時代劇ロケ地探訪  藪田神社


 藪田神社は園部の町はずれに鎮座する式内社とも伝わる古社で、ツクヨミ・イザナギ・スサノヲの三神を祀るこの一帯の鎮守。社叢は町指定の風致林で、鳥居脇のクロガネは相当な古木。舞殿の萱葺屋根は鉄板に変わり、本殿には覆いが付けられてしまっているが、こんもりと繁った社叢は鎮守の杜の原風景ともいえる佇まいを残し、産土の尊さと共生のロジックを体感させてくれる。

藪田神社 入口 鳥居から舞殿を望む
参道脇のサルスベリ 参道見返り

 雪姫隠密道中記「からくり喧嘩駕籠」は、小田原町奉行と組んでライバルを潰そうとする悪徳駕籠屋を懲らしめるお話。雪姫が悪い駕籠舁きにからまれた娘を「橋」で助け、事件に関わってゆく。このシリーズは中村敦夫の妙なはじけっぷりが見どころのひとつなのだが、この回ではわけてもひどい悪ふざけをする。姫のお蔭で駕籠舁きをさせられてヘトヘトの和田浩二とあおい輝彦の駕籠に、気味の悪い老婆に化けた中村敦夫が乗り込み、さんざん引き回した挙句正体を現すのがこの藪田神社。さすがに怒気を発した二人からひらりと身をかわした「左平次」中村敦夫が飛び乗るのが、上写真にあるサルスベリの木。境内に駕籠を舁き入れる段では参道の低い石垣も映りこんでいる。
先に述べた暴将「駆けろ!天下の紀州号」では、馬競べの折り返し点として使われ、上写真の鳥居から舞殿を見た写真と同アングルの画がある。鳥居内には見届け役が陣取っている。画面に見える舞殿は萱葺き。
勝新の座頭市物語テレビ版「どしゃぶり」では、野博打が行われる関八州のお宮さん。市はヤクザを追い散らし素人衆の負け分を取り戻させてやるが、朝丘雪路演じる姐さんに偽善だと言われてしまう。彼女は、市を弟の仇と恨んでいる設定。博打を打つのは舞殿で、市をののしる姐さんの場面は狛犬の脇。
田村正和の眠狂四郎「荒野に女郎花が咲く」では、亡き恋人に代わって仇討ちを志す女を狂四郎が伴い向かう約定の場所。しかし尋常の勝負を諾した仇は先に来て腹を切っており、二人は舞殿に座し前のめりに倒れる仇を見る。この仇は佐藤慶が演じている。

→藪田神社ロケ使用例一覧

京都府南丹市園部町南大谷


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