川を訪ねる旅

南河内 石川探訪

2. 石川に流れ込む川へ (1)

 往路とは違う石川沿いの府道218号河内長野かつらぎ線を降りてゆく。眼下の谷は深く、狭い山道。岩湧山へ登るのか、登山者の姿も見かける。
 ダムから出た石川は当然ながら水量を減じ、里川然と流れてゆく。川遊びの親子連れがここにもいるが、上のキャンプ場にいる人たちとはちょっと違う。若い夫婦が幼い子を遊ばせている光景が微笑ましい。

河内長野市日野  石川上流で遊ぶ人たち

 山を降りきったあたりで府道を外れ新興住宅地へ通じる道を行く。河内長野市南部には○○台なんていう名のついた丘を削って造った大小の新興住宅地が多い。石川支流・天見川はそんな宅地に挟まれて流れている。
天見川そのものも支流の加賀田川・石見川も同様の状況で、共に三面張りである。しかしそのような人工的条件があるにしては水はきれいだった。
 天見川水系を見終えて、佐備川流域へ向かう。地図で見ると新興住宅地から小峠を越えていけるようなのでそちらへハンドルを切る。
まず、美加の台という大きな宅地に入る。道なりに北へまっすぐ抜けるつもりが、宅地を取り巻く外周道路をぐるぐる回っているのに気づく。そこで宅地の中を抜けようとしたのが運の尽き、行けども行けども突き当たり。クランクをいくつ回ったろうか、すっかり方向感覚を無くしてしまうのだった。これは町のつくりが外部からの侵入者を拒んでいるせいなのだろうか。ほうほうの態で美加の台から脱出すると石見川上流の谷ひとつ隔てて今度は清見台とかいう先程と同様の宅地に入る。性懲りも無く再び外周道路を回らされ、再び宅地の中のクランクをくるくると回る羽目に。その上空模様が怪しくなり、フロントグラスに大粒の雨が当たりだす。ようやく国道310号に出て河内観心寺手前の交差点から峠へ入るべく急ぐが、古いほうの地図を持って出たため道が付け変わっているのに気づかず観心寺まで出てしまう。雨脚はいよいよ激しくなり、寺前に車を掻きいれ少しの間やり過ごすことにする。

雨に煙る観心寺  雨宿り中の車から

 叩きつけるような雨は見る間に境内の土を洗い、原始の川の如く流れ下ってゆく。ころころと砂礫が転がるのが見える。一瞬このまま310号を走って帰ろうかと思う。ほんの少しましになった雨脚を見て出発。山道を抜け河内長野から富田林へ。府道209号甘南備川向線を北上、右手には佐備川が沿う。流域はのどかな山村。先程の雨が一斉に川へ流れ込むのが見える。交通量があまり無いせいか、道を洗った水もさほど汚れておらず川に濁りも入らない。
 佐備川を撮り、その東方を並行して北流する宇奈田川も見て佐備川流域の富田林市東南部を後に、千早赤阪村へ向かう。ここも丘陵を越すゆるい峠になっている。ようやく空が明るくなってくる。二時半過ぎ、昼食を摂ろうと道の駅へ行くが以前やっていた食堂はやめてしまっていた。結構美味しかったのに。

晴れ間の見えてきた空  道の駅屋上から

 それではどこか適当な食堂をと探すがなかなか見当たらない。国道309号を奈良を向いて走っていると中華料理の看板、県境程近くにある「楓」という店へ。ふわっとした卵の入った汁気の多い焼きそば、美味。店の壁には建水分神社の祭礼の山車の写真が飾ってある。
 食事のあと、富田林街道を取って返し、ついでに水越川を撮影。アングルを思案しているとチィーッという甲高い鳴き声を発してカワセミが飛び去るのを目撃。目のさめるようなコバルトブルーの羽色が目に残る。この邂逅が人をしてバードウォッチングにはまらせるのだ。
309を北上、河南町に入ったあたりで千早川を撮影。ここでもカワセミを目撃。しかも複数。これは一度腰を据えて来なければ。
この後は河南町を横に突っ切り梅川流域へ。

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1.  石川源流へ    3.石川に流れ込む川へ (2)   4.石川下流で


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