地獄の左門 十手無頼帖
天知茂主演作品 東映/フジ


■ 地獄の左門十手無頼帖 「将軍暗殺!」 1983

 鬼与力・神山左門に、筆頭老中・阿部伊勢守から密名が下る。相手は大名貸しを派手に行い、金で幕府転覆も企図する回船問屋・河内屋。巨利の資となっている抜け荷を探るため、左門は偽装の葬式まで出し、無宿人に変装し潜入。苦労のすえ抜け荷の証拠を掴み復命の神山左門、将軍暗殺に乗り出した河内屋を制するが、彼の心を占めていたのは任務より踏みつけにされた弱き者たちへの哀惜であった。

 ロケ地、抜け荷の中継基地となる深川の中州(埋立地)広沢池東岸汀と酵素(木を大写し)をミックス、いずれも夜間撮影。三次の野辺送り、広沢池東岸(昼)。将軍暗殺未遂現場の法要の寺、相国寺(法堂大屋根、方丈まわり、庫裏、渡廊)
*あくまで怖い天知茂の神山左門、無宿人の左平次でニコっと笑ってても怖い。抜け荷の水先案内人をつとめる三次に石橋蓮司、左門を兄貴と慕う気のいい青年を好演、なんか新鮮。河内屋の配下・利吉(クレジットは名前のみ)に福本先生、女を脅す声がドス利いててイイ。阿部老中は丹哲。そして、過激な河内屋の息子に岸田森。ねちねちと左門を疑うしつこさもいいが、見張りにつけていたおあきを「あれは左門だったじゃないか」とバンバン殴り倒すさまや、暗殺失敗後左門に斬りかかってゆく姿は例の「泣きそう」な顔、「斬り抜ける」を髣髴とさせる。*河内屋の用心棒の浪人は大塩の乱の生き残りという設定がなされ、蘭書を手に開国・勤皇思想っぽいプランを語る姿が描かれる。河内屋たちも、現実の情勢から開国を熱望するが、こやつらの手法は「金で解決」…。


■ 地獄の左門十手捕物帖 「女菩薩供養」 1983.7.8

 架橋間もない永代橋が流失、左門子飼いの下ッ引の恋女房が水死、手抜き工事ではと疑う左門。これを皮切りに下ッ引は十手を返上し女房の仇を求め、彼と懇意の浪人は一件に強請りのネタを見出し普請奉行の娘をさらい、そして左門は彼らのアジトに捕われたすえ半ばその意思にシンクロ。最後は新永代橋入札の場に殴り込みをかける形で普請奉行に詰腹を切らせることとなるが、やりすぎ左門にも御役御免の沙汰が下る仕儀となる。

 ロケ地、橋流失による死者が運ばれる寺、神光院(中興堂前、本堂脇)。下ッ引の与吉とつるむ浪人・藤岡が人質を連れ込む潰れた船宿、広沢池東岸(廃業した店のとこ)。事後、与吉父子とともに旅に出る左門がゆく道、嵐山自転車道(見上げ、法華のどんつく行進つき)。永代橋流失殉難碑、罧原堤下河原にセット、松の木もセット。
*さらった普請奉行の娘に惚れられる設定の「マダムキラー」天知茂、病篤く果てたその遺体を抱いて入札の場に登場という派手な展開。強請り浪人に中谷一郎、ラス立ちの際危機に陥った与吉を救うのに小柄を投げる姿は弥七を彷彿とさせる。普請奉行とグルの棟梁の弟子に福ちゃん、人質の与吉の娘を拘束する。


■ 地獄の左門 十手無頼帖 「声を盗まれた娘」 1984.3.15

 遠山奉行に乞われ流浪の旅から舞い戻る左門、跳梁する凶盗の探索のため火盗改に配属されるという、ちょっと無茶な展開、任務は火盗改にいると目される内通者の探索。被害に遭った商家でただ一人生存の幼女が失語症に陥るのが、今回の事件の鍵となる。あろうことか、そのいたいけな娘は知らずに引き込みをつとめ、両親以下全てをを失った衝撃で心を閉ざしてしまうのだった。奇縁により出会った医師や船宿の女将とは悲しい別れが用意され、やっと心を開いた幼女を託し再びの放浪に赴く左門で幕。

 ロケ地、江戸へ入るさ、品川宿はずれで襲撃を受け左手に重傷を負う左門、鳥居本八幡宮竹林小柴垣道〜石段下広場。分不相応の火盗改与力・島崎の飯田堀そぱの別宅、中山邸参道、通用門。実は孫の「幼女」の無事を祈る医師・井上、今宮神社稲荷社、高倉前や参道(茶店セット)も使用。
*一番怪しいのはなんでもなくて、善人として描かれるヤツが内通者というのはお約束の展開だが、アヤシイ筆頭の与力・島崎が金持ってるのは内職のあぶな絵売りというのはなかなか飛ばしている。本人「見て」描いてる設定がまた。左門に家捜しされた際、それで充満した部屋の前に立ちはだかる表情なんか最高に面白い伊吹剛。失語症の娘を「治す」のに祈祷師のおばば呼んでるへんも笑わせる。秘密がバレたあとは左門の同志みたいに振舞うのも面白い。


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