時代劇ロケ地探訪
■ 永観堂


 永観堂は哲学の道近くにある、正式名を禅林寺という空海の弟子が建立した寺で、首を傾けた特異なお姿の「見返りの阿弥陀」が著名。

放生池に架かる橋 御影堂
 疏水から引いた水を湛える放生池には、浅い反りの石橋が架かる。これは御影堂へまっすぐ通じる参道になっている。
ここは、大川橋蔵版銭形平次「大江戸十手祭り」で、お家騒動のただなかにある幼君のお気に入りの侍女が「を組」の纏持ちと密会するくだりで使われた。石橋上では、平次親分の大立ち回りも行われる。御影堂の前に立つ、背の高い卒塔婆も映りこんでいる。
永観堂松岳院 永観堂墓地から阿弥陀堂を望む
 参道脇の塔頭・松岳院は、鬼平犯科帳3「いろおとこ」で、亀戸天神前の料理茶屋に擬された。兄を殺した盗賊を追う新米の火盗改同心が、兄の使っていた女密偵に聞きだした手がかりの場所。無骨なくせに女にだらしない男に温情をかける鬼平の計らいが泣かせる一話。鬼平4「おとし穴」でも同様の使い方がなされ、こちらの設定は富岡八幡宮境内の水茶屋。
 八丁堀捕物ばなし「送り火」では、墓地が使われ、南の隠密回りが蘭学者志望の甘ちゃんに刺される現場となった。同第二シリーズ「秘密」では、市中で助けた女に誑かされかかる狩谷新八郎に女の正体を告げる杉山虎之助のくだりでも使われた。役所広司と火野正平のアップの背後に、阿弥陀堂の破風が映りこんでいる。

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