川を訪ねる旅

高瀬川の源を探る

高瀬川源流庭苑詳細

取水口 取水口上の橋(通路)

 垣根の向こうは鴨川。鴨川河川敷のみそそぎ川から分かたれた水が庭園に入ってくる。高瀬川のはじまりである。
右は流入口の上の橋。フェンスの向こうに鴨川が見える。ここは別棟への通路になっている。

 左は流入口すぐ下から庭園中心部へ流れてゆく高瀬川。
右は橋のアップ。大きな石を使った切石橋。これが架かることによって流れの表情がぐっと引き締まる。

 さきの切石橋の上から流れの全景を見る。
松のうしろは玄関のある棟、背後のビルは日本銀行京都支店。
客席はこの右手にあり、高瀬川を右岸から眺めることになる。  

 中央部の、飛び石橋の向こうに黒く口を開けているのが流出口。庭園を出た高瀬川は一之舟入へと流れてゆく。  

 この庭の大きな特徴はやはりこの豊かな流れだろう。植治の庭に流れはつきものだが、南禅寺界隈の疏水からふんだんに水を引いたもっと大きな庭にもこれほど早くて水量のあるものは無い。
 水質的には、鴨川中流から引かれているので、濁りこそないものの清冽とは言い難いが、流量がそれを補う。夏にはさぞ涼しげなことだろう。
 この庭の近所には頼山陽が「山紫水明処」を設け飽かず鴨川を眺めたという家屋も残っている。ひとときも留まらぬ川の流れを「観じる」行為は、鴨の流れの傍らに住んださまざまな時代の人々を魅了してきた。今もそれは変らない。
流れは庭園中央部で広げられ流速を緩める。周囲には高木低木とりまぜていろいろな木が植えられ、名石や石灯籠が数多く配置されている。しっとりと雨に濡れ春の花と木々の芽吹きに薄霞む風情がなかなか。

 庭園奥には滝組が設けられている。かなり高さのある滝で、落ち口には鯉が放たれている。高瀬川を中心とした庭の一角にあり、異彩を放っている。聞いた話では植治の手が入っているのは八割くらいという。また、茶室ふうの離れ付近の坪庭には小堀遠州作のものもあるという。

 庭園中心部に植えられた主木。他を圧して高い。あまり近くに寄っていないので葉を落とした姿からはケヤキかな、という程度しか判らない。四季折々の植物の変化もこの庭の楽しみのひとつだろう。この日に咲いていたのは紅梅。もう少しで桜が咲き、楓の新緑を見る季節となる。落葉樹も多いので秋の紅葉もいいだろう。

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・高瀬川の源を探る・表紙  ・高瀬川源流庭苑  ・庭を出てからの高瀬川


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