時代劇の風景  ロケ地探訪

日吉大社

− 日吉三橋 −

 大社境内にあって大宮川に架かる三つの石橋は、信長の焼き打ち後秀吉が寄進したものと伝える日本最古の石橋で、重要文化財に指定されている。一説に穴太衆の架橋ともいう。
上流から大宮橋、走井橋、二宮橋が順に架かる。大宮橋は西本宮参道に架かり、走井橋は大宮橋のすぐ下にある小ぶりな欄干の無い橋、二宮橋は東本宮参道に架かる。
大宮橋
 大宮橋は大鳥居をくぐって拝観受付を過ぎてすぐの西本宮参道に架かる。優美な透かしが欄干に施されている。橋脚はどっしりと太い。
 暴れん坊将軍2「俺がまことの吉宗だ!」では池中藩のお家騒動に巻き込まれ牢に入れられた息子を救うべく老武士が新さんに将軍の「替玉」を依頼するというストーリイなのだが、庭番やめ組が入り乱れての救出劇が大宮橋上で展開される。め組が荷車を押し立てて処刑場へ引き出される老武士の息子の行列を襲い、庭番が橋からロープで下ろすという荒技が見られる。大宮橋の欄干から心配そうに川を覗き込む新さんの大きな顔が下から撮られている。橋の上から下までたっぷりと大宮橋が使われる代表例である。
走井橋
 走井橋は大宮橋のすぐ下に架かる。ごく小ぶりな欄干も無い低いもので、橋の上には脇に生えている杉の大木の枝が張り出してごろんと乗っかっている。
こんな大枝が乗っている橋などそうそう無いので、よい識別ポイントになる。
この橋を使うアングルは二つほどあり、ひとつは大宮橋の上から見て橋を渡る人物を撮るもの、今ひとつは段差を落ちる水を手前に入れ走井橋の向こうに大宮橋の橋脚を遠望するというもの。前者は旅のシーンなどに、後者は悪者に追われ逃げる人物のシーンなどによく使われる。
 例えば続続・三匹が斬る!「まぼろしの父が恋しい夢芝居」では九州・鍋島藩飛地の豊浜で替玉の奉行が奴に持たせた密書が狙われ、奴は走井橋の下の大宮川の中を逃げ回るが斬られてしまう。
暴れん坊将軍3「新さん江戸の風に舞う」では悪徳商人に店を潰され主人を亡くし悪事をお上に訴えようとしている商家の女将がワルの手先に追いかけまわされるのもこの橋の下、落差工から落ちる水が映り込んでいる。同第二シリーズ最終話ではお忍びでじいと二人日光へ向かう上様が渡り、橋下で悪さを繰り返す修験者たちに殺された娘の死体が上がり騒動となる。上様も河原に降り検分するが、その際のアングルは上写真下段右と同じ。橋上に横たわる木の枝が映っている。
二宮橋
 二宮橋は大宮橋や走井橋の下手に離れてある。こちらは橋を渡って坂を登ると東本宮へ通じる参道となっている。
他の二つの橋より反りがきつく、欄干に透かしが無く削り出しの四つの擬宝珠が付いている。橋脚は大宮橋と似てどっしり太く安定感がある。
 ここは京極夏彦「怪」「福神ながし」でおぎんが実父・風見と対決する際凭れている橋である。夜間撮影で、参道の坂は途中から闇に飲み込まれている。暗い中で撮られたものであるが擬宝珠がくっきり映っているので容易にここと知れる。
 また、続続・三匹が斬る!「まぼろしの父が恋しい夢芝居」でワルを皆殺しにして事件を解決(?)したあと旅立つ千石と殿様がカッコつけて一句捻っているのがこの橋の上である。

日吉大社 表紙

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