時代劇ロケ地探訪  大原野神社


鳥居 小塩山の懐、勝持寺と隣接する古社。
長岡京遷都の際に奈良・春日大社より勧請されたもので、ゆかりは狛犬がわりの「狛鹿」にもうかがえる。
殿舎は、慶長年間に後水尾帝により再興された。
緑深く、下界の紅葉が今ひとつの年にも山気を吸って鮮やかな色づきを見せてくれる。

春日造の本殿 鳥居を見返る

鳥居 痛快・三匹が斬る!「千石どり 裸踊りも厭やせぬ」は、千石こと久慈慎之介が萩の頑固な老武士に見込まれ養子となるお話。結局そのじいさんは藩を食い荒らすシロアリによって命を落し、三匹が仇をとる運びとなるが、ラストで燕陣内が罪滅ぼしの富籤抽選会を催すのが本殿前。富籤突きが行われているところに役人が咎めにやって来て、三匹は逃げ出し去ってゆく、このシーンでは上写真右の参道と鳥居が映っている。松方弘樹が遠山左衛門尉を演じた名奉行遠山の金さん「恋女房が危ない!べに花の秘密」では、タイトルの内儀のお参りの場面に本殿が使われ、足もとに狛鹿が見られる。拉致現場は左写真の石段。悪者の一人に福本清三氏の姿がある。

参道脇の蔵 鯉沢池
鯉沢池の橋

 鯉沢池は鳥居外の参道脇にあり、境内に湧く名泉・瀬和井の泉と水系を一つにするという。
汀には杜若、水面には睡蓮を浮かべ、みごとな眺め。築山の間には浅く反った橋が架かっている。この橋では、先述の「三匹」の話で、頑固じいさんの娘と千石が語り合うしんみりしたシーンが撮られている。
 鬼平犯科帳2「春の淡雪」では、密偵のおまさに火盗同心の配下について怪しいと報告を受ける長谷川平蔵の姿が、上写真左の蔵前に見出せる。
このあと、その男を盗賊と見込んで張り込むくだりでは、千束池という設定で鯉沢池が使われている。池から飛び立つ鴨を追ってカメラがパンし、橋の画はコマ送りにしても弁別し難いほど流れているが、よくよく見ると欄干や橋桁が確認できる。
千束池(洗足池)は武蔵野台地の端にある湧水由来の池で、そのことを勘案してのチョイスでもあろうか。そう考えると、なにやら築島の木が日蓮上人袈裟掛けの松に見えてくるような気もする。
このくだりではつなぎ笛でおまさと五郎蔵が連絡をとるシーンがあるが、おまさのいる竹林は別のところで撮られている模様。鳥の鳴きまねをするにあたって、鬼平が凝視しているのを恥ずかしがった五郎蔵が横を向いてくれるよう頼むほのぼのした場面もある。

京都市西京区大原野南春日町


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