時代劇の風景  ロケ地探訪

高山寺

鳥獣戯画 高山寺は三尾のうち最も奥にある、奈良期創建の古刹。
清滝川に面した崖をのぼった山懐に、鬱蒼と巨樹に囲まれてある。
栄西禅師のもたらした茶種がここ栂尾に植え出され茶栽培の起源となったり、我が国の漫画のルーツとも言える画巻「鳥獣戯画」を蔵することでも著名(現在は国立博物館に収蔵、寺ではレプリカを拝見できる)

■ 金堂

 大きな四角い石を敷いた参道をゆくと、右手に茶園を見て金堂道となる。
路傍には巨杉が並び、道脇には谷水が瀬音を立てている。金堂に至る石段は苔むしたランダムなステップを持ち、木漏れ日が映えて美しい。

金堂への石段 金堂道
金堂 金堂石段 見下ろし
 金堂道は、人気テレビドラマが映画化された世にも奇妙な物語の中のエピソードのひとつ携帯忠臣蔵で、勢いに乗せられて江戸出府の運びとなる街道のシーンで使われた。気の進まぬ道中、幾度も振り返りながら後ろ髪を引かれる大石内蔵之助のくだりである。モノクロ画面に苔むした道の陰翳がよく映えていた。
 2003年末の長尺ものの太閤記では、竹中半兵衛を軍師として迎えにゆく秀吉の段で使われた。設定は美濃の不破南宮山、半兵衛の隠棲する寺である。半兵衛宅にいる娘に門前払いを食わされかける場面が、石段で撮られている。両脇の巨杉のコントラストが美しい印象的な画面であった。

■ 石水院

 石水院は中興の祖・明恵上人が後鳥羽院より賜ったもので、鎌倉期の寝殿造の建物。腰高な石垣を持つ塀が西に巡らされ、座敷からは清滝の谷を望む趣向となっている。簡素な門をくぐって入ると、眼下に金堂道が見える。

石水院西塀 金堂道から 石水院 門
石水院 塀越しに見下ろし
奥は金堂道
石水院西塀 東望
周山街道のパーキングに通じる道
石水院縁先 ここは新必殺仕置人「暴徒無用」で、ターゲットの多摩の山奥の山持ち大尽の屋敷として使われた。先乗りで調査に入った絵草紙屋の正八が荷を担いで門まわりをうろうろする姿がコミカルに描かれ、たむろする用心棒たちに草紙を売りつけるくだりである。このあと、頼み人の影沢村の百姓たちが伊右衛門に鉄砲で撃たれるシーンは上写真下段左と同じアングルで撮られている。
 ニュー・三匹が斬る!ではエンディング、旅ゆく「千両」こと吉良右近の姿が石水院西塀際にある。金堂道の項で述べた太閤記でも石水院が使われている。門のほか、座敷もここのようである。1954年の新諸国物語 笛吹童子「満月城の凱歌」でも使用例がある。
京都市右京区梅ヶ畑栂尾町

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