時代劇の風景   ロケ地探訪

鴻池新田会所

 鴻池新田会所は、大和川付け替えのあと豪商・鴻池家が新開池跡地を開発した「鴻池新田」を管理・運営する場として使われたところ。会所では年貢の取りまとめや田畑付属施設の営繕、幕府からの通達の告知、また裁判を行うなど自治機能を持たされていた。
現在、会所跡は史跡・重要文化財指定を受け東大阪市が管理していて、蔵などを改造し往時の文物を展示するほか地域のイベント開催にも利用されている。史跡として取り上げられることはあるが、時代劇に使用されるのは珍しい。
表長屋門
 2002年正月のTX長尺時代劇・壬生義士伝で使われたのは、表長屋門と本屋。主人公・吉村貫一郎死後、長男も函館戦争に散ったあと残された末の男児を越後の豪農のもとで養育して貰うべく訪問する、というラスト近くのシークエンスで使われた。
 豪農・江藤家の門前に立つ大野家下男の佐助と吉村の遺児、のシーンはこの表長屋門。
また、劇場版必殺!3「裏か表か」の冒頭、南町奉行所から出役してゆくモブシーンがあるが、このときの奉行所の門は表長屋門である。以後の劇中のものは異なる。先の壬生義士伝においても同じだが、正面右手の小屋根付きの説明板はそのまま映っている。
本屋内部 西ニワ 本屋内部 勘定場と座敷
 「本屋」は会所の中心施設で、広い土間(ニワと称する)、勘定場と座敷から成る。
吉村の遺児と佐助が主を待つ土間の背後に映っていたのが「西ニワ」で、年貢米を積んだところ。
主・江藤彦左衛門が家人に支えられ登場するシーンは、上右の写真にある「勘定場」。ドラマでは奥の障子は閉まっていた。
本屋内部 下台所とニワ 下台所の上がり框
 主が佐助に託された大野次郎右衛門の書状を読むシーンは勘定場まえの板間(下台所と称する)。事情を知った主が吉村の遺児をそばに呼び、吉村貫一郎から託された二分銀入りの巾着を渡されるシーンで映っているのは上写真右の上がり框。ドラマと同アングルである。
下台所 土間に張り出した板間 下台所 竃

 江藤彦左衛門が遺児の身柄引き受けを承諾したあと江藤家の使用人がわらわら出てきて世話を焼きだすシーンでは下台所板間と竃付近が映っていた。箪笥や釜などはそのまま使われている。

 南部岩手藩大阪蔵屋敷の責任者だった吉村貫一郎の親友・大野次郎右衛門の伝手で訪ねる越後の豪農の邸宅、というのにはまことにぴったりの風景であった。大きい古い農家は残っていても現住建造物である場合にはVA線が這い回っているのが常だし、表具がサッシになっていることも多い。ここは「会所」で今は博物館的な性格を持っているから良かったのだろう。

本屋外観 北から
★見学は春秋二回 4/1〜6/30,9/1〜11/30 問合せ;鴻池新田会所(06-6745-6409)
東大阪市鴻池元町2-30

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