葺き替えに必要な萱が御狩場の真ん中にあり、鷹匠たちは言を左右に刈らせない。調べを進めるからくり人たちの目の前で、悪事は更に積み上げられてゆく。

 ロケ地、うさぎが水浴びをしていて庄屋の娘と小作人の友吉のデートを見かける目黒川、桂川宇津根付近か。庄屋屋敷、民家門。村の鎮守、鳥居本八幡宮(鳥居越しに本殿を見るアングルから入り本殿前へ)。村へ逃げ帰ってきた足抜け女郎が鳥見役に捕まる、川堤か。野原の鳥見小屋および鷹を馴致する野原、不明。騙されて女郎にされていた妹の亡骸を墓に埋める友吉、下鴨神社糺の森池跡(仕置シーンにも使用)。鷹匠に斬りかかり失敗した友吉を捜索の野、酵素河川敷。山に逃げ入るも恋人をタテに脅され斬られてしまう友吉、谷山林道か。
*凶悪な鷹匠のリーダー格、亀石征一郎。


第7話「駿州江尻」1978.10.6

 大風を見事に表現した北斎の版画、その中の懐紙を散らしてしまう女を話に登場させる。散らしたのは船の設計図、当地では献上船をめぐって薄汚い陰謀が進行中だった。

 ロケ地、江尻へ向かう一座、北嵯峨の畦道(ここが図面を散らした焼津−江尻間の一本道)。男に詰め寄られるお京を助ける唐十郎、大覚寺有栖川畔〜五社明神。唐十郎が待つと連絡した小屋(爆破される)、不明。このことを地回りに報告のお京、神社不明(石段脇に蕨手の石灯籠)。図面を拾った子供がそれを隠したという寺へやって来るお京、西寿寺石段(上から唐十郎現れ)。監禁されている妹と恋人を図面と交換する唐沢の池、大覚寺天神島。お京の墓に詣でて江尻を発つ唐十郎、西寿寺・墓地側の崖にある龕の前に卒塔婆。何度も出てくる海、不明。
*妹を不具にしたと負い目を持つお京、凶刃に倒れ恋人を譲って事切れる哀れさ、駆けつけるも間に合わなかった唐十郎は怒りに顔色を変え大立ち回り。でも得物はいつもの。


第8話「甲州犬目峠」1978.10.13

 温泉探しをしていた百姓が鉱脈を見つけて起こる事件。情報を得た地金屋は百姓を殺し、痘瘡を患った大店の主を装い山の湯治場を買い取るというたいそうな芝居を打ち、役人とグルになって掘りにかかる。お艶らも痘瘡患者に化けてうまうまと湯治場に入り込むが、この間にも新たな犠牲者が増えてしまうのだった。

 ロケ地、犬目峠近くの天狗山の湯治場から逃げてくる湯治客たち、北嵯峨農地山際の畦道。湯治場へ向かう山道、不明。甲府金山奉行所、大覚寺明智門。役人らに仕掛ける宇蔵と唐十郎、下鴨神社池跡。猿橋を発つ一行、溜池の堰堤か。
*痘瘡を装う地金屋に江幡高志、お艶と宇蔵も同じくメーキャップして湯治場に。


第9話「深川万年橋下」1978.10.20

 息子の不当な死に怒る母、事情を追求する強い意志はワルの崩壊を呼び、捻れた暮らしも正道に立ち返る。
改易となった小藩の武士たちが営む、「人質賄い」なる奇妙な生業。その過程でおたきの息子はならず者の抗争に巻き込まれ死亡、ターゲットは子を斬った旗本くずれと見えて生業そのものという組み立てだが、乱暴旗本も抗争相手の口入屋も仕置対象。

 ロケ地、神社で睨みあう雷党と辰巳一家、今宮神社(雷党登場は楼門翼を背負って石畳をゆく図、舞殿を挟んで睨みあい、喧嘩は石橋・二本とも使う)。一座が興行を打つ市川の寺、西寿寺(石段から本堂見上げ・十三重石塔が見えている)。深川へ船を出す唐十郎と鈴平、嵐山公園中州舳先。おたきの頼みで船をつける深川万年橋の橋脚(橋台が赤変、ここにおたきの子の首が流れ着いた)渡月橋橋脚(トラス構造の木橋に見せる装飾部)。人質の役をつとめに出たおたきを追いかけ、「家老」を問い詰めて斬られる水嶋浪人、大覚寺五社明神。市川を後にする一座がゆく道、大内辻堂亀岡道か。
*桂川に漕ぎ出した船の行く手に、深川万年橋下の浮世絵が合成されなかなかの迫力。*始末する人数が多いので唐十郎はまたまた大立ち回り。お艶の殺陣も小道具も目一杯使い派手。*事後一座に礼を述べにくるおたきの吹っ切れた、さばさばした表情がなかなか。複雑な構造のこのお話の主題は、歪んだ生業を続ける一党に対するおたきの辛辣な非難だったともいえる。


第10話「隅田川関屋の里」1978.10.27

 一座が見かけた不審な侍たちが捜すのは馬、これがただのお馬さんではなく将軍家の愛馬で、探るうち幕閣がらみの陰謀が浮き彫りになる。

 ロケ地、関屋村の街道をゆく一座を追い越してゆく早馬三騎と中間、大内辻堂亀岡道(北望のアングルで、登り道にかかるあたりでぶった切って富士山を合成)。侍たちが駒をとめて浪人と渡世人のなりに着替えるやしろ、鳥居本八幡宮(鳥居、石段、本殿。お艶らが来かかり風体を変えたのを見咎めるのは小柴垣道、唐十郎がやって来るのは本殿東側の側道)。流山代官所、大覚寺明智門(後段には内部も使用)。お艶が興行を願い出る代官所の玄関、相国寺方丈前廊下(お艶が控えるのは勅使門から続く石畳。後段、変装した御召馬預の役人たちが詮議されるのも同所)。中間の新助がゆく道、大覚寺有栖川(河床から見上げ)放生池堤(姪と行き合わせ、兄の遺書を見る)。変装した御召馬預かりの役人らが二手に別れて探索に散る道隈、大内辻堂の祠を南から見て前後を分岐に見立てる。渡世人に扮した役人が聞き込みの農家、萱葺民家(川堤脇に水車あしらい)。勘定奉行の鬼丸が大目付に「秋月さま」の話を持ちかけてほくそ笑む江戸城内の広間、相国寺方丈(座敷からのアングル、背景に塀越しの法堂大屋根)。勘定奉行邸、大覚寺大門(御殿川から見上げ、手すりに駒つなぎ)。御召馬預役所で組頭が鬼丸の企みと憤激するのを聞いた唐十郎が渡る橋、中ノ島橋(後段、お艶に江戸の仕事を任された唐十郎は「渡り返す」)。代官所に忍び込み鳴き真似で「秋月さま」を確認した鈴平が走る掘割、大覚寺有栖川河床(大沢池木戸の下)。流山を発つ一座、大内辻堂亀岡道(北望、登り道切り通しのガレも見えている。このとき祠は映されない。路傍には唐十郎が待っていてお艶に成果をアイコンタクト)
*町外れのお宮さんで着替える、思いきり怪しいお侍が実は上様の愛馬を必死で捜す忠義の士というのが、見る者の思惑をうまくはずしドラマによいリズムを与えるが、その一人が五味龍太郎だから効果利きすぎ…代官に謀殺される直前まで「悪人」に見えてしまうんだよね。だから「秋月さま」を刃から庇うかたちで斬られるシーンは、とても哀切。*関屋の里から流山への距離感がちょっと疑問…松戸のまだ先だからずいぶん遠いように思うんだけど。


第11話「甲州三坂の水面」1978.11.3

 湖面に映る富士ヶ嶺が赤変という謎からはじまる話、出てくるのは村人の悲惨な暮らし。口べらしの棄老が年貢横流しのためと知ったからくり人たちは、怒りもあらわに仕置に向かう。

 ロケ地、富士を映す河口湖、広沢池(汀には東岸のほか観音島が使われ、遠景には西望のアングルが用いられ富士を合成。逆さ富士が映る場面では書割の鋭角な山頂をゆらゆら揺らして重ねる)。重税にあえぐ農婦が子堕しに行く妙見、不明(駿州江尻で出たのと同じ)。野良の風景や、うなだれて畦道をゆく村人のくだりには北嵯峨農地、これにも大胆な図柄の富士合成がある。庄屋屋敷、民家門と青田越しに甍を望む画。
*棄老を庄屋に迫られた家族の苦悩がたっぷりと描かれ、老婆を「富士へ登らせる」くだりは哀切極まりない。しきたりそのものも庄屋のでっちあげと知った山田五十鈴の「殺してやる」が迫力、ずかずかと闇取引の現場に踏み込み荒っぽく仕置、庄屋のみ湖上で始末し「お山に登らせる」。


第12話「東海道金谷」1978.11.10

 金谷宿で横行する道中奉行と川庄屋に脇本陣が組んでの悪事、川止めを自在に操り高値をとっての闇渡し。これにより永遠に娘と引き裂かれてしまった女の悲哀を主軸に描く。

 ロケ地、大井川金谷の渡し、罧原堤下河原。おふじの娘の墓、金戒光明寺本堂裏手墓地。本陣の下男に事情を聞きながら歩く唐十郎、長安院下坂。闇渡しの船着き、広沢池東岸
*絵の赤は本陣陣旗、脇本陣に狙われているというマーク。*川庄屋に仕掛ける沖雅也、矢継ぎ早の連続技を見せたあと首魁を殺る際、珍しく決め台詞「おめぇの商売闇渡し、俺の商売闇殺し」。


第13話「尾州不二見原」 1978.11.17

 江戸で十年苦界に身を沈めた女が帰りついた故郷、しかし村はきれいさっぱりなくなっており母も許婚者も死んだと聞かされた女は虚脱に陥る。一座の奔走で許婚者は見つかるが、男はヤバい橋を渡る金の亡者と成り果てていた。

 ロケ地、鈴平らが役人に追われ斬られる男を見る街道、不明(奥に溜池のある谷地田)。おりんの村があった野原(大樽を作る老職人があしらわれている)、不明(高台)。絶望したおりんが入水未遂(唐十郎が止める)罧原堤下桂川。尾張屋へ人参を運んできた男たちを尾行する鈴平、保津峡落合河口〜崖道(落下岩のまだ上へ縄梯子で登る)。人参小屋のある野、不明。
*大胆な構図の「桶屋の富士」をホントに持ってきたプランにびっくり。桶からのぞく富士のスケールがおかしいけど気にシナイ。*おりんが清吉に刺され金を奪われる「川」、セットに水を流して撮ったものと思われるが、三面張り河床ともとれる部分と、きれいに出た河床波が引っ掛かる。


第14話「凱風快晴」1978.11.24

 締めくくりの一話は北斎がらみ。一座に課せられた「仕事」は北斎殺し、但し義理も借金もチャラにしたい北斎が仕組んだお芝居。これを支援する版元の梅屋は、北斎死亡→持ち絵の高騰を期してのプランが「人物画に目覚めちゃってユリイカ状態」の北斎によりおじゃんになるのを防ぐため暗殺をはかる。

 ロケ地、江戸へ帰りたいとベソをかくうさぎに声をかける唐十郎、金戒光明寺三門(ここで既に浪人・赤星の影)。江戸へ向け旅立つ一座、北嵯峨農地。江戸でもしつこく唐十郎をつける赤星とやりあう、極楽橋墓地。北斎の絵のセリが行われる屋敷(借りた会場か守山藩邸か不明)大覚寺大門
*老いて尚盛ん、飽くなき探究心の塊である鬼才・北斎を前に山田五十鈴すら霞む。人物画に目覚めるきっかけの女形に西田良を持ってくるのも凄い(絵はおなよかおしづか重の井か)。暗殺されかかったのに赤星浪人のスケッチとってたりするのもアレだけど、天然系の北斎先生はラストをアカるい冥界通信でシメてくれる。輪を掛けて天然の娘・おえいを演じる吉田日出子がまたいい味。北斎の人物画は「写楽」の名で梅屋が刷りだすというお遊びも唸らせる。*北斎を斬ろうとして果たせず、守山藩士らに膾にされる赤星浪人の大立ち回りも特筆もの。これを走り書きする北斎の絵との連動がよい画。*どうでもいいけど永寿堂はどこへ?


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