大覚寺には二つ並んで門があり、向かって右に大門、左に明智門となる。大門のほうは拝観受付への入口となっている。
大門は江戸初期の建造で木造切妻造の瓦葺。続く濃いクリーム色の塀には格式を示す五本線が入っている。周囲には松の高木が多数植えられ、いかめしい印象を与える。このことからよく大身旗本の屋敷や各藩の江戸藩邸、地方では代官屋敷や陣屋に擬えられることが多い。とっかえひっかえ「○○藩下屋敷」や「××代官所」とテロップを入れて使われる。看板そのものを架け替えている例も多い。

　斬り抜ける「あなたが欲しい」では松平丹波守江戸屋敷、服部半蔵影の軍団「悪魔が呼んだ奥州路」では真田藩支藩下久保藩の陣屋、岡っ引どぶ「悪魔の小箱殺人事件」では仙石家上屋敷、長七郎江戸日記「風流双面草紙」では柳生宗冬邸、同「命、売ります」では旗本上杉主膳邸、暴れん坊将軍2「暗殺計画、手引きは御生母!?」では尾張藩下屋敷、同「十手無用の父娘鳥」では火盗改役宅、鬼平犯科帳「蛇の目」では元御殿医・道有屋敷、江戸中町奉行所「禁断の愛に泣く女」では朝倉藩江戸屋敷、神谷玄次郎捕物控「針の光」では南部藩上屋敷、幕府お耳役檜十三郎「闇の裁き！小判に埋もれて死ね」では大目付京極丹波守屋敷、必殺仕事人・激突！「主水、幕府のクーデターにまきこまれる」では大目付日下部主膳邸、大江戸犯科帳・闇を斬る！「筆頭老中への陰謀」では若年寄兵頭丹後守邸と、もう枚挙に暇ないほどである。
　TXの新年長尺時代劇炎の奉行大岡越前守などでは吉良邸になったり、伊勢山田奉行所になったり、尾張屋敷になったりと同じ番組内で使いまわされたりもしている。
　また、旅ものとされるジャンルでは代官屋敷や陣屋としての使用例が目立つ。必殺からくり人富岳百景殺し旅では一座がゆく先々の代官所や本陣に多用され、翔べ！必殺うらごろしや必殺仕舞人、三匹が斬る！などでも同様の使われ方をする。
雲霧仁左衛門[山崎努版]最終話「最後の大仕事」では藤堂藩上屋敷として使われた。火盗改の手を逃れた雲霧のおかしらが武士に立ち返り藤堂藩の御用金を強奪しかつて自分達を嵌めた国家老を破滅にに追い込むのだが、その切腹のあと奪った御用金は門前に返され書状は門に貼り付けられているという物語の決着をつける印象的なシーンが撮られた。
剣客商売[藤田・渡部版]「まゆ墨の金ちゃん」では息子の大治郎襲撃の企みを聞いた秋山小兵衛が探索に赴く村垣道場として使われた。この際、小兵衛は御殿川を挟んで対岸から様子を窺う。上写真中段右の写真が同じアングルで撮ったものである。この使い方は他の番組でも時々見かける。
新必殺仕置人「奸計無用」では伊豆金山総支配邸として用いられ、主水の仕置が大門で行われる。この際見張り役の正八が御殿川畔の松の木に登っているという珍しいシーンも撮られている。