時代劇ロケ地探訪  壬生


八木邸に掲げられていた隊旗 いまの壬生一帯はぎっしりと建て込んだ宅地であるが、近代以前は農村だった。ここに幕末、突然関東の荒武者たちがやってくる。彼らは時の政治の舞台となり物騒な事件が頻発する京都において上洛する将軍を警護するために集められた浪士たちで、のち新選組と称し京都守護職・会津中将のもとで洛中取締りの警察業務にあたった。新選組中核メンバーの近藤勇らは、はじめに割り当てられた宿所の郷士・八木家をそのまま屯所とし、のち西本願寺に移るまでここで過ごした。八木邸時代は、池田屋事件や禁門ノ変などで大いに面目をほどこした、新選組にとっての黄金期であった。

八木邸 長屋門
幔幕には朝倉氏ゆかりの紋
八木邸 式台玄関
男性は親切なガイド氏

 その八木邸は今も当時の姿をとどめており、ご子孫が住まわれている。文化財指定を受けた部分は公開されていて、ガイド氏の詳しく興味深いお話を伺える。
この八木家の長屋門は、渡辺謙が家族思いの南部浪人を演じた壬生義士伝で、当の八木家として使われている。役者さんが入ってのシーンではなくセットにつなげるイメージカットだが、本物だけに真に迫るものがある。また、ほかの新選組ものの映画やドラマでも八木邸内部はよく再現セットが作られており、芹沢鴨が暗殺された部屋の鴨居に残る刀痕をドラマの設定に取り入れた大河ドラマ・新選組!輪違屋糸里などの例もある。
八木邸付近には、同じく屯所に徴発された前川邸や、隊士の墓が残る壬生寺、清河八郎の演説がぶたれた新徳禅寺などの旧蹟が残っている。

壬生寺 新徳禅寺 前川邸 前川邸 蔵

京都市中京区壬生 坊城通付近


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