時代劇の風景   ロケ地探訪

黒谷

− 金戒光明寺  石段と東坂 −

本堂前の石段 本堂前石段 西から
 光明寺は丘の上にあるので、本堂へは石段や坂を登る。
石段は時代劇における重要なアイテムで、出会いと別れのシーンに欠かせない。もちろんチャンバラも行われる。
画面に奥行きが出てよい画となるが、上下左右を切られていることが多いので判別しにくいことも多い。
光明寺の石段の識別ポイントは石段上部にのぞく二本の松の木。上がってすぐのところに本堂に向かって二筋の松並木がある。
本堂前石段 中ほどから 本堂前石段 中ほどから西を見る
 鬼平犯科帳「のっそり医者」では、勤務先を凶盗にやられ盗賊改役宅に養われていたおよしが身を寄せた医師・萩原宗順がかつての主家・本多家の侍・今井宗兵衛と行き会うシーンで使われた。カメラははじめ石段下から俳優を捉え、のち切り変わり上写真右のアングルで、医者と侍が行き会うアングルとなる。原作では邂逅は日本橋上となっている。石段も橋もトラフィックに関係するので場面も似通うのだろう。
必殺仕舞人最終話「深川節唄って三途の川渡れ」では仕舞人チーム解散の場として使われた。落飾した京山とおはなが石段上に、下に直次郎がいて名残りを惜しみぐずっている。
新必殺仕置人では多用されている。主水を仇と狙って果たせず自刃した女を鉄と主水が引きずってゆく・巳代松に父を殺され孤児となった「おねこ」が弟に食べ物を運ぶのに石段を駆け上がってゆく・寅の会会場へと虎と死神が登ってゆく・鉄が寅の会を解散に追い込んだ外道に仲間入りを迫られるなどの、様々な印象深いシーンが撮られた。
本堂前石段上部西側 鐘楼
 上写真左の木組みは鐘楼の下部。背景の建物は茶所。
このアングルで撮られた例は江戸中町奉行所「闇の元締を消せ」で、東海屋の手下の殺し屋・平田又四郎浪人が鐘楼の下に腰掛けているのに、行商中の多吉が声を掛ける場面で使われた。殺し屋などしているが中味は朴訥な平田浪人が我楽多と知り合ってしまい苦悩する出会いの、起こりのシーンである。
東坂 東坂から阿弥陀堂裏手を見る
 金戒光明寺には本堂に通じる中央の石段のほか、そのすぐ東にもうひとつ石段がある。こちらは中央部を平にしてあるので車が登ってゆく、石段というより緩い坂である。
 「白州の鬼」では、返り咲きを狙う前職に標的にされ苦境にある北町奉行の娘の婚礼の駕籠行列が、東坂を通ってゆく。
壬生義士伝では、主人公・吉村貫一郎が南部藩を脱藩したあとその子弟が藩校で先輩に苛められる場面で使われた。設定は南部・盛岡城下である。
鬼平犯科帳「殿さま栄五郎」では、鬼平の有能な密偵・伊佐次が探索に走り回る姿が金戒光明寺各所を使って描かれるが、東坂も使われている。

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